ムローヴァ&アバドのブラームス



このところ好天続きだった関東地方も明日から下り坂。ひと雨くれば、それを機に梅雨入り宣言だろうか。 さてさて、本日も堅実な勤労オジサンとして一日終えて安息タイム。久々に気合入れてガッツリ聴こうかと、こんな盤を取り出した。


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ヴィクトリア・ムローヴァ(1959-)独奏によるブラームスのヴァイオリン協奏曲。アバド指揮ベルリンフィルがバックをつとめた1992年1月東京サントリーホールでのライヴ録音。手持ちの盤はかれこれ20年近く前にミドルプライスで出たときのもの。
何と言ってもまずムローヴァの音が美しい。この録音を残した1992年の翌年彼女はバッハ無伴奏のアルバムを出している。おそらくその後バロック音楽や当時の奏法へ傾倒する予兆とでもいうべき感覚が出始めている時期だったのではないか。控えめなヴィブラート、正確な音程と合せて清涼感のある音色だ。第1楽章、第2楽章ともテンポも総じてややゆっくり取り、終始落ち着いた弾きぶりで、熱く激する気配は微塵もない。それでも第2楽章での歌いっぷりなどは十分ロマンティックでブラームスの緩徐楽章として過不足ない。スタカート、テヌート、アクセントほかフレーズのアーティキュレーションは多彩かつ明確。ラプソディックな第3楽章も丁寧な弾きぶりと美しい音色は変らず。イケイケの単調さに陥っていない。

プライベートでもムローヴァといろいろとあったアバドが指揮するベルリンフィルはサントリーホールの豊かなホールトーンもあって終始余裕のある響き。第3楽章でティンパニが少々やかましい(この演奏全体のスタイルには)ことを除けば、この演奏の価値をより高めている。ブラームスのシンフォニックな作品への様々なアプローチがあるだろうが、この盤は後期ロマン派風の構えを感じさせながらも古典的な均整と現代的な美しい音色を併せ持つ素晴らしい演奏だ。


YOUTUBEにあったムローヴァの演奏。コメントによれば2012年2月と比較的最近の演奏。1978年チャイコフスキーコンクール;ピアノ部門の覇者で今はすっかり指揮に転向したミハエル・プレトニョフ指揮のロシアナショナル管弦楽団が伴奏を付けている。プレトニョフにもムローヴァにも思い出深いチャイコフスキーコンクールの会場であるモスクワ音楽院のホール。冒頭男性二人のロシア語による解説があり、演奏は5分過ぎから。第1楽章の出だしソロに入る前でムローヴァは1stヴァイオリンのパートを一緒に弾いている。う~ん、それにしても文句なしにカッコイイ。



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フンメル ピアノ協奏曲集



天気図を見ると日本の南には前線が東西に連なり、まるで梅雨時のよう。何となく当地の今年の梅雨入りは早そうな気がするがどうだろう。さて、週明け月曜日。本日も程々に働き、定時に退勤。いつもの日常…。ひと息ついてブログの古い記事を見ていたら、こんな盤を見つけ、久々に聴くことにした。


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ヨハン・ネポムク・フンメル(1778-1837)のピアノ協奏曲を収めたナクソスの盤。
チャン・ヘーウォンという韓国人女性がソロを弾き、タマーシュ・パール指揮ブダペスト室内管弦楽団がバックを務める。ナクソスがまだ今ほどに市民権を得ていなかった頃、1987年の録音。フンメルの5曲ある番号の付されたピアノ協奏曲のうち第2番と第3番のいずれも短調の作品が収められている。

先日アップした私家版年表でも確認できるように、フンメルはベートーヴェンとほぼ同時期の作曲家。ウィーン古典派の最後期、ロマン派へ移行する時期に活躍した。ハイドンのあとを受けてエステルハージ家の宮廷楽長に任に就き、ベートーヴェンはもちろん、メンデルズゾーンやショパンとも交流があり、当時ヨーロッパでの実力・人気ともベートーヴェンと二分したというから巨匠の一人といっていいだろう。その大物ぶりに比して現代での知名度、人気はいま一つといわざるを得ない。そういう先入観を横において、あらためてこの盤の2曲の協奏曲を聴くと、いずれも30分を要する堂々とした構成、短調らしい劇的な展開等、これが中々素晴らしい。

第2番イ短調の第1楽章は序奏なしで冒頭からキャッチーな短調の主題で始まる。古典的構成と穏やかなロマン派初期の肌合いが心地いい。ベートーヴェンほどの展開力はないが、第1楽章だけで16分を要する規模は当時としては大きい方だし、数々の魅力的なフレーズや経過句は十分美しい。ピアノ独奏部分の扱いにも中々テクニカルだ。第3番も冒頭から魅力的な短調フレーズが連続する。かなり斬新な和声もみられ、メンデルスゾーンの作風を思わせる初期ロマン派テイストの佳曲。第2楽章ラルゲットには美しいホルンのアンサンブルによる長い導入部があって印象的だ。


第2番イ短調全曲。第3楽章(20分過ぎから)の導入部はショパンを思わせる。


第3番ロ短調全曲。第2楽章の美しいホルンのアンサンブルを伴った導入部は16分55秒から。



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アニア・アウアー(Vc)のドヴォルザーク



週末から暖かな日和続く。きょうも雲が少々多めながらも穏やかな一日だった。
週明け月曜日。きのう日曜の遊び疲れもあって出勤の足取りは重かったが、気を取り直して業務に精励。先週からつついていた案件も何とか片付け業務終了。定時少し前に退勤となった。帰宅後、ひと息ついて何日かぶりにアンプの灯を入れ音盤タイム。久々にこんな盤を取り出した。


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アニア・タウアー(1945-1973)の弾くドヴォルザークのチェロ協奏曲ロ短調。70年代前半に二十代の若さで亡くなったアニア・タウアー。ドイツグラモフォンに残したの2枚のレコードが唯一の公式録音らしい。コレクターズアイテムになっていたその2枚のレコードが、十年程前にタワーレコードの企画盤;ヴィンテージシリーズで復刻したのがこの盤だ。ドヴォルザークのチェロ協奏曲のほか、マックス・レーガーの無伴奏チェロ組曲第3番、ジャン・フランセのチェロとピアノのための幻想曲が収められている。

総じて奇をてらわずに生真面目に歌うタウアー。わずかに技巧的な難を指摘することも出来るだろうが、そうした良し悪しを語る以前に、享年28歳の一人の女性の若過ぎる死を思うと、胸を締めつけられる。前途洋々であったであろう時期に晴れ晴れとレコーディングをし、コンサートに臨み、しかし運命に翻弄されて迎えた死。切々と歌うチェロの哀愁を帯びた旋律が、一層切なく響く。同時に、同じく若くして演奏活動の一線から退いたデュ・プレを思い出す。
のだめカンタービレに指揮者役で登場したズデニェック・マーツァル指揮のチェコフィルのバックは、万事大仰にならず室内楽的なアプローチでタウアーのソロに寄り添う。時折聴こえてくるヴィブラートと伴ったホルンの音にこの時期のチェコフィルらしさを感じる。1968年3月の録音だから、プラハの春直前の録音ということになる。プラハの春を期に多くのチェコの音楽家が亡命をしたが、マーツァルもその一人であった由。嘱望されながら自ら命を絶った若き女性チェリスト、政変を期に翻弄された人々…そんなことを思いながら聴くドヴォルザークはいっそう心にしみる。


この盤の音源。ドヴォルザークのチェロ協奏曲全楽章。第1楽章の終わり途中で切れて第2楽章が始まってしまうのが残念。


ゴーティエ・カプソン(仏1981-)による演奏。パーヴォ・ヤルヴィ指揮パリ管。叙情性に富む素晴らしい演奏。



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ペルゴレージ フルート協奏曲ト長調



新年度スタート。出勤途中、真新しいスーツに身を包んだ若者をたくさん見かけた。入社式に参加するのだろうか、何人かずつグループになっていささか緊張した面持ちだ。あんなときもあったなあと、四十年近く前を思い起こしつつ、フレッシュな気分にあやかろうと、こんな盤を取り出した。


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モーツァルトやシューベルトより若い、弱冠26歳で夭逝したイタリアの作曲家ペルゴレージ(1710-1736)のフルート協奏曲ト長調。 ミュンヒンガー&シュトゥットガルト室内管弦楽団のコンビとピエール・ランパルによる盤。手持ちの盤は1964年リリースと記されたキングレコードのロンドン盤。録音は60年代初頭か。これも例によって十数年前、出張先の大阪梅田名曲堂で見つけた。 60年代中庸の盤らしくずっしりと重く分厚い盤質。オルトフォンSPUの針を降ろすとクリアかつ密度感のある極上のアナログサウンドが流れてきた。DECCA録音らしく細部もクリアで、弦楽群と独奏フルートの距離感など申し分ない。コントラバスの低い基音もしっかりと聴こえてくる。

同じイタリアのヴィヴァルディやスカルラッティよりも少し年代が下がることもあって、イタリアンバロックの響きを基調としながらも時折古典派の幕開けを感じさせる豊かな曲想にあふれる。こんな夜更けの時間に聴いても違和感がない。これがヴィヴァルディだと、こうはいかないだろう。B面に収録されているコンチェルト・アルモニコ第5番、第6番も素晴らしい弦楽合奏曲。夭折の人気作家ゆえに偽作と称される作品も多く、この盤のライナーノーツでも、収録されたフルート協奏曲、弦楽合奏協奏曲ともにその可能性が否定できないと記されている。但し半世紀も前の記述。その後の研究で様々な確定情報があるようだが、その手のことにあまり興味なく寡聞にして不案内。曲の良さだけ楽しもう。


クラウディオ・バリレによるフルート協奏曲ト長調。



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レオナルド・レオ チェロ協奏曲イ長調



きのうきょうと比較的暖かな陽気だったが、あすはまた寒くなるとの予想。関東地方の桜は先週開花宣言したところもあるが、その後は足踏み状態だ。この調子だと見頃は来週後半あたりかもしれない。
さて、今週初めから難儀していた案件が本日ようやく峠を越して休心。二日ぶりにアンプの灯を入れ、こんな盤を取り出した。


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ヴィヴァルディ、レオナルド・レオ、ジョゼッペ・タルティーニといった、ナポリやベニスで活躍したイタリアンバロックの作曲家によるチェロ協奏曲を収めた盤。以前一度記事にしているので再掲しておこう。 手持ちの盤は英ターナバウトレーベルの1枚。トーマス・ブレースというチェリストのソロ、シュトゥットガルト・ソリスツのオケ。詳細なデータは記されていないが、リリースが1968年とジャケットに記されているので、録音はその前あたり60年代後半か。

ヴィヴァルディは数百曲の同じような(ワンパターンの)協奏曲を書いたと、ときに揶揄される。中にはその言葉通り、いつもながらの音形で、ああまたかと思わせる曲もある。一方で特に短調作品における憂愁を湛えた曲想にはさすがの曲もあって、一筋縄ではいかない作曲家だ。ここに収められているイ短調の協奏曲もいつものヴィヴァルディ音形が続くが、チェロの比較的低い音域を使っていて落ち着いた雰囲気、2楽章のカンタービレも美しく、単なる能天気なヴィヴァルディでない。ソナタや協奏曲など、チェロに取り分け注力した作曲家だけのことはある。レオナルド・レオはバロックにあまり馴染みのないぼくなどはほとんど聴いたことのない作曲家だが、この盤に収められているイ長調の曲はゆっくり・速い・ゆっくり・速いの4楽章形式を持つ充実した曲。全楽章とものびやかで、チェロのよく響く音域を使っているのか、実によく歌う。第3楽章は短調に転じ、憂いに満ちた旋律が続く。チェロの協奏曲としてはヴィヴァルディのそれより明らかに旋律的で、おそらくチェロ奏者にとっても弾きがいのある曲だろう。

トーマス・ブレースというチェリストについては寡聞にして不案内。ちょっとネットで調べてみるとこの盤のレーベル:ターナバウトにいくつかの録音があって、リュートのミヒャエル・シェーファーがハイドン作品として録音した四重奏の盤でチェロを弾いていた。コレギウムアウレウムの盤でもいくつか弾いているようだ。来日もしている様子。この盤の録音が60年代後半ということからして、現在では相応の年齢だと思うが、現役盤ではナクソスにいくつか録音があるようだ。


この盤に収められているレオのチェロ協奏曲イ長調


ビルスマによるレオのチェロ協奏曲全6曲。この盤のイ長調は第1番とされ56分45秒から始まる。


レオ作の別のチェロ協奏曲の第2楽章。やはりこの作曲家の旋律性にひかれる人がいるようだ。
憂いに満ちた表情の女性について、以下の提供者コメントがある。「The pictures are screen shots showing actress Valentina Yakunina, as Rachel, in Gleb Panfilov's film "Vassa" (1983).」
「どうしたんだ」
「いえ、何でもないわ」
「…ならいいが」
と、そんなやり取りを勝手に想像する。う~ん、一度くらい遭遇してみたいシーンだ。



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シューマン チェロ協奏曲イ短調



早いものできょうは三月最後の週末土曜日。ここ数日、関東では気温低めで、先日開花宣言した東京都内の桜はいったん足踏み状態の様子。北関東の内陸部では開花宣言もまだこれからだ。それでも、何日か暖かい日が続けばあっという間に春爛漫。いつもながら、この時期の陽気の劇的な変化には驚く。 さて、あすも日曜ということで夜更かしMAX。夜半過ぎになって、こんな盤を取り出した。


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シューマンが唯一残したチェロ協奏曲。先日久々に聴いたトルトゥリエのボックスセットから#5を引っ張り出した。1978年の録音。トルトゥリエの息子ヤン・パスカル・トルトゥリエがロイヤルフィルハーモニーを振って伴奏を付けている。

シューマンはピアノ、ヴァイオリン、チェロのためにそれぞれ1曲ずつ協奏曲を残し、そのいずれもがロマン派の薫り高い名曲だ。チェロ協奏曲は全3楽章がアタッカで演奏される。第1楽章の出だしの4小節から一気にドイツロマン派の特徴とでもいうべき、たゆたうような息の長いメロディーにひきつけられる。しかもソロとオケが渾然一体となって曲を構成し、ソロ+伴奏という単純な構図に終わらない。第2楽章は短いながらも美しいアンダンテ。弦のピチカートにのってチェロがレシタティーボ調に歌う。ときに木管群との対話も交わしつつ第1楽章の主題を回顧する。第3楽章になって音楽は躍動的になって技巧的なパッセージが続き、この曲が屈指の難曲であることをうかがわせる。チェリストには腕の見せ所だ。トルトゥリエの演奏はいつもながら張りのある音色と活き活きとした歌いっぷり。決して技巧派というチェリストではなかったが、終楽章の難しいパッセージも歯切れのいいボウイングでピタリと合わせていてさすがのひと言だ。


ロストロポーヴィッチとバーンスタインの協演。70年代半ばにこのコンビはEMIにこの曲を録音しているが、その前後のものと思われる。


第1楽章。ベネディクト・クレックナーという若手。バックを小編成の弦楽オケにアレンジしている。この曲には相応しい編成に感じる。ソロもオケもよく歌っている。


第2楽章
第3楽章


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グールド&ストコフスキーの<皇帝>



週半ば、そして三月も半ばの水曜日。四月以降、新年度業務の計画もあきらかになり、ボチボチその準備を開始。来年度はもう少し余裕をもってやりたいところだが、どうなることか。…と、そんなことを考えつつ、戦い済んで日が暮れて、8時少し前に帰宅。ひと息ついてアンプの灯を入れ、こんな盤を取り出した。


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グールド(1932-1982)の弾くベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番変ホ長調<皇帝>。1966年5月、ストコフスキー指揮のアメリカ交響楽団との協演。当時グールド34歳、ストコフスキー84歳。グールドはベートーヴェンのピアノ協奏曲を全曲録音しているが、ストコフスキーとはこの5番のみ。他はバーンスタインやゴルシュマンと合わせている。手持ちのLPはまだCBSがソニーの軍門に下る前、1966年の国内盤で発売元は日本コロンビアになっている。

<皇帝>というサブタイトル通り、この曲は堂々と恰幅よく演奏されるのが常だ。しかしグールドのアプローチはまったく異なり、何ともリリカルで繊細にこの曲を扱う。出だしからテンポを少々遅めに取り、ピアノに与えられたフレーズをともかく丁寧なタッチでいつくしむように弾いている。第2楽章のアダージョ・ウン・ポコ・モッソはもちろんだが、ロンドの第3楽章でさえ、ときに神秘的な静寂が支配する。テクニカルな面でまったく不安のないグールドだから速いパッセージも華麗に弾ききるのだが、力ずくのところがない。つまりフォルテシモさえも抒情的に扱っている。そして抒情的ではあるが主情的に弾き散らかしているわけでなく、音楽の骨格は古典的な様式感の上にしっかり乗っていて安定している。この演奏は<皇帝』>という自信に満ちて堅固なイメージでなく、若き日の憧れに満ちた第5協奏曲だ。


グールドが1970年に地元トロントのオーケストラと協演した第5協奏曲。指揮はチェコの名匠カレル・アンチェル。アンチェルはチェコ事件を契機に米国へ亡命し、その後1969年に小澤征司の後任としてトロント響の指揮者となった。(1908-1973)


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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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