コダーイ組曲「ハーリ・ヤーノシュ」
月があらたまって令和四年如月。寒さもそろそろピークを越えて春の兆しを感じる頃。身辺少々変化あって、あれこれ慌ただしいが、夜ごと変わらぬ音盤タイム。今夜はこんな盤を取り出した。

ゾルタン・コダーイの組曲「ハーリ・ヤーノシュ」。ジョージ・セル(1897-1970)指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏。1969年1月録音。プロコフィエフの交響組曲「キージェ中尉」とのカップリング。発売当時から名盤の誉れ高い一枚。手元には70年代に出ていた国内CBSソニー盤と、米CBS盤とがある。共に中古レコード店で手に入れた。曲は以下の6曲から成る。
1.おとぎ話が始まる
2.ウィーンの音楽時計
3.歌
4.戦争とナポレオンの敗北
5.間奏曲
6.皇帝と廷臣たちの入場
第1曲は何やら意味深長かつ壮大な雰囲気で始まる。これもホラ吹き男爵=ハーリ・ヤーノシュゆえの諧謔と言ったらいいだろうか。以降は民族色とメルヘンに満ちた印象的なフレーズが続く。第3曲ではツィンバロンのエキゾティックな音色に、極東住まいの東洋人も郷愁にかられる。
セルはアメリカでの活躍と録音歴が有名ではあるが、生まれはハンガリーだ。思えば、フリチャイ、セル、ショルティ、オーマンディー等々、ハンガリー生まれの巨匠は多い。セルもブダペストで生まれ、ウィーンで学び、キャリアのベースは中欧で築いた。ハンガリーの国民的作曲家のコダーイには一層の共感を禁じえなかっただろう。
いつものセル&クリーヴランドらしく、速めのテンポともたれないフレージングで音楽が進むが、あちこちでその共感に裏付けられたパッションが顔をのぞかせる。もっともよく知られた第5曲の間奏曲は、純音楽的な様式を保ちながらもそこここで熱くオケをドライブする気配を感じる。大規模な編成の曲だが迫力で押す曲ではない。しばしば現われるクリーヴランド管の名手によるソロもいずれも美しい。プロコフィエフ「キージェ中尉」とのカップリングもよく、親しみ易い。いつものウィーン古典派からロマン派の様式感や感性とは違った脳内領域の刺激にはもってこいの曲だ。
この盤の音源。第3曲「歌」
同 第5曲「間奏曲」
フリッチャイによるこの曲の録音も名盤として知られる。そのフリッチャイによる演奏。第4曲から終曲まで。
ユライ・ヴァルチュハというスロバキア出身の指揮者とhr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)による全曲。
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