ポリーニ ショパン ポロネーズ集



何度か記事に書いた通り、このところアンプの入れ替えやら細部の調整やら、オーディオいじりを楽しんでいる。アナログ盤を聴く時間も増えて、きょうはここ10年近く使っていたオルトフォンSPU-Gを外し、スタントンのMM型カートリッジをセットした。


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正確な型番を失念してしまったが、500serの一つだったはずだ。十数年前にサンバレー(キット屋)でかなり古いもののデッドストックとして格安で販売されたと記憶している。久々に何枚か聴いてみたが、以前の印象よりもいい感じで、ベーシックなMM型らしくややナローレンジながら核のある音。ピアノ、弦楽四重奏、小編成ジャズなど、いずれも悪くない。きょうもこの盤をターンテーブルの載せ、ひとしきり楽しんだ。


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先日亡くなったマウリツィオ・ポリーニ(1942-2024)の弾くショパンのポロネーズ集。1975年の録音。ポリーニがもっとも輝いていた頃の記録だ。例によって十数年前の出張帰りに大阪梅田の中古レコード店で手に入れた。収録曲は以下の通り。

side_A
1.ポロネーズ第1番嬰ハ短調op.26-1
2.ポロネーズ第2番変ホ短調op.26-2
3.ポロネーズ第3番イ長調op.40-1「軍隊」
4.ポロネーズ第4番ハ短調op.40-2
side_B
5.ポロネーズ第5番嬰ヘ短調op.44
6.ポロネーズ第6番変イ長調op.53「英雄」
7.ポロネーズ第7番変イ長調op.61「幻想ポロネーズ」

鋭利なタッチ、正確無比な打鍵、計算しつくされたダイナミズム、甘さを差し挟まない冷徹な表情。モダンピアニズムの模範のような演奏だ。ショパンというともっとポーランドの土の香りを…とぼくなども思うのだが、これはこれで素晴らしい演奏だ。実演で聴いたら共感や感動以前に圧倒され、少し大げさな言い方かもしれないが、言葉を失うかもしれない。そんな演奏だ。しかし力ずくかというとそんなことはない。ガンガンいきそうな英雄ポロネーズの出だしなどは以外にも優しさを感じさせるほどのコントロールされた弾きぶりでハッとする。

70年代には多くの録音を残したポリーニだが、その後次第に録音が少なくなり、同時に評価も割れるようになった。十年程前にバッハ平均律が出たが、「最近のポリーニはどうかなと思って聴いてみたが…」とある知人は半ば落胆していた。そういう感慨を持たせるほど、70年代のポリーニは輝いていたという証しでもある。


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この盤の音源。作品61「幻想ポロネーズ」。ショパン最晩年の傑作。


この盤の楽譜付き音源。ポロネーズの中で好きな曲の一つ。作品40-2ハ短調。作品40-1の軍隊ポロネーズと対を成し、軍隊ポロネーズの<栄光>対し、こちらは悲劇的な苦悩に支配される。出だし1小節をイントロ当てクイズにどうだろう。この曲かフォーレ<夢のあとに>か迷うところだ。調性もc-mollで一緒だし…


この盤全曲のプレイリスト



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ホロヴィッツ・オン・TV



月があらたまって令和六年如月二月。
昨年末からひと月間、ブログ更新の頻度を上げてみたが、この間のアクセス数は特に変化なし。大体アクセル者のうち十名に一人がクリックしてくれているランキング・バナーのクリック数は少しアップ。これが多いか少ないかよく分からないが、いずれにしても所詮はマイナーな分野の素人記事。まあ、そんなものだろうと観念して、以前のペースに戻すことにした。変わり映えしない記事が続く見込みですが、どうか引き続きよろしくお願い致します。 さて、二月最初のきょうは、ふと思い付きこの盤を取り出した。


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ウラディミール・ホロヴィッツ(1903-1989)が残した多くの録音中の一枚「ホロヴィッツ・オン・TV」。1968年2月1日にカーネギーホールで招待客を前にした公開録音ライヴとして有名な盤だ。その名の通りTV放映され、多くの人々がホロヴィッツの演奏姿、手先の動き、そうしたものを目の当たりにした。

1983年、まさかの来日公演が実現したものの、吉田秀和の有名な発言他、その演奏は賛否両論となり、そのリベンジからか1986年にも彼は来日した。ぼくは83年来日時の模様をテレビで観たくちだが、当時ピアノそのものやピアノ音楽に疎かった自分にも、その出来栄えはいささか難有りの記憶がある。1968年録音のこの盤ではそうした杞憂はなく、かつ選曲の良さから楽しめる一枚に仕上がっている。収録曲は以下の通り。尚、このLP盤は放送当日の音源とそれに先立つ2回の公開演奏とから編集されたもの。そのあたりの経緯等は以下に詳しい。
https://www.sonymusic.co.jp/artist/VLADIMIRHOROWITZ/info/462899

 1. ショパン/バラード第1番 ト短調 作品23
 2. ショパン/ノクターン第15番 ヘ短調 作品55-1
 3. ショパン/ポロネーズ第5番 嬰ヘ短調 作品44
 4. スカルラッティ/ソナタ ホ長調 L.23
 5. スカルラッティ/ソナタ ト長調 L.335
 6. シューマン/アラベスク 作品18
 7. スクリャービン/エチュード 嬰ニ短調 作品8-12
 8. シューマン/トロイメライ (「子供の情景」 作品15より)
 9. ホロヴィッツ/「カルメン」 の主題による変奏曲


ショパンは静かな語り口で始まりながら、深い郷愁のこもったフレーズと、時折みせる静と動のギアチャンジが素晴らしい。この曲バラード第1番のもっとも優れた演奏の一つだろう。スカルラッティも決して大きく構えず軽いタッチで弾いていて美しい。シューマンのアラベスクとトロイメライも憧憬に満ち楚々としたロマンティシズムにあふれる。ショパンの影響を受けて書かれたスクリャービンのエチュード嬰ニ短調では悲劇的な熱情を存分に引き出し、最後には彼自作のカルメン・ヴァリエーションで華麗な技巧を披露している。

小石忠雄氏のライナーノーツによれば、この公開録音にあたっては、ひと月前から2回の入念なリハーサルが行われ、当日招待された2700人の聴衆にはノイズを出さないように特別に配慮されたプラスティック加工用紙のプログラムが配られた。そしてステージの床鳴り防止や機材類からの雑音発生を防ぐ万全の措置が取られたと記されている。 50代の頃、十年以上に渡って演奏の第一線から姿を消したあと再び返り咲き、以降70年代半ばまで多くの録音を残した。この盤はその時期の彼をとらえた貴重な記録だ。「ピアニストは三種類しかいない。ユダヤ人かゲイか下手くそだ。」と言ったホロヴィッツ。発言の真意は諸説あるようだが、彼が下手くそでなかったことだけは明らかだ。


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この盤の音源。但しLP盤とは曲順等異なる。


音源となったTV映像。残念ながら画質・音質とも冴えない。



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バッハ平均律の嬰ハ短調



昼から野暮用外出。帰宅後、渋茶で一服しつつ部屋の片付。ついでにアンプの灯を入れ、この盤を取り出した。


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ヴァレリー・アファナシエフ(1947-)の弾くバッハ:平均律クラヴィーア曲集。第1集、第2集それぞれCD2枚で構成されている。1995年スイスでの録音。手持ちの盤は20年近く前に日本コロンビアの廉価盤シリーズ:CREST1000としてリリースされたときのもの。

平均律の全曲盤というと、何気なくBGM的に聴くことも多い。そんなときはCDをプレイヤーにセットして順番に再生されるままに聴くが、きょうはダラダラと聴く気分になれず、第1集、第2集それぞれから嬰ハ短調の2曲を選び、部屋の片付け作業の手を休めてスピーカーと対峙して聴くことにした。BWV849と873がそれだ。

嬰ハ短調…ぼくだけの感覚かもしれないが、その語感だけで身が引き締まり、居ずまいを正して目を閉じたくなる。実際この2曲は各24曲の中でも、深く瞑想し思索する雰囲気を持つ名曲だ。 BWV849の前奏曲。アファナシエフはかなり遅めのテンポを取り、音階の一つ一つの音を確かめるように、階段をゆっくりと上っていくかのように弾き進める。もちろんポリフォニーの音楽なのだが、まるで無伴奏ヴァイオリンを聴いているかのような錯覚さえ覚える。続くフーガもしかり。5声からなるフーガであることが信じられない。フーガというとフレーズを重ねながらゴシック建築を築いていくような感じを持つことが多いが、アファナシエフのこの演奏ではそういう指向が感じられない。音楽は解体されて淡々とモチーフを弾き進めるような感覚がある。何とも不思議な感じだが、あるいはバッハのこの曲はそう書かれているのかもしれない。2曲とも200年後、ロマン派の緩徐楽章を予見させるような嬰ハ短調の名曲だ。


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ギター4本によるBWV 849


この盤の音源。BWV849::前奏曲


同 BWV849:フーガ


ニコライ・デミジェンコの弾くBWV873:前奏曲とフーガ



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A・シフのバッハ



PCのキーボードに向かいブログ記事の更新。正月気分も抜け…と常套句で書き出したが、そもそも正月気分にもなっていないなあと思い、バックスペースキー連打で消去。下手な作文はやめておこう。さて、変わらぬルーチン音盤タイム。きょうはこの盤を取り出した。


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アンドラーシュ・シフ(1953-)の弾くバッハ:パルティータの英デッカLP盤。シフの弾く一連のバッハ演奏は20年程前にまとめてCDを手に入れ、一時期よく聴いていた。この盤はその当時、例によって大阪出張の折りに梅田の中古レコード店を覗いた際、目にとまり、LPも持っていてもいいかなと思い、買い求めた。

評判通り「歌うバッハ」であるシフの演奏。20年前には繰り返し聴いたものの、その後あまり取り出すことがない。解釈がロマンティックに寄り過ぎているのが鼻につくようになったからだ。1983年9月に録られたこの録音はデジタル録音の初期とも言える頃で、英デッカにしてはLP・CDとも少々音の抜けが悪く鮮度感に乏しい。残響も多めで、曲の解釈と合わせていささかBGM的なのだ。もちろんグールドのバッハとはまったく世界が異なるし、美しい音色でよく歌いながらも中庸をいくマレイ・ペライアのバッハの方が音楽として正対して聴ける。

…と、こんな風に書くとシフのバッハは真剣に聴く対象でないかのように思われてしまうが、決してそうではない。「歌うバッハ」としてのシフの演奏はワン・アンド・オンリーに違いなく、今の時期、冬の夜更けに聴いているとすこぶる安堵を覚える。グールドやペライアと刺激される脳内部位が異なるとでもいったらいいだろうか。とりわけ、このパルティータ全曲や豊かなメロディーにあふれるフランス組曲はシフのよさが出たいい演奏だ。


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この盤の音源。パルティータ第1番変ロ長調の第1曲「プレリュード」


同 第2番ハ短調の第1曲「シンフォニア」


ギターによる演奏。パルティータ第1番全曲。



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モーツァルト ピアノソナタ第6番ニ長調 K.284



年末からブログ記事を連日更新しているのが奏功してか、このところランキングサイトの順位も少し上がった。 更新ペースがいつまで続くか分からないが、引き続き記事下方にあるランキングバナーのクリックに御協力の程よろしくお願いいたします。 さて、令和6年にちなんだ「6」しばりの音盤タイム。きょうはこちらの「6」番を取り出した。


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モーツァルトのピアノソナタ第6番ニ長調K.284。ダニエル・バレンボイム(1942-)によるモーツァルトピアノ曲集中の一枚。手持ちの盤は20年程前に出た輸入盤ボックスセットで、ピアノソナタと変奏曲の全曲を収められている。1985~86年(一部は1991年)の録音。

この第6番は1775年モーツァルト19歳のとき、ミュンヘン滞在中にデュルニッツ男爵という依頼人のために書かれた6曲のソナタ中の一つだそうだ。そのことからデュルニッツ・ソナタとも称され、初期のソナタの中ではもっとも規模が大きく、演奏時間も20数分を要する立派な作品だ。

第1楽章はニ長調のトニカで発辣と始まる。活力にあふれ中々シンフォニックだ。展開部では短調に転じるが曲想は変わらず、推進力のある曲想が続く。第2楽章アンダンテはポロネーズ風ロンドと付されている。ポロネーズと聞いて一般にイメージする付点付きのリズミックな印象はあまりなく、穏やかなアンダンテ。後半は細かい譜割りと装飾音が繰り広げられ、華やかさも併せもつ。第3楽章はこの曲全体の半分以上の規模をもつ変奏曲で、主題と12の変奏から成る。取り分け第11変奏のアダージョ・カンタービレは美しく、早熟な11歳のモーツァルトの才能かくやと思わせる。 バレンボイムは録音当時40代半ば。指揮者としてはパリ管弦楽団の音楽監督そして数年後にはシカゴ響のシェフになろうかという充実した時期にあった。このモーツァルトも曲に相応しい自信と活力に満ちた弾きぶりだ。


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この盤の音源。第1楽章


この盤の録音から数年経った1989年の演奏。第3楽章第11変奏は20分58秒から


楽譜付き音源。演奏は内田光子だそうだ。



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グールド バッハ:イギリス組曲



今年も残すところあと数日。世間の喧騒をよそに、いつもと変わらぬ前期高齢者の日常。しぶとく音盤在庫の確認に精を出そう。きょう取り出しのはこの盤。


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グレン・グールド(1932-1982)の弾くバッハ「イギリス組曲」。いつもなら例のボックスセットからCDを取り出すのだが、きょうは気分を変えて手持ちのLP盤を取り出した。全6曲が70年代初頭から中庸の1971年から76年にかけて録音されている。グールドの盤歴の中では比較的遅い時期の録音といえる。

録音当時、ゴールドベルク変奏曲でデビューしてから二十年以上を経ているが、グールドのバッハに対するアプローチに大きな変化はない。すべてが明晰で、楽譜に書かれた音が解体され、そして再構築される。この盤はアナログ最終期ということもあって音も一層クリアで、彼の演奏の特質がよく明確に伝わってくる。しかしよく聴くと初期のパルティータの録音などに比べると音楽表現の幅が少し控え目になっている。音の強弱、テンポ設定の緩急、アーティキュレションの扱い、そうした一つ一つを彼が頭に描いたイメージの一歩手前で指先をコントロールしているように感じる。

1932年生まれのグールドはこの盤の収録時には四十代半ば。いくらグールドの音楽が若くして完成されていたといえ、二十代の頃と違って当然だろう。これをして円熟というのかもしれないが、円熟がいいとも限らない。往々にして年齢を重ねるとテンポは遅くなり、音楽の味付けも濃くなる。グールドが50歳で亡くなる前、晩年のゴールドベルクの再録音でも分かるように、グールドもこの法則の例外ではなかった。若い頃の竹を割ったような演奏にリアリズムを感じることも多い。このイギリス組曲の録音は晩年のかなり大きな変化を前にした時期にあたり、壮年期の彼の比較的中庸な表現が聴ける盤だ。


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この盤の音源。イギリス組曲第2番プレリュード


第5番パスピエ。高校時代にギターのアンサンブルで演奏した懐かしい曲だ。


全組曲6曲の再生リスト


第1番のブーレ。テープ編集風景はまさにアナログの世界。



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イングリッド・ヘブラーのフランス組曲



ここひと月ほど、ピアノの盤ばかりを記事に取り上げている。音盤棚の在庫確認の流れで同じ場所から芋づる式に引っ張り出しているからだろうか。きょうもその続きだが、未聴盤ではなく、一時期大いに気に入って繰り返し聴いていたこの盤を取り出した。


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今年5月に93歳で亡くなったイングリッド・ヘブラー(1929-2023)が弾くバッハのフランス組曲。1979年ヘブラー50歳のときの録音。手持ちの盤は20年近く前にタワーレコードのヴィンテージ・コレクションという企画物として廉価で発売されたときのもの。CD2枚に全6曲が収められている。

モーツァルトやシューベルトなどで高い評価を受け、多くの録音に残しているヘブラーだが、その他のバロック期からウィーン古典派に至る作品も得意とし、C.P.Eバッハ、ハイドン、ベートーヴェンなどにも優れた録音を残した。バッハのフランス組曲を取り上げたこの盤も、世のバッハ弾きと称されるピアニストの録音に伍して、素晴らしい演奏を聴かせてくれる。

モーツァルトやシューベルトでみせる穏やかで中庸な表現をこのバッハでも聴くことができる。バッハというと対位法を駆使したフーガに代表される厳格なイメージが強いが、フランス組曲はバッハの他の舞曲系組曲(パルティータ、イギリス組曲)に比しても、より旋律的で全編美しいメロディーに溢れている。その旋律を歌わせようとすると、ときとして過剰な抑揚が付き、ロマンティックに寄り過ぎる演奏になりがちだが、ヘブラーはその辺りの塩梅が絶妙だ。
テンポ、アーティキュレーション、ディナーミクといった音楽表現の要素のいずれも、何かが突出するところがない。どこまでも安心して音楽に身を任せ、穏やかで暖かな雰囲気に包まれて音楽に浸ることができる。インパクト、驚き、新境地…そういった言葉とは無縁の演奏だが、今となっては貴重なアプローチだ。


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手持ちの音盤からアップしてみた。フランス組曲第2番からアルマンド。


同フランス組曲第4番からアルマンド。


YouTubeによって自動生成されるたイングリッド・ヘブラーのチャンネルには多くの録音がアップされている。以下はフランス組曲全6曲のプレイリスト



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

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