佐藤弘和「音楽のおもちゃ箱」



週末土曜日。野暮用あって午前中から外出、夕方近くに帰宅した。
夜になってようやく一服。今夜は音盤タイムはお休み。代わってギターを取り出して、ひとしきり楽しんだ。相変わらず、まとまった練習時間は取れず、朝の出勤前にストレッチ代わりのスケール練習をしたり、今夜のように少し時間を見つけては細切れ練習が続いている。練習といっても、暗譜して指板上の運指を覚えて…ということはほとんどやらない。弾ける曲、弾けない曲、いずれも楽譜から目を離さず、楽譜だけを頼りに弾き通す。まあ、練習というよりは、やはりお楽しみタイムだ。このところは、少し前に手に入れたまま手付かずだったこの曲集を開いて楽しんでいる。


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今年1月に出た佐藤弘和(1966-2016)の小品集「音楽のおもちゃ箱」。副題に「初心者のための40のやさしいギター小品集」とある。副題の通り、初心者が取り組むに相応しい技術レベルを想定し、音数は少なめ、規模も1頁に収めてある。しかし佐藤氏らしく、曲のコンセプトが明確で、4つで一組の組曲を成し、組曲が全部で10あって合計40曲の小品が収められている。

佐藤氏は作曲のモットーとして、「弾き易くわかり易くメロディックであること」また「楽器としてのギターを弾くことだけに偏りがちな傾向を打破するために、普遍的な音楽の中でのギターというものを考えていきたい」と表明している。技巧的に無理のない、シンプルで音数の少ない小品でも、豊かなメロディーと気の効いたモダンな和声が施され、弾いていて気分のよくなる曲が多い。この小品集「音楽のおもちゃ箱」もその方針は貫かれていて、初心者向けの限られた技術レベルの範囲を守りながらも、音楽として感興に富む。副題に引きずられず、中上級者も手に取れば、初見でほぼ通せるレベルながら十分楽しめるに違いない。


ページを開いてざっと通して弾いた中で、ト短調のこの曲が印象に残ったので録音してみた。「4つのロマンティックな歌」という組曲の中の第1曲「悲しい花」 楽器はエルナンデス・イ・アグアド1973


同曲 楽器をゲルハルト・オルディゲス2008に替えて。


ここ数年で録音した佐藤作品の再生リスト。全部で25曲。録音条件いろいろ、楽器もいろいろ、下手くそ変わらず…



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チョイと宅録 佐藤弘和・小品集



先週までの肌寒さはいずこへ。関東では一昨日には一気に真夏日到来。昨日も少し動くと汗ばむほどの天気だった。連休入りするも平時と変わらず。少々の野暮用と日常雑務で日が暮れた。今年に入ってから楽器を手にする時間が少し増えたのだが、その勢いで先日またまたチョイと宅録。取り出した楽譜はこれ。


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佐藤弘和「音楽のエッセイ~ギターソロのための24の小品集~」。佐藤氏が亡くなった翌年2017年春に現代ギター社より出たもの。そのタイトル通り24曲の小品から成る曲集。少し前にもこの曲集から何曲か弾いてアップした。この曲集の成り立ちについては、そのときの記事に書いた通り。佐藤氏の死後いくつかの小品集が出ているが、その中では技術的な難易度は低めで、アマチュア中級レベルなら初見で程々に弾けるだろう。より大きな曲に取り組んでいる上級者にはよい箸休めとして、気分転換以上の楽しみを与えてくれるに違いない。きょうは先日の続きで24曲の中から以下の3曲選んで弾いてみた。

「鳥が飛ぶ」 「過ぎ去りし風景」 「古風なロマンス」

この曲集の収録曲には佐藤氏による作品解説が付されている。それによると…
「鳥が飛ぶ」…鳥がすばしっこく、あっという間に飛んでいくようにすぐに終わってしまう曲。明るい南国の島のイメージ。ホ長調8分の3拍子。
「過ぎ去りし風景」…自分の好みのスタイルを意識して作った。<素朴な歌>もそうだが、揺れるような3拍子、モード(旋法)風な和声を使用。イ短調4分の3拍子。
「古風なロマンス」…出だしですぐわかるように、これは”禁じられた遊び”の真面目なパロディー。原曲そのもののイメージで。ホ短調4分の3拍子。

今回は以前から使っているZOOM社のお手軽レコーダーQ2HDを使用。何となく置いたアングルのまま録音。決して右手メインに見せようなどという意図はありません(^^; 同じ室内にあるwifiルータの影響でジーっと唸るような雑音が混じってしまった。弾き損じ共々ご容赦下さいませ。使用楽器は田邊雅啓ロマニリョスモデル2004年。前日、弦交換をしたばかりだったが、どっしりとした低音、張りと艶のある高音とで気持ちよく鳴ってくれた。もう少しきちんと弾かないと、楽器に申し訳ない気分だ。


「鳥が飛ぶ」


「過ぎ去りし風景」


「古風なロマンス」



これまで録音した佐藤弘和作品全25曲の再生リスト。録音時期・状態、使用楽器等まちまち。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLjAvYRun0efOcNIGHTFQEPoaBXUEPc4qE


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チョイと宅録 F・ソルの練習曲その2



先回に続き宅録連投!

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ソルの練習曲も難易度・長さ様々だが、ぼくのような自称初級・中級レベルの愛好家が気軽に弾ける曲はいずれも1分前後で、調性もギターでよく使われるものばかりなので譜読みで難儀するような曲はない。練習曲であるから曲ごとに練習の目的となる技術的なポイントがあるが、指の鍛錬よりは古典的な機能和声のイロハを感じる作品として好適だ。クラシックギター愛好家を自認する向きにも様々な嗜好があるだろうが、ソル作品に代表される古典作品はやはりその様式と楽しみを会得しておきたい。以下に作品31から2曲を貼っておく。例によって楽譜を広げてお気楽に弾き散らかし。楽器は前回同様、ハウザー・ヴィエナモデル1921年。スマートフォンによる録音で、かなり歪っぽい音になってしまった。弾きミス共々録り直すほどの気力もないので、諸々ご容赦下さいませ。


作品31-8。アンダンテの穏やかな曲想、ソルらしい古典的な和声が好ましい。16分音符の三度ダブルストップ下降パッセージがやや難しい。


作品31-17。アルベルティ・バスにのったピアノ曲を思わせる曲想。


以前のものも含めて全8曲(作品35-3,4,9,14,18 作品31-8,11,17順不同)の再生リストを作った。


うまく連続再生されない場合は以下のリンクをクリック。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLjAvYRun0efMkTcydcHolwga6eHzSaCbE

フェルナンド・ソルのオリジナル楽譜アーカイブは以下を参照。
https://www.guitareclassiquedelcamp.com/partitions/fernandosor.html


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チョイと宅録 F・ソルの練習曲



在宅勤務・休暇取得・週末休日…と#STAYHOMEが続く。仕事や野暮用の時間を差し引いても、自由になる時間が幾らかでも増えたのは幸いと、このところギターの練習に熱が入る。


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といっても、今更…の感もあり、そうそう大きな曲に取り組む気力もない。もっぱら「弾けそうな」楽譜を開いて、その日の気分で弾き散らかして楽しむばかりで進歩がない。先日の記事でフェルナンド・ソルとディオニシオ・アグアドの練習曲をさらったと書いたが、その流れで先日、やはりソルの練習曲をいくつか録音してみた。

ソルが残した練習曲集の中から作品31と35を選び、そこから何曲かピックアップ。かなりの数にのぼるソルの練習曲にあって、作品31と35に収録されている曲はおおむねアマチュア中級者向けのレベルだろうか。セゴビアが選んだ20編などに比べると技術的難易度は低く、取っ付きやすい。

以下に作品35から4曲を貼っておく。やはりスマートフォンでの録音は歪っぽく冴えない。次回からは少しはましなレコーダーを使いましょう。 楽器は先回同様、ヘルマン・ハウザー1世時代のヴィエナ(ウィーン)モデル。一昨年手に入れたあと、いくつか問題があったので昨年、例によって田邊さんにメンテナンスをしてもらった。田邊さん曰く「平成最後の大修理(笑)」となった内容だったが、おかげで現在絶好調。ガット弦を模した使用弦アクイーラ社アンブラ800のザラっとした感触が音にも反映されて、時々擦過音が混じるが、それも味わいとして楽しんでいる。弾き損じのアレコレはどうか大目に見て下さいませ。


作品35-3 Larghetto指定のイ短調4分の3。沈鬱と幾ばくかの明るさとが交差する。


作品35-4 穏やかなト長調4分の3。いかにもギター的な古典曲。


作品35-9 イ長調4分の4。カルカッシの練習曲を思わせる曲想。


作品35-18 ホ短調4分の2。七の和音が挿入されるなど時々モダンな響きが耳を引く。



フェルナンド・ソルのオリジナル楽譜アーカイブは以下を参照。
https://www.guitareclassiquedelcamp.com/partitions/fernandosor.html


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チョイと宅録 やさしめの練習曲その2



#STAYHOMEにジョインしよう…というわけではないが、先回の続きで、やさしめの練習曲のおさらい。広げたのはこの本。


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いつものギター練習ルーチンで時々開くディオニシオ・アグアド(1784-1849)の教則本。盟友だったフェルナンド・ソル同様、ギターの特性を生かしながら古典的な味わいに富む曲が多く、今も時々コンサートプログラムに載るアグアド作品。この教則本にも初歩的な約束事の記述やメカニックな練習フレーズ、さらにやさしめの練習曲から始まり、終盤には難易度の高い曲も載っている。いつもの練習ルーチンではその中からさほどややこしくない数曲を選んで弾いている。

先回同様、譜面台に楽譜と一緒に並べたスマートフォンで撮った音源を貼っておく。自分の意図が実際の音にどれ程反映されているかのチェックには、やはり録音して聴いてみるのが一番だ。 ギターの録音ではスマートフォンを楽器の前、数十センチ位まで近づけて置くと、比較的よい状態でピックアップできるようだ。音質はモノラルながら確認用には十分かなと感じる。音質を向上させても演奏自体が向上するわけではない。今回も譜面台にポンとおいて逆光MAX。「あってはならない」弾き損じも有り。自分で思っている以上に下手くそだとよく分かる…嗚呼

楽器:ハウザー・ウィーンモデル 1921年作
弦:アクイーラ社 アンブラ800 ピッチ:A≒415Hz

アグアド教則本のレッスン番号No.109(下記25曲選のNo.1) 可愛らしいワルツ。久しぶりに取り出した使用楽器が身体に馴染んでおらず、ハイポジションの押弦ミス多発…ゴメンナサイ。


アグアド教則本のレッスン番号No.132(下記25曲選のNo.9) 弱起の曲でフレーズをどう取るかがポイントかな…


アグアド作品のリンク以下。教則本(Méthodes pour guitare)も含まれている。
https://www.guitareclassiquedelcamp.com/partitions/dionisioaguado.html
教則本の中から25曲を選んだ楽譜が以下。
http://wayback-01.kb.dk/wayback/20101028103544/http://www2.kb.dk/elib/noder/rischel/RIBS0010.pdf


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チョイと宅録 やさしめの練習曲



先週から在宅勤務と通常出勤のコンビネーション。時間に関して言えば、在宅勤務では通勤に要する時間分は確実に減る。せっかく出来た時間を有効に使おうと思い立ち、日頃時間が回せないギターの練習に注力することに。 ぼくの練習ルーチンは…メカニックなスケール・アルペジオでウォーミングアップ→やさしめの練習曲→当面の目標曲のおさらい…という感じ。ひと通りこのルーチンをこなすとなると2時間くらいは欲しいところなので、中々通常の平日には出来ないのだが、今は週に2、3日は可能な状況だ。


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先日「やさしめの練習曲」として開いたフェルナンド・ソルの練習曲集。この全音楽譜社版の曲集では、相当数あるソルの練習曲から主に初級~中級向けのものが32曲選ばれている。もう半世紀近く前に手に入れたものだが、程よいボリュームと適切な選曲もあって需要があるのだろう、現在も版を重ねている。日頃の練習ではこの中からその日の気分で数曲を何度か繰り返して弾く。ソルの練習曲はメカニックな側面からは「千本ノック」的な効果は少ないが、機能和声のイロハを学び、古典の味わいを楽しむにはもっともよい教材だろう。

自分の演奏の確認のため、きょうは譜面台に楽譜と共にスマートフォンを置いて録音を試みた。以前スマートフォンで録音したときは、まったく情けない音でしか録れなかったが、きょうはギターとの距離が50センチほど近かったせいか、比較的よく音を拾ってくれた。モノラル録音だが、練習の確認用には十分かなあと感じた次第。せっかくなので、いくつか弾いた中から2曲を以下の貼っておく。
楽器:ハウザー・ウィーンモデル 1921年作
弦:アクイーラ社 アンブラ800 ピッチ:A≒415Hz


F・ソル 練習曲 作品35-14
付点音符による躍動感を出すことを意識。 楽譜は以下のNo.14
http://boijefiles.musikverket.se/Boije_0478.pdf


F・ソル 練習曲 作品31-11
レガートにメロディーをつなげようと弾いたつもりだが、録音を聴いてみると…ダメですね。 楽譜は以下のNo.11
http://boijefiles.musikverket.se/Boije_0482.pdf



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「タンゴの歴史」で遊ぶ



しばらく前のことになるが、笛吹き名人の知人が楽器(フルート)をもって遊びに来てくれた。彼とはお互いが還暦を過ぎた数年前に知り合い、これまで機会をみつけて何度が一緒に合わせて楽しんだ。彼の腕前からするとぼくのギターなどではまったく申し訳ないのだが、ギター弾きが周囲にいないということもあって、ギター伴奏曲の相手として付き合ってくれている。かねてより拙宅で音盤試聴をしたいとのリクエストがあり、今回都内の自宅から当地まで足を運んでくれた。


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拙宅に到着するなり、ちょっと合わせましょうかと、ピアソラの人気曲、フルートとギターのための「タンゴの歴史」を合わせた。曲は4つの楽章(ボーデル1900、カフェ1930、ナイトクラブ1960、コンサート現在)からなる。80年代の終わりあたりからピアソラ人気が上昇する中、この曲の楽譜が出版されるとフルート吹きがプロ・アマこぞって取り組んだ。しかしギター伴奏の難易度が高いため、中々ギター弾きが見つからないという状況になったという。結局その後ピアノ伴奏譜が出ることになった。ぼくも数年前にチェロ弾きの知人が合わせたということで楽譜を手に入れたが、ギターパートはプロあるいはアマチュア上級でないと全楽章を対応するのは難しいのではないだろう。今回もぼくのギターがすぐ対応できそうにないので、前半の二つの楽章だけを合わせた。

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練習を積んだわけでもなく、他人にお聴かせするようなものではないが、せっかくなので記録として残しておこうと録った音源を貼っていく。ボーデル1900は軽快なフルートのパッセージとそれに呼応するリズミックなギターとで曲が進む。カフェ1930は深い抒情をたたえたメランコリックな旋律が印象的かつ美しい。駆けつけ三杯いきなり音出しの演奏だが、知人のフルートの腕前は相当なものであることがわかるだろう。ギターの方は準備らいし準備もなく初見プラスアルファのお手合わせ。どうか諸々ご勘弁下さいませ。

第1曲「bordel1900」抜粋
レコーダをポンと置いたらこんなアングルに。ギターはレコーダのマイクに対してそっぷを見ているのでレベルが低い。ヘッドフォンで聴いてもらえれば少しはバランスが取れるかと。


第2曲「cafe1930」抜粋



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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