ワルターのベートーヴェン第二



週半ばの水曜日。天気晴朗。陽射し強く、気温も30度超えの暑い一日。きょうも程々に働き、いつも通りの日常が終了。ひと息ついて、さて、あまり意欲的に聴く気分にはならなかったが、こんなときの元気付けには、これが良かろうと、こんな盤を取り出した。


201709_Walter.jpg 201709_Walter_LVB_2.jpg


ブルーノ・ワルター( 1876-1962)とコロンビア交響楽団によるベートーヴェンの交響曲第2番。このコンビによるワルター晩年の録音の一つ。手持ちのCDでは名演の誉れ高い第6番<田園>がカップリングされている。牛を引くジャケットデザインは確かLP盤<田園>のオリジナルジャケットだ。このコンビによるベートーヴェン交響曲の録音は偶数番号がとりわけ優れているといわれる。ワルターの陽性で温厚な解釈からそういうことになったのだろう(もちろん奇数番号も悪くない)。この盤では2番と6番という組み合わせで、このコンビのよい面が十全に現れている。

第1楽章冒頭から充実した響きがスピーカーからあふれてくる。ワルター晩年の記録を残す目的で録音セッション用に集められたやや小編成のコロンビア響だが、そうしたハンディキャップはまったく感じない。ロスアンジェルスやハリウッドの腕利きを集めただけのことはある。むしろ小編成ゆえにワルターに指示に対する反応がダイレクトに現れて、アクセントやスフォルツァンド、短いフレーズ内でのクレッシェンドなど、少し大仰かと思うほど小気味良くきまるし、低弦群もしっかりと聴こえてくる。いや、むしろ異例といってくらいチェロ・バスの音形やアクセントを強調し、ときにゴウゴウをうなりを上げるほどの迫力だ。スタイルとしてはやや古いドイツ流の様式感で、音楽の味付けとしてはやや濃い口となる。しかしコロンビア響の運動性能はきわめてよく、音楽は鈍重になったり滞ったりはしない。
この2番の圧巻はやはり第2楽章だろう。本ブログでは度々この第2楽章の美しさを語っているが、ワルターの演奏は中でも抜きん出て素晴らしい。手持ちの盤幾多ある中でテンポはもっとも遅く、ゆったりとしたテンポにのせて歌うカンタービレは他では聴けない素晴らしさだ。参考までに第2楽章の時間をいくつかの盤と比較してみた。多くの演奏の平均値に比べると4割も長い。

 14分30秒 ワルター&コロンビア響 この演奏
 12分30秒 クリュイタンス&BPO カラヤンに先立つBPO最初のステレオ盤全集
 11分07秒 スウイトナー&SKB 中庸をいくスタンダード
 10分33秒 カラヤン&BPO 60年代録音
 10分01秒 ノリントン&LCP ピリオドスタイル
  9分59秒 トスカニーニ&NBC

終楽章はもう少しテンポを上げたい気もするが、音楽は充実し切っていて、決め所のティンパニやトゥッティはエネルギーに満ちていて申し分ない。トスカニーニやフルトヴェングラーらと並んで20世紀前半の巨匠時代の一翼を担ったワルターだが、モノラル期までで亡くなった他の二人に比べ50年代後半から60年まで存命し、晩年コロンビア響との良好なステレオ録音が残せたことは幸いだった。


この盤の音源。第2楽章は10分29秒から。


同曲。カール・ベーム( 1894-1981)最後の来日となった1980年ウィーンフィルとのライヴ@昭和女子大人見記念講堂。賛否あった演奏だった。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村

サン=サーンス交響曲第3番ハ短調



きょうも雨まじりの一日。世間が夏休みモードの中、いつも通り出勤。先週金曜日からきのうまで休んでいたので五日ぶり。休みぼけという程でもなく、午前中からせっせと業務に精励。夕方は定時に退勤となった。いつもながらの日常。音盤タイムと本ブログのマンネリ度もMAX。惰性ながら今夜もアンセルメ盤の検分。この盤を取り出した。


201708_Ansermet_CD15.jpg 201708_Ansermet_Saint_Saens.jpg


アンセルメとOSRによるのフランス音楽集ボックスの15枚目。収録曲は以下の通り。
Disc15
・サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調 Op.78『オルガン付き』
・サン=サーンス:オンファールの糸車 Op.31
・ベルリオーズ:『ファウストの劫罰』 Op.24より
・ベルリオーズ:『ベンヴェヌート・チェッリーニ』序曲

今夜はこの中からサン=サーンスの交響曲第3番を選んでプレイボタンを押した。
オルガン付きの交響曲として有名なこの曲。かつては何かキワモノ的でほとんど聴くことも無かったのだが、少し前からその良さを感じるようになった。実質四つの楽章に相当する構成を持つが、前後二つずつの部分を第1楽章と第2楽章として集約している。よく取り上げられるのは最終部の派手なドンパチだが、前半第1楽章の第1部、第2部も充実している。
サン・サーンスは<フランスのメンデルスゾーン>とも言われるが、この第1部など聴いていると、8分の6拍子にのって展開される美しいメロディーや和声に、メンデルスゾーンの第3番<スコットランド>や<フィンガルの洞窟>に通じるものを感じ、フムフムと納得する。第1楽章の第2部<ポコ・アダージョ>は冒頭オルガンが奏する和音にのって弦楽群が美しく歌う。消え入るような終結部も印象的だ。後半第2楽章はそれまでの静的だった曲想から転じて、一気に音楽が動き出す。スケルツォのトリオに相当する箇所からはピアノ連弾が加わり、さらにプレストに転じると、トロンボーン、チューバ、コントラバスなどの低音楽器が重層的に主題を出して一層音楽は盛り上がっていく。この辺りから最後まではこの曲の真骨頂の展開が続く。

デッカサウンドの全盛期1962年の録音。マルチマイク録音による明瞭な管弦楽の分離、部屋を揺るがすようなオルガンのペダル音など、この曲を聴く醍醐味に相応しい。手元には70年代前半に出ていたLP盤もあるが、CDに勝るとも劣らない高音質。 アンセルメとOSRの演奏は昨今、録音マジックに支えられた成果だったと言われることも多いが、半世紀前の当時、演奏・録音ともこれ以上のものは望むべむもなかっただろう。取り分けこの盤の音質は素晴らしい。敬意を表すべき名盤だ。同時に、こういう曲になるとオーディオ的観点からだけでなく、音楽を適確にとらえるためにも、オルガン低音の基音がしっかり出るシステムが必須と感じる。


アンセルメ盤の適当な音源が見当たらなかったので、パーヴォ・ヤルヴィとパリ管による演奏を貼っておく。会場はパリ管の新しい本拠地フィルハーモニー・ド・パリ。


★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村

ビゼー交響曲ハ長調



きょうは仕事を休み、終日在宅。昨日の遠出疲れも少々あってグータラ安息日。まあ、いつもグータラだけど…。夕方近くになって、ちょいとひと息。先日来のアンセルメ盤の検分。きょうは本命フランス編にしようと、この盤を取り出した。


201708_Bizet.jpg 201708_Ansermet_CD19.jpg


ジョルジュ・ビゼー(1838-1875)の交響曲ハ長調。フランス音楽集全32枚のボックス中Disk19に収められている。収録曲は以下の通り。1960年5月録音。

Disc19
・ビゼー:交響曲ハ長調
・ビゼー:子供の遊び Op.22
・ビゼー:『美しきパースの娘』組曲
・オッフェンバック:序曲『天国と地獄』
・オッフェンバック:序曲『美しきエレーヌ』
・エロルド:序曲『ザンパ』

オペラや劇音楽で有名なビゼー。交響曲は三曲書いたとされるが、現存して演奏されるのは、もっぱらこのハ長調の交響曲。ビゼー17歳のときの習作ということだが、初演はビゼー没後60年近く経った1930年。意外にもあのワインガルトナー指揮で行われたそうだ。

作曲年は1855年ということなので、時代としてはロマン派も中期から後期にかかろうかという時期。しかし、この曲の作風は17歳の習作ということもあってか、形式はしっかり古典様式にのっとり、和声や曲想も初期ロマン派風。メンデルスゾーンの雰囲気を感じるところもある。冒頭第1楽章は序奏なしの溌剌としてリズミカルな主題が立ち上がり、弦の刻む推進力にのって生き生きと進む。副主題では好対照にオーボエが伸びやかに歌う。第2楽章はイ短調に転じる。弦楽群のピチカートにのってソロをとるオーボエが印象的だ。中盤にはフーガも挿入されている。第3楽章のスケルツォも型通りながら、堂々かつ伸びやかな曲想。終楽章は単純なロンドではなく、立派なソナタ形式をとり、無窮動風の弦楽による第1主題に続き、その後も弦と管いずれもが生き生きとしたフレーズを交錯させ、飽きさせない。

アンセルメ&OSRのこの盤は、これまで聴いたこのコンビの録音に中でも印象的な一枚。ベートーヴェン、ブラームス等とはまったく違う響きで驚いた。ドイツではみられなかったディナーミクの細かなコントロールが絶妙。やや薄めの弦楽群のテクスチャもむしろ奏功し、シルキータッチの旋律を奏でて実に美しい。録音もドイツ物では程々だった奥行き方向の広がりが豊かになり、木管群がステージ後方から響く。アンセルメ&OSRの真骨頂はフランス物の中でもラベルやドビュッシーなど近代作品だろうが、この曲やこの盤に収録されている明快でメロディアスなフランス物でもいい味で聴かせていて、申し分がない。


スコア付き音源。ぼくら素人でも追いやすいシンプルかつ美しいスコア。


トルコのビルケント大学が1993年に設立したというプロフェッショナルオケによる全曲。
第2楽章11:00~第3楽章21:30~第4楽章27:15~



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村

マズア&LGOの<イタリア>



きょう車中で聴いたNHKFMきらクラ。先週のイントロ当てクイズの正解はメンデルスゾーンの交響曲第4番<イタリア>の第1楽章冒頭。昨今マニアック度をさらに深めつつある同番組としては難易度<低>の出題だったかもしれない…なんてことを思い出しつつ、梅雨空のこの時期に聴きたくなる曲の一つでもあるなあと、こんな盤を取り出した。


マズア@19歳!
201706_Kurt_Masur_19.jpg 201706_FM_4.jpg


クルト・マズア指揮ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団(LGO)によるメンデルスゾーンの交響曲第4番イ長調<イタリア>。1971年の録音。手持ちの盤は70年代終盤に廉価盤LPで発売されたときのもの。第5番ニ短調<宗教改革>とのカップリング。このコンビは80年代後半にこの曲を含む全交響曲を再録し、さらに90年代になってからライヴでの映像作品も残している。

久々に針を降ろしたのだが、当時この盤を買って最初に聴いたときの印象がよみがえってきた。第1楽章の音が出てきたとき、そのテンポの遅さに驚いた記憶がある。おそらくその頃、FMエアチェックしたアバドあたりの演奏で聴き馴染んでいたからだろう。こうしてあらためて聴くと、そう驚くほどの遅さではないが、少なくても陽光降り注ぐ明るいイタリアのイメージからはやや遠い。そして19世紀半ばにはメンデルスゾーン自身が指揮者を務めたゆかりあるライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団の落ち着いた音色と、ドイツ風の曲の運びとが印象的な演奏だ。そうした特質は第2楽章や第3楽章でよく出ていて、第2楽章の歌謡風メロディーも過度にならずに歌い上げ、第3楽章も流麗なリズムにのる渋い音色が美しいし、トリオでのホルンのアンサンブルも落ち着いた音色だ。オイロディスク原盤の録音も聴き応え十分で、コントラバスの基音もしっかり入っているしノイズも少ない。70年前後のアナログ完成期の音だ。

マズアは1927年に生まれ2015年に亡くなった。この間、1970年から30年近くに渡ってゲヴァントハウスのシェフを務めた。公私共にいろいろスキャンダラスな話も伝え聞こえて来て、あまり積極的に注目する指揮者ではなかったが、この盤は落ち着いたドイツ風の伝統的なメンデルスゾーン演奏の一つの範としたい。


マズアとゲヴァントハウス管によるライヴ映像。1993年のものを思われる。マズア66歳。71年録音とテンポ感、全体の印象など大きく変わらない。会場は1981年に落成した現ゲヴァントハウス。


東京大学にいくつかあるオケの一つ、東京大学フォイヤーヴェルク管弦楽団による第4楽章。5分半を切る演奏時間はピリオドスタイルの演奏を含めても最速の部類だ。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村

ベートーヴェン交響曲第8番ヘ長調



梅雨入り以降、晴れ間が続いていたが、きょうは終日小雨が降ったりやんだり。この時期らしい一日だった。さてさて今月で一年も半分。公私とも可もなく不可もなく。淡々とした日々。きょうも程々に働いて帰宅した。 ところで先日、知人と話をしていた際、ベートーヴェンの交響曲で一番好きなのは何番かという話題になった。真剣に考えるほどでもない茶飲み話なのだが、ふと「今なら8番かな」と答えたのを思い出し。今夜はこんな盤を取り出した。


R0014154 (560x560)


サイモン・ラトルとウィーンフィルによるベートーヴェンの交響曲全集。2002年の4月から5月にかけ、ウィーンフィルの本拠地ムジークフェラインでライヴ録音されたもの。元々EMIから出ていたが、EMI身売りに伴い、ジャケットにはWARNER CLASSICSのロゴが入っている。このラトル&VPO盤はライヴとして短期間にまとめて録られたこと、またベーレンライター版が使われたことなどが話題になった盤で、例の石原俊著のオーディオ本でも、同著発売当時(2005年)のベートーヴェン演奏の代表として、またオーディオ的リファレンスとして取り上げられていたもので、ムジークフェラインの音響を生かした高音質でも評価されていた盤だ。
2年程前、ヨドバシアキバのタワーレコードで叩き売られていたのを見つけ、値段はともかく、日頃古めの録音ばかり聴いていて、たまには時流にのるものいいかなあと思っていたこともあって手に入れた。手元にあるベートーヴェン交響曲全集はかるく十種を超えるが、もっとも新しいのがジンマン&チューリッヒトーンハレ盤(1997-98年録音)、高関健&群馬交響楽団盤(1995年録音)あたりで、21世紀の録音はこの盤が唯一だ。今夜はその中から「今なら8番」ということで、7番と8番が収録されている盤を取り出した。

この全集はこれまでにひと通り全曲を聴いたが、ひと言でいえば、やはり面白い演奏だ。リリース当時、賛否両論大いに物議をかもしたのもうなづける。ウィーンフィルは極上の音響、ライヴのハンディキャップを感じさえない録音と仕上がり、そして何よりラトルの仕掛けがあちこちで新鮮な響きをもたらし、飽きさせない。そんな中にあって、第8番の演奏は比較的オーソドクスなもので、テンポ、解釈共に従来の演奏様式からそれほどかけ離れたものではない。ノンヴィブラート、短めのフレージングといったピリオドスタイルの片鱗もうかがえるが、過激なものではない。ウィーンフィルの明るい音色と、ラトルの明快な解釈が、この8番にはよく合っていて実に爽快。すこぶる前向きな気分になる。またこの曲でベートーヴェンが仕組んだギミックが明快に提示され痛快この上ない。


この盤の音源。第8番第1楽章。提示部が終わり、4分過ぎから展開部へ。特に4分45秒過ぎから1分間余りの佳境は、いかにもベートーヴェンらしい展開。単純な音形を執拗に繰り返しがらも、転調とディナーミクの変化とで緊張MAXとなる。

◆全楽章はこちら◆

洗足学園大の小編成オケによる演奏。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村

ショスタコーヴィッチ交響曲第9番変ホ長調



連休最終日。当地は朝から黄砂飛来。ベールを被った空は、好天ながらレンズの絞りを二段階ほど絞ったような明るさで、ちょっと不思議な雰囲気だった。連休はこれといったこともなく終了。あすから社会復帰だ。休みの間、時間はたっぷりあったのにろくろく音楽も聴かず、楽器も弾かずに過ごす。かつてのように、新しい音盤や楽譜を手に入れては飽かずに楽しむということもなくなってしまった。そんなところに加齢を実感する。 と言いながらも、いつになく音盤棚を仔細に点検。ほとんど手をつけていない音盤のいくつかを落穂ひろい。この盤もその一つで、この休み中に何枚か聴いた。


DSCN5811 (560x560)


ショスタコーヴィッチの交響曲全集。ルドルフ・バルシャイ指揮ケルン放送交響楽団(WDR交響楽団)による演奏。90年代半ばを中心にセッション録音され、十数年前に激安ボックスセットの雄:ブリリアントクラシックスからリリースされた。少々値段は上がったようだが現在も入手可能だ。

ルドルフ・バルシャイ(1924-2010)というと、ぼくら世代にはもっぱらモスクワ室内管弦楽団を振った録音で馴染み深い。あるいはそれ以外の活躍をほとんど知らなかったと言ったほうがいいかもしれない。この全集をみたとき、バルシャイが…と思ったのもそんなかつてのイメージがあるからだ。しかし実際にはショスタコーヴィッチと親交があり第14番を初演したり、また1976年に亡命後は各国のオケを振っているから、決して室内オケだけの指揮者だったわけではない。ショスタコーヴィッチの交響曲全集を録音してもまったく不思議はないわけだ。

今夜は全15曲11枚組の中から、第9番を取り出して聴いている。いわゆる戦争三部作の一つであるこの第9番を最初に知ったのは、やはり学生時代の70年代半ば。指揮者もオケも忘れてしまったが、FMでエアチェックした演奏を聴き、その洒脱な曲想を面白おかしく感じた記憶がある。特に第1楽章のピッコロによるテーマは印象的で、その後現在に至るまで、時々鼻歌で出てきてしまいそうになる。何故か昭和世代の漫才コンビ:てんわわんやのネタ「ぴっぴっピーヨコちゃんじゃ、アヒルじゃがぁがぁ」とシンクロしてしまうのはぼくだけか(^^;
この第9番は5楽章からなるが、第4楽章は3楽章と5楽章のブリッジのような存在で、全曲も25~30分ほどの演奏時間。ショスタコーヴィッチの交響曲の中では第1番あたりと並んで小規模な方だ。曲想は先に記した第1楽章ピッコロのテーマのみならず、全編洒脱かつ滑稽なフレーズにあふれている。「第二次世界大戦勝利記念の曲としては、ふざけているにもほどがある」と、当時の政府から批判されたのもわかる気がする。しかしやはり20世紀最高の交響曲作曲家としての面目躍如で、管弦楽の面白さという観点から、実に楽しめる曲の一つだろう。

バルシャイ&WDR響の演奏は他の曲も含め、ショスタコーヴィッチの交響曲でときに聴かれる過激な表現や異常なほどのディナーミクなどとは無縁で、きわめて整然として中庸だ。録音も秀逸で、あまたあるショスタコーヴィッチの交響曲録音の中にあって、リファレンスとして立派に通用する演奏だと感じる。


この盤の音源。「ぴっぴっピーヨコちゃんじゃ…」は44秒、2分01秒と現れる。他のパートにも受け継がれ、この楽章全体を支配するモチーフの一つ。


彦根市の市民オケによる演奏。初めに指揮者による解説があり、演奏は12分過ぎから。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村

メンデルスゾーン 交響曲第1番ハ短調



週明け月曜日。暖かな一日だったが、夕方から雨。どうやらあすは春の嵐で大荒れになるらしい。大したことがなければいいが…。 さて、桜も散り、空気も緩んできたところで、何か春らしい曲はないか知らんと一考。こんな盤を取り出した。


201704_Mendelssohn.jpg  201704_Mendelssohn_Sym.jpg


メンデルスゾーン(1809-1847)の交響曲第1番ハ短調。カラヤン&BPOによる全集盤中の1枚。1972年ベルリン・イエス・キリスト教会での録音。例によってギュンター・ヘルマンスと、彼に加えてクラウス・シャイベが録音技術を担当。まさにカラヤン黄金期の布陣だ。メンデルスゾーンの1、2番が手元になかったので、それではと物色し、数年前にタワーレコードのワゴンセールで買い求めたもの。

この曲はメンデルスゾーン15歳のときの作品。それ以前に弦楽のための交響曲を12曲作り、そのあとに作った初めての管弦楽交響曲。第1楽章冒頭から古典~初期ロマン派の短調作品がもつ劇的な展開と感情表現が素晴らしい効果をあげている。第2楽章は15歳の少年が作ったものとは思えない深い叙情と歌に満ちていて、今更ながらにメンデルスゾーンの天才ぶりに驚く。第3楽章はメヌエットだが実質的にはスケルツォ。ここでも短調らしい厳しい表情と時々長調に転じたときの大らかな響きのコントラストが素晴らしい。アレグロ・コン・フォーコの指示がある終楽章もロンド形式ではなく、きっちりとソナタ形式で書かれていて、手に汗握る展開だ。中間部におかれたフーガも素晴らしい効果を上げている。

カラヤンの演奏は各パートがもっと渾然一体となった、やや肥大した響きだったように記憶していたのだが、きょう聴いてみるとそんな感じはない。各パートはきっちりと分離し、整ったアンサンブルを聴かせる。よく伸びた低弦群の音がヘッドフォンからしっかりと聴こえてくる。木管群の距離感も適切だ。それでもトータルとしては、細部よりは全体を、縦よりは横を重視した解釈と演奏。春らしいというよりは、明日の天気予想同様、春の嵐を想起させる、若々しくも充実した短調作品の第1番を再確認した次第だ。


フランツ・リスト・ワイマール音楽大学の学生オケによる演奏。ベルリンフィルの教育プログラムの一環として、昨年フィルハーモニーの室内楽ホールで演奏されたときの模様だそうだ。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
リンク
QRコード
QR
閲覧御礼(2010.10.01より)