オーディオ  こんな装置で聴いています

若い人たちの間で車が売れてないという。大型のオーディオ機器もしかりだ。今の若い世代にとってのオーディオと言えば、iPodに代表される携帯型プレイヤーやそれらを前提にしたドックステーション、ミニコンポだろう。オシャレなインテリア男子も多い今、場所を取る無骨なオーディオ装置を部屋に設置するなんて論外か。80年代までのオーディオ全盛期を過ごしてきた我々世代から見ると万事隔世の感有りだ。
一方で、昔以上にオーディオ設備に血道を上げる輩もいて、数の上では絶滅危惧種同然ながら、そのエネルギーたるや、タダでは起きないしぶとさと執念を持っているようだ。先日買った以下の本をみると、そんな連中の激烈な熱情を感じる。オーディオ装置のために自宅に専用の電柱を立てたから始まり、大型スピーカーの箱を特注し、あまりの重さにピアノ輸送業者に搬入してもらったとか、そんな話がいっぱいだ。

田中伊佐資著『ぼくのオーディオ・ジコマン開陳』


ぼくの場合それほどのエネルギーもなく、またその源泉たる財力もない。万事ほどほどで手を打つことにしている。ほどほどの結論として、アンプ、アナログプレイヤー、CDプレイヤー、いずれも国内メーカーの量産品だ。

  プリメインアンプ ; オンキヨー製 A-927
  LPプレイヤー  ; CEC製   ST-930
  CDプレイヤー  ; オンキヨー製 C-1VL
  (  〃      ; パイオニア製 DV-610AV)
  スピーカー    ; 三菱電機製  2S-305
  (他にチューナー代わりにケンウッド製ミニコンポ;R-K700)

アンプとアナログプレイヤーは共に購入してから15年ほど経つもの。CDプレイヤーだけは比較的新しい機械だ。但し以下の写真に写っているのはパイオニア製のDVDプレイヤー;DV-610AVという1万円ちょっとの廉価機種である。実はこのパイオニアのDVDプレイヤー、中身が7桁のプライスタグが付いた某ハイエンドオーディオメーカーのプレイヤーに、ほぼそっくりそのまま使われているといういわく付きのものだ。
スピーカーは三菱電機製の2S-305というやや大型のもので、昭和30年代初期に三菱とNHKの共同開発で生まれ、30年以上の長きに渡りNHK放送局内の標準モニタースピーカーだったものだ。唯一スピーカーだけは、ややマニアックと言えなくもない。学生時代に知人宅でこの2S-305の音を聴き、当時ラジカセに毛の生えた程度の装置しか知らなかったぼくは驚愕した。以後その音が脳裏を離れず、後年中古で入手した。

現在のセットアップ  三菱電機製放送局用モニタースピーカー2S-305


こう書くと、あまりオーディオには悩まず、バカなこともせず、幸福な日々を送ってきたように思われるかもしれない。がしかし、ぼくもかつてのオーディオ全盛期に指をくわえて見ていたクチだ。多少の原資をコントロールできるようになってから、あまたの失敗をしてきた。真空管アンプも何台か作ったが、今は気分転換に時折入替えて使う程度だ。つい最近もアンプの買い換えようと、某有名ブランドの最上級機をポチッとしかけ、すんでのところで思いとどまった。

結論として、8畳のぼくの部屋にセットした装置の音は、ほぼ完全にスピーカー;2S-305の実力と個性の上に成立している。このスピーカーの音を聴くたびに、しみじみイイ音だなあと思う。これまでにヤマハ;NS-1000M、JBL;4312B、インフィニティ;Kappa8.2i、B&W;805といったスピーカーがこの部屋に持ち込まれ、2S-305との対決となったが、いずれも10秒とかからずに2S-305の勝利となったほどだ。何より目前に広がる演奏者のリアルな存在感は他を圧倒した。それでいて、オーケストラの広がりや各楽器の定位も素晴らしくいい。2S-305を使う限り、アンプやプレイヤーは、その辺の有り合わせでも、音楽を楽しむのに過不足ない。6畳以上の広さが確保できる環境なら中古の(もはや中古しか流通していないが)2S-305はスピーカー選びの最良の選択の一つだ。
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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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