ハイドン ホルン協奏曲・フルート協奏曲


三連休最後の日曜日。朝から好天。窓からは乾いた気持ちのいい風。つい一週間前までの夏の湿気と暑さを伴った天気が嘘のようだ。こんな朝は古典期の管楽器のコンチェルトが聴きたくなる。特に、青空に突き抜けていくように響くホルンの協奏曲などは最高だ。定番のモーツァルトのホルン協奏曲はもちろんいいが、今朝レコード棚を眺めていたら、ちょっ珍しいハイドンの作品があったので聴くことにした。


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この盤、70年代に人気の高かったコレギウム・アウレウム合奏団による演奏でハイドンのホルン協奏曲ニ長調(原題ではホルンと2本のオーボエのための協奏曲)とフルート協奏曲ニ長調の2曲が入っている。ホルンはエーリッヒ・ペンチェルという奏者、フルート(トラヴェルスフレーテ)はお馴染みのハンス・マルティン・リンデが吹いている。
100曲以上の交響曲を始め、弦楽四重奏、ピアノ曲など多作で知られるハイドンだが、実はホルン協奏曲はわずか4曲、フルート協奏曲にいたってはわずか2曲、しかもハイドンによる自筆譜が残っているのはそのうちの一部だそうだ。この盤のホルン協奏曲は真作、フルート協奏曲は同時代のレオポルド・ホフマンの作とのこと。しかし、学究目的でも、『ハイドン命』でもないので、ここはうるさいことは言わず、この時代、ウィーン古典派の整った響きを楽しもう。
いずれの曲も古典の様式感をもった3楽章からなり、ソナタとしての形式もしっかり踏んでいる。どちらの曲も独奏楽器の扱いは比較的穏やか、すわなちあまりに技巧的なパッセージや合奏から独立した扱いはない。ホルン協奏曲では第1ヴァイオリンとのユニゾンも多い。もともとコルノ・ダ・カッチャのために書かれているようなので、使える音にも限りがあったのだろう。フルート協奏曲もモーツァルトのような華麗な独奏パートはない。献呈した貴族の子息の練習には最適なレベルだったのかもしれない。それでも時折短調に転調にして陰りもみせる。コレギウム・アウレウムの弦楽合奏も明るく、伸びやかに、よく歌う。録音もアナログ全盛期の名録音で素晴らしい。最近この団の録音の一部がまとまって復刻された。


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クリスティーヌ・ワレフスカ 奇跡の2010年来日ライヴ


今夜は先週末に買ったCDの中からクリスティーヌ・ワレフスカのアルバムを取り出した。
クリスティーヌ・ワレフスカ。70年代前半に名前だけ聞いた記憶はある。しかし当時まだ学生で、クラシックは聴き始めていたものの、ろくにレコードなど買えない時期。その女性チェリストの演奏やその後の活躍については、まったく知ることもなく過ぎた。それはぼくだけなく、日本の多くの音楽ファンも同様だった。そのワレフスカが様々の経緯があって昨年2010年に35年ぶりに来日した。この盤は、その奇跡ともいわれた来日公演のうち、2010年6月5日上野学園石橋メモリアルホールでのリサイタルを収めたCDだ。

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実はこのCDに収録された2010年6月5日の演奏会はNHKFMで中継され、ぼくはたまたま会社帰りの車中でそれを聴いていた。クリスティーヌ・ワレフスカについて簡単な紹介があったあと、バッハのアリオーソが始まった。そのときのことはよく覚えていた。車中で聴くFM放送。決して上等とはいえない車のオーディオセットから流れる音楽ではあったが、バッハでの呼吸の深さ、構えの大きさが実に印象的だった。このCDを聴き、1年前の記憶が蘇ってきた。大きなフレージング、伸びやかな音。素晴らしいチェロの響きだ。

バッハのあと、ブラームスのソナタ1番が続く。出だしの低弦から繰り出される深く重い主題、そしてそれに続く高音域での応答。ブラームスらしい重厚さと若い時期の作品ゆえの燃え立つような曲想が交錯する。ワレフスカのチェロはまったく過不足なく曲を進める。取り分け低音弦での深いボーイングが印象的だ。この日の演奏会後半には、ボロニーニの「チェロの祈り」、ピアソラの「アディオス・ノニーノ」といった、現在彼女がホームとして活躍しているアルゼンチンの作曲家の作品が続く。いずれもチェロの雄弁な音色にラテンの秘めた熱情を込めた素晴らしい演奏だ。そして最後はショパンの「序奏と華麗なるポロネーズ」「チェロソナタ」で締めくくられる。またこの盤では、伴奏をつとめる福原彰美のピアノがまた素晴らしい。バッハのアリオーソなど、アダージョのテンポとワレフスカの大きなフレージングにも、ピタリと縦の線を合わせている。ブラームスやショパンのソナタでもときに雄弁にピアノを歌わせている。

彼女の来日がなぜ奇跡なのか、なぜこれほどの奏者がメジャーな世界から離れているたのか、そうしたことの背景・顛末についていは、2010年来日に際して作られたサイト、あるいはこのCDの解説を書いている竹内貴久雄氏のサイトを参照されたい。

来日公演での最後を飾ったショパンのチェロソナタを弾いている動画があったので、第3楽章アダージョの部分を貼っておく。う~ん、残念ながらピアノがいささか凡庸か。





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閑話休題…デジカメ・音盤・蚊取線香入れ


本日、音盤ブログはお休み。身辺雑事、物欲近況を少々。

このブログにのせる写真は、少し前までは富士フィルムのF10という6年ほど前に買ったカメラを使っていた。その後この春にiPhone4を手にしてからは手軽さもあって、もっぱらiPhone4のカメラで撮影。特別カメラ道楽でもないのだが、最新のデジカメにも興味を持っていた。アレコレ物色していたものの、これといって購入の決め手を欠いていたが、最近ようやく新しいカメラを手に入れた。選んだのはリコーのGRD3というモデル。発売から2年を経過し、近々(来週にも発表との噂)新しいモデルが出るようで、値段も一時期の半額ほどで最終セール中だった。ネットでの評判をみると、いずこでも絶賛されている。広角28mmの単焦点。手ぶれ防止もハイビジョン動画撮影機能もない。今どきのカメラとしてはいささか簡素に過ぎるモデルだ。まだろくろくシャッターを切っていないのだが、使い勝手はいい。少し気の効いたスナップが撮れたら、このブログでお披露目しましょう。


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さてきょうの日曜日。昼から野暮用に引っ掛けて、隣り町の高崎まで出かけた。いつものように駅近くのタワーレコードで音盤物色。先月ちょこ買いしたばかりなので、釣果無しで帰ろうかとも思ったのだが、せっかく来たのだからと、写真の数枚を購入。まずネヴィル・マリナーと彼の手兵;アカデミー室内管弦楽団他によるハイドンのミサやオラトリオなど声楽入りの曲を集めた10枚入りのボックスセット。それと昨年来日して話題になったチェロのクリスティーヌ・ワレフスカの来日ライヴの1枚。更にジャズボーカルのコーナーから、以前ジャケ買いしたニッキ・パロットのセカンドアルバムと、最近人気だというニコル・ヘンリーのアルバムを選んだ。きょうはちょっと大人買いでした。


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さて、もう1アイテム。
タワーレコードから歩いて数分のところにある雑貨屋で選んだ品。最近は出番の少なくなった蚊取線香の入れ物。日本的伝統に従えば、焼き物で出来たブタ型のものになるのだろうが、どこか懐かしい雰囲気が目を引いて選んでみた。雑貨店の店主の話では、入荷するとすぐに売れてしまう人気商品とか。東南アジアのどこかで作られているようなブリキ製で、その辺りの雰囲気が夏の蚊取線香には似合っているかと…

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さて週末も終わり、明日からまた一週間がスタート。メタボな身体にムチ打って頑張りましょうかね。ふ~っ!


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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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