コンヴィチュニー&ライプツィッヒゲバントハウス管弦楽団 ベートーヴェン交響曲全集


寒波おさまらず、今週末にかけて更に寒気団到来とのこと。当地関東平野部では寒い寒いとぶつぶつ言っているだけだが、日本海側はそれでは済まない。家屋周辺の雪かき、屋根雪下ろしと大変だ。学生時代を日本海側で過ごし、冬期の太平洋側・日本海側の差を実体験している者としては、その辺りの感覚はよく分かる。風土・文化の違いが出来てくるのも当然だ。


R0011497.jpg  R0011496.jpg


さて通勤時の車内リスニング。先週のパウル・クレツキ&チェコフィルハーモニーのベートーヴェンを終え、今週は同じベートーヴェンながら、ちょいシブのフランツ・コンヴィチュニー&ライプツィッヒ・ゲバントハウス管弦楽団の盤を聴いている。10年ほど前に出た写真のボックスセット(現在は廃盤の様子)。同コンビによるベートーヴェンとシューマンの交響曲全曲や序曲類のほか、オイストラフ親子がソロをとるバッハやモーツァルトのヴァイオリン協奏曲などが収めれれている。ぼくらのクラシックファンにとっては、コンヴィチュニー&ライプツィッヒゲバントハウス管と聴くだけで東独のシブい演奏をイメージする。実際コンヴィチュニーはフルトヴェングラー時代の同オケでヴィオラを弾きその後指揮者に転向。旧東独内の歌劇場でキャリアを積み、シュターツカペレドレスデンではマタチッチの、またシュターツカペレベルリンではスウィトナーの前の代の首席を務めた。キャリアとしては完全にドイツの伝統的なカペルマイスターだ。

そんなシブく古臭いイメージを持ってこの盤のベートーヴェンを聴くと、実はあっけなく裏切られる。久々に同コンビのベートーヴェン交響曲第2番を聴いたが、その溌剌とした演奏に驚いた。ドイツの伝統的なオケらしく弦楽をベースにした響きで、しかもそれが予想以上に引き締まっていて、正に筋肉質の響きだ。アンサンブルも素晴らしく、アインザッツに曖昧なところは皆無。ビシッビシッと縦の線が決まる。1960年の録音だがコントラバスの最低音も控え目ながらしっかり捕らえられて安定感は万全だ。木管はやや遠目の音像で落ち着いた音色。金管群も派手さはないがここぞというところで突き抜けるように強奏してオケ全体の緊張感を更に高める。テンポ設定も実のオーソドックスながら最終楽章などはmolte e vivaceの指示を反映するように実に快速調で、コーダの追い込みも素晴らしい。一方で色気を出してメロディーを甘く歌おうなどという媚びは皆無。これぞドイツ伝統の響きということだろうか。いや~、恐れ入りました。


幸い同コンビの多くの録音がYouTube音源で聴ける。
ここではきょう車中でも聴いた第2番の第1楽章を貼っておく。提示部を繰り返したあとの展開部に入って短調に転調する辺り(7分50秒過ぎ)からの緊張感はこの曲を聴く醍醐味の一つだ。



ついでに第2楽章も。ベートーヴェンが書いた緩叙楽章の中でもひときわ美しい楽章だ。
ワルターのように甘美に歌ったりはしていない。




↓↓にほんブログ村ランキングに参加中↓↓
↓↓↓↓バナークリックお願いします↓↓↓
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

トルトゥリエ バッハ 無伴奏チェロ組曲


イヤ~っ、サブい!。日本全国、先週末から寒波の真っ只中。当地北関東南部の前橋も朝晩は氷点下3度以下、昼間も5度まで上がらず寒さMAXだ。いつもの寒波なら雪雲は新潟との県境、上越国境の山々まで止まるのだが、今回はブロックしきれなかった雲が平野部まで時折流れてくる。単身赴任先はインドネシアよりはシベリアだと豪語していたが発言取り下げ。群馬北限で勘弁してもらいたくなってきた。 


R0011493.jpg  R0011491.jpg


さて日曜の昼少し前、アラジンストーブに灯を入れてなんとか暖を確保。新調したアンプのレコード再生のチェックをかねて音盤タイムと相成った。取り出したのは写真の盤。トルトゥリエの弾くバッハ;無伴奏チェロ組曲の全曲盤だ。

ポール・トルトゥリエについては以前も何度か記事に書いた。70年代には度々来日してNHKのテレビにも出演したことがあるので、ぼくら世代には懐かしいチェリストだ。彼はバッハ無伴奏を2度録音している。この盤は最初の1960年の録音。のちの1980年代初頭の録音は聴いたことがないので何ともいえないが、この1960年盤ですでに十分に音楽が熟成しているし、録音も素晴らしくいい。
トルトゥリエのチェロの音は太く伸びやかで、ぼくがチェロと聞いてイメージし期待する音がことごとくそのまま現れてくる。取り分け旋律的な曲でのカンタービレは素晴らしく、大きなフレージングと深い呼吸に、こちら側も思わず吸い込まれるようだ。特に第4番のプレリュードなどスケール大きく比類がない。

トルトゥリエの映像はかなり数がYouTubeにある。まずマスタークラスの様子を二つ。一つはバッハ無伴奏の第1番、もう一つは以前も取り上げたドヴォルザークの協奏曲第3楽章だ。バッハのほうは仏語ゆえ残念ながら言葉そのものの意味は不明。ドヴォルザークの方は、オケの導入部に続きチェロが入るタイミングのわずかな違いについて何度も繰り返している。







最後に、バッハ無伴奏第1番の演奏。最晩年のものだろう。
ライヴゆえのキズもあるが、中々若々しい。但し60年代の録音はこれよりずっとよい。




↓↓にほんブログ村ランキングに参加中↓↓
↓↓↓↓バナークリックお願いします↓↓↓
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村

関連記事

マイ・ギター <その7> ヤマハGC-3D@1971年


今週は物欲小爆発。きのうの記事で20年物のオーディオアンプを手に入れたことを書いたが、きょうは40年物のギターだ。ちょとだけ物欲のお裾分けを。タイトルがマイ・ギター<その7>となっているが、現在所有の本数とは無関係。単なる記事の通し番号だ。以前紹介したマイ・ギターのうち2本は最近手放している。何だか言い訳がましいが、念のため。

さて、手元には何本かのギターがあるのだが、多分楽器の扱いについては人一倍気を遣っていると自認していて、弾きキズはあるものの手垢やホコリは皆無、弾き終わればケースに入れてしっかり管理している。一方それがあだで、楽器をいつも身辺に転がしておいて気軽に手に取る状況ではない。高校時代から使っていた古い楽器もあったのだが、少し前に地元の学生に譲った。そんなわけで『普段使い』の楽器を1本欲しいなあと物色中だった。
今回手に入れたのは1971年製のヤマハ;GC-3Dというモデル。ぼくが高校生の頃のギターだ。大阪のある専門店のサイトの上がった直後に見つけて、すぐに購入を決めた。元々『普段使い』の候補として頭にあった楽器だ。
当時ヤマハはスペインの製作家;エドアルド・フェレールの指導を受け、本格的な手工ギターの生産に取り掛かっていた。有名な江崎氏が渡西してエルナンデスの工房で出入りする少し前のことだ。その初期モデルとしてGC-3/5/7/10というシリーズが発売された。それぞれの数字のあとに『万円』を付けるとそのまま販売価格になる。この頃からだろうか、日本のギターの型番には数字が『号数』として付けられ、それが値段を表わす慣例が定着した。高校生のバイトが一日千円の時代。当時3万円のGC-3は今の価値にすれば15~20万円ほどだろう。

R0011449.jpg  R0011452.jpg


R0011456.jpg  R0011453.jpg


iPhoneからポチッた翌日には荷物が到着した。写真では少々分かりずらいかもしれないが、40年を経過しているとは思えないほどきれいな状態だった。表板に多少の弾きキズはあるが、裏板やネックはほとんど無傷、塗装面も新品の輝きといってよいほどで驚いた。販売店の店主によれば、前オーナーは大変丁寧に扱っていた由。弦長は658mm、表板はヤマハ得意のえぞ松、横裏板はパリサンドル(インドローズ)、指板は黒と茶の縞模様が美しい縞黒檀の良材が使われている。ネックやフレットの状態もよく、問題となる部位は何もなかった。ラベルには製作者;金子隆英のサインがある。

慎重にチューニングをして弾き始める。
長めの弦長にも関わらずテンションは柔らかめに感じ、ネックの形状がよいのか弾きにくさは感じない。ウルフトーンはG#辺りにあるがそれほど顕著でない。低音から高音までストレスなく平均的によく鳴っている。一世代前のスペインの楽器のように低めのウルフトーンでドーンとなる低音ではなく、やや腰高のバランスではあるが強さとサステインがある低音だ。高音は太くもなく細くもなく中庸の鳴り方ながらパワーはそこそこありそうだ。旧友Y氏の話では、ヤマハの指導に当たったフェレールは当時ラミレス工房から委託を受けて、ラミレスブランドの下位モデルも作っていたとのこと。そこで手元にある当時のスペイン製ギターのスタンダードともいえる1978年製ラミレス3世と比べるみると、さすがに音量・各音域でのバランスともラミレスに軍配が上がるが、音の傾向はよく似ていて、ラミレスの下位モデルといわれえばそうかなと思ってしまうほどだ。メロディーラインを歌わせようとするとストレスなく音が付いてきて気持ちがいい。一方で和音を鳴らしたとき音の調和感や必要な分離といった面や低音をベースにしたピラミッド型のバランスと分離のよさがほしいポリフォニックな楽曲では少々不足を感じる。

まあ40年前のものとはいえ、まずまずの音の手工ギター・エントリーモデルの美品が、ちょっとしたブランド品の財布程度の値段で手に入ったことで物欲の小爆発も収束。デスクサイドに置いて可愛がってあげよう。


↓↓にほんブログ村ランキングに参加中↓↓
↓↓↓↓バナークリックお願いします↓↓↓
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村

関連記事

ラックスマンのアンプ L-570


久しぶりにオーディオ用アンプを新調した。
新調といっても20年物の中古品。オーディオ老舗;ラックスマンL-570という機種で、その道の好事家なら型番を聞いただけで「あれネ」と合点する品物だ。バブル最盛期の1989年に同社プリメインアンプのフラグシップ機として発売され、純A級動作とハイグレードな部品を使ったモデルとして評価が高かった。以下、好事家向けのカタログ表記を並べると、

…パワーアンプ部はピュアA級動作、大容量電源トランス搭載、信号切替には窒素ガス封入金接点リレーの使用、配線材は要所にPC-OCC材を投入、MC/MMカートリッジ用アンプをそれぞれ専用化して独立搭載、MCアンプではスーパーローノイズ・ハイゲインFETをパラレル使用しイコライザーアンプもA級動作、ガラスエポキシ金メッキ基板に非磁性体抵抗を一個一個マウントしダイキャスト押し出し材によるシールドケースなどで構成した32接点ロータリースイッチ型アッテネーター、純銅のフィンを採用したハイエフィシェンシー・ラジエーターを新たに開発・採用…

とまあ、こんな具合だ。オーディオマニアでない方には『南極探検隊も使用!』くらいスゴいと言ったらいいだろうか(アッ違うか)。今でも中古市場では人気があるようで、ときどき見かけてもすぐに売約済みとなる。今回はたまたま都内販売店の通販サイトでメーカー整備済みの個体が相場価格より少し安く出ていたので、ポチってしまった。


R0011459.jpg  R0011472.jpg


このアンプの特徴は出力段が純A級動作であることに尽きる。電気系技術者のなれの果てとして、一応このあたりの説明は可能だが、いささか長くなるので省略。一言でいうと同じ音量を出すのに一般のアンプの何倍も電気を食うという、今どきの時流には反する技術が使われている。例えれば内部に300ワットの電熱コンロを抱いているような機械で、発熱も半端な量ではない。アンプの上にフライパンを置けば半熟の目玉焼きくらいは出来るだろう。部品や部材も効率よりは音質優先で物量が投入されていて重量は30kgに及ぶ。一方、大飯食らいの見返りとして、その音質は折り紙つきだ。いわくウォームでメローなラックストーンというわけだ。週末にゆっくりと思っていたが、はやる気持ちに抗しきれず本日開陳。さっそく音出しとなった。


R0011485.jpg  R0011479.jpg


20年前の製品で中古品しか流通していないモデルを今更四の五の言っても仕方ないだろうが、音は文句なく素晴らしい。外観も予想以上にきれいで目立ったキズや汚れもない。これはいい買い物だった。イタリアンバロックの弦楽合奏は極めて滑らかに響くし、インバル&フランクフルト放響のマーラー第5交響曲冒頭のトランペットがホールに響く空間表現も素晴らしい。山田穣が吹くサックスもリアルに吹き上がる。中古品とはいえ、憧れの女、もとい憧れの名作アンプを手に入れた心理的バイアスは相当あるし、ブログの記事として少々誇張気味書いた方が愉快だろうという作為もあるにはあるが、話半分とみてもらうにしても余りあるいい音だ。
加えてこのアンプは音量調節ボリュームの操作感が抜群だ。昨今のアンプは音量調節がリモコン対応になり、ボリューム本体の後ろに駆動用モータが付属するようになった。そのためボリューム回転軸にあそび多く、相当な高級アンプでもグニャっとした何とも頼りない感触になってしまった。その点90年代初頭までのアンプのボリュームはリジットで気持ちがいい。それにそもそもこのL-570は従来型のボリュームではなく、固定抵抗を多数並べるという手の込んだ作りのもので電気的にも機械的にも信頼性が高く、安定した操作感が得られる。

レコードやCDである程度真剣に音楽を聴こうという者にとって、オーディセットは楽器弾きにおける楽器と同等の位置付け。金に物言わせて買い込むもよし、思い入れのある道具を大切にメンテナンスしながら使うものよし、B級路線で自虐的に楽しむもよしだ。発売時の何分の一かの価格ではあったが、虎の子のへそくりで久々に新調したアンプ。このL-570で音楽の真髄を聴き取るべく、きっちり音盤と向き合っていこう。


↓↓にほんブログ村ランキングに参加中↓↓
↓↓↓↓バナークリックお願いします↓↓↓
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村

関連記事

英豪系ギター名器の弾き比べ


昨年11月から年末にかけ、少し珍しいものを含めた英国系ギター3本をじっくり自宅で弾く機会を得た。せっかくなのでこのブログに記録として残しておきたい。紹介するのは以下の3本。

 a. サイモン・マーティー 1999年作
 b. ニコラス・スコット 2004年作
 c. デイヴィッド・ホワイトマン 2009年作

<左からマーティー、スコット、ホワイトマン>       <左からスコット、ホワイトマン、マーティー>
R0011311.jpg  R0011305.jpg


サイモン・マーティー 1999年作■
プロギタリストの間でも人気の高いオーストラリアの製作家;サイモン・マーティーのギター。グレッグ・スモールマンなどと同じく裏板はアーチバック形状、最先端の研究成果が反映された現代風のギターだ。手にするとずっしりと重く、秤にのせて量ると2.5kgあった。オーソドクスな設計のギターよりも1kgほど重いことになる。

R0011306.jpg  R0011314.jpg

『爆音マーティー』と異名を取るとか。ともかくよく鳴る。一般のよく鳴るギターの3割増しという感じだろうか。低音は極端にいうとすべてがウルフトーンのように響く。高音は音量もさることながらエネルギーに満ちた鳴り方で強く抜けてくる音。この楽器の真価を発揮させるにはかなりしっかりしたタッチが必要だ。タッチの強さにどこまでも応えるダイナミックレンジの広い音ともいえる。一方で音色感はいささか単調というか、すべての音が大きな声の母音で鳴っているような錯覚におちいる。また右手のタッチで得られたエネルギーを音の立ち上がりの音量に使っている鳴り方で、その分サステインはやや短めだ。総じて弾き手が微妙なニュアンスを感じ、音色を味わいながら弾くというよりは、一定以上の音量でフォルテとピアノを明確に弾き分ける、すなわちプロフェッショナルのステージ実戦向けの楽器だと感じた。


ニコラス・スコット 2004年作■
ニコラス・スコットは下記のデイヴィッド・ホワイトマン同様イギリスの製作家。スモールマンのギターに触発され、そのコピーを作るようになったと彼のHPに書かれていた。日本ではまだ見たことがない。こちらはサイモン・マーティー以上にハイテク武装の楽器だ。外見こそアームレスト以外は特に変わったところはなく、表板には杉が、横裏板にはジリコテ(シャム柿)が使われている。重量はずっしりという感覚を超え、片手で持ち上げるのがしんどいほどで、秤にのせるとなんと3.3kgあった。普通のギター2本分以上だ。この手のハイテクギターの常として表板はワッフルバー(格子型)の力木が施されている。更にこのニコラス・スコットのギターでは裏板にもワッフルバーが取り付けられ、加えてその上にガラス素材の板が張られている。徹底した高剛性志向の作り方だ。実際、弾きながら裏板に触れてもほとんど振動が伝わってこない。エンクロージャの剛性を高めて解像度を上げて人気のあったかつての三菱ダイヤトーンスピーカーを思い出した。しっかりした箱に入れ、スピーカーの振動板だけを鳴らすという思想は現代のハイテクギターに通じる。

R0011307.jpg  R0011315.jpg

マーティーと同系列と見られる現代風のギターだが音の印象は相当異なる。実は弾く前は3キロを超えるその重量かつ凝った構造からサイモン・マーティー以上の爆音を予想していた。しかし実際の音は、音量に関しては控えめといえるほどで一般のギターとさほど変わらなかった。一方で低音から高音までどの音も均一に鳴ることに驚いた。低音も高音もフルフトーンがほとんど見当たらない。マーティーの低音のように全域でウルフトーンに近い鳴り方でで音量感を確保しているとは随分異なる。音量感が控えめの一方で、すべての音のサステインが極めて長い。右手タッチで得られるエネルギーを、マーティーのギターは音の立ち上がりの音量に、そしてこのスコットギター立ち上がりのあとのサステインに当てているように感じる。ハイテク重装備にしては音量は控えめながら、音の均一性とサステインに優れたギターというのがこのスコット・ギターの印象だ。


デイヴィッド・ホワイトマン 2009年作■
デイヴィッド・ホワイトマンはロンドン在住の製作家。マーティーやスコットらの昨今流行りの作風とは異なり、オーソドクスな設計を採っている。数年前に都内の楽器店で一度見たことがあったが、日本に入ってきている数はごく少ない様子だ。今回弾いたのは1940年作のハウザー1世を徹底的に研究した成果を反映させたというモデル。外形やデザイン、構造体だけでなく、これまで知られていなかったごく微細な工作部位にまで及ぶ新たな発見成果を取り入れているとのことだ。今回弾いた楽器が彼のHPのギャラリーに載っている(シリアルNo.と表板の斑の入り具合でそれと分かる)。表板は松、横裏板は上質のハカランダ、パーフリングにはメープルが巻かれていて品格高いデザインだ。

R0011308.jpg  R0011056.jpg

音はとてもよかった。ハウザー1世モデルらしく、十分なボリュームでふっくらと鳴る低音に分離がよくかつ太めの高音がのる。やや小ぶりで重量も軽く弾きやすい。ハウザーというとやや硬質な音というイメージもあるが、1世に限っては古いスパニッシュに範を取った伝統を感じさせる音であることが、ホワイトマンのコピーからも分かる。ウルフトーンはF#付近にあるが突出してはおらず、この周辺の音全体がたっぷりと鳴る。低音に関してはぼくの持っている田邊雅啓作のロマニリョスモデルと極めて近い鳴り方だ。田邊ロマニは高音がすっきりしているが、このホワイトマンのハウザーモデルは高音が太く逞しい。音量もオーソドクスな設計のギターとしては十分で、ピラミッド型のエネルギーバランスと相まって、何を弾いてもゆったりと気持ちよく弾ける素晴らしい楽器だった。


こうしてスペインでもなくドイツでもなく、イギリスとオーストラリア(広義ではイギリス圏か)の楽器を弾いてみて、ラテンでもゲルマンでないアングロ・サクソン特有の何かがあるかと思いめぐらせてみたが、すぐには思い付かない。ただいずれの楽器も優れたクラフトマンシップとしっかりした基本方針とをもって丁寧かつ緻密に作られた楽器という印象はある。さてこの3本の内どれか1本をと言われたら…ちょっとだけ迷って、デイヴィッド・ホワイトマンのハウザーモデルを選ぼうか。


さて退屈な報告の口直しに、サイモン・マーティーのギターを鳴らし切っているイリナ・クリコヴァの動画を貼っていこう。テデスコのソナタ第4楽章とバッハのチェロ組曲第1番プレリュードだ。





↓↓にほんブログ村ランキングに参加中↓↓
↓↓↓↓バナークリックお願いします↓↓↓
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村

関連記事

このブログについて <再掲載>


このところ新規アクセスの方が増えているようなので、以前書いた記事を再度アップしておきます。

ブログが持つ性格上、だいたいはアクセスした当日の記事を読む。過去の記事にさかのぼってみたり、あるジャンルの記事を拾い読みすることも少ないだろう。従って、このブログを定期的に読んで下さっている方も、開設当時からの一部の方は別として、他の方は初めて来たとき以降の記事を見るに留まっていることと思う。そこできょうは過去にどんな記事を書いているかをブログの機能であるカテゴリー分類に従って思い出してみることにした。もしこのブログにアクセスしたときに更新していなかったら、更新しろッ、このボケッ!と言わずに、過去の記事をぽつぽつ読んでもらえるとうれしい。
以下はブログの右側にあるカテゴリー選択で選べる記事の分類。カッコ内はこれまでの記事の数(2011年10月末時点)。カテゴリーを選ぶとその分類の記事が順番に出てくる。画面の下までいくと<次のページ>が選択できるので、そこをクリックすると更に過去の記事へ飛ぶ。このブログの基本はクラシックを中心とした音盤鑑賞記。従ってクラシック分野のカテゴリーだけは雑誌やCD・レコードの分類慣習に従ってやや細かく分けている。

ギター (43)
ブログタイトルである六弦=ギターについての記事。多くはギターのレコード・CDを聴いてのアレコレ。YouTubeで見つけた演奏などもときどき貼っている。
楽器 (17)
自分の楽器や友人の楽器の紹介、楽器弾き比べ、ギター製作家の工房訪問記など。ギター工房訪問記でこれまで登場したのは、田邊雅啓、西野春平、松村雅亘、廣瀬達彦、一柳一雄/邦雄。訪問したもののまだ記事にしていないのは、野辺正二、中山修、庄司清英など。今後ぼちぼち書いていこう。
クラシック一般 (5)
クラシックは下記のジャンルごとに分類しているが、この分類はそうしたジャンルに入れられないもの、あるいは話のついでにクラシックのことを記したものなど。
ジャズ (30)
ジャスも好きでよく聴いている。お気に入りの音盤紹介。ジャズウーマンのジャケ買いもしばしば。
ポピュラー (11)
フュージョン、ロック、映画音楽など。
オーディオ (6)
オーディオについてはもっと書きたいこともあるのだが…
指揮者 (41)
好きな指揮者、気になる指揮者、??な指揮者など、オーケストラ作品を指揮者への興味から取り上げたもの。オーケストラ曲を聴いていると、どうしても指揮者の解釈、オケのコントロールといったところに興味が行き着く。

―以下の7つはクラシック音盤の一般的分類に従ったカテゴリー分け-
交響曲 (14)
管弦楽曲 (12)
協奏曲 (12)
これら3つの分類は、指揮者による分類よりは曲そのものへの興味から取り上げたもの。協奏曲の場合は曲自体とソリストへの興味もある。
室内楽 (26)
2つ以上の楽器よるアンサンブル。チェロやヴァイオリンの独奏でもピアノ伴奏がある場合はここへ分類。
器楽曲 (31)
ピアノ独奏、ヴァイオリンやチェロの無伴奏のもの。
声楽曲 (3)
いかに声楽ジャンルを聴いていないかが分かる。
歌謡曲 (9)
本当はもっと書きたいカテゴリー。手元には昭和歌謡のドーナッツ盤約200枚、LPも100枚ほど有り。
日々の出来事 (19)
音楽に直接関係のない話題。
北欧 (4)
2003~2006年に仕事で何度か行った北欧の思い出。現地オーケストラ体験など。しばらく書いていないもの、あと10本くらいはネタあり。
演奏録音 (1)
たった1つの記事だけ。ギターの小品2曲を録音してみたが、演奏録音はなかなか時間がかかり、その後続かず。


…というわけで、こうして分類とその記事の数をみると、おおよそ今の自分の音楽への興味を映し出している感じがする。これからも偉大なるマンネリズム目指し、かつ硬派をよそおいながらやっていきましょうかね。みなさん引き続き、アクセス・コメント・拍手・バナークリック、諸々ヨロシクです。

↓↓にほんブログ村ランキングに参加中↓↓
↓↓↓↓ワンクリックお願いします↓↓↓↓
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村

関連記事

バッハ 無伴奏チェロ組曲・ギター版の演奏


年末年始の休みが終わり、きょうが仕事始め。世間ではまだ休みのところも多いのか会社まで37kmある通勤路はガラガラで、いつもより15分ほど早く会社に着いた。当地北関東はこれから2月初旬までが寒さのピーク。きょうも職場の事務所は暖房用エアコンの効きが今ひとつで寒い一日だった。帰宅後夕飯を済ませ風呂で温まってようやく生気を取り戻した。
ところでさきほどブログの管理画面をみて少々びっくり。きょう一日のアクセスが100を超えていた。正月休みに帰省していた人達が戻ってきてアクセスしてくれたのだろうか。初めての三桁御礼。といっても何も出ませんが…。引き続きアクセス、<クラシック音楽鑑賞>のバナークリックなど、宜しくお願いしま~す。
さて今夜は早く帰宅したので少々ギターも練習。メカニックな半音階スケールでひとしきり指慣らしをしたあと、バッハ無伴奏チェロ組曲の第1番をプレリュードから順にさらった。


R0011359.jpg  R0011342.jpg


去年の夏以降この曲の楽譜をいくつか手に入れて、昔から手元にある小船幸次郎の版と見比べながら弾いているのだが、どの版にしようか決めかねている。佐々木忠版は原曲ト長調に近い一音違いのイ長調を選び、更に低音の音域確保のためイ長調ながら6弦をDに下げている。その結果、全体に落ち着いた響きでチェロによる原曲の音響イメージ近い。イエーツ版はハ長調。原曲への付加音が比較的少なくすっきりした印象で悪くないが、ハ長調という調性はギターでは案外弾きにくいところがある。以前CDを取り上げたヴァンゲンハイムの版もどんなものか気になる。そんなこんなで、結局見慣れている40年前の小船幸次郎版を使い、不自然に感じる付加音を省きながら弾いて様子をみている。こんな状態だから中々先に進まないし、暗譜もほど遠い。

バッハの無伴奏(ヴァイオリンでもチェロでも)をギターで演奏する際の基本方針として、単音スケール主体のチェロの特性と、容易に和音を出せるギターの特性とから、原曲から感じ取れる和声感を補う形で音を付加することが一般的に行なわれている。しかしその付加が編曲者なりの理屈と感性によるため100%承服しがたいこともしばしばだ。ぼく自身は出来るだけ音の追加を少なくし、あるいはまったく付加せず、フレーズのアーティキュレーションに注力し、単音スケール主体でギターの音色を生かして弾ければと思っているが、多分これが一番難しいだろう。

以前シャコンヌの演奏で取り上げたアイルランドのギタリスト;ジョン・フィーリーが弾く無伴奏チェロがあったので貼っておこう。楽譜も出版されている様子。適確なアーティキュレーションが施され、かつ美しい音色の素晴らしい演奏だと思う。使用楽器はフィーリーの他、ベニタ・ロハスやシャロン・イスビンも使っているというマイケル・オライリー作のギターだ




↓↓にほんブログ村ランキングに参加中↓↓
↓↓↓↓バナークリックお願いします↓↓↓
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村

関連記事
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

カレンダー
12 | 2012/01 | 02
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
月別アーカイブ
QRコード
QR
閲覧御礼(2010.10.01より)