きょうの当地群馬県南部は寒いながらも陽射しにも恵まれ穏やかな一日だった。朝ちょっと用足しで近所のショッピングセンターに行くと早い時間から買い物客で混雑していた。きょうは大晦日。格別の感慨もないが、静かに行く年を惜しみましょうかね。さて本年の述懐。きのうの<六弦編>に続いてきょうは<音曲編>を。
実のところCDやレコードの新規購入は年々少なくなってきた。今年買った盤も数えるほどだ。そもそもまともに聴いていない手持ちの盤も多いし、話題の盤を追いかける気分にもならず、限られた盤を繰り返し聴き、ときどき今まで未開拓だったジャンルに手を染める程度だ。さて今年よく聴いた盤はどれかを棚を見回して並べてみた。

<ピアノ曲>
若い頃はオーケストラ作品ばかりを聴き、ピアノ曲にはまったく興味がなかったが、これも加齢のせいか近年はよくピアノ曲を聴く。マレイ・ペライアの弾くバッハは昨年もよく聴き、今年は新しい盤が1枚増えた。中庸をいく解釈と素晴らしい録音で安心して現代のバッハを楽しめる。グールドのボックスセットは折にふれ何を聴くか迷った晩によく手を伸ばした。彼のバッハだけでなく、モーツァルト演奏の素晴らしさも再認識した。
<近代ラテン系>
モンポウ、レスピーギ、トゥリーナといった近代ラテン系作品(それもややマイナーな)は、最近になってよく聴くようになった。多くのラテン系作家がフランスで学んでいることもあって民族色はほどほどに抑えられ、フランス近代の軽みと洒脱さを合わせもった曲が多い。このジャンルはこれからもう少し聴き進めたい。
<管弦楽>
オーケストラ曲では昨年からの続きでハイドンの交響曲をよく聴いた。全104曲のボックスセットを買ったのはもう8年も前のことだが飽きずに聴いている。つい最近ハイドンのオラトリオやミサ曲を集めたセットを手に入れ、これも通勤の車中で聴き通した。そのほかは、9月に亡くなったクルト・ザンデルリングやオットマール・スウィットナー、クラウス・テンシュテットなどメジャー路線からやや外れたものの実力ピカイチの物故した指揮者達の盤を繰り返し聴いた。いずれも独墺系の重心の低い音楽作りをする素晴らしい指揮者だった。
<ギター>
10枚組の格安ボックスセットが出たこともあって、ジュリアン・ブリームのギターを久々にまとめて聴いた。60年代から70年代のスタンダードのギター演奏を再認識。近年のクラシックギターは19世紀以来の西洋音楽の流れに位置する曲のプレゼンスがやや薄れ、現代風の楽曲、それもほとんどポップスやフュージョンテイストのものが人気を得ている。クラシックギターの「クラシック」という文字は早晩無くなってしまうかもしれない。
<その他>
ジャズも各社が廉価盤をせっせと出すので、買いぞびれていた50年代の名盤をいくつか買った。他には平賀マリカ他『ジャケ買い』を少々。由紀さおりのブレイクはファンとしては今後のシリーズに期待が高まる。昭和歌謡をたっぷり歌ってほしいものだ。
…と、こうして回顧してみたが、中身の薄い実に体たらくの音盤ライフだ。以前の記事にも書いたが、三千枚を越える手持ちの盤を百枚程度にリストラし、あとはFM放送から流れる音楽をそのときどきで聴いて楽しむというスタイルにしようかと思案している。それを実行に移せないのは、まだいささかの物欲が残っているせいだろうか。
あと数時間で今年も終わり。
このブログへのアクセスはこのところ一日60~80。『拍手』も少なくなったなあと思っていると、ときどき一日で何十もの拍手が入ることもあった。10月には一時FC2ブログのクラシック音楽鑑賞のランキングで一位になったこともあった。そんなこんなのこの一年。さて最後を何で締めくくろうかと考えたが、ベートーヴェンの第九交響曲の三楽章にするかどうしようかと悩んだ末、これも広義の音曲、落語「芝浜」の音源を貼って今年最後に記事を閉じることにする。先日亡くなった立川談志の名演も捨てがたいが、ここはひとつすっきり明るく口跡のいい志ん朝の音源でゆく年を送ろう。
この一年ときに応じて駄文にお付き合いただいたみなさんに感謝いたします。
ありがとうございました。よいお年を。
こちらは絵付きです。
http://www.woopie.jp/video/watch/036d04a67f0f1189
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きょうあすで今年も終わる。ありきたりの表現だが長いようで短い、短いようで長い一年だった。三月の震災を起点にするとあっという間の感が強い。公私共に思い悩む事も多々あったが、こうして年の瀬にぬくぬくとPCに向かっていられる幸せを素直に感謝しよう。
さて本年述懐。きょうはブログタイトルのうち<六弦編>、すなわちマイ・ギターライフを振り返る。クラシックギターを始めたのは1970年高校一年のときだから、足掛け四十年ということになる。といっても長いブランクもあり、本格再開したのは数年前のことだ。そんな中、今年は我が六弦人生において中々実りの多い一年だった。
■ 三十年ぶりに人前で演奏
ひょんなことでソーシャルネットワークサービスmixiの仲間内で開く発表会に参加することになった。発表会は毎月各所で開かれるのだが、今年は3月からこれまでで計5回参加した。学生時代や社会人になって間もなくの頃何度かちょっとしたステージを踏んだが、以降はまったくのコタツギタリスト状態だった。久々に人前に弾いてみると、自宅で難なく弾けていた曲でボロボロになり苦杯をなめた。若いときと違って妙に心理的プレッシャが加わることを実感。それでも場数を踏むうちに最近はいくらか落ち着きを持って弾けるようになった。12月には隣り町高崎で行われた300名ほど入った演奏会で主催者のI先生と二重奏を弾く機会もあった。

■ 旧友Y氏と三十年ぶりに再会
これもmixiが取持つ縁で、高校・大学を通じて1年先輩だったギター仲間のY氏と三十年ぶりに再会した。彼は学生時代からギターの名手であったが、加えて今では楽譜や楽器他ギター全般の博学ぶりと古い楽器のコレクションは、おそらく日本でも三本の指に入るだろう。彼とは2月に再会し3月にはmixiの発表会でパガニーニの『ソナタ・コンツェルタータ』のギター二重奏版を弾いた。7月にはJ.K.メルツの『3つの挽歌』を、8月にはメルツの再演とカルリの作品34-2『ラルゴとロンド』を、9月にはカルリとパガニーニを再演、いずれもmixiの発表会で弾いた。彼との二重奏では19世紀の古典ギター全盛期の作品を当時のスタイルで弾くべく、楽器は19世紀タイプとし弦やピッチにもこだわって演奏している。19世紀ギターはここ10年ほど一つのムーブメントであるが、二重奏はまだ珍しいだろう。

■ 19世紀オリジナルギター入手
19世紀タイプのギターに興味を持ったのはギターを再開し始めた2002年頃だったろうか。オリジナルの入手は無理と思い、19世紀ギターの製作で知られていた盛岡の水原洋氏に注文してラコートのレプリカを作ってもらった。しかし近年はあまり手にすることもなく、手放そうかなと思っていた矢先に上記のY氏と再会。彼と19世紀ギターで二重奏をすることになって再び手にすることになった。その後彼のつてで古楽器奏者の竹内太郎さんと知遇を得て、19世紀当時のオリジナル楽器を紹介していただき5月に仏ラミー社のギターを手に入れた。時代を経た音といったらいいだろうか、100年以上の時を経て生き残った楽器から繰り出される音は、弾き手の感覚を自然と19世紀ヨーロッパ古典音楽の世界に引き込む。7月と10月にも縁あってオリジナルの19世紀ギターが手元にやってきた。仏系、独墺系、それぞれに味わい深い。

…と振り返ってみると、ことギターに関しては冒頭書いた通り、中々実り多く画期的な一年だった。来年は出来得れば今年以上に演奏機会を増やし、ソロのきちんとしたレパートリーも増やしたい。19世紀ギターによる二重奏は発展的に継続し、オリジナル楽器の響きをうまく弾き出す奏法と演奏に心がけよう。
とうことで本年述懐<六弦編>は終了。あす大晦日は<音曲編>を予定している。
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だから前から言っていたのだ。由紀さおりはイイって。
少し前、長らく続けてきた姉妹デュエットとしての活動をクローズすると聞き、いよいよ保守本流の歌謡曲に回帰してくれるかと期待をしていたら突然海外で大ブレイク。テレビのワイドショーにも登場するほどの大騒ぎだ。まあこの際事の始終はどうでもいい。由紀さおりのソロカムバックを熱烈歓迎しよう。ここだけの話だが、由紀さおりLOVE状態になって久しい。まず由紀さおりという名前の響きがいいではないか。由紀さおり、さおりさん、さおちゃん…なんてね。ハイ!
で、そのピンク・マルティーニとのコラボアルバム。CDショップに行くと平積み状態でしたね。そ知らぬ雰囲気で、きのうきょう始まった由紀さおりファンじゃないんだぜという顔をしてレジに持っていった。ぼくが買ってきたのは輸入盤。収録曲は同じだが曲順が違うらしい。多分輸入盤の方がオリジナルコンセプトだろうとそちらを選んだ。まあ、値段が国内盤の半額ということもあったのだが…。

少々危惧していた海外勢によるバックオーケストラの伴奏は、予想外に素直なアレンジで昭和40年代の歌謡曲全盛期のテイストを十分感じさせる。但しミキシングには注文有りで、もう少し由紀さおりの歌のレベルを上げてほしかった。曲によってはバックのオケが少々うるさい。
もちろん歌は文句なくいい。ラテンムード歌謡風アレンジに由紀さおりのまったりしたヴォーカルがのる『ブルーライトヨコハマ』。ヒデとロザンナよりずっと落ち着いた雰囲気の『真夜中のボサノバ』。彼女にしては低いキーでしみじみ歌い、こんなにいい曲だったかとグッときてしまう『いいじゃないの幸せならば』。伸びやで透明な歌声がぴったりくる『わすれたいのに』は当時モコ・ビーバー・オリーブが歌ったオリジナルの記憶がないのだが、こうして聴くとまったく由紀さおりのためのオリジナルではないかと思うほどだ。ボーナストラックの『季節の足音』ではスロー・ボッサのアレンジにのって穏やかに歌い、このアルバムを締めくくっている。この調子だときっと次回作が準備されているに違いない。楽しみだ。
さて今夜はクリスマスイヴ、って全然関係ないが、バンハン貼ってしまおう。
このアルバムに入っている『ブルライトヨコハマ』
『挽歌』@紅白歌合戦1974年由紀さおり26歳
1970年のヒット曲『手紙』 1992年由紀さおり44歳
同じく『手紙』の2009年ヴァージョン
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今朝いつものように車に乗り込むとプリウス号の外気温計はジャスト零度。昼間も日照やや乏しく昼過ぎでも7℃ほどと寒い一日だった。週末にかけて日本列島を挟むようにクリスマス寒波・年末寒波の元凶『ふたつ玉低気圧』が通過するようで、ここ数日は寒さが続く模様。こんな気圧配置になると少々『天気フェチが入ってます』の人間としては若干Highになり、NHKラジオ第2放送の気象通報に耳を傾けたくなる。今年は今のところ暖冬からは遠く、寒い冬になりそうだ。 そういえばきょうは冬至。夕飯のあとゆず湯につかって一服。アラジンストーブで暖を取りながら、こんなレコードを取り出した。

ぼくの年代のクラシックファンには懐かしいジャケットだろうか。70年代半ばにCBSソニーからお抱え指揮者の名盤を集めた3枚組のシリーズが発売された。そのうちのひとつでチャイコフスキーの後期交響曲、第4番から第6番までがそれぞれオーマンディー&フィラデルフィア管、セル&クリーヴランド管、バーンスタイン&ニューヨークフィルの演奏で納められている。冬になるとチャイコフスキーが聴きたくなる道理に従い、今夜はこの3枚の中でももっとも気に入っているセル&クリーヴランド管による第5番を聴くことにした。
ジョージ・セルの名演については過去に何度か書いた。このチャイコフスキーの5番も期待に違わぬ素晴らしい演奏だ。まずテンポ設定がいい。第1楽章の冒頭から明確な拍節感を保ちながら揺ぎ無く音楽が進む。第2楽章はいくらでも崩すことが出来る楽章だが、ここでも実に律儀に拍を刻んでいく。それでいてソナタ形式の主題の描き分けや、2楽章の憧れに満ちたホルンソロなどは、四角四面ではない心情の揺れを感じるに十分な流れを作り出している。加えてセルによって鍛え上げられたクリーヴランド管弦楽団の抜群のアンサンブル能力と正確なピッチ、ビシッと締まった音色。まったく隙の無い名演だ。40分ほどでこの全曲を聴き終えたあと、第4番のオーマンディー&フィラデルフィア管の盤に針を落としてみたのだが、出だしから余りに締まりの無い音楽の運びに、数分も聴かないうちに針を上げてしまった。チャイコフスキーもかっちり演奏すれば、ロシア趣味のムード音楽に留まらず実に素晴らしシンフォニーであることをこの演奏は教えてくれる。
この盤の第4楽章の音源があったので貼っておく。残念ながらセルの動く姿はないが音楽は楽しめる。
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本日音盤視聴はお休み。
とはいっても通勤の車中ではハイドンのオラトリオとミサ曲のボックスセットを順番に聴いている。ハイドンの『天地創造』『四季』や他ミサ曲の名曲を集めたセットで、ハイドンらしい古典的で美しい曲想で文句なしに楽しめる。英国の優れた演奏家による定番10枚組が三千円余という、もってけ泥棒!的なセットだ。
そういえば、元N響首席フルート奏者の小出信也さんからコメントいただいた話は昨日書いたが、その小出さんのHPにある12月12日の写真日記に事の顛末を書いていただいた。
さて先日の日曜日、近所のショッピングセンター内の書店をぶらついたついでに、本と楽譜を仕入れてきた。楽譜といっても書店内の楽譜コーナーなので、専門店のような品揃えは期待できない。きのうはたまたま買いそびれていた、ティモ・コルホーネン編曲によるバッハ無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータのギター版、鈴木大介監修のバリオス選集第3巻があったので買い求めた。それと冬休みにゆっくり読もうと本も3冊。このブログに時折コメント寄せてくれる木曽のあばら屋さん推薦の青柳いずみこ著『グレン・グールド―未来のピアニスト―』、何となく目を引いた小宮正安著『オーケストラの文明史―ヨーロッパ三千年の夢―』、それとこちらはベストセラーコーナーに平積みの村上春樹による小澤征爾へのロングインタビューを持ち帰った。
<以前雑誌に出ていた村上春樹の部屋>

村上春樹は彼の小説の中の記述からも、ジャズやポピュラーだけではなくクラシックについても相当な聴き手であることが分かる。この本のあとがきに小澤征爾がこう書いている。『音楽好きの友人はたくさん居るけど、春樹さんはまあ云ってみれば、正気の範囲をはるかに超えている。クラシックもジャズもだ。彼はただ音楽好きだけでなく、よく識っている。こまかいことも、古いことも、音楽家のことも、びっくりする位。音楽会に行くし、ジャズのライブにも行くらしい。自宅でレコードも聴いているなしい。ぼくの知らないこともたくさん知っているので、びっくりする。』音楽を作る側と聴く側では必要な情報も入ってくる情報も異なる。まあその道の専門家ではない、好事家なるものはみなそうなのだろう。

このところ夜はヘッドフォンで聴くことが多く、愛用のスピーカー;三菱電機2S-305も本領を発揮していない。アンプもご覧のケンウッド製ミニコンポで安直に済ませている。もう少しまともなアンプや真空管アンプも押入れにスタンバイしているが、このケンウッド製コンポのポテンシャルは中々侮りがたく、瀟洒なチェンバロやリュートの響きからマーラーやワグナーの大音響まで、そこそこ鳴らしてしまうから大したものだ。2004年の発売だが、最近ようやくモデルチャンジされた。相変わらずデザインも大人が使っても恥ずかしくないいいデザインだ。もし今のコンポが壊れたら、このコンポに買い換えるかもしれない。
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先日、旧友Y氏からジャーマン・リュート(ドイチェ・ラウテ)を借りてきた。リュートギターとも称されるこの楽器。洋梨を半分に切ったような胴のラウンド形状から、一見ルネサンスやバロック時代の使われた古楽器リュートかと思うが、実は別物の楽器だ。
詳細は古楽器奏者;竹内太郎さんのHPにあるハウザー1世作のジャーマン・リュートの項を参照されたい。ごくかいつまんで言えば、16~18世紀に隆盛したリュート属のマンドーラがリュートが歴史から消えていく中、ドイツ圏で生き残り、それが19世紀後半以降ジャーマン・リュートとしてドイツ圏で大いに持てはやされたということらしい。さらにはこの系譜が北欧に伝わってスウェーディッシュ・リュートなどが生まれたとも言われる。
今回借用したこのジャーマン・リュートは、旧友Y氏が最近海外オークションe-bayで3本同時に落札したものの中の1本で、胴の割れ等があったものを彼自身がリペアしたものだ。総じて状態はよく、楽器として実戦使用可能だ。20世紀前半まではドイツ国内で広まっていて、ワンダーフォーゲル運動で山々を歌いながら歩くグループの中には、こうしたジャーマン・リュートを下げて歌伴を受け持つ若者のいたことだろう。まさにサウンド・オブ・ミュージックの世界だ。旧友Y氏によれば、この楽器も多分1950年代前後のものではないかとのこと。



弦長62cmほどの単弦6弦で調律もギターを同じ。ネックや指板の感じは19世紀のギターに近い。但しネックと胴は通常のギターが12フレットで接しているところが、ジャーマン・リュートでは9フレットでつながっている。また胴がラウンドしているので、現代のギターのように足台を使って太ももに載せようとすると、すべってうまく抱えられない。本体にはエンドピンが付いているので、これを利用してストラップで肩がけにするのが適当だ。19世紀後半から20世紀初頭にかけてドイツを代表する楽器だったということを象徴するかのように、ロゼッタ部には、ドイツの権化とのいうべきワグナーの肖像を模したカメオが付いている。
音の印象も伝統的なリュートというよりは、ほとんど19世紀時代のギターに近いと感じた。胴がラウンド型であること以外の要素は、弦長、弦の張力、胴や表板の材質など当時のギターに近いので、音もそれに似た傾向になるのだろう。音量やサステインは現代のギターに比べると控えめだが、コロコロとしたどこか懐かしく古風な音色だ。多弦のジャーマン・リュートのために編纂されたブルーガー編のバッハはもちろん、バロックや19世紀古典期の作品にはよく合う。あるいはワンダーフォーゲルよろしく、歌伴用にコードをかき鳴らすにも不都合はない。
Y氏によればオークションでの落札価格は思いのほか安価だった由。古楽器リュートと違って世界的にはもう需要もなく忘れ去られた楽器なのだろう。こうして日本の片田舎でポロポロと弾かれて、ジャーマン・リュートもさぞや驚いていることだろう。
こんな感じだ。
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