アニア・アウアー(Vc)のドヴォルザーク



週末から暖かな日和続く。きょうも雲が少々多めながらも穏やかな一日だった。
週明け月曜日。きのう日曜の遊び疲れもあって出勤の足取りは重かったが、気を取り直して業務に精励。先週からつついていた案件も何とか片付け業務終了。定時少し前に退勤となった。帰宅後、ひと息ついて何日かぶりにアンプの灯を入れ音盤タイム。久々にこんな盤を取り出した。


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アニア・タウアー(1945-1973)の弾くドヴォルザークのチェロ協奏曲ロ短調。70年代前半に二十代の若さで亡くなったアニア・タウアー。ドイツグラモフォンに残したの2枚のレコードが唯一の公式録音らしい。コレクターズアイテムになっていたその2枚のレコードが、十年程前にタワーレコードの企画盤;ヴィンテージシリーズで復刻したのがこの盤だ。ドヴォルザークのチェロ協奏曲のほか、マックス・レーガーの無伴奏チェロ組曲第3番、ジャン・フランセのチェロとピアノのための幻想曲が収められている。

総じて奇をてらわずに生真面目に歌うタウアー。わずかに技巧的な難を指摘することも出来るだろうが、そうした良し悪しを語る以前に、享年28歳の一人の女性の若過ぎる死を思うと、胸を締めつけられる。前途洋々であったであろう時期に晴れ晴れとレコーディングをし、コンサートに臨み、しかし運命に翻弄されて迎えた死。切々と歌うチェロの哀愁を帯びた旋律が、一層切なく響く。同時に、同じく若くして演奏活動の一線から退いたデュ・プレを思い出す。
のだめカンタービレに指揮者役で登場したズデニェック・マーツァル指揮のチェコフィルのバックは、万事大仰にならず室内楽的なアプローチでタウアーのソロに寄り添う。時折聴こえてくるヴィブラートと伴ったホルンの音にこの時期のチェコフィルらしさを感じる。1968年3月の録音だから、プラハの春直前の録音ということになる。プラハの春を期に多くのチェコの音楽家が亡命をしたが、マーツァルもその一人であった由。嘱望されながら自ら命を絶った若き女性チェリスト、政変を期に翻弄された人々…そんなことを思いながら聴くドヴォルザークはいっそう心にしみる。


この盤の音源。ドヴォルザークのチェロ協奏曲全楽章。第1楽章の終わり途中で切れて第2楽章が始まってしまうのが残念。


ゴーティエ・カプソン(仏1981-)による演奏。パーヴォ・ヤルヴィ指揮パリ管。叙情性に富む素晴らしい演奏。



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ペルゴレージ フルート協奏曲ト長調



新年度スタート。出勤途中、真新しいスーツに身を包んだ若者をたくさん見かけた。入社式に参加するのだろうか、何人かずつグループになっていささか緊張した面持ちだ。あんなときもあったなあと、四十年近く前を思い起こしつつ、フレッシュな気分にあやかろうと、こんな盤を取り出した。


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モーツァルトやシューベルトより若い、弱冠26歳で夭逝したイタリアの作曲家ペルゴレージ(1710-1736)のフルート協奏曲ト長調。 ミュンヒンガー&シュトゥットガルト室内管弦楽団のコンビとピエール・ランパルによる盤。手持ちの盤は1964年リリースと記されたキングレコードのロンドン盤。録音は60年代初頭か。これも例によって十数年前、出張先の大阪梅田名曲堂で見つけた。 60年代中庸の盤らしくずっしりと重く分厚い盤質。オルトフォンSPUの針を降ろすとクリアかつ密度感のある極上のアナログサウンドが流れてきた。DECCA録音らしく細部もクリアで、弦楽群と独奏フルートの距離感など申し分ない。コントラバスの低い基音もしっかりと聴こえてくる。

同じイタリアのヴィヴァルディやスカルラッティよりも少し年代が下がることもあって、イタリアンバロックの響きを基調としながらも時折古典派の幕開けを感じさせる豊かな曲想にあふれる。こんな夜更けの時間に聴いても違和感がない。これがヴィヴァルディだと、こうはいかないだろう。B面に収録されているコンチェルト・アルモニコ第5番、第6番も素晴らしい弦楽合奏曲。夭折の人気作家ゆえに偽作と称される作品も多く、この盤のライナーノーツでも、収録されたフルート協奏曲、弦楽合奏協奏曲ともにその可能性が否定できないと記されている。但し半世紀も前の記述。その後の研究で様々な確定情報があるようだが、その手のことにあまり興味なく寡聞にして不案内。曲の良さだけ楽しもう。


クラウディオ・バリレによるフルート協奏曲ト長調。



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レオナルド・レオ チェロ協奏曲イ長調



きのうきょうと比較的暖かな陽気だったが、あすはまた寒くなるとの予想。関東地方の桜は先週開花宣言したところもあるが、その後は足踏み状態だ。この調子だと見頃は来週後半あたりかもしれない。
さて、今週初めから難儀していた案件が本日ようやく峠を越して休心。二日ぶりにアンプの灯を入れ、こんな盤を取り出した。


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ヴィヴァルディ、レオナルド・レオ、ジョゼッペ・タルティーニといった、ナポリやベニスで活躍したイタリアンバロックの作曲家によるチェロ協奏曲を収めた盤。以前一度記事にしているので再掲しておこう。 手持ちの盤は英ターナバウトレーベルの1枚。トーマス・ブレースというチェリストのソロ、シュトゥットガルト・ソリスツのオケ。詳細なデータは記されていないが、リリースが1968年とジャケットに記されているので、録音はその前あたり60年代後半か。

ヴィヴァルディは数百曲の同じような(ワンパターンの)協奏曲を書いたと、ときに揶揄される。中にはその言葉通り、いつもながらの音形で、ああまたかと思わせる曲もある。一方で特に短調作品における憂愁を湛えた曲想にはさすがの曲もあって、一筋縄ではいかない作曲家だ。ここに収められているイ短調の協奏曲もいつものヴィヴァルディ音形が続くが、チェロの比較的低い音域を使っていて落ち着いた雰囲気、2楽章のカンタービレも美しく、単なる能天気なヴィヴァルディでない。ソナタや協奏曲など、チェロに取り分け注力した作曲家だけのことはある。レオナルド・レオはバロックにあまり馴染みのないぼくなどはほとんど聴いたことのない作曲家だが、この盤に収められているイ長調の曲はゆっくり・速い・ゆっくり・速いの4楽章形式を持つ充実した曲。全楽章とものびやかで、チェロのよく響く音域を使っているのか、実によく歌う。第3楽章は短調に転じ、憂いに満ちた旋律が続く。チェロの協奏曲としてはヴィヴァルディのそれより明らかに旋律的で、おそらくチェロ奏者にとっても弾きがいのある曲だろう。

トーマス・ブレースというチェリストについては寡聞にして不案内。ちょっとネットで調べてみるとこの盤のレーベル:ターナバウトにいくつかの録音があって、リュートのミヒャエル・シェーファーがハイドン作品として録音した四重奏の盤でチェロを弾いていた。コレギウムアウレウムの盤でもいくつか弾いているようだ。来日もしている様子。この盤の録音が60年代後半ということからして、現在では相応の年齢だと思うが、現役盤ではナクソスにいくつか録音があるようだ。


この盤に収められているレオのチェロ協奏曲イ長調


ビルスマによるレオのチェロ協奏曲全6曲。この盤のイ長調は第1番とされ56分45秒から始まる。


レオ作の別のチェロ協奏曲の第2楽章。やはりこの作曲家の旋律性にひかれる人がいるようだ。
憂いに満ちた表情の女性について、以下の提供者コメントがある。「The pictures are screen shots showing actress Valentina Yakunina, as Rachel, in Gleb Panfilov's film "Vassa" (1983).」
「どうしたんだ」
「いえ、何でもないわ」
「…ならいいが」
と、そんなやり取りを勝手に想像する。う~ん、一度くらい遭遇してみたいシーンだ。



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シューマン チェロ協奏曲イ短調



早いものできょうは三月最後の週末土曜日。ここ数日、関東では気温低めで、先日開花宣言した東京都内の桜はいったん足踏み状態の様子。北関東の内陸部では開花宣言もまだこれからだ。それでも、何日か暖かい日が続けばあっという間に春爛漫。いつもながら、この時期の陽気の劇的な変化には驚く。 さて、あすも日曜ということで夜更かしMAX。夜半過ぎになって、こんな盤を取り出した。


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シューマンが唯一残したチェロ協奏曲。先日久々に聴いたトルトゥリエのボックスセットから#5を引っ張り出した。1978年の録音。トルトゥリエの息子ヤン・パスカル・トルトゥリエがロイヤルフィルハーモニーを振って伴奏を付けている。

シューマンはピアノ、ヴァイオリン、チェロのためにそれぞれ1曲ずつ協奏曲を残し、そのいずれもがロマン派の薫り高い名曲だ。チェロ協奏曲は全3楽章がアタッカで演奏される。第1楽章の出だしの4小節から一気にドイツロマン派の特徴とでもいうべき、たゆたうような息の長いメロディーにひきつけられる。しかもソロとオケが渾然一体となって曲を構成し、ソロ+伴奏という単純な構図に終わらない。第2楽章は短いながらも美しいアンダンテ。弦のピチカートにのってチェロがレシタティーボ調に歌う。ときに木管群との対話も交わしつつ第1楽章の主題を回顧する。第3楽章になって音楽は躍動的になって技巧的なパッセージが続き、この曲が屈指の難曲であることをうかがわせる。チェリストには腕の見せ所だ。トルトゥリエの演奏はいつもながら張りのある音色と活き活きとした歌いっぷり。決して技巧派というチェリストではなかったが、終楽章の難しいパッセージも歯切れのいいボウイングでピタリと合わせていてさすがのひと言だ。


ロストロポーヴィッチとバーンスタインの協演。70年代半ばにこのコンビはEMIにこの曲を録音しているが、その前後のものと思われる。


第1楽章。ベネディクト・クレックナーという若手。バックを小編成の弦楽オケにアレンジしている。この曲には相応しい編成に感じる。ソロもオケもよく歌っている。


第2楽章
第3楽章


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グールド&ストコフスキーの<皇帝>



週半ば、そして三月も半ばの水曜日。四月以降、新年度業務の計画もあきらかになり、ボチボチその準備を開始。来年度はもう少し余裕をもってやりたいところだが、どうなることか。…と、そんなことを考えつつ、戦い済んで日が暮れて、8時少し前に帰宅。ひと息ついてアンプの灯を入れ、こんな盤を取り出した。


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グールド(1932-1982)の弾くベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番変ホ長調<皇帝>。1966年5月、ストコフスキー指揮のアメリカ交響楽団との協演。当時グールド34歳、ストコフスキー84歳。グールドはベートーヴェンのピアノ協奏曲を全曲録音しているが、ストコフスキーとはこの5番のみ。他はバーンスタインやゴルシュマンと合わせている。手持ちのLPはまだCBSがソニーの軍門に下る前、1966年の国内盤で発売元は日本コロンビアになっている。

<皇帝>というサブタイトル通り、この曲は堂々と恰幅よく演奏されるのが常だ。しかしグールドのアプローチはまったく異なり、何ともリリカルで繊細にこの曲を扱う。出だしからテンポを少々遅めに取り、ピアノに与えられたフレーズをともかく丁寧なタッチでいつくしむように弾いている。第2楽章のアダージョ・ウン・ポコ・モッソはもちろんだが、ロンドの第3楽章でさえ、ときに神秘的な静寂が支配する。テクニカルな面でまったく不安のないグールドだから速いパッセージも華麗に弾ききるのだが、力ずくのところがない。つまりフォルテシモさえも抒情的に扱っている。そして抒情的ではあるが主情的に弾き散らかしているわけでなく、音楽の骨格は古典的な様式感の上にしっかり乗っていて安定している。この演奏は<皇帝』>という自信に満ちて堅固なイメージでなく、若き日の憧れに満ちた第5協奏曲だ。


グールドが1970年に地元トロントのオーケストラと協演した第5協奏曲。指揮はチェコの名匠カレル・アンチェル。アンチェルはチェコ事件を契機に米国へ亡命し、その後1969年に小澤征司の後任としてトロント響の指揮者となった。(1908-1973)


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バルビローリ&バレンボイムのブラームス



三月も十日を過ぎた。朝晩はまだ冷え込むものの日中の陽射しは明るく、昼休みにちょっと外へ出るときなどはコートも不要。あと二週間もするとボチボチ桜の便りだ。
さて週末金曜日。予定していた仕事がトントンと片付いたので少々早めに退勤。帰宅後ひと息ついて、いつもより早い時間の音盤タイム。先日のクレンペラー&バレンボイムで思い出し、こんな盤を取り出した。


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バレンボイムがジョン・バルビローリ(1899-1970)と組んたブラームスのピアノ協奏曲全2曲。1967年録音。クレンペラーとのベートーヴェンと前後して録音されたものだろう。オケも同じくニュー・フィルハーモニア管弦楽団。手持ちの盤は、1969年9月にリリースされたときの国内初出LP。十数年前にひと山ナンボで箱買いしたLP数百枚の中に混じっていた。あまり詳しくは書けないのだが、何でもその頃、国内某倉庫から大量のLPデッドストックを入手した輩がいて、その方からクラシックなら何でもOKという無差別攻撃の条件で格安で分けてもらった。ほとんど未開封。今夜はこのうち第2番変ロ長調に針を下ろした。ほぼ半世紀の眠りから突然呼び起こされたもので、まったくノイズレスの音が飛び出してきた。

さてこの演奏。録音時期をみて察しがつくように、バルビローリの現在まで残る名演の中でも評価の高い一連の録音を残した充実の時。ウィーンフィルと同じEMIに入れたブラームスの交響曲全曲もこの時期だ。そこから想像できるように、このブラームスも濃厚なロマンティシズムに満ちたバルビローリ節が全開だ。
冒頭からゆったりとしたテンポで開始。ホルンのフレーズを受けて、バレンボイムがごくわずかだが早いタイミングで出てきて思わず苦笑してしまった。当時70歳を前にしたバルビローリの深い呼吸に、まだ弱冠27歳のバレンボイムの勇み足というところだろう。
スケルツォ楽章をもち50分を超える4楽章構成、重厚かつ雄弁なオケパートといったことから、ピアノ独奏付き交響曲と称されるこの曲。ピアノパートは何気なく聴いていると派手な技巧を披露する感じはないのだが、なんでもピアノパートは数あるピアノ協奏曲の中でももっとも難しい曲の一つだそうだ。バレンボイムはブラームスということと、やはりバルビローリのリードがあってか、クレンペラーとのベートーヴェンと比べるとずっと自在な弾きぶりで、現在まで続く彼らしいやや濃い口かつ重厚な音楽を繰り広げていく。

やはり総じてバルビローリペースのこの演奏。かつて吉田秀和が著書の中で、バルビローリのブラームス(ウィーンフィルとの第2交響曲)を酷評していたが、おそらくこのバレンボイムとのブラームスもアウト!だろう。これは当時勢いよく世に出てきた若者バレンボイムと、濃厚なロマンティシズムで晩年を彩ったバルビローリとの邂逅の記録だ。この盤がリリースされた1969年9月のひと月前には、三沢高校太田幸司の力投に日本中が沸き、さらにもうひと月前にはアポロ11号の月面着陸に世界中が沸いた。バルビローリは翌年1970年、万博に合わせてニュー・フィルハーモニア管と初来日予定であったが、出発前夜7月29日に急逝した。


この盤の音源。第1番と第2番。第2番は51分56秒から。


第2番。チェリビダッケ&ミュンヘンフィルとのライヴ。1991年の演奏と思われる。バレンボイムも50代。堂々たる風格。



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クレンペラー&バレンボイムのベートーヴェン



日の記事でクレンペラーの<イタリア>を取り上げたあと、やっぱクレンペラー、ええなあ…と、彼の盤をポツポツと聴き直している。といっても、手元には彼の長いキャリアのうち晩年にあたる60年代のステレオ録音が少々ある程度だが、そのいずれもが素晴らしく、余人をもって代えがたいとはこういうことをいうのかと、感心するばかりだ。そんな中から、今夜はこんな盤を取り出した。


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ダニエル・バレンボイム(1942-)がオットー・クレンペラー(1885-1973)と組んで録音したベートーヴェンのピアノ協奏曲全集。1967、68年録音。手持ちの盤はクレンペラー&(ニュー)フィルハーモニア管による同じベートーヴェンの交響曲全曲とパッケージされたもの。ピアノ協奏曲全5曲と合唱が入る作品80の幻想曲、交響曲の方は全9曲の他、序曲が数曲と大フーガ(作品133のアレンジ)が収録されている。2000年頃、EMIのボックスセットが大量に出たときのもの。数年前に閉店してしまった隣り町TWRのワゴンセールで買い求めた。

先週末、第3番ハ短調、第4番ト長調を聴き、今夜また第3番を取り出して聴いている。
ピアノ協奏曲だからピアノが主役なのだろうが、その前にまずクレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管の奏でるオケパートに耳がひきつけられる。対向配置のオケの響きはおそろしく透明で、大編成にも関わらず音の混濁がまったくない。左右に配された第1・第2ヴァイオリンの掛け合い、左奥から意味深く響くコントラバス、それらにのって明瞭な木管群が適度な距離感で中央奥に広がる。過剰なエコーがのらないEMIアビー・ロード第1スタジオでのセッションの様子が目に浮かぶようだ。

クレンペラーの解釈は遅めのテンポではあるが、オケの音響が清涼であるがゆえに鈍重さはない。またフォルテも余裕を残して響かせるためか、うるささを感じない。第3番が始まってバレンボイムのソロが出てくるまでのオケの序奏だけで完全に脱帽ものの素晴らしさだ。録音当時まだ二十代のバレンボイムはクレンペラーの指示だろうか、ほとんどインテンポを崩さず楷書の趣き。音色も透明感に満ちている。巷間の評価でものちの再(再々)録音よりも、このクレンペラーとの録音を推す向きが多いのもうなづける。この盤を聴いたあとで、ブレンデルとレヴァイン&シカゴ響の盤を聴いてみたのだが、レヴァイン指揮シカゴ響のあまりに無神経かつ粗野な演奏に、ブレンデルのピアノが出てくる前にプレイヤーのストップボタンを押してしまった。やはり格違いのクレンペラー。そしてその胸を借りて、若いながら落ち着いた弾きぶりのバレンボイム。ピアノだけ考えるとおそらくもっと達者な弾き手はいるだろうが、それを補って余りあるオケパートの素晴らしさが光る名演だ。十分現役の録音状態共々、今もってこの曲の代表的録音といっていいだろう。


この盤の音源。第3番・第1楽章前半。終了後、後半が続く。


第3番ハ短調。手兵シュターツカペレベルリンを弾き振りするバレンボイム。2005年65歳の誕生日の演奏とのこと。



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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