Not マイ・ギター <その2> ホセ・ラミレス2世 1935年作
先日の記事で紹介したスウェーデン・リュートに続き、きょうはスペインギターの伝統を背負って立つ、ホセラミレス工房の二代目、ホセ・ラミレス2世のギターを紹介したい。これも旧友Y所有のもので、しばらく前から借りてポロポロと弾いている。




ラミレスについてぼくが改めて紹介する必要もないだろう。スペイン、中でもマドリッド派と称する系譜の中心を引き継ぐ家系であり工房である。特にラミレス3世になった1960年代以降、伝統的な製作手法に様々革新的試みを加えて、コンサート使用に耐えるギターの量産化に成功した。その結果、それまでとは比較にならない数量のギターを作り、世界中に広めた。ぼくもその時代の典型的なラミレスを昨年手に入れ、その音を楽しんでいる。きょう紹介するのは、その3世の先代、ホセ・ラミレス2世のギターだ。
ラベルには製作年1935年とある。戦前日本に数台のラミレス2世が初めて輸入されたと記録にあるのだが、そのうちの1本と思われる。弦長は655mm。表板はスプルース。横・裏板はウォールナットだろうか。手にして最初の印象が『軽い』。音は反応がよく澄んだ高音と、楽器全体が鳴り響くような低いウルフトーンを伴った低音がよくマッチングしている。そして年月を経た楽器のみが持つ、独特の深みと無理のない鳴り方が素晴らしい。軽く作られ、軽やかに音が立ち上がり、楽器全体が自然に鳴る…こうした音の傾向は、サントスをはじめ、古い時代のスペイン名器が持つ特徴だろう。どんな曲を弾いても力まずに弾け、簡単なエチュードと弾いていも、音色の妙で楽しませてくれる。このラミレス2世を弾いたあと、息子の3世時代のラミレスと手に取ると、これが同じギターかと思うほど、まったく異なる印象を受ける。こういう楽器を一度弾くと、今の時代の新しい、しかも新品の楽器に魅力を感じなくなってしまう。ヴァイオリンの名器は300年を経た今をピークに鳴っているが、ギターもやはり年月を積み重ね、40年以上を経過する頃から、材料が程よく枯れて、反応がよくかつ深みのある音が出てくるように感じる。こんな楽器を1本、手元に置きたいものだ。
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