ケルテス&VPO ドヴォルザーク交響曲第9番ホ短調
あまりによく知られ演奏頻度も高く、これまで幾度となく聴いてきた曲。始まる前から、ああなって、こうなってと展開を承知している曲。失礼な言い方だが、いささか聴き飽きた曲。…そんな曲でも時折り無性に聴きたくなるときがある。きょうはまさにそんなとき。取り出したのはこの盤だ。

ドヴォルザークの交響曲第9番ホ短調「新世界から」。イシュトヴァン・ケルテス(1929-1973)指揮ウィーンフィルの演奏。1961年ケルテス32歳のときの録音。昔から名盤の誉れ高い一枚だ。
この曲のマイベストはフリッチャイ&BPO盤だが、このケルテス盤もまた違った良さを持っていて捨てがたい。フリチャイ盤が往時のBPOが持つやや暗めの音色と、寂寥感と望郷の念に満ちた歌いっぷりが見事であるのに対しケルテス盤は、録音当時32歳だったということもあってだろうか、音楽がストレートで生気にみなぎっている。金管群の押し、ティンパニの重量感も申し分ない。そしてさすがのウィーンフィルというべきか、弦の音は明るく伸びや、かつ量感があって素晴らしい。 デッカ録音ということで、目前に音像が展開するマルチマイクのデッカサウンドかと思いきや、思いのほか遠近感のある録音で、オケは前後方向に深く定位する。カップリングされている「スラブ舞曲」と「モルダウ」(これらはイスラエルフィルとの演奏)も、フレーズによってスピード感ある疾走と抒情的な歌いっぷりとを巧みに使い分けていて素晴らしい仕上がりだ。
ケルテスは大いに期待されながら、1973年に44歳という若さで亡くなった。イスラエルフィルに客演し、テルアビブで海水浴中の出来事だった
この盤の音源。全4楽章
日フィル(日本フィルハーモニー交響楽団)を指揮するケルテス。1968年5月@東京厚生年金会館
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