When Farmar Met Gryce



週末金曜日。久しぶりにジャズでリラックス。こんな盤を取り出した。


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トランペットのアート・ファーマーがアルトサックスのジジ・グライスと組んだ盤。1955年録音。スィングジャーナル誌のゴールデンディスク賞も獲得している名盤の一つ。記憶が正しければ、二十年近く前に御茶ノ水ディスクユニオンで買い求めた。その頃は月に一度はデイパックを背負って都内の中古レコード店へ買い出しに出向いていた。クラシック、ジャズを問わずリュックに入れて持ち帰れる限界の10枚程度の釣果を背負って帰途についたものだった。

このアルバム、音を出す前にまずジャケット写真が印象的だ。もちろんカメラマンがポーズをつけたものだろうが、いかにも自然な二人の出会いを象徴している。演奏もこのジャケット写真そのままに、気負いのないナチュラルな演奏だ。よくある、名プレイヤー同士の火花を散らすようなセッションの対極といっていい。軽くスィングするリズムセクションにのって、ファーマーのトランペットもグライスのサックスも、控え目で軽みのあるフレーズを繰り出す。それでいて場当たり的ないい加減さとは無縁で、きっちりとした曲の構成とそれぞれのプレイヤーの役割分担など、よく練られたセッションなっている。汗臭くうるさいだけのビバップでも、気の抜けたウェストコーストサウンドでもない、ノリがよくかつ知的な冷静さも併せ持つ、いい演奏だ。


ファーマーのミュートトランペットが渋いB面1曲目SOCIAL CALL


この盤の中にあってはアップテンポの曲CAPRI。


この盤全曲のプレイリスト
https://youtu.be/O9vphpIkn7Q?list=PLcHS1upwgf0eXDNEElSmVZCd7iJN8EIFq



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ジャック・ルーシェ プレイ・バッハ



きょうも曇天梅雨空の一日。少し早めに退勤して散髪へ。マスターの鮮やかなハサミさばきに、ハラハラと床に落ちる我が髪もすっかり白いものが多くなった。今年もあすで半分終わり。我が人生は半分どころか四分の三は終わった。なんだかなあ、こんなはずじゃなかったのだが…。 おっ~と、いけない。人生と天下国家は語らない本道楽与太ブログ。今夜もいつも通りマンネリ音盤タイムとしよう。さて、今夜は久しぶりにこんな盤を取り出した。


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初代ジャック・ルーシェ・トリオの演奏するバッハ。60年代から70年代に一世を風びしたといっていい音楽だ。彼の出現以降、バッハや広くクラシックをジャズやポップスアレンジで演奏することが珍しいことではなくなった。ジャック・ルーシェ(1934-)はクラシックの名門;パリ音楽院の学生時代からナイト・クラブやキャバレーでアルバイトとしてピアノ弾き、それがきっかけでジャズピアニストとしてのキャリアが始まった。たまたまジャズアルバムの録音セッションの合間にバッハをジャズ風にアレンジして弾いていたところ、それがディレクターの目に止まり、一連のプレイ・バッハシリーズがスタートすることになったという。

この盤は60年代半ばの録音だが、いま聴いてもまったく古さを感じさせない。中でもイタリア協奏曲は抜群の出来だ。原曲の素晴らしさもさることながら、ルーシェのセンスの良さとテクニックが光る。主題や各主題は原曲に近い簡素な扱いで始め、徐々にスィング感を高めながらドライブしていく。ドラムやベースの後押しも加わって、バッハが今の時代に生きていたら、きっとこんな即興演奏をしたに違いないと思わせるセッションだ。


このレコード聴く60年代の演奏とは少々違うが、80年代後半の動画があったので貼っておく。ドラムとベースのメンバーが入れ替わった第二期のトリオ。


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a twist of jobin



きょうの関東地方は晴れて気温も上がったが、湿度感はやはり梅雨。段々この時期らしい天気になってきた。帰宅後、ひと息ついてエアコンもオン。暑気払いというほどではないが、ちょいと息抜きにと、久々にこの盤を取り出した。


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ギタリストのリー・リトナーが呼びかけて集結したオールスターキャストによるアントニオ・カルロス・ジョビンのトリビュートアルバム。収録曲は以下の通り。

1. おいしい水 2. キャプテン・バカルディ 3. ジンジ 4. 3月の雨 5. ボニータ 6. ストーン・フラワー
7. ファヴェラ 8. チルドレンズ・ゲームズ 9. ラメント 10. モハーヴェ 11. イパネマの娘 12. アンティグア

夏を迎える頃になると、条件反射的にボサノヴァが聴きたくなる。ぼくは熱心なボサノヴァファンというわけではないので、手持ちの盤もごく僅かだか、そんな中でこの盤はよく聴くアルバムだ。もっとも、このアルバムはボサノヴァの創始者といっていいジョビン・トリビュートではあるし、ボサノヴァの定番曲が収められているものの、純粋な(…という表現が適当かどうか分からないが)ボッサというよりは、軽いフュージョンあるいはAORに近いテイストだ。ボサノヴァを発祥の地ブラジルよりに位置付けるか、50年代終盤以降アメリカに渡ってポピュラリティーを色濃くした、よりグローバルな音楽に位置付けるかの違いがあるだろうが、このアルバムは完全にアメリカの、それも西よりのそれだ。
まあ、そんなことより、「超」が付く一流プレイヤー達の肩の力が抜けた、それでいて完璧なプレイがこのアルバムの真骨頂。何曲かは歌入りで、中でもアル・ジャロウとオリータ・アダムスのヴォーカルが実にいい。他の曲もジャズテイストの強いもの、スローロック調、ラテン色の濃いもの、いろいろなアレンジがなされているが、そのいずれもが「過ぎずに」いい感じの仕上がりで、大人の音楽になっている。

灯りを落としたタワーマンション上層階のリビングルームで、冷えたスパークリングワインなどやりながら聴くには最高のチューンだ。…残念ながら、田舎の戸建の一室で下戸のオッサンが麦茶で一服…では絵にならない。


今年2月に亡くなったアル・ジャロウ(1940-2017)とオリータ・アダムスが歌う<三月の雨>。
<ワンノートサンバ>や松田聖子<ロンクンルージュ>などと同様、一つの音を中心の上下するような、メロディーらしくないメロディをコード進行の妙で音楽に仕立てる仕組みの曲。この手法は古来クラシックの世界、とりわけロマン派の手法の一つ。ショパン前奏曲4番やワグナー、ギター弾きならタレガの前奏曲イ短調などが思い浮かぶだろう。


アルバム全曲。



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小曽根真 <ザ・トリオ>



今月に入ってから穏やかな日が続いている。次第に気温も上がってきて、日中は少しムッとすることもあるが、まだ汗をぬぐうほどでもない。よい季節…暑い暑いとウダウダ言い出す前の束の間。今夜は心静かにジャズを聴きましょうか。


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小曽根真が自身のトリオ名義でリリースした最初のアルバム。ちょうど20年前の1997年、小曽根真36歳のときの録音。ベースに北川潔、ドラムスにクレランス・ベン。スペシャルゲストとしてギターのジョン・スコフィールドが3曲に参加している。かなり以前からジャズに留まらず、クラシック分野での演奏も話題の彼だが、この盤はそうした彼のキャリアが本格化し始める頃の録音だ。

とても雰囲気のいい盤だ。スウィンギーな曲も絶妙のバランス感覚の上に展開される。つまり、ノリと勢いだけでガンガン行くような演奏ではなく、知的なコントロール下に置かれているとでも言えばいいだろうか。バラードプレイもしかりで、甘ったるい情緒だけで終わらない。そう感じながらライナーノーツを読んでいたら、このアルバムの録音あたっては、各パートの楽譜をかなり周到に書いた経緯が記されていた。ジャズの楽譜というと、テーマとコード進行だけがざっと書かれていて、あとはその場の事前の打合せでゴー!というケースが多い中、異例とも言える。もちろん彼ほどのプレイヤーであればそうした展開もお手の物だろうが、そんな丁寧な手仕事ぶりをうかがわせる一面が、彼のその後と多方面での活躍につながっているように感じる。


ジョン・スコフィールドのギターも聴けるバラード<Home>


<Tea for Three>



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カーメン・ランディ



きょうの関東地方は一気に気温上昇し、各地で軒並み25℃超えの夏日。家の中にいると意外にひんやりした感じだが、外に出ると夏日を実感する。幸い湿度は低く、気候としては快適。きのうのノリテツの疲れも少々あって終日在宅の安息日となった。さて、あすからの仕事に備えてボチボチやすむ時刻だが、ナイトキャップ代わりの一枚をと、こんな盤を取り出した。


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ブラックビューティー:カーメン・ランディの盤。この盤は彼女がJVCと契約していた時期の2作目で1997年の録音。ライナーノートをあらためてみると1954年11月1日生まれとあった。まさに同世代。この盤以前にすでに何枚かのアルバムを出していたようだが、日本で知られるようになったのはこの盤のリリース時期、90年代後半からではないだろうか。歌手としては遅咲きというところだろう。この盤ではジャズのスタンダードの他に、ソウルのスタンダードも何曲か入っていて、いわゆるブラックテイストを強く感じさせる曲もある。アレンジもいかにもコンテンポラリーな仕上がりで刺激に満ちた仕上がりだ。今や彼女は、カサンドラ・ウィルソンやダイアン・リーヴスらと並ぶジャズ界の大御所になりつつあるようだが、かつてのサラヴォーン、エラ・フィッツジェラルド、カーメン・マクレイらの時代とは明らかに違う新しさを感じる音楽だ。


2005年のステージ。ノリノリのライヴ。これではナイトキャップにはならないなぁ…(^^;


この盤に収録されている<When Your Lover Has Gone>


同じく<YOU'RE NOT IN LOVE>



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ソニー・ロリンズ <橋>



週末土曜日。休みを取ったきのうに続き野暮用外出。中距離ドライブで心地よい疲労感もあって、夕飯を済ませたあとソファでちょいとうたた寝。夜半過ぎにやおら目を覚まし、深夜の音盤タイム。久しぶりにこんな盤を取り出した。


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ソニー・ロリンズ(1930-)の名盤<橋>。1962年NY録音。ソニー・ロリンズ(ts)、ジム・ホール(gr)、ボブ・クランショウ(b)、ベン・ライリー(ds)、H・T・ソーンダース(ds)/#5。手持ちの盤は80年代初頭にミッドプライスで再発された国内盤。90年代半ばに御茶ノ水の中古レコード店で手に入れた。50年代半ばまで活躍し、その後活動が不安定になり一線から姿を消していたソニー・ロリンズが復活を遂げた盤として有名な一枚だ。復活に際してロリンズは、ニューヨークのイースト川に架かっている吊り橋<ウィリアムズバーグ橋>の上で人知れず練習を重ねたという。収録された自作<橋>およびアルバム・タイトルは、このことによる。収録曲は以下の通り。

side1 ウィザウト・ア・ソング/ホエア・アー・ユー/ジョン・S
side2 橋/ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド/ユー・ドゥ・サムシング・トゥ・ミー

当時すでにコルトレーンやオーネット・コールマンなどの新しいジャズの潮流が注目されつつあった頃。このアルバムもオーソドクスなジャズイディオムを中心に据えながらも、そうした時代へのチャレンジも聴き取れる。ピアノではなくギターによるバッキングは総じて柔らかなトーンを生み出し、ソニー・ロリンズの太く滑らかに歌うサックスとよく合う。当時のステレオ録音によくあった左右完全分離の楽器配置で、ソニー・ロリンズのサックスはもっぱら右チャンネルから、リズムセクションは左チャンネルから聴こえてくる。ボブ・クランショウ奏するベースがたっぷりと響き、ピアノレスながらエネルギー感の不足はなく、全体のバランスや帯域感も良好だ。

タイトルチューンの<橋>はリズムが複雑に交錯する中、高速スケールが続き、難易度の高さをうかがわせるが、ソニー・ロリンズの吹きぶりは終始落ち着きと柔軟さを失わない。ビリー・ホリデイ作のバラード<ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド>では、まさに人の息づかいのようなトーンで、心の底のもやもやが静まってくる。このアルバム以降、現在も活躍するソニー・ロリンズの復活を記念するこのアルバム。当時30代になったばかりの彼のジャケットポートレートも聴こえてくる音楽同様に、どこか静けさと確信を感じさせる。


この盤の全曲。


<橋>。このアルバム発売当時のものだろうか。ソニー・ロリンズはアルバムジャケットと同じ柄の上着を着ている。



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カーメン・マクレイ<アフター・グロウ>



ヴァレンタイン・デイ。きっと世のオヤジ・ブログではかろうじてゲットしたチョコレートねたで持ちきりか。エヘンっ、本ブログは硬派路線につきチョコも色恋も無縁であります。本日も独逸の保守本流ワグナーの…と書き始めたのだが、実は手元にチョコが…(^^ 方針変更して今夜は激甘に行きましょか。


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マイ・ファニー・ヴァレンタインというジャズのスタンダードがある。歌詞の中身はヴァレンタインデイには関係ない。ヴァレンタインは恋人の男性の名前。私の好きな彼ヴァレンタイン、と惚れた女が歌う曲だ。でもまあ、きょうヴァレンタインデイにそぐわないこともないだろう。ちょっと棚を探したら大あねごカーメン・マクレエが歌っている盤があった。1957年カーメンが35歳のときに入れた<After Glow>というアルバム。パーティーが終わって酔いがちょと覚めたころ、あるいはセッションを終えたミュージシャンがひと息つく時間、仕事を終えた男ならちょっとネクタイをゆるめるとき、女性なら…う~ん、よくわからないがヒールを脱ぎ捨ててベッドに倒れ込むときか。After Glowはまあそんな意味のようだ。

この盤ではカーメンが終始リラックスしてスタンダードをしみじみと歌っている。カーメンは元々ピアニストととして世に出た。この盤でもレイ・ブライアントのピアノとは別に彼女のピアノが楽しめ曲も4曲入っている。歌はもちろんだがピアノもなかなかいい。さてこの盤のマイ・ファニー・バレンタイン。マイナー・キーを上手く使ったピアノのフレーズで始まる。カーメンがピアノのバックでワンフレーズ歌ったところでブラッシングするドラムとベースが静かに入ってきてリズムを刻む。後年のややドスの効き過ぎた歌いっぷりとは違って35歳のカーメンはハスキーではあるが、ハイトーンもまだまだ伸びやで美しい。


<マイ・ファニー・バレンタイン>


<ゲス・フー・アイ・ソー・トゥデイ Guess Who I Saw Today>



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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