スウィトナー 1978年SKB来日ライブ
連休明けのきょうは、会議・打ち合わせ3本であっという間に終わった。11月も下旬になって、通勤途中で見える、当地北関東平野部の街路樹もすっかり色付き、次第に葉を落とし始めた。会議室に入って最初の作業は、暖房用のエアコンをオンすることだ。気付けばあとひと月で年末、クリスマス、そして今年も終わる。無為に過ごして悔い無しの青春時代と違って、時間があっという間に過ぎていく。あくせくしているのに、何の進歩もない感じだ。仕方ない。

さて今夜は少し前に買った音盤から、オットマール・スウィトナーが手兵SKB;シュターツ・カペレ・ベルリン(ベルリン国立歌劇場管弦楽団)を率いて来日した1978年秋の公演ライブのCDを聴くことにした。先日の記事に書いたザンデルリンク&SKDのCD同様、FM東京が生中継放送した際の録音だ。スウィトナー・SKBのコンビは1977年にオペラ公演として初来日し、この盤の録音である1978年にはオーケストラのみでコンサートツアーとして来日した。このコンビは以降80年代も何度か来日している。
さて1978年10月25日のライブのこの盤だ。この年はぼくが大学を卒業して社会人なった年だ。その年の10月、特段の記憶もないが、多分仕事にもいくらか慣れ、給料日になってレコード屋にいき、1,2枚のレコードを買うことくらいが楽しみだったろうか。もちろんその頃スウィトナーの名前は知っていて、廉価盤で出ていたSKD;シュターツ・カペレ・ドレスデンとのEMI盤やフィリップス盤のモーツァルトは聴いていた。それは、例えばベームなどと比べるとあっさりとしていて、美しい反面強い印象のないものだった。しかし、今こうしてあらためてモーツァルトの後期交響曲の傑作3曲;第39・40・41番をひと晩のプログラムとして通して聴いてみる、当時の印象とはいささか違う。先回記事に書いたベートーベンの録音同様、弦楽の安定した響きに、管楽器がよくブレンド、コントロールされた音で、しっかり地に足の付いた印象を受ける。がしかし決して重くはなく、音楽はよく流れている。コンサートの最初の曲、第39番の第1楽章Adagioの出だしこそ少々緊張もあるのか、少しアンサンブルの乱れが散見されるが、主部に入ると調子を戻して、終始快調に進む。オケの音は、先日のザンデルリンク・SKDとの録音にも共通する音色で、よく聴くとドレスデンのオケの方が幾分明るい印象を受ける。1978年当時サントリーホールはまだなく、オーケストラ公演は東京文化会館からこの盤の収録された東京厚生年金会館、あるいは渋谷公会堂と相場が決まっていた。この演奏も会場の音響のせいか残響は少なめである。これがサントリーホールでなったら、遥かに芳醇な響きだったろう。
こうして聴くと、ベルリンフィルやウィーンフィルばかりが人気先行していた当時(今もそうか)にあって、ヨーロッパの伝統的な響き、独墺系の保守本流のオーケストラサウンドは、この東ベルリンやドレスデンのオケにこそ残っていたことを実感する。あれから30年余。新入社員だったぼくも50代半ばとなった。スウィトナーは今年の年初に亡くなった。ドイツに東も西もなくなり、オーケストラもグローバル化の波に巻き込まれ、かつての伝統的な響きも薄れてきた。30年前のリアルな録音を聴きながら、長いようで短かったこの30年に思いをはせる今宵ではある。

さて今夜は少し前に買った音盤から、オットマール・スウィトナーが手兵SKB;シュターツ・カペレ・ベルリン(ベルリン国立歌劇場管弦楽団)を率いて来日した1978年秋の公演ライブのCDを聴くことにした。先日の記事に書いたザンデルリンク&SKDのCD同様、FM東京が生中継放送した際の録音だ。スウィトナー・SKBのコンビは1977年にオペラ公演として初来日し、この盤の録音である1978年にはオーケストラのみでコンサートツアーとして来日した。このコンビは以降80年代も何度か来日している。
さて1978年10月25日のライブのこの盤だ。この年はぼくが大学を卒業して社会人なった年だ。その年の10月、特段の記憶もないが、多分仕事にもいくらか慣れ、給料日になってレコード屋にいき、1,2枚のレコードを買うことくらいが楽しみだったろうか。もちろんその頃スウィトナーの名前は知っていて、廉価盤で出ていたSKD;シュターツ・カペレ・ドレスデンとのEMI盤やフィリップス盤のモーツァルトは聴いていた。それは、例えばベームなどと比べるとあっさりとしていて、美しい反面強い印象のないものだった。しかし、今こうしてあらためてモーツァルトの後期交響曲の傑作3曲;第39・40・41番をひと晩のプログラムとして通して聴いてみる、当時の印象とはいささか違う。先回記事に書いたベートーベンの録音同様、弦楽の安定した響きに、管楽器がよくブレンド、コントロールされた音で、しっかり地に足の付いた印象を受ける。がしかし決して重くはなく、音楽はよく流れている。コンサートの最初の曲、第39番の第1楽章Adagioの出だしこそ少々緊張もあるのか、少しアンサンブルの乱れが散見されるが、主部に入ると調子を戻して、終始快調に進む。オケの音は、先日のザンデルリンク・SKDとの録音にも共通する音色で、よく聴くとドレスデンのオケの方が幾分明るい印象を受ける。1978年当時サントリーホールはまだなく、オーケストラ公演は東京文化会館からこの盤の収録された東京厚生年金会館、あるいは渋谷公会堂と相場が決まっていた。この演奏も会場の音響のせいか残響は少なめである。これがサントリーホールでなったら、遥かに芳醇な響きだったろう。
こうして聴くと、ベルリンフィルやウィーンフィルばかりが人気先行していた当時(今もそうか)にあって、ヨーロッパの伝統的な響き、独墺系の保守本流のオーケストラサウンドは、この東ベルリンやドレスデンのオケにこそ残っていたことを実感する。あれから30年余。新入社員だったぼくも50代半ばとなった。スウィトナーは今年の年初に亡くなった。ドイツに東も西もなくなり、オーケストラもグローバル化の波に巻き込まれ、かつての伝統的な響きも薄れてきた。30年前のリアルな録音を聴きながら、長いようで短かったこの30年に思いをはせる今宵ではある。