クレンペラーのワーグナー・アルバム <2>


週末金曜日そして8月も終わり。今年も3分の2が過ぎたというわけだ。月日の進みは、早く終わって欲しいことを考えていると遅いし、続いて欲しいことを思っているとあっという間に過ぎてしまう。四十代になった頃は月日の進みが早く、歳を取ったせいだと思っていたが、最近はまた時間の経過が遅く感じられるようになった。若返ったわけではないので、早く終わって欲しいが中々終わらないことが増えたためだろう。つまりは、あまり楽しいことがないということですなあ。はいはい。


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…で、クレンペラーの続き。ワーグナー管弦楽曲集の第2集。収録曲は以下の通り。第1集と同時期の1960年から61年にかけて録音されている。ライナーノーツによれば収録場所はキングスウェイホール。昨日の第1集もあらためて確認したことろ、アビイ・ロードスタジオではなくキングスウェイホールと記されていた。つまり昨日の記載は大間違い。スンマセン、訂正&お詫びであります。但し、きのう短めの残響と書いたが、その印象は変らず、ホールトーンを控えめにして各パートの明瞭度を確保しようという意図がうかがえる。

1. 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕の前奏曲
2. 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第3幕より”徒弟たちの踊りと親方たちの入場”
3. 楽劇「ラインの黄金」より”ワルハラ城への神々の入城”
4. 楽劇「ワルキューレ」より”ワルキューレの騎行”
5. 楽劇「ジークフリート」より”森のささやき”
6. 楽劇「神々の黄昏」より”ジークフリートのラインの旅”
7. 楽劇「神々の黄昏」より”ジークフリートの葬送行進曲”
8. 楽劇「パルジファル」より第1幕への前奏曲

相変わらず極めて重厚かつクリアな曲作りで、ワーグナーの複雑なスコアに書かれた音を団子にして放り投げるのではなく、一つ一つ分別収集して精緻に並べ直したような演奏だ。精緻に並べたというと、整然としているだけで盛り上がりに欠けるように思われそうだが、そうではない。<重厚かつクリア>という、通常は相反しそうな二つの要素を両立しているところにクレンペラー&フィルハーモニア管の素晴らしさがある。この第2集に関していえば、ニーベルンクの指輪から取られた曲に関して抜粋上(曲の切り出し)の不満があるにはあるし、いくつかの曲はやはり歌も入ってほしいと思ってしまう。それでも「ジークフリートの葬送行進曲」だけでもそうした不満を補って余りある演奏だし、マイスタージンガーやパルジファルは独立した前奏曲なのでその違和感はない。
マイスタージンガーは出だしから悠然としたテンポで始まり、途中更にテンポダウンして一層スケールが大きくなる。こういうテンポ設定になると、オケ側にも精神面・体力面共に相当な負荷がかかるはずだ。フィルハーモニア管の各セッションはそんな不安をまったく感じさせずにクレンペラーの要求に応えていく。そしてそうした音楽を克明に捉えた録音技術もたいしたものだ。

マイ・プリウス号のカーステレオは特別なチューニングなどしていないありきたりの純正オプション。そんな装置で聴いていると録音の全容など分かるはずもない。低音は60~100Hz付近がボコボコ鳴って不明瞭だし、走行音の邪魔もあるのでピアニシモのニュアンスを十分聴き取ることも出来ない。それでもクレンペラーの骨格のしっかりした設計図と、それをクリアかつ量感や力感も十分に実現するオケや録音の素晴らしさはよく分かる。もちろん帰宅してフルサイズのオーディオセットで聴くスケール感と細部の明瞭さは別格だ。
クレンペラーのCDはEMIから度々再発売されているが、その都度カップリング内容が変わったり値段も上がったり下がったり。紹介した盤も2006年に『EMI CLASSICS 決定盤1300』という廉価盤シリーズで出たが、すでに廃盤のようだ。EMIにはぜひ発売当初のオリジナルジャケットとオリジナルカップリングでまとめて復刻してもらいたい。クレンペラーのボックスセットなら十分セールスも期待できると思うがどうだろう。


この録音のLP盤で聴くワルキューレの騎行



こちらも立派なワルキューレ 昔ケンブリッジ・バスカーズ、今クラシック・バスカーズ



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クレンペラーのワーグナー・アルバム <1>


きょうも暑い暑い…。朝の出勤時間帯は薄い雲が広がっていて陽射しもなく、きょうは暑さもほどほどか思っていたが、昼前には太陽をさえぎっていた雲もなくなり気温上昇。結局35℃超えの猛暑日となった。アメダス画像をみると全国で当地北関東の平野部だけに35℃超えの赤マークがあった。それでも朝晩はあちこちで虫の音が聞こえ始めているから、季節が変わり始めていることだけは確かだ。いましばらくの辛抱ですね。
このところ相変わらずまともに音楽を聴くことが少ない。毎晩1時間程度の時間は取れるし、爆音はともかく音楽を違和感なく聴く程度の音量を出しても文句は出ない。聴き始めれば長いシンフォニーも最後まで聴き通すのだが、その手前で最後のひと押しが働かない。傍目には中々魅力的な音盤を前にその気にならない…。音盤更年期、音盤倦怠期…てな感じかな。そんな訳で前回の記事同様、きょうも通勤車中リスニング。ちょっとガッツリ聴いて音盤更年期を乗り越えようかと、こんな盤を持ち込んだ。


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                     <EMIアビイ・ロードスタジオ>

オットー・クレンペラー&フィルハーモニア管弦楽団によるワーグナー・アルバム。LP時代から繰り返しリリースされ、CD時代になっても何度か再発されている。EMIはこの十数年間にHS2088やらARTやら何度かデジタル化のマスタリングプロセスを変えている。手元のこの盤は2006年に廉価盤で出たときのもので24bitリマスタリングと記されていている。録音は1960年、同時代にビートルズの録音でも使われたEMIアビイ・ロードスタジオ。ワーグナー管弦楽曲集<1><2>と二つのアルバムにワーグナーの主要な管弦楽曲が収録されている。Vol.1のこの盤の収録曲は以下の通り。

1. 歌劇「リエンツィ」序曲
2. 歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
3. 歌劇「タンホイザー」序曲
4. 歌劇「タンホイザー」第3幕の前奏曲 “タンホイザーの巡礼”
5. 歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
6. 歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲
7. 楽劇「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と“愛の死”

演奏は今更くどくど駄文を連ねる必要もない評価の高いもの。きょう車中のカーステレオという悪条件下ではあるが、少しボリュームを上げて聴いてみて、あらためて感心した。まず音楽の捉え方が整然としていて実際の音作りも極めて明晰だ。ドイツ人指揮者によるワーグナーという言葉から想像するイメージからは遠い。もちろん重厚な音の積み重ね、悠然としたテンポ設定などはいかにもドイツの権化;ワーグナーに相応しい。しかし決して混濁せず、熱気で押し切るようなところがない。晩年のイメージから独墺系の重鎮をイメージするクレンペラーだが、若い頃は現代音楽を積極的に取り組んだというから、音楽の基本的な組立ては明快で冷静なのだろう。リエンツィ、オランダ人、タンホイザーと3曲続けて聴くだけで、クレンペラーの特質、音楽作りの方向性はよく分かる。

またこの盤はリマスタリングの成果もあるのか音質も良好。各パートの分離がよく、一つ一つの楽器やパートが糸を引くようにきれいに分離してピックアップされている。残響は大ホールのそれと違っていて、EMIアビイ・ロードスタジオのやや短めのエコーが付いてくる。このあたりの録音条件も明晰な音楽作りにつながっているように思う。更にクレンペラーの指示でヴァイオリン群の対向配置をとるフィルハーモニア管の演奏能力も極めて高い。弦楽群のソノリティーはよく整っているし、オーボエなど木管群の音色も印象的だ。また時折繰り出すホルンの強奏も迫力十分だ。このオーケストラの創設者ウォルター・レッグが腕利きのミュージシャンを集めただけのことがある。

ワーグナー・アルバム数々あれど、このクレンペラー盤はフルトヴェングラーやクナッパーツブッシュなどとはまったく異なるアプローチながらも、ドイツ的な重厚さを存分に味わえる名演だ。


この盤の音源。タンホイザー序曲



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アルゲリッチ&チョン・ミョン・フン シューマン ピアノ協奏曲


当地北関東は相変わらず厳しい残暑。朝晩はいくらか涼しくなった気もするが、日中は連日猛暑日の35℃超えが続いている。北関東の熊谷・館林・伊勢崎・前橋など、近年暑さで名をはせるようになった。他の地域在住の方には北関東といってもイメージがわかないだろうが、地図でみたとき緑色の広い関東平野の左上辺りといえばいいだろうか。海から遠い内陸、東京都心部で発生した熱が関東平野を対流してちょうど北関東に熱気が降りてくる…いろんな事情が重なって暑くエリアになっているようだ。きょうも仕事を終え、まだ暑さいえぬ夕暮れ時の帰宅ドライブの車中、こんな盤を聴きながら36キロの帰途を急いだ。


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アルゲリッチのピアノ、チョン・ミョン・フン指揮のフランス国立放送フィルハーモニーの演奏するシューマンのピアノ協奏曲。2001年12月パリ・シャトレ劇場でのライヴ録音で、2008年にタワーレコードの企画物廉価盤として発売された。
シューマンのピアノ協奏曲はロマン派のピアノ協奏曲の中では好きな曲の一つで、古くはリパッティとカラヤン&フィルハーモニア管から、70年代のリヒテルとマタチッチ&モンテカルロ歌劇場管、デ・ラローチャとコリン・デイヴィス&ロンドン響、同じアルゲリッチでロストロポーヴィチ&ワシントン・ナショナル交響楽団との盤などが手元にある。

さてこのシューマン。アルゲリッチとチョン・ミョン・フンの組合せと聞けば何となくイメージできる印象があって、実際のこの演奏はそのイメージ通りといったらいいだろうか。アルゲリッチのピアノはちょうど彼女が還暦を迎えた時期とは思えないほど生気に満ち、鋭いタッチから生まれる音は彼女のイメージそのままに奔放に空間に解き放たれる。ロマン派の曲だからそうした自由さも違和感はないし、彼女が得意としていたこの曲では、全編鋭く切り込むフレージングとスリリングな展開に、聴く側も思わずハッとして手に汗握る。

第1楽章は出だしのピアノとオケのトゥッティが緊張感のある音と付点のリズムで出たあと、オーボエが奏でる主題がテンポを一気に落として奏される。その音色とテンポチェンジが素晴らしい効果を上げている。以降もアルゲリッチの切れ込みよいピアノとそれに拮抗して対等に渡り合うオケ。程よい伴奏に終始しがちなオーケストラパートに、こんなフレーズがあったのかと何回もハッとするほどチョン・ミョン・フンの読みは深い。第2楽章でも終始オーケストラパートが雄弁で、特に例のチェロが繰り出すテーマなど、テンポを遅くとって息の長いフレージングで聴かせ、まるでマーラーの緩徐楽章かと思うほどのロマンティックな歌いぶりだ。第3楽章アレグロ・ヴィヴァーチェもピアノとオケの競い合いが素晴らしい。時折アルゲリッチが多分リハーサルでは確認していなかったような急激なアチェルランドをかけ、オケがそれに反応し切れずにヒヤッとする部分があったりする。躍動するリズム、終盤で奏される滑らかなスケールは僅かなタイミングの中に加速し緊張を高めていきながら、ピアノとオケが一体となって曲を盛り上げる。終演後の万雷の拍手も収録されていて、ライヴ盤を聴く醍醐味を堪能できる。

この盤、もちろんアルゲリッチのピアノが主役だろうが、チョン・ミョン・フンの譜読みの深さとそれに応えるオーケストラの素晴らしさも賞賛に値する。併録されているシューベルトの未完成も感動的な演奏だが、これについてはまた日をあらためて取り上げよう。


この盤の音源。第3楽章。1分30秒前後、一瞬ヒヤッと…



シャイー&ライプツィッヒゲヴァントハウス管との第1楽章前半



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ウィーンのシュランメル音楽


きのう土曜は野暮用あって午後から外出。出先で夕飯を済ませて帰宅後またもソファで爆睡してしまった。せっかくの週末の晩を何もせずに惰眠をむさぼり後悔しきり。気を取り直して熱いお茶を入れて一服し、何か夜明けどきに相応しい音盤はないかと探して、こんな盤を取り出した。


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19世紀後半にウィーンで流行ったシュランメル音楽のCD。シュランメルについてはこちらの解説をみていただくのが手っ取り早いが、音楽そのものは多くの日本人にも耳に馴染みがあるはずだ。新年のニューイヤーコンサートで演奏されるウィーナワルツがオーケストラによる表舞台の音楽とすれば、シュランメル音楽は小規模アンサンブルによって演奏され、カフェや酒場でウィーンの市井の人々に愛された音楽だ。曲目は仔細に紹介する必要のない盤だと思うが、シュランメル音楽という名の元になったシュランメル兄弟の作品を中心に、ときに楽しくときに哀愁に満ちた曲が並んでいる。
ウィーンと言えばクラシック音楽ファンなら一度は訪れたい街の一つだ。四半世紀も前のことになるが、ぼくも一度ウィーンに遊びに行ったことがある。ムジークフェラインではウィーン交響楽団を2回聴き、国立歌劇場ではヴェルディのシモン・ボッカネグラを観た。何度が入ったカフェではこの盤のようなシュランメル音楽やシュトラウスのワルツなどを情緒たっぷりに演奏していたのを思い出す。同時のそうしたウィーン風の音楽や街の様子に、東ヨーロッパやジプシー民族の雰囲気を色濃く感じた。ウィーンの街で、ヴァイオリン2、G管クラリネット(またはアコーディオン)、バス弦付きギターという昔ながらの編成で、今でも広く親しまれているシュランメルの音楽にはそうした雰囲気がダイレクトに感じられる。




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このブログについて <再々掲載>


このところ新規アクセスの方が増えているようなので、以前書いた記事を再度アップしておきます。
ブログが持つ性格上、だいたいはアクセスした当日の記事を読む。過去の記事にさかのぼってみたり、あるジャンルの記事を拾い読みすることも少ないだろう。従って、このブログを定期的に読んで下さっている方も、開設当時からの一部の方は別として、他の方は初めて来たとき以降の記事を見るに留まっていることと思う。そこできょうは過去にどんな記事を書いているかをブログの機能であるカテゴリー分類に従って思い出してみることにした。もしこのブログにアクセスしたときに更新していなかったら、更新しろッ、このボケッ!と言わずに、過去の記事をぽつぽつ読んでもらえるとうれしい。


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ついでにこのブログのタイトル『六弦音曲覗機関(ろくげんおんぎょくのぞきのからくり)』についてひと言。由来は江戸時代の歌舞伎の外題による。河竹黙阿弥が江戸末期の文久2年に作った『勧善懲悪覗機関(かんぜんちょうあくのぞきのからくり)』という世話物狂言がある。今ではほどんど上演されないが、この外題の覗機関(のぞきのからくり)という表現が妙に新鮮で拝借した次第。この外題に6本の弦を持つギター=六弦と音楽=音曲とをくっつけたタイトルだ。若い頃は歌舞伎も好きで、NHKの中継は欠かさず観たし、群馬の田舎から歌舞伎座や国立劇場の立見席へも幾度となく通った。20代の頃の話だが。

以下はブログの右側にあるカテゴリー選択で選べる記事の分類。カッコ内はこれまでの記事の数(2012年8月中旬時点)。カテゴリーを選ぶとその分類の記事が順番に出てくる。画面の下までいくと<次のページ>が選択できるので、そこをクリックすると更に過去の記事へ飛ぶ。このブログの基本はクラシックを中心とした音盤鑑賞記。従ってクラシック分野のカテゴリーだけは雑誌やCD・レコードの分類慣習に従ってやや細かく分けている。


◆ギター (61)
ブログタイトルである六弦=ギターについての記事。多くはギターのレコード・CDを聴いてのアレコレ。YouTubeで見つけた演奏などもときどき貼っている。
◆楽器 (24)
自分の楽器や友人の楽器の紹介、楽器弾き比べ、ギター製作家の工房訪問記など。ギター工房訪問記でこれまで登場したのは、田邊雅啓、西野春平、松村雅亘、廣瀬達彦、一柳一雄/邦雄、中山修。訪問したもののまだ記事にしていないのは野辺正二、庄司清英など。
◆クラシック一般 (6)
クラシックは下記のジャンルごとに分類しているが、この分類はそうしたジャンルに入れられないもの、あるいは話のついでにクラシックのことを記したものなど。
◆ジャズ(53)
ジャスも好きでよく聴いている。お気に入りの音盤紹介。ジャズウーマンのジャケ買いもしばしば。
◆ポピュラー (11)
フュージョン、ロック、映画音楽など。
◆オーディオ(9)
オーディオについてはもっと書きたいこともあるのだが…
◆指揮者 (60)
好きな指揮者、気になる指揮者、??な指揮者など、オーケストラ作品を指揮者への興味から取り上げたもの。オーケストラ曲を聴いていると、どうしても指揮者の解釈、オケのコントロールといったところに興味が行き着く。
◆歌謡曲(14)
本当はもっと書きたいカテゴリー。手元には昭和歌謡のドーナッツ盤約200枚、LPも100枚ほど有り。
◆日々の出来事(34)
音楽に直接関係のない話題。
◆北欧(4)
2003~2006年に仕事で何度か行った北欧の思い出。現地オーケストラ体験など。しばらく書いていないもの、あと10本くらいはネタあり。
◆演奏録音(6)
下手くそな演奏をアップ。mixi仲間との19世紀オリジナルギターによるアンサンブルなども。

―以下はクラシック音盤の一般的分類に従ったカテゴリー分け-
◆交響曲 (31)
◆管弦楽曲(29)
◆協奏曲 (30)
これら3つの分類は、指揮者による分類よりは曲そのものへの興味から取り上げたもの。協奏曲の場合は曲自体とソリストへの興味もある。
◆室内楽(38)
2つ以上の楽器よるアンサンブル。チェロやヴァイオリンの独奏でもピアノ伴奏がある場合はここへ分類。
◆器楽曲(56)
ピアノ独奏、ヴァイオリンやチェロの無伴奏のもの。
◆声楽曲(8)
いかに声楽ジャンルを聴いていないかが分かる。

…というわけで、こうして分類とその記事の数をみると、おおよそ今の自分の音楽への興味を映し出している感じがする。これからも偉大なるマンネリズム目指し、かつ硬派をよそおいながらやっていきます。みなさん引き続き、アクセス・コメント・拍手・バナークリック、諸々ヨロシクです。


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特集;群馬交響楽団を聴く <6> 高関健指揮 ベートーヴェン交響曲全集


今週末いっぱいの休みも身辺野暮用とグータラ生活に明け暮れて後半になってしまった。ここ数年、長期の休みの度に懸案となる押入内ガラクタや音盤、楽譜、書籍類の整理整頓はまたも順延。きっと勤めが定年満了となって<サンデー毎日>状態になるまで手付かずのままなのかなあと半分諦めてもいる。 さて夏休み特集;群馬交響楽団を聴く。きょうはその第6回、そして今回で一旦終了とする。中じめのきょうは、90年代後半から2000年代半ばまで真の群響黄金期を築いた高関健指揮によるベートーヴェン全集を取り出した。


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1995年、高関&群響は群馬交響楽団創立50周年特別企画として、都内浜離宮朝日ホールと群馬県内の数ヶ所とでベートーヴェン全交響曲の連続コンサートを行った。そのときのライヴ録音を集めて5枚のCDとして全集化したのがこの盤だ。 95年といえば93年に高関氏が群響音楽監督に就いて3年が経ち、氏の考え、スタイルはすでに群響に染み入り、それに応えるだけの素地も出来上がっていた時期だ。その時期にオーケストラ演奏の原点とも言えるベートーヴェンの交響曲を演奏するにあたり、高関氏はまず使用楽譜の吟味から始めた。前世紀から使われてきた楽譜や慣習的な指示を全面的に見直し、70年代以降のベートーヴェン研究の成果が反映された新ベートーヴェン全集や様々な新しい版を調べ上げ、95年時点ももっとも適切と思われる版を採用している。その結果この全集では全9曲のうち6曲が新しい楽譜で演奏された。演奏スタイルについても、スタカートの扱いやボーイングの指示に見られた19世紀以来の慣習的な奏法を見直したという。編成も演奏会場の浜離宮朝日ホールの広さや音響条件等を考慮してやや小編成とし、弦楽群は対向配置の8-8-6-5-4。万事、学究肌の高関氏らしいこだわりと周到な理論構築のなせるところだろう。世界トップのオケのシェフになってベートーヴェン全集を録音した際、使用楽譜の版について問われ、そういう細かいことはよく分からないと言ったという某世界的指揮者には、高関氏のつめの垢でも煎じて飲ませたいくらいだ。

演奏はいずれも素晴らしい。この演奏からかつて70年代までの群響を想像することは出来ないし、豊田耕児時代に飛躍的に向上した演奏能力のレベルからも一段も二段も高いところへ到達している。ピリオドスタイルではないが、慣習的なソステヌートを排除しフレージングを明確にした結果、19世的ロマン主義の色は少なくなっていると、ライナーノーツで高関氏自身が語っている。
いまあらためて第2番ニ長調を聴いているが、やや小型の編成と対向配置、慣習的奏法を廃した演奏スタイルにより、音楽全体の見通しがよく、颯爽としたベートーヴェン演奏が展開する。第1楽章の序奏から各パートの綾なす音響に一気に引き込まれる。主部では音楽は前へ前へと推進していく力に満ちていて、小編成のハンディキャップはまったく感じない。ベートーヴェンが書いた緩徐楽章中でも最も美しいものの一つである第2楽章も各パートの分離がよく、フレーズも明快で、あっさりしているようだが、小編成ゆえにアーティキュレーションの変化がより明確だ。終楽章も速めのテンポで畳み込むようなAllegro molto。あちこちに散りばめられたベートーヴェンらしいアクセントが明快に決まり、心地いい。

全体と通してALM・コジマ録音による録音の素晴らしさも特筆に価する。浜離宮朝日ホールと群馬県内のホールとの違いをうまく調整しているようで全編統一された音と響きを保っている。やや近めの音像にうまくホールトーンをミックスしてあり、小編制オケの長所をうまく引き出した素晴らしい録音だ。そして世にベートーヴェンの交響曲全集あまたある中、この高関&群響の盤は特別な意義のあるアルバムとなった。このコンビはその後も快進撃を続け、定期演奏会ではハイドンからシェーンベルク、武満までユニークで斬新なプログラムでファンを魅了し、またマーラーの第2、7、9番の大作をライヴ録音で残している。いずれそれらについても紹介したいと思っているが、一連の群響の記事はこれで一旦終わることとする。


今回の特集の中じめにあたり、こんな動画を貼っておく。群響と閣下の邂逅。



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特集;群馬交響楽団を聴く <5> 高関健指揮 ブラームス 交響曲第1番


ご当地自慢もほどほどにしておかんとなあと思いつつ、ことのついでにもう少し。群馬交響楽団を聴くシリーズその<5>であります。これまでの4回では同団の大きなターニングポイントとなった80年代初めの盤を取り上げた。実際それ以前は公式な録音やレコードの販売があったのかどうかも知らないし、手元にも1974年に録音されたベートーヴェンの第9があるが、いわば私家版扱いのもので一般流通はしていない。これは群響に限ったことではなく、日本の地方オケが録音セッションをすること自体まれだった。その意味でも1980年からの一連の録音は群響のみならず日本のオーケストラ全体に与えたインパクトも相応にあっただろう。またカメラータトウキョウというような、クラシック界のインディーズレーベルが個性ある企画と優れた感性に基づく録音セッションで、この世界に出てきたことも注目に価する出来事だった。
そうした80年代初頭のあと、群響は一気に飛躍したかというとそうではなかった。オーケストラに付き物の財政難やそれに関連する労働問題などもあって、落ち着かない年月が続くことになる。しかし団員の努力や根強いファンの力もあって定期演奏会のほか、県内学校施設への移動音楽教室などを継続。やがて財政面では群馬県の補助を受ける体制が整う。そして音楽面では1993年、その後15年間に渡って音楽監督を務め、真の黄金期を確立した高関健を迎えることになった。


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高関氏を迎えた群響は、音楽そのものに関する知識、オーケストラビルダーとしての力量等で抜群のセンスと手腕を持つ同氏のもと、徹底的に音を再構築。そして積年のうっぷんを晴らすかのように活動の幅を広げた。1994年「プラハの春国際音楽祭」、「ウィーン芸術週間」から同時に招待を受け、4カ国を巡る海外公演を実現。翌年1995年の創立50周年には東京及び群馬県内各地でベートーヴェン全交響曲連続演奏会を行った。きょう取り上げたCDもそうした時期の1枚だ。収録曲は以下の通り。いずれも1996~97年のライヴ録音。

 1. 夢の時(武満徹)
 2. オーケストラのための「遠景2」(細川俊夫)
 3. 交響曲第1番ハ短調op.68((ブラームス)

1997年、高関&群響はブラームスの4つの交響曲を続けて取り上げた。この盤の4番は1997年前橋市民会館でのライヴ録音だ。これを聴くと高関氏の音楽作りは実に明快で適切だ。第1楽章は原典主義の彼らしく提示部を繰り返し、その時間15分。序奏からやや速めのテンポ設定だが、音響イメージが安定していて軽さはなく、ブラームスに期待する重厚さは十分だ。アンサンブルの縦の線がピシッと合い、決め所のアインザッツが曖昧になることがない。聴いていてまことに胸のすく演奏だ。管楽器群の音程も安定しているし、ブラームスの交響曲らしい弦楽群のうねるような表現も過不足ない。ブラームスの交響曲は厚みある音響や単純でないフレーズの折り重なりなどロマン派交響曲としての側面と、一方で構成やリズムなどでは古典的要素も含み、指揮者の解釈でどちらに軸足を置くかが決まる。高関氏はこの曲を完全に古典的な観点からとらえ、テンポ設定やアインザッツの整え方を周到に組み立てている。特に第4楽章は演奏によってはかなりこってりしたロマンティシズムを前面に押し出すものがあるが、この演奏はスコアに指示はないが慣習的にテンポを落とすような箇所(例の終盤の管楽器群によるコラール等)もインテンポで通している。群響も終始緊張感を保った音で高関氏の古典的アプローチに応え、見事な演奏を展開している。

高関氏は音楽監督として群響に新しいレパートリーや難易度の高い曲も持ち込んだ。団員も世代交代の時期になり若手の優秀なプレイヤーが数多く入団した。ぼくは2000年から2006年頃の高関&群響のほとんどんの演奏会を聴いたが、古典派から後期ロマン派、近現代まで、そのいずれもが期待に違わぬ素晴らしい演奏だった。このブラームスはそうした高関&群響の黄金期を印す名演だ。


残念ながら高関&群響の適当な音源がなかった。ここでは氏が2010年日本フィルでブルックナーの8番を取り上げる際のインタヴューがあってのでそれを貼っておく。このインタヴューの中でも明らかにされいてるが、彼のTwitterではマニアックな研究ぶりがうかがえる。



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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