ザンデルリング&SKD 1973年東京



きのう日曜日、昼間少々時間があったので、新調してからひと月余りになるアキュフェーズのセットを暖め、フルボリュームで音楽を楽しんだ。気の向くままいくつかの盤を聴いたが、久々に聴いて感銘を新たにしたのがこの盤だ。


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クルト・ザンデルリンク(1912-2011)とシュターツカペレドレスデン:SKDによる1973年東京でのライヴ盤。1973年10月18日と31日の東京での演奏会を収めた盤3枚の中の1枚、ウェーバーのオベロンとチャイコフスキーの4番が収められている。リリースされた2002年から何年か経った頃、隣り町にあったTWRで投げ売られていたのを覚えている。

この3枚のディスクとも充実したブックレットが付いていて、特に当時FM東京のプロデューサーで、この盤の録音に関わった東条碩夫氏によるエピソードが興味深い。…その頃使っていたノイマン社のマイクM-49は、スケール豊かで重量感に満ちた音質と引き換えに、その物理的重量が災いし、しばしば落下事故を起こしたという。当地の群馬交響楽団や読売日響でもコンサートマスターや指揮者の間近に落ちたことがあったそうだ。そして何より、このコンビの演奏会当日10月31日もアンコールのマイスタージンガーのクライマックスでコンサートマスターの足元に落ちたという。そんなリスクまでおかし、なおかつ演奏会当日の事情からマイクセッティングの時間がほとんど取れない中での収録にも関わらず、残された録音の音質は素晴らしいの一言だ。

この盤の収録された10月31日の演奏会場は上野の東京文化会館。80年代半ば以降作られるようになったコンサートホールと比べると少し残響は少なめだが、それがむしろ奏功し、すべての音があいまいにならず、実にクリアに収録されている。下手なオケだと、ホールエコーの助けがないことから、すぐに荒れた音の馬脚を現すところだが、そこは当時全盛期といってもよいドレスデン。弦楽器はやや渋めの音色ながら一糸乱れぬピッチとアンサンブル、管楽器群は押し出しの良さと、弦楽器群との調和、その両面をうまく切り替える。低域も量こそ少なめだが、よく聴くとコントラバスの4弦ローポジション以下の基音もしっかりと入っている。

演奏はいずれも文句なしの出来だ。ドイツ系序曲の中ではもっとも好きな曲の一つであるオベロン序曲。当然手元にはいくつかの盤があるが、その中でもこの演奏はもっともエキサイティングでありながら、深いドイツ伝統の響きも併せ持つ最高の演奏だ。チャイコフスキーはもともとザンデルリングのおはこでもある。テンポ設定やディナーミクの塩梅など、いずこをとってもピタリと勘どころを押さえているし、その上で極上の音でそれらを再現するSKDの上手さにほれぼれする。

1973年といえば日本では第1次オイルショックに見舞われ、スーパーにはトイレットペーパーを買い求める人々の列が出来た年だ。ぼくが浪人生活を送っていたこの年、カラヤン&ベルリンフィルも来日してNHKFMでは大木正興氏(懐かしい!)の解説でライヴ中継されたのを覚えている。その後70年代後半から80年代には海外オケの来日ラッシュが続き、実力のある指揮者とオーケストラがようやく日本で認知され始めるきっかけとなった来日演奏として貴重な記録だ。


この盤の音源。チャイコフスキーの第1楽章。



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きょうが命日フルトヴェングラー



ぼくが子供の頃、ひと月の日数が31日以外の月を「西向く侍(二・四・六・九・士=十と一)」と覚えたものだが、今どきはどうなのだろう。その侍の月もきょうで終わり、明日から師が走る月だ。あっという間に今年も終わる。そして、きょう11月30日はウィルヘルム・フルトヴェングラーの命日でもある。1954年11月30日に亡くなった。享年68歳。今更彼についてぼくなどが語る余地もないので、今夜はせめてレコードを聴いて彼を偲ぼう。


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フルトヴェングラーには、ぼくも学生時代に少々入れ上げたが、幾多の同曲異盤や海賊盤に手を染めることもなく、ごく普通のクラシックファンとしてのフルトヴェングラー熱の域を出ず現在に至った。フルトヴェングラーならベートーヴェンやブラームスがまず最初に浮かぶ。手元にある何枚かの盤から選んだのは、ブラームスの第4交響曲だ。

彼の数ある録音のうち、ブラームスの交響曲にも当然それぞれ複数の録音が残っているが、熱心なファンでもないぼくの手元にはあるのはごくわずかだ。今夜は90年代初頭に都内の店で見つけて買い求めた全4曲の輸入盤セット物を取り出した。第4番は1948年10月24日ベルリンフィルとの録音。東芝EMIから繰り返しリリースされているものと同じソースと思われる。フルトヴェングラーの録音には悪条件化で録られたライヴ音源も多いのが、その中でもこの盤の録音状態はよいとは言えない。もしかしたら近年のCDではリマスタリングや新しいマスターテープの発見で改善されているかもしれない。そのあたりの事情にはまったく疎い。

演奏はもう第1楽章の出だしからぼくらがイメージするフルトヴェングラ。ゆったり目テンポで始まるがすぐにギアチェンジし、以降は緩急自在の展開となる。第2楽章アンダンテ・モデラートはホルンのテーマ、続く木管群のテーマともゆっくりとしたテンポと弱音を生かした、遠い憧れに満ちた響きで始まる。弦楽器群が入ると、大きなフレージングと息の長いクレシェンドに熱い思いをのせるように曲を運ぶ。第2楽章の二つ目のテーマで大きく盛り上げ、最後は後ろ髪を引かれるようにして終わる。そして第3楽章。第4番を聴くたびに思うのだが、この第3楽章を第3番のそれと入れ替えてほしかったと思う。まったくの個人的嗜好だが…。終楽章はアレグロ・エネルジコ・エ・パッショネートの指示をそのまま音にしているような演奏。パッサカリア形式による変奏曲のうちテンポの速いものはどんどんとテンポを煽る、ゆっくりした変奏では意図的なピアニシモと長いフレージングで強いロマンティシズムを感じさせる。特に終盤からコーダにいたる一連の運びは圧巻だ。


この盤を同じ音源のものと思われる。第1楽章。



第4楽章後半のリハーサル。


バーンスタインとウィーンフィルによる80年代初頭のライヴ。冒頭10分間ほどバーンスタイン先生によるレクチャーがある。



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ベーム&VPOのブラームス



気付けば十月も中旬に。このところ当地北関東の朝晩は涼しさと日中の暑さが同居。この時期らしく寒暖の差が大きい。何をするにもいい季節。しかし、何もかにもするわけにもいかず、相変わらずせっせと働き、ダラダラと弛緩する日々。ダラダラのお供は美酒と美女。もとい渋茶と音盤。 まあ、どの道、地味な人生だなあ…。と、ぶつくさ言いながら今夜もアンプの灯を入れつつ音盤棚をサーチ。こんな盤を取り出した。


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変り映えなくブラームス。ベーム&ウィーンフィルによる70年代半ばのセッション録音。手持ちのLP全集セットは、20年近く前に中古レコード店のバーゲンで手に入れた。今夜はこの中から第4番ホ短調を取り出して聴いている。

この録音前後から晩年まで、日本での人気が異常ともいえるほど過熱したベーム(1894-1981)だが、人気に反して、さすがに晩年は緊張度が緩むときもあった。私見では、この盤の録音直前75年3月の来日はよかったが、その後80年代初頭になるまで繰り返した来日演奏は、よい印象はなかった。この盤、そしてこの盤に先立つ70年代初頭の同じVPOとのベートーヴェンは、ちょうどその移行期ともいえる録音で評価が分かれる。確かに、出来のいい欧州でのライヴを当時のFMで何度も聴いた経験があるぼくなども、スタジオ録音のベームに物足りなさを感じたものだった。しかし、聴き手のこっちも歳を取ったせいか、何も熱っぽいばかりがいい演奏というわけでもない、というくらいの常識を理解できるようになったからだろうか、このベーム&VPOによるプラ4も味わい深く聴けるようになった。

同じウィーンフィルと近い年代に録音したバーンスタインの盤に比べると、オケの音がずっと引き締まっているが、あまりキリキリしたところはなく、ゆったりしかし素朴に響く。メロディーの歌い口はベームの見かけ同様にややぶっきら棒でさえある。ひと言でいえば硬派な、しかし過ぎないブラームス。ニコリともしないその風情にこちらの心情感覚もマッチしてきたのか、その素っ気なさがいい具合にシミてくるのだ。第1番はBPOとの初期ステレオ盤がベストだろうが、4番のこのVPOのしみじみ具合は中々捨てがたい。それでいて第2楽章などは、ウィーンフィルが自発的にというか、居ても立ってもいられず、ヴィブラートたっぷりに歌ってしまうところも微笑ましい。

実は少し前から音盤の整理を始めている。あてもなく随分と集めてしまった音盤だが、これから先、健康寿命を前提に音楽を聴ける期間を仮に20年と想定し、手に負える数だけを残して整理しようと考えている。残したところで大した価値もないし、身辺で引き継ぐ見込みもなさそうだ。いっそのこと、ふた回りくらい若い世代の愛好家に丸ごと譲ってしまおうかとも考える。そんなこともあって、少しずつ知人に譲ったり(押し売りしたり…)し始めている。 大好きなブラームスの交響曲もワルター、ケンペ、バルビローリ、セル、ヨッフム、ボールト、アンセルメ、チェリビダッケ、ヴァント、バーンスタイン、カラヤン、ベーム、スウィトナー、インバル…と全集盤があるが、最近はいろいろな演奏に触れたいという気持ちが失せてきたこともあって、1セットか2セットを残せば十分と考えている。そんな中、このベーム盤は万事中庸をいく表現から、残すべき1セットの筆頭にあるのだが、さて、どうしたものか…


この盤の音源。


1978年ザルツブルグでのライヴ。オケはVPO。スタジオ録音に比べると燃焼度三割アップという趣きの演奏だ。



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チェリビダッケのワグナー管弦楽曲集



早いもので九月も下旬。月末進行、上期末進行というわけでもないが、本日もせっせと業務に精励。今週は少々やっかいな案件をかかえていたが、それも蹴散らし(^^;、安堵の週末金曜日。ひと息ついて何日かぶりでアンプの灯を入れ、こんな盤を取り出した。


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チェリビダッケ&ミュンヘンフィルによるワグナーアルバム。ミュンヘンフィルの本拠地ミュンヘン・ガスタイクでの1993年ライヴ録音。収録曲は以下の通り。

 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲
 ジークフリート牧歌
 「神々の黄昏」よりジークフリートの葬送行進曲
 「タンホイザー」序曲

冒頭収録された拍手に続くマイスタージンガーから、巨大なスケール感と音響の透明性に圧倒される演奏だ。生前チェリビダッケはレコード録音を嫌っていたわけだが、その理由の一つが実演で繰り広げられる音響イメージ、特にホールの響きや副次的に発生する倍音の響きも含めた音響の広がりが録音では再現できないということだった。70年代の初来日で読響を指揮した際、オケのチューニングから各部のバランスまで徹底的に練習を重ねて団員がねを上げたというエピソードも、そうした彼の音楽哲学によるものだった。

このワグナーアルバムを聴くと、スケールの大きさというのは、音の大きさでも、アタックの強烈さでもないと納得する。マイスタージンガーしかりタンホイザーしかり。各声部のピュアな響きを確保し、それを重ねていくことで重層的かつ透明な響きを確立していくことでスケールの大きな音楽が目前に広がる。その一方で、ジークフリートの葬送行進曲では、そうした透明な響きに葬送の音楽という特殊性からだろうが、ときに音が割るほどの凄みも見せる。いずれもチェリビダッケの晩年の音楽美学が十全に繰り広げられる名演だ。


この盤のタンホイザー序曲。15分過ぎからのエンディングには圧倒される。このテンポと緊張感で演奏するには、オケに要求される体力と集中力も並大抵ではないだろう。


マイスタージンガー第一幕前奏曲。ミュンヘンフィルの本拠地ガスタイクのホール。80年代中庸の映像と思われる。晩年の演奏は、更にこの路線が徹底されている。



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セルのブラームス



秋の音楽といえば何だろう…ぼくの場合最初に思い浮かぶのはやはりブラームスだ。彼の故郷北ドイツの港町ハンブルグの街に枯葉が舞い、陽射しのない空に低く冷たい雲が垂れ込める。鬱々としたメロディー、歌い過ぎないロマンティシズム、渋さ極まる和声。嗚呼、ブラームス…(^^;


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…というわけで、枯葉舞う季節にはいささか気が早いのだが、秋の先取り。久々にこの盤を取り出した。 ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団によるブラームスの交響曲全集。数年前にCBSソニーからリマスタリングされて再発されたのを期に手に入れたもの。録音時期は1966~1967年。


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先ほどから第4番ホ短調を聴いている。
いきなり結論めいてナンだが、演奏はいずれも期待に違わず素晴らしい。まずテンポ設定がいい。「標準」といってもまったく個人的な感覚だが、その標準よりもわずかに遅めのテンポ設定。しかも大きなフレーズの切替ポイントでかなり大胆にテンポを落とすところもある。セルは19世紀的ロマンティシズムに根ざした演奏様式とは無縁というのが通説だが、こうして聴くとやはりその伝統を背負っていることを感じる。遅めのテンポだと全体としての響きが渾然一体となって重くなりがちだが、そこはさずがにセル。響きの透明度が高く、各パートの存在が手に取るように分かる。これこそがセルの真骨頂だろうか。もちろん録音の影響もあるが、そうした響きを目指して演奏し、録音技術陣もそれを最善の形で残そうとした結果だ。

セルのトレーニングを受けて鉄壁を誇ったクリーヴランド管弦楽団のアンサンブルも申し分ない。1stヴァイオリンがメロディーをとると、まるでひとすじの絹糸のようにメロディーが歌われる。そのメロディーをヴィオラとチェロが引き継ぐといったフレーズなど、こういうパート間の受渡しがあったのかとあらためて気付かされる。特に緩徐楽章での演奏にそうした美点が顕著に現れ、あらためてその美しさに心打たれた。管楽器の扱いは弦楽群とのバランスを取り調和を図っている一方で、ブラームスの曲でしばしば重要な役割を果たすホルンパートなどは、時にオッと思うほどの強奏を聴かせる。 周到に組立てられた展開、個々のフレーズの扱い、精緻かつ明晰な各パートの動き、そうしたもののベースの上に成り立つブラームスらしい音響と情緒の現れなど、秋色のブラームスにふさわしい名演だ。


第4番の第2楽章。4分10秒からの副主題の提示、そして9分10秒から同主題の再提示と盛り上がる展開はこの楽章この曲のもっとも素晴らしいフレーズの一つだ。



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アンセルメ&OSRのウェーバー



関東地方はきょうも不安定な天気。夜になってからかなり強い雨。昼間は気温も上昇して蒸し暑い一日だった。お盆も終わって八月も下旬。あっという間に年末だなあ…アッ、気が早すぎるか(^^; さて、週明け月曜日。可もなく不可もない一日が終了。エアコンONで部屋も涼しくなったところで音盤タイム。懲りずにアンセルメ盤の検分を継続。


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やはり気になるアンセルメのドイツ物。取り出したのは、カール・マリア・フォン・ウェーバーの作品を収めた一枚。アンセルメのボックスセット<その他欧州編>の中のDisk31。収録曲は以下の通り。

ウェーバー:『魔弾の射手』序曲
ウェーバー:『プレチオーザ』序曲
ウェーバー:『幽霊の支配者』序曲
ウェーバー:『オベロン』序曲
ウェーバー:『オイリアンテ』序曲
ウェーバー:『アブ・ハッサン』序曲
ウェーバー:祝典序曲
ウェーバー:ファゴット協奏曲ヘ長調 Op.75

ウェーバーはベートーヴェンとほぼ同時代を生きた作曲家。のちのワグナーにつながるドイツオペラの秀作を多く残したことで知られる。しかし、現代ではそのオペラの上演機会は少なく、もっぱらこの盤に収められたような序曲やクラリネット協奏曲などが取り上げられる。知名度の比して演奏機会の少ない作曲家の一人ではないかと思う。実際、ぼくの手元にあるウェーバーの盤も序曲集とクラリネット協奏曲だけだ。しかし、その序曲群が実にいい!取り分け「オベロン序曲」は独墺系管弦楽作品の中でも最も好んで聴く曲の一つだ。ウェーバーならではのホルンを伴った序奏の開始。弦楽群が歌う美しいモチーフ。序奏が消え入るように終わろうとするときの突然のトゥッティ。そして急速な主部へ。いかにも劇的で心沸き立つ展開だ。主部は古典様式そのもののソナタ形式。明確な二つの主題と短いながらも息をもつかせぬ展開部はいつ聴いても感動する。

アンセルメとスイスロマンド管によるこの録音はいずれの曲も古典的造形と速めのテンポ設定。いつもながらの明瞭なパートバランスもあって、スッキリとした印象だ。もっとゴツゴツした肌合いを好む向きには少々軽量級かもしれないが、こうして自宅のオーディオセットで聴いている限り、ぼく自身はまったく不足感はなく、充実した響き。アンセルメのドイツ物を色眼鏡でみるのはもう止めるべきだと感じる。

この盤には当時のOSR首席バスーン奏者アンリ・エレールによるウェーバーのバスーン協奏曲も入っている。こちらも古典的な作風に加えて、初期ロマン派らしい息吹も感じる佳曲。今日バスーン(ファゴット)協奏曲というとモーツァルトかこのウェーバーの二択になるのだろうが、モーツァルトに劣らずバスーンの魅力を伝えてくれる。


アンセルメ&OSRによる<オベロン序曲>。残念ながらこの音源の音質はオリジナルCDに遠く及ばない。


この盤のバスーン協奏曲の第1楽章。


OSRを並んでスイスを代表するオーケストラ:チューリッヒ・トーンハレでバスーン首席奏者を務めるマティアス・ラッツによるバスーン協奏曲の演奏。バックはシモン・ボリヴァル管。



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アンセルメのブラームス



きょうは昨日ほどではない程々の暑さながら湿度高く、仕事の帰途、いつも以上の疲労感でなんだかヘロヘロ。帰宅後、ぬるめの湯につかってようやくひと息ついた。幸い明日から三連休。少々散らかっていた部屋の片付けをしたところで音盤タイム。引き続きアンセルメ&OSR盤の検分。


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本命フランス編・ロシア編も気になるが、今夜もまた<その他欧州編>のボックスを開けた。先日の記事でベートーヴェンの第1・第3について書いたが、すでにベートーヴェンは半分ほど聴き終えた。さて、次には何を…と考え、独墺系の山をひと通り見渡そうかと、ブラームスを聴くことにした。このセットに収められているブラームスは以下の4枚。

Disc10
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op.90
Disc11
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a
ブラームス:悲劇的序曲 Op.81
Disc12
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98
ブラームス:大学祝典序曲 Op.80
ブラームス:悲歌 Op.82
ブラームス:アルト・ラプソディ Op.53
 ヘレン・ワッツ(コントラルト)
 スイス・ロマンド放送合唱団・ローザンヌ・プロ・アルテ合唱団
Disc13
ブラームス:ドイツ・レクィエム Op.45
 アグネス・ギーベル(ソプラノ)
 ヘルマン・プライ(バリトン)
 スイス・ロマンド放送合唱団・ローザンヌ・プロ・アルテ合唱団

交響曲・序曲は1963年9月、声楽入りの3曲は1965年10月の録音。今夜はこのうちDisk10をプレイヤーにセットした。

アンセルメ&スイスロマンド管というと必ず引き合いに出されるのが、このコンビ唯一の来日となった1968年の公演。それまでレコードでその素晴らしい音楽に触れていた愛好家が、実際のコンサートで聴いたこのコンビにいささかがっかりしとという逸話だ。いわく、あれは録音マジックだったのか、いわく、学生オケ並み…ある音楽評論がそんなネガティブな論評をしたとされ、今日まで言い伝えられている。また、彼らの本命はフランス・ロシアの色彩的な管弦楽曲であり、独墺系の曲には相応しくないとの声も、その後長く続いた。一方で90年代になってこのコンビのベートーヴェンやブラームスがCDリリースされた際、予想以上の関心を集め、実際のセールスも好調だったと、ものの本に記されている。もっとも、ここでまたこんな話を書くから、また引き継がれるのかもしれないが…

あまり愉快ではないそんな話を思い起こしながらのブラームス第1…
ラックスマンL-570のボリュームノブを11時頃に合わせ、CDプレイヤーD-500のプレイボタンを押す。冒頭のトゥッティに身構えていると、予想を上回る量感のオケサウンドが押し寄せて、思わず声を上げそうになった。テンポは中庸ないしやや遅め。ほとんど緩急を付けずにインテンポで進む序奏。これまで聴いたベートーヴェンより幾分くすんだ響きで、おそらく管楽群の響きを抑え気味にコントロールしているのだろう。それにしても量感豊かで堂々した開始に驚いた。主部に入っても、テンポをほとんど動かさない。強弱のディナーミクもあまり変化がない(そもそも、この曲のスコアをみると、慣習的演奏のテンポやディナーミクを変えている箇所で、実際は楽譜に何の指示もないことが多い)。 そして、ところどころでソロをとる木管群がややひなびた音で響く。へートーヴェンやハイドンでは、パッと飛びぬけるようなソロの音色だったものが、このブラームスでは明らかに異なる。

総じて、演出臭さがまったくなく、練習初日、ひとまず通してみようか、というときの感じに近い。もちろんアンセルメの指示や注文があり、リハーサルを経てのセッション録音だと思うが、それほどガチガチに細部まで決め、周到にチェックをし、という演奏には思えない。録音の日付まで確認できないのだが、おらそらく英デッカの注文もあって、せっせと録音を重ねていた頃のこのコンビの姿を反映しているように感じる。それをもって、細部の詰めの甘さ(細部のアンサンブルや木管群の音程など)を指摘することも出来るだろうが、それより、このコンビの素の姿がそのまま出た、のびのびした曲の運びを良しとしたい。第2楽章は弦楽群がよく歌うが、抑制が効いていて持ち味の明るさと軽快さがアダにならないよう配慮しているかのようだ。第3楽章もよくある演奏にように速めのテンポでせわしなく動くことなく牧歌的。終楽章はそれまでの楽章と少し異なり、テンポ・ディナーミクともに動きが見られる。弦楽群も木管やホルンも音に明るさを増してのびのびと歌い、堂々としたコーダに向かって勝利を謳歌する。

数学者だったアンセルメ。音楽への思い断ち難く、指揮者に転じるべく助言を求めたのはベルリンのニキシュとワインガルトナー。最初のコンサートはベートーヴェンプロ。アンセルメ=フランス物という図式はいささか作られたイメージの側面も否定できない。


この盤の音源。交響曲第1番ハ短調の全曲。


同。悲劇的序曲。



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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