アンドレ・プレヴィン マイ・フェア・レディ


予報では週末は雨降りと聞いていたが、関東地方はその気配なし。きょうは気温も30℃近くまで上がり少々暑かった。午前中久々にギターを取り出して、ひとしきり練習。バッハ;無伴奏チェロ組曲の第1番からプレリュード~サラバンド~メヌエットを組み合わせて10分ほどにし、いつかmixiの発表会ででも弾こうかと思案している。全曲だと少々長いし、まともになるのがいつになるのか分からない。まあ、ほどほどでお茶を濁そうというわけだ。


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さて夜になってようやく暑さもいえたところで音盤タイム。きのうムターの記事を書いて、一時期夫君だったアンドレ・プレヴィンの名を思い出した。N響へも度々客演し、今やクラシック界でも長老の仲間入りをしたプレヴィンだが、ぼくが説明するまでもなく、彼のキャリアの始まりはハリウッドのアレンジャーでありジャズピアニストであった。今夜は手元にある彼の初期の盤から出世作ともいえるピアノトリオによる「マイ・フェア・レディ」の盤を取り出した。ドラムのシェリー・マンをリーダーとして、プレヴィンとベースのリロイ・ヴィネガーが加わり1956年に録音されている。手元の盤は1969年発売の国内盤で収録曲は以下の通り。

-A-
1. 教会に間に合うように行ってくれ
2. きみ住む街で
3. 彼女に顔になれてきた
4. そうなったら素敵
-B-
5. アスコット・ガヴォット
6. ショー・ミー
7. ちょっぴり幸せ
8. 一晩中踊れたら

発売当時この盤はとにかく売れに売れたそうだ。実際いま聴いても何の古さも感じずに、極上のオリジナル曲をセンスよくジャズアレンジした演奏が楽しめる。録音も十分にいい音で入っている。第1曲の「教会に間に合うように行ってくれ」ではテーマがワンフレーズ奏されたあと、スィンギーでドライブ感あふれるプレヴィンのピアノソロが展開する。第2曲「きみ住む街で」では甘いヴァースで入り、ミディアムテンポでスィングするジャズの王道を心得たプレイに唸ってしまう。B面に入ると最初の「アスコット・ガヴォット」ではアップビートで三人が白熱したテクニカルなプレイが繰り広げる。しかしウェストコーストジャズらしくどこか洗練されていて、いい意味で汗を感じるような演奏でない。「ちょっぴり幸せ」で激甘のバラードプレイを聴かせたあと「一晩中踊れたら」では再びプレヴィンの切れ込み鋭いピアノが楽しめる。
プレヴィンはこの盤がベストセラーになったおかげで、マイ・フェア・レディーの映画化に際して音楽監督を任され、そこでも大成功を収めることになる。70年代以降はむしろクラシック畑での指揮活動が中心になり、ヨーロッパの伝統的なオケとの名盤も数多くリリースしている。同じようなキャリアの先輩格としてレナード・バーンスタインがいるが、プレヴィンはバーンスタインほどカリスマ的ではなく、その風貌からかカジュアルで親しみやすいだろうか。


「きみ住む街で」



オスカー・ピーターソンとの即興デュオ。プレヴィンにとってこんなインプロヴィゼーションはお手の物だろう。多分70年代半ばの映像か。すでにクラシックがメインの時期だ。



2002~2006年の間、公私に渡ってパートナーだったムターを交えた演奏。1964年生まれのムターとの年の差は35歳だ。



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アンネ・ゾフィー・ムター&カラヤン モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第3・5番


どうやら関東地方は空梅雨か。湿度は高く、朝晩時折にわか雨はあるが、一向に本格的な雨降りにならない。ぼくが子供だった頃、そう昭和30年代から40年代にかけては、関東地方は年によって水不足になって、東京では断水があったり給水車が出たりといったニュースを見たのを覚えている。その頃はまだ群馬県北部の山あいにはダム建設が盛んに行われていた時代だった。今では水不足ということも滅多に聞かなくなった。


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さて今週もアレコレあったが、何とか週末。ザ・ピーナッツ、地井さん、小野ヤスシ、語りたいこともあるのが、少しは音楽をまともに聴かないといけないなあと、そんなことをつらつら考えつつ迎えた週末金曜の晩。ちょっとwikipediaを覗いていたら、きょうはアンネ・ゾフィー・ムターの誕生日とのこと。それではと、手元にある何枚かの彼女の盤から、確か当時14歳だった彼女のデヴュー盤にあたるモーツァルトの協奏曲を取り出した。バックは言わずと知れたカラヤン。ムターを見出し、世に送り出したその人だ。1978年、フィルハーモニーでの録音。録音技師にはカラヤンの耳といわれたギュンター・ヘルマンスの名がある。

実に久々に聴いたのだが、何という安定感だろうか。カラヤンが主導したと思われる中庸なテンポ、ベルリンフィルのよくブレンドされた響き、そしてムターの14歳とは思えない成熟して落ち着き払ったソロ。独墺あるいは中欧の伝統的な響きと解釈といったらいいだろうか。昨今、こうした落ち着いたモーツァルトはもう聴けないかもしれない。ピリオド奏法、オリジナル回帰、それぞれに主張あってのことだろうが、18世紀当時からの伝統、そこに19世紀末から20世紀初頭のロマンティックな解釈がのり、更にカラヤンのような20世紀の新しい旗手によりリフレッシュされ…そうした流れの結末にあるような演奏だ。
ムターは14歳のときこの盤でデヴューして以来、スター街道を走ってきた。ぼく自身はそれを追っかけてきたわけでもないが、一時期は随分と厚化粧の解釈になった時期もあっようだが、最近またモーツァルトやバロックへの回帰に取り組んでいるとか。さてどんなものなのだろう。すっかり成熟して女性の色香を感じさせる容貌共々気になる存在ではある。


モーツァルトのVn協奏曲第3番を弾き振りをしている近年の映像。デヴューの頃に比べ味付けはかなり濃い口だ。



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シェリング&ヴァルヒャ バッハ ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ集


相変わらず自宅から勤務先へは1時間余、片道36キロのミニドライブ。最近車中ではCDよりラジオを聴くことの方が多いのだが、きょうは久々にCDを選んで持ち込んだ。ヘンリク・シェリングのヴァイオリンとヘルムート・ヴァルヒャのチェンバロによる写真の盤。十年ほど前に廉価盤でリリースされた際に買い求めたと記憶している。


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この作品は以降の時代の独奏楽器と鍵盤楽器伴奏という形式の器楽ソナタの範になったとされる。実際チェンバロパートには当時一般的だった通奏低音の役割を超えて独立した声部やフレーズが与えられ、ヴァイオリンパートと一体的に音楽を構成する。一方独奏ヴァイオリンは単独で自己主張することが少なく少々地味な印象すらあり、より人気の高い無伴奏の作品が一つの楽器で表現の限りを尽くすがごとく広い音域と多彩な技巧を凝らしているのとは対照的だ。

この演奏を聴いて印象的なのはシェリングの独奏ヴァイオリンではなく、バッハの求道者として有名なヴァルヒャの弾くチェンバロパートだ。全6曲、いずれも生真面目を通り越して、いささかぶっきら棒と感じるほどの弾きぶりといったらいいだろうか。拍節感は厳格でありながら、厳しさというよりは素朴さを感じ、フレーズの入りや出も持って回ったようなところは皆無だ。彼の繰り出す音楽からは、十六歳で失明しながらバッハ鍵盤作品をすべて暗譜し、二度に渡ってオルガン作品の全曲録音を果たしたという彼の求道的な姿勢と飾らない音楽世界が聴こえてくる。そんなヴァルヒャに呼応してか、シェリングのヴァイオリンも音価を短めに切り詰め、決して歌い過ぎずに内省的に弾き進めていく。マタイ受難曲の有名なアリア<神よ、憐れみたまえ>を冒頭に配した第4番ハ短調BWV1017など、美音を駆使してもっとメロディアスに歌うことは容易であったろうが、そうしない見識も立派だ。

目が不自由だったヴァルヒャは他の楽器とのアンサンブルは限られ、この録音が唯一と言われている。2枚組2000円の廉価盤であったがその後廃盤らしく。アマゾンで中古盤に結構な値段が付いていて驚いた。派手な盤ではないので、どこかローカルな店の片隅で売れ残ってるかもしれない。


この盤の全6曲



メニューインとグールドによる第4番の第1楽章シチリアーノ



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レスピーギ ピアノ作品集、再び


きょう日曜日も梅雨の合間の晴れ。スカッと抜けた青空ではなく、薄い雲のベールを一枚通した陽射しは柔らかく、路傍に咲く紫陽花を美しく際立たせる。昼をはさんで、少し前から調子の悪い左手を気遣いながらギターを取り出し、バロック期の曲が収録された曲集を開いてあてもなく弾く。飽きたところで午睡に落ち、そうしてダラダラと終日過ごした。週明けの仕事スタートに備えて早めにやすもうと思ったのだが、昼寝が効いたのか眠気を催さない。仕方なくナイトキャップ代わりに何か聴こうと思い、音盤棚のピアノソロの盤がある辺りを探して、以前も記事にしたレスピーギのピアノ曲集を取り出した。


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このナクソス盤を聴いてから早いもので1年程になる。この盤はレスピーギのピアノ曲がコンパクトにまとまっていて、彼の作風の一面を知るには好適だ。実際、「六つの小品」や「グレゴリアン聖歌による前奏曲」など、こうして夜更けにやや絞り気味の音量でささやかに聴くに相応しい。大音量でばく進する管弦楽曲のローマ三部作と同じ作家というのがにわかに信じがたいほどだ。
レスピーギはラヴェルなどフランス印象派の影響を強く受けたという解説がなされているが、そこに元々の擬古典風の作風が加味され、耳に馴染みやすく心地よい。小品はややサロン風に過ぎると軽んじられるかもしれないが、ヘ短調のソナタなどは古典回帰の彼の作風がよく出た充実した響きで、ブラームスを思わせるところなどあり、中々聴かせる。


六つの小品から「優しいワルツ」。仏印象派の影響を受けた作風。サティーを思わせるサロン風小品だ(楽譜はこちら



グレゴリアン聖歌による三つの前奏曲(楽譜はこちら)。この曲を元にした大規模な管弦楽曲「教会のステンドグラス」という作品があるが寡聞にして知らない。



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S.L.ヴァイス リュートのためのソナタ集 第4巻


今週は月曜と水曜に都内及び横浜方面へ出張。その間の火曜日には当地を(まさに拙宅の上空辺りを)台風が通過と、あわただしく過ぎた。やれやれ金曜、やっと金曜、ふ~っ金曜…。ハイ、お疲れ様でした。振り返ってみると、先週同様、アンプの灯を入れて音楽をきちんと聴くこともなかった。それじゃ、久々に、という気にもならず、しばらく前から音盤の棚を眺めていたが、一向に聴く気分になれず、やっと心を決めて取り出しのが写真の盤だ。


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ナクソスから出ているシルヴィウス・レオポルド・ヴァイス「リュートのための作品集」のうちの第4集を取り出した。このシリーズはもう随分前からリリースされていて、手持ちの盤は十年も前のものだが、現在は十数巻までシリーズが進んでいる。
クラシックギター弾きの常として、リュート音楽にも興味を持った時期があったし、実際30年近く前、ステューデントタイプの楽器が量産メーカーから手の届く価格で売り出されたときはすぐに手に入れて、歴史的な位置付けやら奏法やらろくろく分からないまま音を出して遊んだこともある。結局身に付かなかったし、そもそもギターと歴史的リュートの両立は難しい。
リュートに本格的に取り組んでいる人と違ってヴァイスの組曲も、順番や作曲年代やら、そうした周辺情報に関心を持たぬまま、ただその響きを楽しんでいる。この第4集に収録されているものは、ヴァイスがドレスデンの宮廷に仕えていた時代のもので、第二次大戦で失われた手稿が90年代に入って修復・出版されたと解説にあった。どの曲も一聴してヴァイスの作品と分かる音使い。豊かな響きで深い抒情性を感じさせる。梅雨空のこんな季節にバロックリュートの幽玄な響きに身をゆだねるのも一興だ。


ヴァイスではないがバロック期の音源から二つ。
フランス・バロック期の作曲家;ロベルト・ド・ヴィゼーの作品。スウェーデンの奏者;ヨナス・ノルトベルグのテオルボ。



こちらは、バロック・ギターとテオルボとのデュオ。音楽以前に、バロックギターを弾くアンナ・コヴァルスカの美貌に参ってしまう。



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閲覧御礼! 33333

…まで、あと7カウント。
PC画面の右下にあるアクセスカウンタが、まもなく33333となりますね。
2010年10月開設以来のカウント数。このところは一日80カウント前後。
引き続き、訪問閲覧・ランキング用バナークリック等、ヨロシクです。

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今更ですが…レディー・ガガのフーガ


先日アファナシエフの弾くバッハ平均律の記事を書いた。その後も時々同曲集を拾い聴きしていて、あらためて音楽技法の一つの頂点であるフーガという形式に感服している。ぼく自身、下手なクラシックギターをちょっと弾く程度で和声法も対位法等まともな音楽知識などない。そんな状態であれこれいうのは余りに子供じみていて恥ずかしいのだが、フーガを作る、あるいは即興で演奏するというのは、ジャズのインプロヴィゼーション同様に尊敬し憧れる。音楽の専門教育を受けた人やあるいはトレーニングを積んだ人であれば、あるモチーフを聴かせて、これでフーガを即興で弾いてみてよと言えば、しばし考えたのちに「ととのいました!」とおもむろに弾き出すに違いない。300年前のフーガ即興演奏も現代のジャズの即興も、時代とジャンルは異なるが手法やアプローチはよく似ている。そんなことを考えつつ本日のネタを…少し楽器を触っている連中の間では既に旧聞に属する今更の話だが、備忘もかねて書いておこう。

現代のスーパースター;レディー・ガガ2009年のヒット曲「Bad Romance」のモチーフをイタリアのジョバンニ・ディトーリという音楽家がバロックスタイルのフーガに仕上げた。多分、音楽の専門家であればそれほど難易度の高いアレンジではないのだろうが、モチーフがスーパースターのヒット曲だったこともあって、その組合せの意外性から世界中の楽器愛好家が取り上げるところとなった。ぼくの周囲でも、mixiのクラシックギター仲間による内輪の発表会でアンサンブル編曲版が演奏されている。
四の五の言うより、YouTubeに山ほどある関連音源からいくつかを貼って、この話題の備忘としよう。


■まずはご本家のPVをどうぞ。30秒過ぎのテーマがモチーフ。



■このフーガを世に出した当人のYouTubeチャンネルにあるシンプルなピアノ演奏(ジョヴァンニの友人が弾いているとか)。

彼はYouTube上で和声と対位法のレクチャーを公開しているが、これが中々興味深い。例えば四六の和音と非和声音についての講義はどうだろう。


■フーガとくればオルガンだろう。ペダル音がないの少々寂しいか。



■ストコフスキーばりの管弦楽アレンジ。コンピュータ音源を流して、マイケル・ティルソン・トーマス指揮のサンフランシスコ響にクチパク?をやらせた…というわけではない。オケの映像はチャイコフスキーの第4番とストラヴィンスキー「春の祭典」から抜き出して音源と合わせたという代物。この映像とみて、元の曲のどの部分か察しがつくようならクラシックオタク度95%だ。



■ギターソロでチャレンジ。中々頑張っているが…




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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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