ボロディンtoボッサ



先週来の低温傾向もようやく終わり、きのうからじわじわ気温上昇。あすは関東各地で20度超えの予報。一進一退の桜前線も再び動き出しそうだ。 さて、本日も業務に精励。ちょうど仕事のキリもよかったので、少々早く店仕舞い。7時ちょうどに帰宅した。そういえば…きのう通勤途中で聴いていたNHKFM<きらクラ>で、ボロディンの弦四第二が流れていたのを思い出し、久しぶりにこの盤を取り出した。


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アレクサンドル・ボロディン(1833-1887)の弦楽四重奏曲第2番ニ長調。その名もボロディン弦楽四重奏団による演奏。1962年録音。手持ちの盤は80年代初頭にロンドンレーベルのミドルプライス盤で出たときのもの。ショスタコーヴィッチの弦楽四重奏曲第8番とカップリングされている。
70年代半ばの学生時代、夜11時からのNHKFMクラシック番組「夜のしらべ」で、テーマ曲にこの曲の第3楽章が使われていた(確かオーマンディー&フィラデルフィアの弦楽合奏版だった)。「夜もだいぶ更けてまいりました。」というアナウンスで始まったその30分の番組では、一日の終わりに聴くに相応しい落ち着いたクラシックを流していたのを思い出す。

何度聴いてもこの曲は美しい。くだんのテーマ曲に使われた第3楽章;夜想曲はそのタイトル通り、夜のしじまに染み渡るようなチェロの深々とした旋律で始まる。甘美で抒情的なメロディーは凍てつく冬の夜にも、あるいは魅惑的な春の暖かな宵にも相応しい。途中冒頭のモチーフを各パートが受け渡しながら繰り返すくだりは、仲間たちの穏やかで秘めやかな会話を聞いているかのようだ。そして忘れてならないのは、この曲の第1楽章の素晴らしさだ。ここでも冒頭チェロの一気に引きつけられる美しい旋律で始まる。 ボロディンは19世紀半ばのロシア五人組みの一人として活躍し、ロシア国民音楽の創出に尽力した。作品数は多くなく、ぼくら一般的なクラシックファンが聴く曲も、二つの弦楽四重奏曲や交響曲第2番、そしてかつては中学校の音楽の授業で必ず聴いた<中央アジアの草原にて>や歌劇<イーゴリ公>からのいくつかの曲といった程度かもしれない。しかしそのいずれもが異民族の交流ポイントでもあった中央アジア周辺のエキゾティックな様子をイメージさせる。そこにはアジアそして日本音楽のルーツでもあるペンタトニックを効果的に散りばめた美しい旋律があふれ、いつもぼくらを引きつける。

きのうの<きらクラ>で話題になっていた第2楽章の副主題は、ミュージカル<キスメット>で他のボロディン作品と共に導入され、<Baubles, Bangles and Beads(ビーズと指輪)>というスタンダードになって多くのシンガーが歌ってきた。アレンジの巧みさというよりは、ボロディンの原曲に多様な和声が施されているからに他ならない。


弦楽四重奏曲第2番全曲の楽譜付き音源。第2楽章に入り、8分50秒から始まるMeno mossoの副主題(10分5秒あたりまで)が<Baubles, Bangles and Beads>のモチーフとなった。もっとも知られた第3楽章<夜想曲>は13分20秒から。
いずれの楽章もシャープ系でギターでも弾きやすい調性。初見練習、アンサンブルで落ちない心得のため、どこかのパートでギター抱えて参加するもの一興かと。


シナトラの歌う<Baubles, Bangles and Beads>


イリアーヌ・イリアスによるボサノヴァアレンジ。


イーゴリ公:だったん人の踊りから生まれた<Stranger in paradise>


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イリアーヌのボサノヴァ

私も偶然きらクラきいてました。ビーズと腕輪は私は「デオダート」のアレンジ版から入りました。ボロディンは「中央アジアの草原にて」がメインでした。彼の弦楽四重奏曲も有名でしたね。イリアーヌのボサ版はツボでした。原曲がよいせいもありますね。アレンジ版の特集もお願いしたいところです

Re: イリアーヌのボサノヴァ

mobuさん、こんばんは。
そうですか、きらクラお聴きになっていたのですね!デオダートはオリジナルをイメージしやすいアレンジですが、イリアーヌのボッサは、ちょっと聴くとスルーしてしまいそうです。ボロディンはエキゾティズムばかりでなく、フランス印象派へも影響を与えたという色彩的な和声も魅力の作曲家で、数少ない作品はいずれも聴き応えがあると感じています。また何か、えつ?この曲が、というようなアレンジ物を思いついたら記事にしますね。

ベニー・ゴルソン

こんにちは。
わたしも「きらクラ」聴いてました。
イリアーヌのヴァージョン、良かったですね。
"Baubles,Bangles and Beads"ではベニー・ゴルソンのヴァージョンも
気に入っています。
途中に「だったん人の踊りが」引用されたりする洒落たアレンジです。
"Gettin' with It"(1960)というアルバムに収録されています。

Re: ベニー・ゴルソン

木曽のあばら屋さん、こんばんは。
そうでしたか、きらクラ…。なんだか当ブログ閲覧諸氏には、きらクラファンが特異的に多いように感じます(^^
ベニー・ゴルソンはアート・ブレイキーの盤(例のモーニン他)での演奏くらいし縁がありませんでした。アレンジャーとして非凡な才能があったようで、きっとボロディンもうまく料理したのでしょうね。
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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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