コシュラー&スロヴァキアフィル モーツァルト序曲集


昼前から強風が吹きつけている。首都圏のあちこちでは風の影響で鉄道の運行遅延が発生。天気図をみれば発達した低気圧が日本列島を横断中。この時期によるある春の嵐だ。幸い家の中にいれば窓の外の揺れる木々の様子を眺めながら安穏としていられる。 さて昨晩ハナキンの夜は少々帰宅が遅く、夜半も睡魔に襲われ例によってソファで爆睡してしまった。今週はあれこれ慌しく疲労度MAXだったのでいたしかたない。昨晩の惰眠を取り返すべく、外の嵐をよそにアンプの灯を入れレコードを聴くことにした。


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先日久々に聴いたコシュラーとスロヴァキアフィルの演奏をトレースしよう、同じコンビによるモーツァルトの序曲集をターンテーブルにのせた。1978年ホーム;スロヴァキアホールでの録音。収録曲は以下の通り、モーツァルトの主要オペラ序曲が収められている。
 1.ドン・ジョバンニ
 2.コシ・ファン・トゥッテ
 3.フィガロの結婚
 4.魔笛
 5.後宮からの逃走
 6.劇場支配人
 7.イドメネオ
 8.皇帝ティトスの慈悲
ぼくは熱心なモーツァルトファンでもなく、ましてや彼のオペラを日頃から愛聴することもないが、管弦楽曲としての序曲はときどき聴きたくなる。モーツァルトの序曲というとフィガロの結婚序曲がもっともポピュラーだろうか。内外オーケストラが当地のようなローカルで演奏する場合にモーツァルトの序曲がプログラムにのるとしたら、その9割はフィガロだ。まあしかたないかもしれないが、ときには魔笛やドン・ジョバンニをやってほしい。その点この盤はドン・ジョバンニ序曲で始まる。針を落とすときの期待感も高まるというものだ。
冒頭の和音、そしてヴァイオリンによる不安げなモチーフによる導入部。ドン・ジョバンニ序曲の開始はいつ聴いてもわくわくする。コシュラーとスロヴァキアフィルの演奏は、前回記事にした交響曲の25番・41番の録音に比べると、弦のアンサンブルにいくらか荒いところがあるし、木管群のアインザッツも唐突に入ることがある。ウィーンフィルやベルリンフィルなら、もっと緻密かつそつなくアンサンブルを整えるだろう。もっともそんな重箱の隅をつつくような聴き方をしたいわけではなく、こうした違いをぼく自身は優劣というよりはオケの味わいとして聴きたい立場だ。このコンビによるこの序曲集の演奏は、練りに練ったというよりは、オペラの劇場公演現場の演奏をそのまま持ち込み、ほとんど編集無しのワン・テイクで録った印象がある。また録音にも飾ったところがなく、オケの素の音が聴こえてくる。コシュラーの音楽作りは交響曲と共通していて、相変わらず各パートが明瞭に分離し、幾分短めのフレージングで若々しく曲を進めている。こうした要素が重なり、この盤はボヘミアン・モーツァルトとしてのローカルな味わいにも通じる演奏になっている。ドン・ジョバンニのほか、劇場支配人や皇帝ティトスの慈悲も聴き応えのある名曲そしてわずかに土の匂いを感じるよい演奏だ。


コシュラーから離れるがフルトヴェングラーのドン・ジョバンニを貼っておこう。
最晩年1954年ザルツブルク音楽祭での貴重なカラー映像だ。



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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