アンセルメ&OSRのウェーバー



関東地方はきょうも不安定な天気。夜になってからかなり強い雨。昼間は気温も上昇して蒸し暑い一日だった。お盆も終わって八月も下旬。あっという間に年末だなあ…アッ、気が早すぎるか(^^; さて、週明け月曜日。可もなく不可もない一日が終了。エアコンONで部屋も涼しくなったところで音盤タイム。懲りずにアンセルメ盤の検分を継続。


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やはり気になるアンセルメのドイツ物。取り出したのは、カール・マリア・フォン・ウェーバーの作品を収めた一枚。アンセルメのボックスセット<その他欧州編>の中のDisk31。収録曲は以下の通り。

ウェーバー:『魔弾の射手』序曲
ウェーバー:『プレチオーザ』序曲
ウェーバー:『幽霊の支配者』序曲
ウェーバー:『オベロン』序曲
ウェーバー:『オイリアンテ』序曲
ウェーバー:『アブ・ハッサン』序曲
ウェーバー:祝典序曲
ウェーバー:ファゴット協奏曲ヘ長調 Op.75

ウェーバーはベートーヴェンとほぼ同時代を生きた作曲家。のちのワグナーにつながるドイツオペラの秀作を多く残したことで知られる。しかし、現代ではそのオペラの上演機会は少なく、もっぱらこの盤に収められたような序曲やクラリネット協奏曲などが取り上げられる。知名度の比して演奏機会の少ない作曲家の一人ではないかと思う。実際、ぼくの手元にあるウェーバーの盤も序曲集とクラリネット協奏曲だけだ。しかし、その序曲群が実にいい!取り分け「オベロン序曲」は独墺系管弦楽作品の中でも最も好んで聴く曲の一つだ。ウェーバーならではのホルンを伴った序奏の開始。弦楽群が歌う美しいモチーフ。序奏が消え入るように終わろうとするときの突然のトゥッティ。そして急速な主部へ。いかにも劇的で心沸き立つ展開だ。主部は古典様式そのもののソナタ形式。明確な二つの主題と短いながらも息をもつかせぬ展開部はいつ聴いても感動する。

アンセルメとスイスロマンド管によるこの録音はいずれの曲も古典的造形と速めのテンポ設定。いつもながらの明瞭なパートバランスもあって、スッキリとした印象だ。もっとゴツゴツした肌合いを好む向きには少々軽量級かもしれないが、こうして自宅のオーディオセットで聴いている限り、ぼく自身はまったく不足感はなく、充実した響き。アンセルメのドイツ物を色眼鏡でみるのはもう止めるべきだと感じる。

この盤には当時のOSR首席バスーン奏者アンリ・エレールによるウェーバーのバスーン協奏曲も入っている。こちらも古典的な作風に加えて、初期ロマン派らしい息吹も感じる佳曲。今日バスーン(ファゴット)協奏曲というとモーツァルトかこのウェーバーの二択になるのだろうが、モーツァルトに劣らずバスーンの魅力を伝えてくれる。


アンセルメ&OSRによる<オベロン序曲>。残念ながらこの音源の音質はオリジナルCDに遠く及ばない。


この盤のバスーン協奏曲の第1楽章。


OSRを並んでスイスを代表するオーケストラ:チューリッヒ・トーンハレでバスーン首席奏者を務めるマティアス・ラッツによるバスーン協奏曲の演奏。バックはシモン・ボリヴァル管。



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アンセルメのブラームス



きょうは昨日ほどではない程々の暑さながら湿度高く、仕事の帰途、いつも以上の疲労感でなんだかヘロヘロ。帰宅後、ぬるめの湯につかってようやくひと息ついた。幸い明日から三連休。少々散らかっていた部屋の片付けをしたところで音盤タイム。引き続きアンセルメ&OSR盤の検分。


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本命フランス編・ロシア編も気になるが、今夜もまた<その他欧州編>のボックスを開けた。先日の記事でベートーヴェンの第1・第3について書いたが、すでにベートーヴェンは半分ほど聴き終えた。さて、次には何を…と考え、独墺系の山をひと通り見渡そうかと、ブラームスを聴くことにした。このセットに収められているブラームスは以下の4枚。

Disc10
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op.90
Disc11
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a
ブラームス:悲劇的序曲 Op.81
Disc12
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98
ブラームス:大学祝典序曲 Op.80
ブラームス:悲歌 Op.82
ブラームス:アルト・ラプソディ Op.53
 ヘレン・ワッツ(コントラルト)
 スイス・ロマンド放送合唱団・ローザンヌ・プロ・アルテ合唱団
Disc13
ブラームス:ドイツ・レクィエム Op.45
 アグネス・ギーベル(ソプラノ)
 ヘルマン・プライ(バリトン)
 スイス・ロマンド放送合唱団・ローザンヌ・プロ・アルテ合唱団

交響曲・序曲は1963年9月、声楽入りの3曲は1965年10月の録音。今夜はこのうちDisk10をプレイヤーにセットした。

アンセルメ&スイスロマンド管というと必ず引き合いに出されるのが、このコンビ唯一の来日となった1968年の公演。それまでレコードでその素晴らしい音楽に触れていた愛好家が、実際のコンサートで聴いたこのコンビにいささかがっかりしとという逸話だ。いわく、あれは録音マジックだったのか、いわく、学生オケ並み…ある音楽評論がそんなネガティブな論評をしたとされ、今日まで言い伝えられている。また、彼らの本命はフランス・ロシアの色彩的な管弦楽曲であり、独墺系の曲には相応しくないとの声も、その後長く続いた。一方で90年代になってこのコンビのベートーヴェンやブラームスがCDリリースされた際、予想以上の関心を集め、実際のセールスも好調だったと、ものの本に記されている。もっとも、ここでまたこんな話を書くから、また引き継がれるのかもしれないが…

あまり愉快ではないそんな話を思い起こしながらのブラームス第1…
ラックスマンL-570のボリュームノブを11時頃に合わせ、CDプレイヤーD-500のプレイボタンを押す。冒頭のトゥッティに身構えていると、予想を上回る量感のオケサウンドが押し寄せて、思わず声を上げそうになった。テンポは中庸ないしやや遅め。ほとんど緩急を付けずにインテンポで進む序奏。これまで聴いたベートーヴェンより幾分くすんだ響きで、おそらく管楽群の響きを抑え気味にコントロールしているのだろう。それにしても量感豊かで堂々した開始に驚いた。主部に入っても、テンポをほとんど動かさない。強弱のディナーミクもあまり変化がない(そもそも、この曲のスコアをみると、慣習的演奏のテンポやディナーミクを変えている箇所で、実際は楽譜に何の指示もないことが多い)。 そして、ところどころでソロをとる木管群がややひなびた音で響く。へートーヴェンやハイドンでは、パッと飛びぬけるようなソロの音色だったものが、このブラームスでは明らかに異なる。

総じて、演出臭さがまったくなく、練習初日、ひとまず通してみようか、というときの感じに近い。もちろんアンセルメの指示や注文があり、リハーサルを経てのセッション録音だと思うが、それほどガチガチに細部まで決め、周到にチェックをし、という演奏には思えない。録音の日付まで確認できないのだが、おらそらく英デッカの注文もあって、せっせと録音を重ねていた頃のこのコンビの姿を反映しているように感じる。それをもって、細部の詰めの甘さ(細部のアンサンブルや木管群の音程など)を指摘することも出来るだろうが、それより、このコンビの素の姿がそのまま出た、のびのびした曲の運びを良しとしたい。第2楽章は弦楽群がよく歌うが、抑制が効いていて持ち味の明るさと軽快さがアダにならないよう配慮しているかのようだ。第3楽章もよくある演奏にように速めのテンポでせわしなく動くことなく牧歌的。終楽章はそれまでの楽章と少し異なり、テンポ・ディナーミクともに動きが見られる。弦楽群も木管やホルンも音に明るさを増してのびのびと歌い、堂々としたコーダに向かって勝利を謳歌する。

数学者だったアンセルメ。音楽への思い断ち難く、指揮者に転じるべく助言を求めたのはベルリンのニキシュとワインガルトナー。最初のコンサートはベートーヴェンプロ。アンセルメ=フランス物という図式はいささか作られたイメージの側面も否定できない。


この盤の音源。交響曲第1番ハ短調の全曲。


同。悲劇的序曲。



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アンセルメのパリ・セット



台風一過で夏空広がる関東地方。梅雨明け以降、はっきりしない天気が続いていたが、少々遅れて夏本番到来。明日の予報は久々の猛暑日。まあ、でも程々に願いたい。さて、先週届いたアンセルメボックス。本命のフランス音楽集・ロシア音楽集を差し置いて、もっぱらその他欧州編<The Great European Tradition>を引き続き検分中。今夜はその中からこの盤を取り出した。


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ハイドンの交響曲を中心にした3枚。収録曲は以下の通り。
Disc15
ハイドン:交響曲第82番ハ長調『熊』
ハイドン:交響曲第83番ト短調『雌鶏』
ハイドン:交響曲第84番変ホ長調
Disc16
ハイドン:交響曲第85番変ロ長調『王妃』
ハイドン:交響曲第86番ニ長調
ハイドン:交響曲第87番イ長調
Disc17
ハイドン:交響曲第22番変ホ長調『哲学者』
ハイドン:交響曲第90番ハ長調
ハイドン:トランペット協奏曲変ホ長調 Hob.VIIe-1
 パオロ・ロンジノッティ(トランペット)
フンメル:トランペット協奏曲変ホ長調
 ミシェル・クヴィット(トランペット)

いわゆるパリ・セットと称される第82番から87番の交響曲が並ぶ。のちの傑作ロンドン・セット(ザロモン・セット)に比べると、幾分小規模ではあるが、いずれもハイドンの熟練の技が光り、標題が付された第82番ハ長調「熊」と第84番ト短調「めんどり」を含め、聴き応えのある曲が並ぶ。1957~1968年、いずれもスイスロマンド管本拠地ジュネーヴ・ヴィクトリアホール(写真右)でのセッション録音(交響曲は1965年)。きょうはこのうちDisk15をプレイヤーにセットした。

アンセルメのハイドン?…と色眼鏡で見る向きもあるかもしれないが、どっこい、これが立派なハイドン。スイスロマンドの明るく聞達な弦楽群と個性際立つ管楽群、60年代に入りステレオ収録技術に一段と磨きのかかった英デッカの録音。そしてそうした素材を素直かつ堂々と引っ張るアンセルメの棒。期待をはるかに上回る快演だ。
第82番「熊」は第1楽章冒頭から量感豊かに響く弦楽群と、その合間をぬって楚々としたフレーズを奏でる木管群とが、曲に明快なコントラスト与える。堂々としているが大げさにならず、チャーミングな表情もあって音楽が単調にならない。この演奏のあと、定評のある大指揮者と名門オケの演奏を聴いたが、すべてが曖昧模糊とし、早々にストップボタンと押してしまった。第2楽章もAllegrettoの指示通り。歌い過ぎず、もたれることなく進む。第3楽章のメヌエットは恰幅のいいグランドスタイル。続く第4楽章とのコントラストも明快となる。序奏なしの劇的なト短調フレーズで始まる第83番「めんどり」もハイドン交響曲の傑作の一つだろう。ここでもスイスロマンドの明快な響きが際立つ。また他の曲同様、弦楽群と管楽群とのコントラストが際立っていて、ハイドンはこれほど色彩的であったかと、感じ入ってしまうほどだ。

近年ハイドンの交響曲は人気で、その理由はピリオドスタイルによる復興という側面もあるだろうが、それ以上にやはり曲自体がいいからだろう。100曲以上を数える曲のいずれもが職人的な技法でそつなく書かれている。ぼく自身の嗜好もあるだろうが、モーツァルトの初期交響曲はほとんど聴くことがなくても、ハイドンはいずれも捨て難い。アンセルメのハイドンは今回のボックスセット以外に単独でも出ている様子。ロンドン・セットのあとに何かハイドンを聴こうかと考えている輩には、パリ・セットを、そしてアンセルメ盤をファーストチョイスとして推してもよいかなと思う。


この盤の音源で第82番ハ長調「熊」


第83番ト短調「めんどり」の第1楽章展開部の途中まで。LP音源。



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アンセルメのベートーヴェン第1・第3



八月になった。関東地方は相変わらずじめじめとした梅雨のような天気。盛夏には程遠し。きのうもきょうも気温は30℃を下回った。もっとも湿度はMAX。少し動くと汗だくになる。 さて、相変わらずの毎日ながら、本日も程々に業務遂行。七時ちょうどに帰宅した。ひと息ついて、数日ぶりに音盤タイム。前回の記事に書いたアンセルメのセットの検分を進めようと、この盤を取り出した。


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三つのボックスセットのうち<The Grat European Tradition>と名付けられたセット。フランス音楽集、ロシア音楽集はその名の通りのセットだが、この<The Grat European Tradition>はさしずめ<その他欧州編>とでもいうべきもの。バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス等の独墺系の他、ファリャやアルベニスといったスペイン物や、レスピーギ、ロッシーニ、ショパン、シベリウス等を含む。今夜はその中から、このセットを手にしようと思ったきっかけの一つとなったベートーヴェンの交響曲集から第1番と第3番が入ったディスクを取り出した。第1番が1963年、第3番が1960年の録音。

フランス、ロシア物のスペシャリストというイメージが強いアンセルメとその手兵スイスロマンド管(OSR)だが、ドイツ物もいくつかの注目すべき録音を残している。ベートーヴェンとブラームスの交響曲全曲と序曲等はその代表。特にブラームスはアルトラプソディーとドイツレクイエムも残している。ベートーヴェン、ブラームス共、以前から様々な評価がある録音で、ぼくも少し前からYOUTUBEで聴いて興味をもっていたもの。今回ようやく正規の音盤で聴くことが出来た。

立派なベートーヴェン!それが最初の印象だ。
第1番ハ長調の第1楽章。下属調の属7和音で始まるという意表つく開始(ギター弾きっぽくコードネームで書くとC7⇒F⇒G7⇒Am⇒D7⇒G)に続く序奏は、実に悠然としたテンポで進む。やや薄めのテクスチャながら明朗な弦楽群、輝かしい木管群の調和。英デッカ自慢のクリアな録音とも相まって、重苦しくはないが堂々とした響き。アンセルメ&OSRへの好意的世評の多くに同様の記載がみられる。OSRの弦編成が具体的にどの程度であったか寡聞にして知らないが、録音セッションンでは12型程度であったものと推測する。それゆえに管楽器群の響きが優勢で、60年代初頭の演奏にも関わらず、何やら昨今のピリオドオケ風のバランスに聴こえるほどだ。響きは全体に軽めだが、録音はコントラバス基音の最低域までしっかり収められており、過不足ない。第2楽章は爽やかによく歌い、第3楽章はメヌエットの指定ながらスケルツォ的に快速調の演奏がほとんどの中、このコンビはよりメヌエットらしい優雅さを残していて珍しい。

第3番変ホ長調<英雄>も出だしの和音からして明朗で開放的な響き。第1楽章展開部に入ると、木管群と弦楽群のやり取りが、明快なコントラストによって見事に描き分けられる。通常なら弦も管もマスの響きで押してしまいがちだが、この演奏は豊富な色彩感とコントラストで進む。第2楽章葬送行進曲の中間部、フーガとなる箇所では通常テンポを落としてじわじわと盛り上げていく演奏が多いが、アンセルメはここでテンポをわずかに上げるという手法を採り、さらにその終盤ではトランペットの強奏が、まるで最後の審判を告げるかのように延々と鳴り続けて驚いた。

このコンビに対するネガティブな評価として、アンサンブル(縦の線の合い具合)や管楽器群の音程に対するコメントをよく見かける。確かに重箱の隅をつつくように耳をそばだてればそうした指摘も可能だろう。しかし今から半世紀以上前にこれだけコントラストが明瞭で、各パートの役割の面白さを実感できる演奏を実現していたことをもって、そうした指摘は十分帳消しに出来ると感じるのだがどうだろう。


この盤の音源で第1番ハ長調の全楽章。第1楽章提示部は繰り返し有り。


同じく第3番変ホ長調<英雄>の全楽章。第2楽章フーガは21分48秒から。そのあと23分55秒過ぎからも注目。トランペットの強奏に驚かないように!



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アンセルメ到着!



結局買ってしまった。アンセルメ…


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だいぶ前から気になっていたアンセルメのボックスセット。フランス音楽編・ロシア音楽編・欧州編。

アンセルメ/デッカレコーディングス~ロシア音楽録音集
アンセルメ/デッカレコーディングス~フランス音楽集
Ernest Ansermet: The Great European Tradition

少し前の記事で何度か取り上げたアンセルメとスイスロマンド管。いろいろ評価が分かれるが、やはり一時代を成したコンビ。もちろんフランス物、ロシア物はその主要なレパートリーだが、意外にというべきか、ベートヴェンやブラームスにも隠れファンが多い。もう二十年近く前にこのコンビによるベートーヴェンとブラームスの交響曲集が発売されたとき、予想を上回る数が売れたとも聞く。 歴史の長いコンビゆえ、同じ曲のモノラルとステレオの両録音があるものもある。このセットではその両方と収めた曲もあれば、ステレオを外してモノラルが採られているものもある。この辺りの選定基準は不明。もっとも評価が高い名演として知られるファリャ三角帽子は1952年のモノラル録音のみだったのが少々残念。


全96枚の開陳・検分はこれからボチボチと。 挨拶代わりに、隠れファンの一人になるきっかけとなった<意外な>ベートーヴェンを貼っておく。第8交響曲ヘ長調。 軽く抜けるような弦のアインザッツ、彩り豊かな管楽器群、明快な各声部の描き分け…何とも爽やかなLVB。



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ノリントンのベートーヴェン


六月半ばの週末土曜日。今夜は当地群馬交響楽団定期演奏会の日。久々の高関健氏と人気のピアニスト金子三勇士が来演。リストのピアノ協奏曲第2番とショスタコーヴィッチの<レニングラード>というプログラムで、取り分けショスタコの大曲は聴き逃せないと楽しみにしていたのだが、なんとチケットはすでに完売。あてにしていた当日券も出ないとのことでかなわず。事前手配しておかなかった甘さを悔いた。 さて、そんなこんなの夜も更けて…。先日のベートーヴェン第8交響曲の記事を書いたあと、またいくつかの盤で8番を聴いていたのだが、今夜は近年ではもっともリピート率の高いこの盤を取り出した。


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ロジャー・ノリントンと彼が1978年に設立したロンドン・クラシカル・プレイヤーズ(LCP)によるベートーヴェン交響曲全集(メルヴィン・タンとのピアノ協奏曲全曲も含む)。1986~88年の録音。ピリオドオケによるベートーヴェンとしては初期のもの。前後してブリュッヘンやガーディーナーなどの録音が出るようになり、ピリオドオケによるベートーヴェンあるいは古典派交響曲演奏の隆盛期を迎えることになる。またノリントンはその後1997年に着任したシュトゥットガルト(SWR)放送交響楽団とライヴ演奏で再録音している。

ぼく自身これまでピリオドオケによる演奏に特別な興味はなく、手元に十数組あるベートーヴェンの交響曲全集もみなモダンオケによるものばかりだった。中ではデイヴィッド・ジンマン&チューリッヒトーンハレと高関健&群馬交響楽団による全集がモダンオケながら新しい研究成果を取り入れた演奏で、いくらか<ピリオド寄り>といえるものだった。数年前に隣り町でギターやマンドリンの指導者をしているA先生からブリュッヘン&18世紀オケが素晴らしいと聞き、モダンオケの重厚長大もいいが、そろそろピリオドオケも聴いてみようかと思っていた矢先に、<7枚組2千円!持ってけ泥棒>的に叩き売られていたのを見つけて手に入れた。

演奏はすで多くが語られている通りのもので、モダンオケに慣れた耳には全てが斬新で驚きに満ち、次から次へと展開するフレッシュな曲想に、これが聴き馴染んだ曲かという刺激が続く。しかしクラシックを聴き始めて40年余にもなるとさすがに耳年増になっているのか、いろいろな想定や予想がつき、事前に心と耳の準備も出来る。またFMや実演でピリオドスタイルのオケ演奏に接したこともある。その上で先鋭ピリオドオケによる演奏であることを承知でプレイボタンを押しているから、脳天逆落とし的にびっくり仰天というほどのことはない。つまりは「ああ、来たなぁ」という想定内の斬新さであり驚きだ。
それに古典的様式感や音楽表現の基本が変わっているわけではない。もちろん楽器や編成の違いはあるがそれ以上に、切るべき音をどの程度で切るか、延ばすべき音をどの程度延ばすか、アクセントの強さと深さはどうするか、クレシェンドやディクレシェンドをどのタイミングから始め終わらせるか…そうした音楽を作る上での解釈としてゆだねられる幅の内、どこで手を打つかでこれほど演奏の印象が変わるという証明でもある。当たり前のことだが、例外的な部分を除き、フォルテ指示の箇所をピアノで演奏しているわけではない。その点当初ピリオド演奏がエキセントリックな解釈のように受取られたこともあったが、今は古典的音楽表現の許容幅の中でのポジショニングという認識になっているように思う。

第1番から第9番まで、いずれもよく整ったアンサンブルと明るい音色で前へ前へと進む音楽の推進力が素晴らしい。しばしば強打されるティンパニーは雷鳴のごとく辺りの空気を一変させ、突き抜けるようなホルンは生命の飛翔を後押しするかのようだ。ベートーヴェンの交響曲中、今ではもっとも好きな曲の一つである第8番では各パートが入り組んだヘミオラやリズムの妙が実に明快に聴き取れるし、この曲独自の跳躍する音の面白さもモダンオケ以上に効果的に提示される。第3番<英雄>は重厚長大に慣れ親しんだ耳にはいささか軽量級に過ぎるかと懸念したが杞憂に終わった。第1楽章から速めのテンポでたたみかけるように進み、ティンパニや各パートのアクセントが曲にクサビを打ち込みように決まる。この演奏を聴いたあとでモダンオケの、それもやや古いスタイルの独墺系オケの演奏を聴いたら、きっとそちらの方に「なぜそれ程までに重い荷物を力ずくで引っ張っていくような演奏をするのか」と違和感を感じるだろう。また各パートがはっきり分離してそれぞれの動きがよく分かるので、モダンオケでは埋もれがちなフレーズがあちこちで顔をのぞかせ、こんなことをやっていたのかと気付かされるポイントが多々ある。そしてベートーヴェンがいかに革新的であったかもあらためて実感する。あまたあるウィーン古典派の温厚かつ予定調和的な曲があふれていた当時に、これらベートーヴェンの曲がこうした演奏で響き渡る様はさぞ刺激的で聴衆を驚かせたに違いないと、再認識させられる。


この盤の第8番の音源。例によって4分過ぎからの展開部、特に4分25秒過ぎからに注目。



以下は最近の映像で第3番の第1楽章。2008年冬シュトゥットガルト放送交響楽団との来日公演@サントリーホールと思われる。フル編成モダンオケにピリオド風の味付け。奇異なところはまったく感じない。素晴らしい解釈とそれをオケに徹底させた手腕は大したものだ。ヴァイオリンは対向配置、コントラバスはウィーンフィルのニューイヤーコンサートで見られる後方一列(高関健&群馬交響楽団でもしばしばこの配置を取っていた)。管楽器の一部とティンパニーが古楽仕様かと思う。
7分24秒;通常のモダンオケの演奏では中々聴こえないホルンのスケールで展開部の佳境に入る。弦楽群がフーガ風に短いパッセージを繰り返しながら次第に緊張を高める。7分40秒あたりからヘミオラも入って更に盛り上がり、7分56秒にティンパニーとトランペットの一撃。そして8分14秒の短二度の激しいぶつかり合いで頂点を迎える。そして8分20秒からの弦のトゥッティによる単純な音形が展開部の山場の終わりを告げるように奏され8分24秒からの木管群のメロディーへつながる。


公開リハーサルの模様。モーツァルトのピアノ協奏曲第2番。ピアノが出るところまでまずは通してオケに弾かせたあと、根掘り葉掘りが始まる。モチーフの対比を団員にはっきり認識させ、曲のコントラストを明確にしていく。



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ケンペのベートーヴェン



当地関東地方は昨日梅雨入り。きょうは朝方まで降っていた雨があがり薄曇りの一日となった。気温程々ながら湿度高く、雨の季節到来に相応しい。 さて、本日も実直堅実に業務に精励。七時ちょうどに帰宅。ひと息ついて、音盤棚を眺めていたら、棚の最上段にこんな盤を見つけて取り出した。


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ルドルフ・ケンペ(1910-1976)とミュンヘンフィルハーモニーによるベートーヴェンの交響曲全集。70年代初頭の録音。この頃ケンペは指揮者としてのピークにあって、このベートーヴェン他、ブラームスの交響曲、ブルックナーのいくつかの交響曲、リヒャルト・シュトラウスの管弦楽曲など、次々と録音を重ねていった時期にあたる。手持ちの盤は2000年に当時の廉価盤ボックスセットのラッシュをBrilliant_Classicsと競ったDisy_Classicsから出たもの。原盤はEMI。 この盤を手に入れた2000年前後はいま思うと恥ずかしいくらいに音盤を買い漁っていた。ベートーヴェンも同時期にかつての名盤が続々とボックスセットでリリースされたこともあって、我ながら完全制御不能な状況がしばらく続いた。このセットもそんな時期に手に入れたものだ。今夜は久々にボックスケースを開け、第3番変ホ長調<英雄>をプレイヤーにセットした。

第1楽章冒頭、Es_durの主和音が昨今の演奏を聴きなれた耳には驚くほど柔らかなタッチで響く。ハンマーを思い切り叩きつけるようなアインザッツが常態化している今どきの演奏の対極だ。テンポは当時の平均的な設定といったところだが、拍節のアクセントやフレーズの緩急の具合など万事が穏やかかつ中庸なためか、一聴してテンポが遅く感じられる。ミュンヘンフィルの音色も派手さはないが、録音状態は総じて良好。コントラバスの基音もしっかり聴こえてくる。 おそらく当時もそして今も、この手の演奏は「派手さのない」「滋味あふれる」「堅実な」…といった形容詞で飾られる。あの手この手を尽くし、聴き手を飽きさせまいとする演奏と比べたら、ツマンネェ~と一蹴されかねない演奏かもしれない。しかし、さすがに聴き手のこちらも馬齢を重ねたからか、この手の演奏のたくまざる奥深さ、味わい深さに十分反応できるようになった。流麗で、起伏に富み、爆発も嘆きも全開といった演奏にいささか食傷気味なった頃、こういう演奏を聴くと、飾らない昔ながらの中華そばに出会ったような感じを受ける。楽譜に忠実に、過剰な演出をさけ、調和を旨とし…そんなケンペのイメージがそのまま音になったような演奏。久々に聴いたが、心温まる英雄だった。


晩年の1975年、ストックホルムフィルとの<英雄>ライヴ。ミュンヘンフィル盤と比べ、少しテンポが遅いように感じるが、演奏全体の印象はよく似ている。


ベルリンフィルとのエグモント序曲。ケンペは50年代ベルリンフィルともいくつかの録音を残している。



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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