ギター編 バッハ;シャコンヌの名演


旧友Y氏から、YouTubeで素晴らしい演奏を見つけたとメールが届いた。アイランドのギタリスト;ジョン・フィーリーの弾くバッハ;シャコンヌの演奏だ。シャコンヌは言わずと知れたヴァイオリンの名曲。もちろん無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番として組曲全部を演奏されることが多いが、終曲のシャコンヌだけが単独で取り上げられることも少なくない。原曲のヴァイオリン版のほか、ピアノや管弦楽など、様々な形式で編曲されている。取り分けクラシックギターにおいてはアンドレス・セゴヴィアがこの曲を取り上げ、近代クラシックギターの存在価値を広く知らしめ、高めたとされ、プロ・アマ問わず、この曲はギター弾きにとっては大きな存在となっている。


<手持ちのバッハ;無伴奏VnのCD>             <セゴヴィア編シャコンヌの楽譜>
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このYouTubeの演奏者;ジョン・フィーリーの名は初めて聞いた。画面で見る限り相応の中年の様子だ。この演奏を聴いて何を感じるだろうか。ぼくがいたく感心し、これをギター版シャコンヌの名演と納得したのは以下の理由からだ。旧友Y氏も同様の感想だったようだ。

 (1) 微動だにしない拍節感
 (2) 明確な付点の音価
 (3) 整った古典的様式感と適切なアーティキュレーション
 (4) 曖昧なスラーやポルタメントの排除
 (5) 安易なギター的ポジショニングの排除
 (6) ギター本来の美しい音色

(1)から(3)は、バッハ以降ウィーン古典派に至るまで、西洋クラシックの演奏にはまず最初に必要なことであるが、ギター弾きはプロ・アマ問わずここに意識が向いていない演奏が多い。(4)(5)は、とかくギター的な効果や音色を求めるあまり、スケールであろうと和音のつながりであろうと、ギター的に、つまりギターで弾きやすいように変形し、本来の音形が持つ意味を台無しにてしまっているケースが多い。このフィーリーの弾くバッハは、いわゆるギター的な効果やメリットを極力排除し、本来の音形の持つ意味と効果に注力しているように思う。しかしそれならギターでなくてもいいではないかと言われそうだが、そこはギターの持つ美しい音色を素直に出し切っているから素晴らしい。
YouTubeには彼が弾く同じくバッハのチェロ組曲や、初期ロマン派のメルツの二重奏などの演奏もアップされている。いずれも聴き応え十分だ。終止落ち着いた弾きぶりながら、途中速いスケールをノン・スラーで弾き切るとき、口元に緊張が走るのが見て取れる。もう少しゆったりとしたゆるめの、ロマン派的解釈に寄ったシャコンヌを良しとする向きもあるだろうし、ぼくもそれを否定はしない。がしかし、今どき襟は正したくなるような、こうした演奏は貴重だろう。





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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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