クレンペラーの「スコッチ」



きょうはだいぶ前にNHKBSで放送された欧州紀行番組の録画を一気見。そこで思い出し、この盤を取り出した。


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メンデルスゾーンの交響曲第3番イ短調「スコットランド」作品56。この曲の名盤の一つとして名高いクレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団による演奏。1960年録音。手持ちの盤は90年代中庸に第4番「イタリア」とのカップリングでリリースされた盤。当時東芝EMIが進めていたHS2008マスタリングによるもの。このHS2008マスタリングはあまり評判がよくなく、その後ほどなく本国仕様ともいうべきART(Abbey_Road_Technology)マスタリングに取って代わられた。

第1楽章冒頭から期待した通りのほの暗く憂愁に満ちた序奏が始まる。ボリュームを少し上げると60年代初頭に優秀なプレイヤーを擁していたフィルハーモニア管の豊かな響きが部屋いっぱいに広がり、まさにスコットランドの荒涼とした大地をイメージする。クレンペラーの指揮はいつも通りのゆったりとしたテンポ設定と息の長いフレージングでじっくりと歩みを進める。この序奏を聴くだけでも価値ある曲だ。

第2楽章はヴィヴァーチェの速度指定を無視するかのようにゆったりとしたテンポ設定だが、付点音符の扱いやアーティキュレーションが適切でリズムの歯切れはすこぶるよく、音楽は遅滞せずしかもスケール豊かに進む。第3楽章のアダージョは第2楽章と反対に冒頭やや速めかなと感じるテンポで始まる。ここでは初期ロマン派としてのメンデルスゾーンの豊かな歌がたっぷりと歌われる。横に美しく流れるメロディーと時折縦に切り込む短調の経過句の対比が素晴らしい。クレンペラーのオケ・コントロールは特に低弦群の扱いが秀逸だ。ゴリゴリとした不気味な強奏と広がりのある歌わせ方を実によく使い分けている。それにしてもこの第3楽章は何度聴いても美しく、いつまでも続いてほしいと思うほどだ。

第4楽章は古典派から初期ロマン派の交響曲の中にあって規模と充実感においてひときわ優れている。堂々としたソナタ形式で終始充実した管弦楽の響きを楽しめる。よく取りざたされるコーダの扱いもスタジオ録音のこの盤では通例通りAdurで締めくくられる。この盤のコーダがまたこれ以上はないという遅めのテンポ設定で圧倒的なスケール感だ。全曲あっという間の40分。クレンペラー&POの演奏はこの曲に期待する音楽的イメージをことごとく目の前に提示してくれて文句の付けようがない名演だ。


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この盤の音源。全4楽章。


サヴァリッシュ&N響@1984 サヴァリッシュの美しいタクトさばき、そして懐かしき昭和のN響の面々



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C・シューリヒトのモーツァルト



ここ何年かと同様、年末感ゼロで月日が過ぎていく。きょうは野暮用あって朝から出陣。夕刻近くに帰宅した。ひと息ついて暖を取りつつ音盤ルーチン。きょうは取り出したのはこの盤だ。


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カール・シューリヒト(1880-1967)がパリオペラ座管弦楽団を指揮したモーツァルト。交響曲第40番ト短調と第41番ハ長調「ジュピター」がカップリングされた一枚。手持ちの盤は1980年に日本コロンビアから廉価盤で出たときのもの。例によって20年程前、度々大阪出張があった頃に投宿先の梅田で買い求めた。言うまでもなく原盤はコンサートホール・ソサエティから出ていたもので、このコンビによるコンサートホール盤のモーツァルトは他に第36番と第38番があったはずだ。録音は60年代初頭。


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さて、この盤。ライナーノーツはお約束通り宇野功芳(1930-2016)が書いている。この当時、シューリヒトやクナッパーツブッシュの盤になると必ず登場した宇野御大。広く一般向けのレコードということで、さすがにクナのときとは違い、「命をかけた…」「悪魔的…」といった宇野節はないが、シューリヒトの特性を単刀直入に記していて、それはそれで宇野氏らしい書きっぷりだ。

宇野氏の評価はともかく…この盤に聴くシューリヒトは予想外にオーソドクス。全体のテンポはもちろん遅くはないが、巷間言われるような快速調ではない。ぼく自身の感覚では40番、41番とも標準的レベルに感じた。もっとも60年代初頭と今では速度の基準も変わっている。ぼく自身の感覚も少しずつ変化しているのかもしれない。
両曲とも第1、第2楽章は標準あるいはやや速めのテンポにのって進む。そして第3楽章。同じメヌエット・アレグレットの指定ながら、第40番はやや速め、第41番はやや遅め、と違いを見せていて興味深い。しかしテンポ設定に関わらず音楽の味付けはすっきりとしていて、とかく意味深に重くなりがちは40番ももたれずに進み、構えの大きさを誇張しがちな第41番も過大に胸を張ることがない。例によってコンサートホール盤の貧弱な録音品質もあって、あまりアンプのボリュームを上げる気にならず、控えめの音量で聴いたが、それがシューリヒトの志向とは塩梅よく調和。2曲を一気に聴いてしまった。そうさせるところが結局、名演と言われる所以かもしれない。


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この盤の音源。第41番ハ長調 全4楽章


バーンスタイン先生による40番のアナリシス


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セル&クリーヴランド管 「Bohemian Carnival」



きょうも穏やかな一日。仕事を辞めてからも何とか曜日の感覚はあって、週末金曜日には心なしか安堵を覚える。さて、先回は少々内省的な曲を聴いたので、きょうは華やかにと思い、この盤を取り出した。


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ジョージ・セル(1897-1970)指揮クリーヴランド管による「ボヘミアン・カーニバル」と題されたLP盤。1963年、セルの楽壇生活50年を記念して録音された一連の録音のひとつ。手持ちの盤は1964年国内初出盤。レーベルには米CBS傘下のEPCと記され、日本の販売はまだCBSソニーになる前の日本コロンビア時代。はっきり記憶がないが、これも大阪出張の折に梅田の中古レコード店で手に入れたはずだ。アルバムタイトルに従い以下の曲が収録されている。

スメタナ:交響詩「モルダウ」
スメタナ:オペラ「売られた花嫁」から3つの舞曲(ポルカ、フリアント、道化師の踊り)
ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲から4曲(作品46-1,3、72-21,7)

演奏はいずれも圧倒的な素晴らしさだ。このコンビの持ち味である完璧なアンサンブルだけでなく、ときにみせるロマンティックな表情に、これらの曲がハンガリー生まれのセルにとっては望郷の歌でもあったことを強く感じる。

モルダウは冒頭のフルートの掛け合いそしてクラリネットが加わってやがて弦に引き渡される下りだけ聴いても惚れ惚れする。アンサンブルのみならず音色までも完全に整い、同時にフレーズの隅々にまでしなやかに歌う。「売られた花嫁」から選ばれた舞曲やドヴォルザーク「謝肉祭」での活き活きしたリズムは、もうこれ以上のものはないと思うほどだ。同時に、こうした闊達な表現を決して速すぎないテンポで展開するところもセルの素晴らしさだ。これでテンポも煽るような設定だど、勢いだけのイケイケな演奏になりかねない。スラヴ舞曲でもテンポの切り替えが胸のすくように決まり、ライヴ感あふれる展開にスタジオセッションであることを忘れそうだ。

60年代のプレスで音は予想以上にいい。高音域にやや硬さを感じるがSNは良好。コントラバスのピチカートも十分に響き、オケの重量感も過不足ない。現在この盤のカップリングによるCDは出ていないようだが、スメタナもドヴォルザークも異なるカップリングで入手可能だ。


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この盤の音源。「売られた花嫁」から本盤にはない序曲(何と生き生きとした演奏か!)を加えた4曲


同 スラヴ舞曲ホ短調作品46-1


同 ドヴォルザーク 序曲「謝肉祭」



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A・ペドロッティのブラームス第四



週末金曜日。時折、雨まじりの肌寒い一日。物憂げに深まる秋。聴くべき音楽は…これだ。


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アントニオ・ペドロッティ指揮チェコフィルハーモニー管弦楽団によるブラームスの交響曲第4番ホ短調。録音は1957年(モノラル)。十数年前に日本コロンビアからリリースされたスプラフォン・ヴィンテージ・コレクションの中の一枚。
アントニオ・ペドロッティと聞いてピンとくる人は相当なマニアかオールドファンだろう。1901年に生まれ1975年に没したイタリアの指揮者。最近では彼の名を冠した「アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクール」の方が有名かもしれない。指揮者三ツ橋敬子は2008年にこのコンクールで最年少優勝してデビューを飾った。ぼくもペドロッティの名前だけは知ってはいたが録音は持ち合わせていなかった。たまたま入った店で「アナログ時代の幻の名盤、待望の復刻」をいう帯のコメントが目にとまりレジに持っていった。

このブラームスが中々の聴きものだ。帯の売り文句も伊達ではない。
第1楽章はやや速めのテンポで推進力を感じさせる運びながら、決して前のめりにならず正確なタクトで進む。ラテン系指揮者にありがちなせかせかしたところがなく、またドイツ系指揮者にイメージする深く重いアインザッツでもないが、響きは充実していてブラームスらしい重量感に不足はない。そしてともかくよく歌う。冒頭のメロディーからフレーズの中で起伏を持たせて歌い上げ、更に一つ一つの音に力が満ちている。ところどころで打ち込まれるティンパニ、響き渡るホルンや金管群も全体のバランスを崩さずによく存在感を主張している。全てにペドロッティのコントロールが行き届いている演奏だ。
第2楽章以降もやや速めのテンポでよく歌う弦楽群、特にヴァイオリン群の熱いカンタービレが印象的だ。濃い口の表情付けではあるがテンポが速めで、しかもフレーズごとに立ち止まることなく前進するので、もたれた感じにはならない。総じてひと言でいえばイタリア風ブラームスということになるだろうが、この語感から受けるネガティブなイメージはなく、この曲が持つ晩秋の枯れた味わいには遠いものの、純粋にメロディーを熱く歌い上げることで、この曲の持つ情熱的な側面を引き出した名演といえるだろう。

この盤を含む日本コロンビアの復刻盤シリーズには以前記事にしたアンチェルの録音他、味わい深い名盤がたくさんあったが、プレス数も少ないのか現在すでに入手困難なものも多い。なお、このシリーズを含む一連の復刻盤デジタルマスターの作成は、近年数多くのアルバムを手がけている日本コロンビアのマスタリング・エンジニア;山下由美子さんが担当していることを付け加えておく。


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この盤の音源。ブラームス交響曲第4番ホ短調 全楽章


併録されているブラームスのハイドン・ヴァリエーション。こちらは1966年のステレオ録音。


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ケンペ&MPO ブラームス交響曲第3番ヘ長調



秋の宵。聴くべき音楽はブラームス。ブロムシュテットの公演が中止にならなければ、この週末には所沢でブラームスの3番を聴いているはずだった…そんなことを思いつつ、取り出したのはこの盤だ。


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ブラームスの交響曲第3番へ長調。ルドルフ・ケンペ指揮ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団によって1974~75年にブラームスの交響曲全集として録音された内の一枚。手元には当時出たLP盤で4曲が揃っている。80年代初頭に今はなき数寄屋橋ハンターで買い求めた記憶がある。このケンペ&ミュンヘンフィルの盤は短期間にレーベルがあれこれ変ったため、手持ちの4枚にはBASF・ACANTA・LIBEROの3種類が混在している。きょう聴いている第3番はBASFレーベル。いずれも日本での発売はテイチクだった。


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派手さとは無縁で堅実な職人指揮者というイメージがあったケンペ(1910-1976)だが、50年代からベルリンフィルを振ったり(ブラームスの交響曲他)、ドレスデンのオケとリヒャルト・シュトラウスの管弦楽曲を録音したりと、日本での人気が高まる前から欧州では一流の評価がなされていたのだろう。日本ではこのブラームスやブルックナーで70年代半ばに大いに人気を得た。ミュンヘンフィルとのブラームス録音は彼の晩年の録音ではあるが、66歳で亡くなった彼のキャリアからすれば、まさに充実した壮年期の演奏記録と言える。

速めのテンポを採った第2番などと違い、この第3番でケンペは中庸よりややゆっくりめのテンポ設定で曲を始める。どこかのパートを強調したり、テンポを煽ったりすることもなく落ち着いた歩みだ。特に緩徐楽章がいい。第2楽章は淡々と曲を進めながらもブラームスが仕組んだ聴かせどころ、終盤の弦楽のフレーズなどは深い呼吸で歌い抜く。第3楽章も有名な主題を相応に起伏を持たせたフレージングで訴えてくる。それでも全体としては整然とし、この曲に相応しい落ち着きと節度を崩さない。第3番をこうした演奏で聴くと、しみじみ秋の深まりを感じる。


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この盤の音源。第1楽章


同 第3楽章


ブロムシュテット&ロイヤルコンセルヘボウによる2014年の演奏。 第3楽章



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シューリヒト&南ドイツ放響 シューマン交響曲第3番「ライン」



10月も半ばを過ぎた。少し前まで、長く続いた酷暑から一転した秋の気配に驚いていたが、身も心もようやく慣れてきた。しばらくはよい季節が続く。さて、このところライナー、クナッパーツブッシュと、ぼくがクラシックを聴き始めた半世紀前にはすでに物故していた指揮者の盤が続いたが、きょうもその路線でこんな盤を取り出した。


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シューマンの交響曲第3番変ホ長調「ライン」。ドイツの名匠カール・シューリヒト(1880-1967)と南ドイツ放響(のちのシュトゥットガルト放響→現・南西ドイツ放響)による演奏。1960年録音。10年程前にリリースされたコンサートホール盤復刻シリーズ中の1枚。以前からシューリヒトのこのシューマンは独自の味わいを持つ名演とされてきた。

シューマンの4つある交響曲はいずれもドイツ物の交響曲の中では好きな曲の上位に位置する。手元にはサヴァリッシュ&シュターツカペレドレスデン、コンヴィチュニー&ライプツィッヒゲヴァントハウス管、クーベリック&バイエルン放響、クレンペラー&フィルハーモニア管、スウィトナー&シュターツカペレベルリン、コリン・デイヴィス&シュターツカペレドレスデンなどの全集盤他がある。それらの第3番と比べると、このシューリヒト盤は抜きん出て個性的だ。

第1楽章の出だしから速いテンポと拍の頭でビシッビシッと決まる小気味よいアインザッツ、そしてフレーズのそこかしこに明確なアーティキュレーションを施していく。しなやかな中にもゴツゴツとした肌合い、快速調の生き生きとしたフレージングはシューリヒトの真骨頂だ。 意味のないことと知りながら、チェリビダッケ&ミュンヘンフィルと演奏時間と比べてみると、チェリビダッケ盤が全5楽章に39分を要しているに対し、このシューリヒト盤は30分に満たない。ドイツの深い森のイメージやとうとうと流れるラインの流れでなく、もっと活気と生命力に満ちた父なる河ファーター・ラインだ。

古いコンサートホール原盤のもつ冴えない録音というイメージも、リマスタリングの成果著しく、シューリヒトの音楽表現の意図同様、細部までクリアによみがえっている。もっと深くたっぷりとした響き、うっそうとしたシュヴァルツヴァルトをイメージする演奏を求める向きにはお勧め出来ないが、若々しく生気にみなぎるシューマンは一聴に価するだろう。


この盤の音源。全4楽章。ゴツゴツとした肌合いと明確なアーティキュレーションが独自で、快速調ながら軽々しさはまったくない。



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フリッチャイの「運命」



彼岸を迎えた九月下旬。朝晩めっきりすごしやすくなりましたね…といった挨拶も今年は縁がない。きょうは昼をはさんでちょいと外出。帰宅後、久々にアンプの灯を入れ、この盤を取り出した。


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ハンガリー生まれの指揮者フェレンツ・フリッチャイ(1914-1963)とベルリンフィルによるベートーヴェン交響曲第5番ハ短調「運命」。彼が残した録音のうち特に晩年ベルリンフィルと入れた一連のステレオ録音はいずれもスケール感豊かで聴き応え十分だ。手元には懐かしい独グラモフォン系の廉価盤レーベル:ヘリオドールシリーズのLPをはじめ、近年になってCDで出た際に買い求めた盤がいくつかある。今夜取り出したのは第7番とカップリングされたCD。第5番は1961年9月の録音。

このベートーヴェン。いつも同じような言い方になるが、まず60年代初頭のベルリンフィルの音が素晴らしくいい。安定した低弦群の響き、よく整って緊張感のあるヴァイオリン群、全体の調和を重んじた吹きぶりの木管群、やや暗めの音色ながら底力のある金管群等々。まだフルトヴェングラー時代の名手がみな残っていた時代であったし、国際化の名のもとに均質化してしまった昨今とは違う、一本筋の通った「独逸」の音が聴ける。

フリッチャイについては何度か記事に書いた。50年代後半から白血病に侵され幾度となく手術を繰り返したフリッチャイは、この録音を録り終えたあと年末には再び病状悪化。ついに指揮活動を断念することになった。そんな当時のフリッチャイの状況が映し出されているのかどうか分からないが、ともかくこの第5番は気宇壮大だ。 遅めのテンポ、テヌートの効いた音価、後ろ髪を引かれるようなアウフタクト…とかく熱っぽさと勢いで突き進んでしまうこの曲の隅々まで克明に描き出していく。一般的には10分前後で終える第2楽章のAndante con motoに13分かけて丁寧に変奏を弾き進めている。ゆっくりしたテンポで緊張感を保つのは指揮者ばかりでなく団員全員にとっても精神的・肉体的に辛い作業のはずだ。このテンポで終始音の密度と緊張感を持続させるベルリンフィルの力量もさすがだ。このコンビのベートーヴェンは3番、5番、7番、9番がステレオ録音で残っていて、いずれも素晴らしい。


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第5番第2楽章。コントラバスの深い低音、緊張感のある弦楽群の歌いっぷり。


終楽章



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

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