2010年聴き納め ショルティ&ロンドンフィル ホルスト「惑星」
大晦日31日、寒波到来で各地で降雪の模様だが、当地前橋はいつもの冬晴れに恵まれ、穏やかな天気だった。昨晩長い時間換気もせずにアラジンストーブを点けた部屋にこもっていたためか、朝から頭痛に見舞われ往生している。そういえば、このブログを始めた三ヶ月前も頭痛ネタで始まった。
さて、きょうも一日だらだらと過ごしたが、3時過ぎから今年の聴き納めをするべく盤を選んだ。
今年話題となった惑星探査機「はやぶさ」。その帰還がどれほど奇跡的な出来事であったか。その「はやぶさ」に思いを込めてホルストの「惑星」をショルティ盤で聴くことにした。


この盤が録音された1978年当時、ショルティはシカゴ交響楽団とのコンビで絶頂期にあった。しかしこの盤はロンドンフィルとの録音だ。もちろんショルティにとってイギリスは活動の本拠地でもあったし、Sirの称号を受けたほどだから、ロンドンフィルとの録音は他にあって不思議ではない。実のところショルティはぼくのお気に入りの指揮者というわけではないが、この盤はショルティの特性がプラスに働き、素晴らしい演奏だ。第1曲「火星」は速めのテンポでグイグイと進む。ロンドンフィルのアンサンブルも極上だ。どんなパッセージも楽々とこなし、余裕を感じさせる。時折鋭いアクセントを打ち込むあたりはいかにもショルティらしい。第2曲「金星」はショルティとは思えないほどじっくりとした歩みで、弦楽器群の美しさが耳をひく。有名な「木星」は意外にもあっさりとした表現だ。
それにしても、この横尾忠則のジャケットデザインはどうだろう。ぼくはデザインやイラストにはまったく不案内だが、この未来的な光景と幻想的なエロスが融合したジャケットは一度見たら忘れられないほど印象的だ。この光景が目前に現れ、静かにこうべを垂れてたたずむ美女と第2曲「金星」の官能的ともいえる旋律が鳴り響いたら、そのまま忘我の境地にワープしてしまいそうだ。
さて終曲、消えゆくような「海王星」の女声コーラスを聴きながら、今年1年を締めくくろうか。大過ない1年であったが、よわい五十も半ばとなって、いよいよ勤め人としても残すところ数年。以前は何ともなかったことが、異常にシンドク感じるようになった。ラストワンマイルの辛さというところだろうか。来年はどうなるか。まあ、生来のグータラ路線は変わりそうもない。
開始から三ヶ月になるこのブログを読んでくださっている数少ないみなさん、ありがとうございました。みなさまにとって、来年もよい年でありますように。また年明けの更新でお会いしましょう。


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