アンチェル&チェコフィル ムソルグスキー 展覧会の絵


今週火曜日あたりから暑さ復活。きょうは当地周辺の町々で軒並み35℃超えの猛暑日となった。昼過ぎに用件あって勤務先の工場内を少し歩いたのだが、あっという間に汗だく。こんなときに外でしばらく動いていたら、日頃から外での仕事に慣れていない中高年などは確実に熱中症だろう。そんなこともあって夕方から職場の同僚数名を暑気払い。下戸のぼくはいつも通り変り映えしない烏龍茶で、正にお茶を濁してお開きとなった。

さて、少し前から続けてカレル・アンチェルとチェコフィルの演奏を聴いて記事にしてきたが、きょうもその続き。実はアンチェルの盤を聴きながらネットを検索したら、内容がアンチェル一色のサイトに出会った。このサイトを開いているのは高橋綾さんというピアニスト。サイトの記述をみて、その周到な調査や文献や記録へのアプローチに感服し、失礼ながらメールを送ったところ、翌日さっそく返信をいただいた。その返信によれば高橋さんは、アンチェルにひかれ現地チェコにまで赴いて墓参りをし、アンチェルの弟子にもあったという。また現在はチェコ語で書かれたアンチェルの伝記に取り組んでいて、いずれはアンチェルに関する本を出したいとのことだった。正に筋金入りのアンチェルファンだ。机上のリサーチに留まらない傾注ぶりと行動力は完全にプロフェッショナルの仕事で、ぼくのようにのんべんだらりと音盤に聴き入っているだけのグータラとは次元異なる深いものを感じる。桐朋では音楽学を専攻された由。単なるピアノ弾きに留まらない才能と感性をお持ちなのだろう。この駄文をご覧の方もぜひ高橋さんのサイトをご覧いただきたい。


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そんなこともあって今夜もまたアンチェルの盤を取り出した。いつものコンビ、チェコフィルと入れたムソルグスキー/ラヴェル編の「展覧会の絵」。1968年1月の録音で「禿山の一夜」がカップリングされている。「展覧会の絵」について以前も何度か記事にした。このアンチェル盤は巷間特別に評価が高いというものではない。しかし、あらためて聴いてみると、他の盤には感じない密度と緊張感を聴き取ることが出来る。曲は第1曲のプロムナードからやや速めのテンポと、短めのフレージングで進む。金管群も音価を短めに切り上げる。一音一音に重心をのせテヌート効かせた解釈とは対照的だ。しかし不思議と先を急ぐ感じや軽い感じはしない。その理由を考えてみたのが、先に書いたとおり、音楽全体に緊張感が高く、音と音の隙間にもエネルギーを感じることが理由にように思える。またチェコフィルの音は他の盤の記事でも書いた通りキレがあって美しいが、この曲では時にあえて荒削りなタッチで、ロシア風のスケール感を表現している箇所もある。また時折聴こえてくる金管群のヴィブラートを伴った音は、この時代の東欧やロシア圏オケの特徴の一つで懐かしくもある。総じてやや速いテンポとキレのいい歩みではあるが、一方で<古城>や<ビイドロ>での暗い表情や歌いっぷりも違和感がない。
ぼくがこの曲、展覧会の絵で一番注目するのは<カタコンベ>だ。この<カタコンベ>のもっとも素晴らしい演奏はと問われれば迷わずチェリビダッケ&ミュンヘンフィルの1993年録音と答えるが、このアンチェル盤も狙った方向は異なるが、劣らず素晴らしい。金管群の熱演はときに力余って音程が怪しい箇所もあるのだが、終始緊張感に満ちている。終曲<キエフの大門>は格調高く中庸のテンポで入るが、最後に一気に速度を落とし巨大なスケールを描いて大団円となる。


アンチェル&チェコフィル1958年アスコーナでのライヴ録音から。
カタコンベ



ババ・ヤガ~キエフの大門



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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