フレデリック・ジガンテ ジュリアーニ;ロッシニアーナを弾く


しばらくギターの記事を書いていなかった。今夜は久々にギターのアルバムをセットした。イタリア人のフレデリック・ジガンテが弾くジュリアーニの作品集だ。ARTSレーベルの廉価盤で数年間に入手した。クラシックギター愛好者にはお馴染みのマウロ・ジュリアーニは、同じイタリア人作曲家ロッシーニのオペラ作品を題材にした作品を多数残した。この2枚組にはロッシニアーナ第1番から第6番、その他に変奏曲が3曲収められている。そして、このジガンテという奏者が中々素晴らしいのだ。


フレデリック・ジガンテ ジュリアーニ ロッシニアーナ第1~6番他


クラシックギターはその名の通り、クラシック音楽をベースにした演奏形式を基本としている。特に18世紀から19世紀にかけて、この盤のジュリアーニや、スペイン生まれでパリで活躍したフェルディナンド・ソルなどが古典的様式の曲をたくさん残し、今でもクラシックギター愛好家のよいレパートリーになっている。ジュリアーニの作品はイタリア人らしい明るい曲想とギターの華やかな技巧が特徴で、このロッシーニの主題を用いた一連の曲も、ギターの特徴的な奏法、アルペジオや跳躍的な音階を駆使し、古典的な調性感や展開手法で曲を構成している。
ジュリアーニのロッシニアーナを聴いていると、音色こそ紛れもないギターなのだが、ちょっと耳をだまして聴くと、古典的な弦楽四重奏のように聴いてくる。ギターの多彩な表現力や音色の魅力を称して、ギターは小さなオーケストラだと称したのは、かのベートーヴェンだが、ジュリアーニやソルの少し大きめの曲を聴いていると、オーケストラは少々リップサービスにしても、弦楽四重奏ほどのイメージは十分感じる。多分これらのギター曲をクァルテットに編曲しても十分鑑賞に耐えるだろう。ジガンテの演奏は、その古典的様式感をしっかり表現して素晴らしい。またジュリアーニの技巧に満ちた展開もよくコントロールされた弾きぶりで完璧だ。こうした演奏ならギター愛好家ならずとも、一般のクラシックファンにも十分楽しんでもらえるだろう。

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ソニー・スティットのアルトサックス ハチャトゥリアン 仮面舞踏会 10インチ盤で


寒波連続到来で寒い一日。いつもなら「それでも当地は陽射しに恵まれ」と書くところだが、きょうは上越国境を越えてきた雪雲が平野部にまで少し進軍し、曇りがちだった。どうやら今夜から明日に早朝にかけて太平洋側でも降雪の予報だ。


ソニー・スティットのアルバム2題


朝から部屋の暖房を入れて寒さをしのぎ、昼をはさんで散髪へ。そのあと夕方前後まで、軽めのジャズを何枚か聴いていた。ジャズファンには説明不要だろうが、写真の盤はサックス奏者ソニー・スティットのアルバムだ。10年程前に会社のジャズ好きの仲間から薦められて聴いてみた。ぼくがサックスに期待する音や曲の運びがそのまま出てきて一度でファンになった。手元にLP・CD取り合わせて何枚かあるが、写真の2枚、Tune-Up!とクィーシジョーンズのバンドをバックにしたソロアルバムを時々聴く。よく通るアルトサックスの音色、バラードでの歌心やアップテンポでのよどみなくメロディアスなフレーズ、いずれも心地よく、この盤をかけると昼下がりの拙宅の部屋がそのままジャズ喫茶になる気分だ。


このブログをスタートさせるとき、いずれは自分のギター演奏をブログにアップしたいと考えていたが、撮影用にデジカメを買い換えようか、そもそも何を弾く?練習は?と中々実行に移せずにいる。少しでも前に進むために、手元にある5年物の古いデジカメでテスト撮影をしてみた。といってもギター演奏ではないのだが…画質も音質も感心できるものではないが、まあテストということで。曲はハチャトゥリアン;仮面舞踏会のワルツ。コンドラシン指揮RCA響の演奏。ちょっと珍しい10インチ盤(マニア連中はトー・インチ呼びます)のLPで聴いている気分が伝わるだろうか。



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夜更けて聴く音楽 シュタルケル ドヴォルザーク チェロ協奏曲


明日は日曜という晩。公私とも思い悩むことはもちろんあるのだが、まずは横に置いておき、土曜の夜を過ごす。夜に聴く音楽は…とふと考えた。あまり激しない音楽、軽いジャズ、落ち着いた声のボーカル。ぼくはヘッドフォン派ではないので、深夜でも通常はスピーカーから音を出す。だから音量はあまり上げられない。音量が上げられないから、大規模な曲はダメかというと、そんなこともない。マーラーの交響曲やワグナーの楽劇を深夜に絞り気味の音量で聴くのは実に味わい深い。ブラームスやドヴォルザークもよく聴く。一方、ベートーヴェンやモーツァルト曲を深夜に聴くことは多くはない。やはり夜に聴く曲は、夜という時間の持つ意味からしてもロマン派以降の曲なのだろうか。そんな中、今夜選んだドヴォルザークのチェロ協奏曲もぼくの深夜リスニング定番曲の一つだ。


ドヴォルザーク チェロ協奏曲 シュタルケル&ドラティ盤


あまたあるドヴォルザークのチェロ協奏曲の名演。手元にも何枚かの盤があるが、このところよく聴くのが、このシュタルケル&ドラティ盤だ。ハンガリー生まれのヤーノッシュ・シュタルケルは10歳になる前から天才ぶりを示したといわれ、その後アメリカへ渡り、デトロイトやシカゴのオーケストラの主席奏者も務めた。このドラティと盤は1962年、彼が40歳代を目前にした、もっとも充実していた時期の録音だ。シュタルケルというと例のコダーイ無伴奏チェロの有名な録音の印象が強く、無類の技巧派で、ともかく何でもバリバリ弾くようにイメージしがちだが、このドヴォルザークではそういうイメージはない。もちろん技巧的には完璧で余裕をもってこの難曲を涼しい顔で正確に弾き切っているのだが、決して激することもないし、大見得を切るような解釈もない。むしろ彼の力量からしたら、すべて抑制を効かせて弾いているように感じる。それほどすべてが自然だ。この曲は全楽章、憧れと郷愁に満ちた美しい旋律にあふれているが、その一つ一つを丁寧に弾き進めている。第2楽章後半のオケとの掛け合い、終楽章の独奏ヴァイオリンとの併奏部分など、控えめながら説得力のある表現だ。オケの主席奏者としての経験が十分にある彼の特質なのかもしれないが、オケと一体になって音楽を進めているのがよく感じ取れる。バックを務めるドラティ指揮のロンドン交響楽団も申し分ないサポートぶりで、例えば第1楽章の第1主題と第2主題の受け渡しなど、実に巧みだ。録音も米マーキュリーのクリアかつ自然な音作りで、今聴いてもまったく色あせていない。併録されているコル・ニドライやチャイコフスキーのロココバリエーションも文句なく素晴らしい。
夜のしじまに静かに聴く、ロマン派のチェロと管弦楽。音楽を聴く喜びをしみじみと感じる。

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譜面台 ウィットナー製 961d 月刊Pen2月号「美しい女たち」 他


相変わらず当地北関東の前橋は冬晴れ・乾燥の日々が続いている。結局のところ今年の冬は寒い冬のようだ。例のラニーニャ現象の影響らしく、このあとも比較的低温傾向だそうだ。
さて週末。さすがに5日間連続のロシア音楽で取りあえずおなかいっぱいだ。別の話にしよう。


◇ 譜面台到着
先日、ネットで注文していた譜面台が届いた。ドイツ;ウィットナー社製の961dというモデル。コンパクトな譜面台の定番といってよい。鉄製なので少々重いが、ドイツ製らしく飾り気のないデザインとシンプルな構造で好感が持てる。これまで使っていたのは、アリア製AMS-100というアルミ製のモデル。それこそ指先で持ち上げられるほど軽いし、機能的にもよく出来た譜面台だったが、三脚部を開いて固定する部分が弱く、ネジを少し強く締めると、樹脂部分が簡単に破損してしまうという欠点があった。ぼくは同じ故障で2本ダメにした。1度目は購入してまもなくだったので販売店が新品交換してくれたが、今回はもう2年も経っているし、改善される見込みもなさそうなので、あきらめてアリア製はやめることにした。ウィットナー社の製品ではメトロノームも人気で、ぼくも写真の木製メトロノームを愛用している。


ウィットナー社製 譜面台 961d   ウィットナー社製 メトロノーム


◇ 雑誌他
近所のショッピングモールに入っている本屋で写真の2冊を購入した。

雑誌2題


まずは「クラシックCD20世紀の遺産;探訪・1950~1999年」。CDのセールスが振るわない、若い世代はネット配信に移行、といった話を聞くが、クラシックでもポップスでも、熱心なファンは形のあるディスクを手にしたくなるだろう。この手の案内書は何年かおきに更新されたものが発売されるので、ぼくも何冊か手元においている。ロックファンが60~70年代のロックを崇拝するように、クラシックファンの中にも、味わい深い演奏は60年代までいう人も多い。ぼくの手元の盤も昔買ったのはほとんどが50年代後半から70年代初頭の廉価盤だし、新譜CDを買うことは滅多にない。実際HMVやタワーレコードのサイトを賑やかしているアイテムには、新譜よりも50~70年代の演奏を集めたボックスセットが多い。そしてついついクラッときて買ってしまう。
もう1冊、月刊Pen2月号「保存版1冊まるごと美しい女たち」。こちらはついついクラッとどころではない。いきなり倒れながらレジに持っていった。「美しい女たち」だけではない、1冊まるごと、しかも保存版だ。倒れるでしょうよ…ねえ。多くは語らず。書店でご覧下さい。あっ、この本、女性にもお薦めです。

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オーケストラアンサンブル金沢 ジュリアン・ユー編 組曲「展覧会の絵」


昨晩アップしたつもりだった記事が公開されていないことに気付いた。きょうの分と併せて更新・公開することにしよう。
ところで先週のこと、一日で拍手を20件もいただいた。それまではポツポツいうレベルだったので驚いた。ある記事にまとめて拍手があったのではなく、これまでの記事に万遍なく入っていた。多分ある方がこのブログにやっていきて過去の記事をさかのぼって読みながら、拍手をしてくれたのだろう。いずこの方かはわかないが、感謝感謝。ありがとうございます(よろしければコメントをぜひ)。

さて<成り行きロシアンウィーク>の四日目。今夜はロシアの作品中、もっとも知名度、人気とも高い曲の一つと思われるムソルグスキー作曲の組曲「展覧会の絵」を聴くことにしよう。手元にある同曲の盤を並べてみた(写真右)。この曲は一般的には、オリジナルのピアノ独奏と、それをラヴェルが管弦楽に編曲したものが有名だが、他にもたくさんのアレンジがある。手元にあるものでは、比較的有名な指揮者ストコフスキーによるもの、ピアニストでもあり指揮者でもあるアシュケナージのよるもの、畑は違うがプログレシヴ・ロックの雄;エマーソン・レイク・アンド・パーマー(ELP)によるものなど、それとメジャーなラヴェル編では、トスカニーニ盤、アンセルメ盤、ジュリーニ&シカゴ響盤、スラットキン&セントルイス響盤、チェリビダッケ&ミュンヘンフィル盤、アンチェル&チェコフィル盤、インバル&フランクフルト放響盤などがあった。実はきょうはそのどれでもなく、1957年北京生まれでオーストラリア在住の中国人作曲家ジュリアン・ユーの編曲を岩城宏之指揮のオーケストラアンサンブル金沢(OEK)が演奏している盤を取り出した。この編曲はOEKの音楽監督だった岩城宏之が企画し、このコンビによって日本初演された。


オーケストラアンサンブル金沢 ジュリアン・リー編 展覧会の絵   手持ちの「展覧会の絵」アレコレ


この盤は実に面白い。久々に新鮮な「展覧会の絵」を聴く思いだ。ストコフスキー版もアシュケナージ版もオーケストラの編成としてはラヴェル版と変わらない現代のフルオーケストラを前提しているので、個々のアレンジに違いはあっても、トータルとしての響きの印象はラヴェル版を大きくは変わらない。ところがこのジュリアン・ユー版は、オケの編成からしてまったく斬新だ。ブックレットの写真からすると弦や管は各パート1名、総勢十数名といったところか。ともかく編成が小さい。一方打楽器は豊富で、ヴィブラフォン、チャレスタ、グロッケンシュピール他、中国音楽に使われるような見慣れないドラの類もある。

曲はラヴェル編同様、プロムナードをはさみながら進行する。最初のプロムナードはヴィオラのソロで始まり、小編成による透明で浸透感のある響きが実に新鮮だ。またオケとしての運動性能もより高まるので、速いテンポの曲でも音がダンゴにならず曲の骨格がよくわかる。随所にラヴェル編にはないパッセージや、中国風の響きも入っていて、一聴して現代音楽風の手法も聴かれ、30分余りをまったく飽きずに新鮮な驚きと共感をもって楽しめる。更にこの盤はすこぶる音がいい。OEKの本拠地、金沢駅前の石川県立音楽堂での録音だが、小編成の個々の楽器が一つ一つ指差せるように明瞭に録られ、かつ全体としての響きのよさ、音圧感、迫力も申し分ない。音楽監督だった岩城宏之が生前、石川県立音楽堂の響きは世界で一、二を競うレベルだと言っていたのを思い出す。この盤を聴くとそれもうなづける。ラヴェル編に食傷気味の方には強力プッシュの1枚だ。併録されているプロコフィエフの古典交響曲も、オーソドクスな中にもOEKらしいクリアな響きが随所にあふれ、素晴らしく見通しよい演奏だ。

それにしてもこのジャケット写真の岩城宏之の笑顔。ぼくにとっては40年前、高校時代に居間にあった白黒16インチ画面で見ていたN響アワー以来、もっとも親近感のある指揮者の1人だった。早いもので2006年6月に亡くなってからやがて5年になる。

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中央アジアLove イッポリトフ=イワノフ 組曲「コーカサスの風景」


一昨日からの成り行きで今週はロシアンウィークにしよう。
ぼくはロシアの歴史も地理もまったく不案内なのだが、なぜかロシアには心ひかれるところがある。ロシアも帝政ロシア、ソ連、ソ連崩壊後と様々なので、どう言ったら正確なのか分からないのだが、一言で言えば「中央アジア」とも言うべきエリアに妙にひかれる。シルクロードの延長線の中国北西部から中東北部、カスピ海周辺といった辺りだ。少し前に写真の本を入手して時折眺めている。もしかすると原体験として中学校の音楽の授業で聴いたボロディン作曲の交響詩「中央アジアの平原にて」があるかもしれない。当時その曲想が心に残り、駱駝を連ねた隊商やオアシスなど、エキゾチックな光景を想像しながら聴いたものだ。きょうの盤、組曲「コーカサスの風景」はその名の通り、コーカサス地方の民謡や土地の光景をモチーフにロシア近代の作曲家イッポリトフ=イワノフが1895年に管弦楽作品として発表した。


イッポリトフ=イワノフ作曲 組曲「コーカサスの風景」他   平凡社刊 「中央ユーラシアを知る事典」


曲は以下の4つからなる(こちらで試聴も)。
 第1曲;峡谷にて 第2曲;村にて 第3曲;モスクにて 第4曲;酋長の行列
オーケストラの編成は各種打楽器や木管群も持ち替えでピッコロやコールアングレなどが入る大規模なもので、イワノフとしては色彩的な表現を狙ったのだろう。第1曲ではホルンや弦楽群によって峡谷や川の流れが雄大に表現される。第2曲のやや低い音域のコールアングレとヴィオラによって奏され、中間部ではオリエンタルな雰囲気のリズムを伴った哀愁に満ちたメロディーが印象的だ。弦楽器を一切使わず、木管楽器群と打楽器で奏される第3曲は平和な祈りの調べか。終曲「酋長の行列」はこの組曲で最も有名で、単独で演奏されることも多い。第1曲から第3曲までの比べメロディーが明確かつ印象的で、ピッコロで奏される主題は一度聴いたら忘れないだろう。この行進曲を聴いていると、古くから伝わる有名なオスマントルコ軍の行進曲を思い出す。通じるものがあるのだろう。
このナクソス盤では一昨日のカリンニコフの交響曲でも演奏していたウクライナ交響楽団をアーサー・フェイゲンという指揮者が振っている。1995年の録音で、音質もカリンニコフ盤同様少々残響が多めだが、ぼく自身はよい録音だと思う。特に第4曲「酋長の行列」では、終始ゆったりとした遅めのテンポでスケール大きな曲の運びが素晴らしい。
この盤には同名の第2組曲のほか、イワノフの他の管弦楽作品も併録されている。第2組曲の終曲「グルジア行進曲」は「酋長の行列」に劣らず壮大なマーチだ。作品62の「トルコの断章」もエキゾチックで印象的なメロディに満ち、オリエンタルムードが漂う佳曲だ。

今朝通勤の車中でラジオを聴いていたら、モスクワの国際空港で自爆テロが発生し、多数の死傷者が出たとのこと。背景には中央アジア地区の民族争いがあるようだ。この曲やボロディン「中央アジアの平原にて」でイメージする、広大で悠久で平和的な光景はもうないのかもしれない。

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チャイコフスキー 交響曲第1番 冬の日の幻想

チャイコフスキー 交響曲第1番 冬の日の幻想

週明けのきょう、野暮用があって会社を休む。昼過ぎには用件は終わり帰宅した。
夕方テレビを見ていたら、年明けからは平年を下回る気温の日が多く、寒い冬になっていると報じていた。極上の「メタボコート」を羽織っているぼくにしても、確かに昨年と比べ1枚多く着ている感覚がある。平均気温はだいたい立春まで下がり続けるので、あと1、2週間が寒さのピークだろうか。

さて昨晩、冬に相応しいロシア物としてカリンニコフのシンフォニーを聴いたが、今夜はロシア物の本命ともいうべきチャイコフスキーを聴こう。チャイコフスキーの6曲ある番号付き交響曲のうち、今夜選んだのはその第1番だ。「冬の日の幻想」という標題が付けられている。有名な4番から6番に比べると演奏される機会も録音も少ないのだが、ぼくは4番以降と同じくらいこの第1番が好きだ。まずチャイコフスキー自身が付けたという「冬の日の幻想」というタイトルからして、ロシアの凍てついた冬をイメージさせ、冬が好きなぼくなどはそれだけで惹かれてしまう。


チャイコフスキー 交響曲第1番 冬の日の幻想


第1楽章は低弦の半音階進行風のモチーフが印象的で、民謡風の第1主題の後ろで常にこのモチーフがうごめく。クラリネットによる第2主題は実にチャイコフスキー風の、憧れに満ちた切々としたメロディーだ。第2楽章は彼が書いたアダージョ楽章の中でももっとも美しいものの一つだろう。弱音器を付けたヴァイオリンで奏される哀愁あふれる主題が木管、チェロと引き継がれながら気分をかえて繰り返される。その都度にオーケストラの持つ多様な音色に心惹かれる。第3楽章はドヴォルザークの交響曲のスケルツォ楽章を思わせるスラブ風のリズムが印象的だ。終楽章はそれまでの3つの楽章に比べると空気が一変したかのような明るさと大らかさで、少々チャイコフスキーのお定まりの展開と言えなくもない。

写真の盤はナクソスから出ているもので、ポーランド国立放送交響楽団をエイドリアン・リーパーというイギリスの指揮者が振っている。この演奏が中々拾い物だった。昨日のカリンニコフの録音同様、少々残響が多めだが、多分現地のホールの響きに近いのだろう。第1楽章で重要な役割を負う低弦群の響きや定位もよく、木管群もブレンドされた響きだ。演奏そのものもチャイコフスキーとしては洗練された曲の運びで、金管が過度に鳴り渡ることもなく、オケ全体の響きが豊かなホールトーンと共に部屋にあふれて、心地よいことこの上ない。今夜久々にこの盤を聴いて、あらためて感心した。
ロシア物の管弦楽を楽しむのも冬の風情に一つか。寒さはまだ続きそうだ。もうしばらくの間、荒涼としたシベリアの大地や美しいサンクトペテルブルクの街並みに思いを馳せながらロシア物を聴こうか。

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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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