ワルター・ビショップJrトリオ <SPEAK LOW>


当地北関東は土曜からきょう日曜の午後まで夏が戻ってきたかのようの天気となった。気温も30℃近くまで上がっただろうか。そんな中、台風が近付きつつあってきょう日曜の夕方から風雨が強くなってきた。ネットで進路予報をみるとどうやら当地の真上あたりを通過しそうな気配。これから夜半にかけてがピークらしい。
さて9月最後の日曜日、例によって野暮用少々の他はウダウダと一日を過ごす。あすから10月という日曜の夜、まだ寝るには早い時間。久しぶりにLP盤を聴こうと、レコードプレイヤーの電源に灯を入れた。


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ワルター・ビショップJrトリオによる名盤『SPEAK LOW』。1961年の録音。収録曲は以下の通り。

 1. サムタイム・アイム・ハッピー
 2. ブルース・スン・ザ・クローゼット
 3. グリーン・ドルフィン・ストリート
 4. アローン・トゥゲザー
 5. マイルストーンズ
 6. スピーク・ロウ

ぼくは決してジャズマニアではないので詳しい説明は出来ないのだが、このワルター・ビショップJrはバップ系ピアニストとしてデヴューしたもののあまりヒットに恵まれず、本作が最初で最後の代表作となった由。オリジナルのLP盤は大そうなプレミアムが付いて幻の名盤ともまで言われたようだが、今は復刻CDなら容易に手に入る。写真の盤はもちろんそんなプレミアム盤ではなく国内盤(懐かしいトリオレコード)の中古で、ディスクユニオンかどこかで千円程で手に入れた記憶がある。そんないわくのある盤だが、こうして後世まで聴き継がれているのだから名実共に名盤といってよい。スタンダードな名曲がスタンダードなピアノトリオで演奏される、ごくスタンダードな盤だが、何か気安さだけでないところがあって、その辺りが世に残った要因だとうか。

ワルター・ビショップJrはブロックコード奏法に長けていたというが、この盤でもそんな特徴がよく出ていて、モダンなコードをチョイスしながら、単なるバッキングに留まらないスィンギーなコードプレイを繰り広げる。さらにこの盤の売りはジミー・ギャルソンのベースだろう。第1曲サムタイム・アイム・ハッピーの冒頭からノリのよいはずむようなベースプレイ、第3曲グリーン・ドルフィン・ストリートでのアルコ(弓弾き)での長いソロ、そしてB面の第2曲、アップテンポのマイルストーンズでぐいぐいとアンサンブル全体をドライブしていく様、いずれ存在感十分で、この盤を単なるピアノトリオの終わらせていない。


アルバムのタイトルチューン<SPEAK LOW>



アップテンポの<MILESTONES>。バッパーの面目躍如。



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Somethin' Else


 まもなく開設から2年を迎えるこのブログ。8月のお盆休みの頃から少しアクセス数が上昇。9月に入ってからは1日のアクセス数が平均90(IPカウント)、ときどき100を超える。一方で拍手やバナークリックは低迷。この1週間での拍手はゼロだ。だからどうということもなく相変わらずマイナーかつ硬派の与太記事継続です。そんなことより、まもなく終わるこの夏の特記事項がある。
 実は8月から今月にかけて、食事の量を減らすことで4キロほどの減量に成功したのだ。ここ10年程ダラダラ続いていた体重増加についに終止符を打った、といっては大げさだが、わずか数パーセントの減少でも本人の自覚としては相応のインパクトがある。ズボンのウェストがゆるくなった、鏡に映る膨れ上がった顔がいくらかすっきりした…まあ、その程度のことだが、この調子でいけばノータックのチノパンをはける日が来るかもしれない(^^;
 さて今週はまた暑さがぶり返すとの予報だったが、さほどのこともなくきょうもまずまず過ごしやすい一日だった。彼岸も過ぎてこのまま秋本番になるのかなと思いつつ、こんな盤を取り出した。


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 マイルス・デイヴィス、キャノンポール・アダレイらによる名盤『Somethin' Else』。ジャズの名盤案内に登場する確率が最も高いアルバムのひとつだ。リーダー名義はキャノンポール・アダレイだが、実際はマイルス・デイヴィスが主導するアルバム。契約の関係でマイルスの名を前に出せなかった由。1958年の録音。そしてシャンソンの名曲<枯葉>をジャズの世界に持ち込み、スタンダードとして定着させた盤としても有名だ。

 まずその<枯葉>を聴く。やや不安定な和声で意味深長なイントロがあったあと、マイルスのミュートトランペットがよく知られたメロディーを繰り出す。贅肉をそぎ落とした最小限の音数でありながら、緊張と詩情を併せもつ素晴らしいプレイだ。マイルスがモード手法を織り交ぜたソロをひとしきり吹いたところで、キャノンポール・アダレイのサックスに代る。ミュートトランペットのあとに聴くサックスの音はふくよかで暖かく、一気に気分が緩む。のちのコルトレーンとのバトルを繰り広げる名盤『Cannonball Adderley Quintet In Chicago』での彼とは別人のように滑らかで美しい。アルバム全体のコンセプトとマイルスの方向性をよく理解し意識しているのだろう。そのあともバラードからミディアムテンポの、秋の夜に相応しいリリカルな曲が続く。そしてオリジナルLPには収録されていない<Alison's Uncle>が中々いい。ややアップテンポながら決して空騒ぎにならず、程よい熱っぽさと共に洗練されたセンスを感じるチューンだ。この盤、久々に聴いたのだが、やはり名盤と言われるだけのことはあると、納得の1枚だ。


<枯葉>



<Alison’s Uncle>



<アルバム全曲>



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<訃報> 諏訪根自子逝去


きのう9月24日、諏訪根自子が去る三月に亡くなっていたとのニュースがあった。伝説の美人ヴァイオリニストとして、ぼくらの親くらいのオールドファンには懐かしい存在だろうか。ぼく自身は1980年、長らく一線から退いていた彼女が突然のように録音したバッハ無伴奏ヴァイオリン作品のLPを当時買い逃した苦い思い出がある。今はプレミアムが付いておいそれと手が出ない。その少しあと、深田祐介著『美貌なれ昭和―諏訪根自子と神風号の男たち』を読んで当時の彼女の様子を知った。戦前からベルリンに渡り、クナッパーツブッシュ指揮のベルリンフィルと協演したり、かのゲッペルスからストラディバリウスを贈られたりといった逸話が残っている。90年代になってからもプライベートな形で演奏を続けていた様子。享年九十二歳。合掌。


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80年代初頭テレビ朝日のドキュメンタリーで先に記した深田祐介氏の著作と連動した番組があった。昭和12年・1937年に朝日新聞がロンドンまで飛ばした『神風号』に関するものだった。神風号が飛来するロンドンでは麻生太郎の母;吉田和子が待ち、ベルギー;ブリュッセルの飛行場では諏訪根自子が待っていた。そして1937年といえばセゴヴィアがハウザー1世が作ったギターを絶賛し、それまで使っていた愛器マヌエル・ラミレス作(実際はM・ラミレス工房の職工長サントス・エルナンデス作とされる)のギターをハウザーに変えた年でもある。いろいろな異なる事象が同じ時間軸にのり、それぞれの歴史が作られていくのだと実感する。

残念ながら彼女の盤は手元にない(90年代に出たCDもプレミアム価格だ)。YouTubeには僅かながら貴重な音源があったので貼っておこう。彼女が12歳のときの録音とある。





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オーディオ衣替え&マーラー;アダージェット


昨夜から降り出した雨が終日続く。十月中旬の気温とやらで、外に出るとやや肌寒いほど。それでも明日からまた晴れて30℃超えの予想だ。九月最後の日曜かと思ったらまだ来週末があったか…。
天気に乗じて気分だけ秋を先取り。五月中旬から使っていたオーディオセットを秋冬仕様に衣替えをした。季節でオーディを入れ替えるなど少々贅沢のようだが、何のことはない手持ちのアンプを入れ替えただけの話だ。夏をはさんで気温が高い時期には発熱量の少ないデジタルアンプを使っていたが、そろそろ室温も程々になるから音質優先でもよかろうと今年年頭に入手したラックスマンのA級動作アンプを引っ張り出してきたという次第。このアンプの発熱量は相当なもので、夏に使うのはアンプの電子部品にもストレスが多い。しかしこれからの季節なら問題ない。寒い冬にはヒーター代わりにさえなりそうだ。アンプ以外、レコードプレイヤーは変らずCEC。CDプレイヤーはアンプの上にひっそり置いた懐かしのソニー;ディスクマンD-100だ。


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セットの調子をみるつもりで、サイモン・ラトルのマーラー・ボックスセットから第5番を取り出して聴いている。このボックスセットは2007年に格安で出た際に買い求めたもの。5番と10番が2000年前後の録音でオケはラトルがシェフになったベルリンフィル。9番がウィーンフィル。他は古巣バーミンガム市響の盤で構成されている。
マーラーを極上のオケと極上の録音で聴くとなると、こちらもいささか身構える。音楽そのものも楽しめるし、細部まで目の行き届いたオーケストラコントロールとそれを微細に捉えた録音を聴き逃すまいと思うのだ。実際この5番の冒頭、トランペットのソロとそれに続くトゥッティの大音響が終わったあと、弦が葬送行進曲風に静かに歌い始めるとき、その背後でコントラバスが聴こえるか聴こえないかのレベルでピチカートを奏する。こういう箇所でそのピチカートがピアニシモではあるがきちんと聴こえるかどうかで演奏の印象も、そしてマーラーのオーケストレーションの妙を感じ取れるかどうかが決まる。オーディオなんて何でもいいのだが、聴こえるべきものが聴こえないでは音楽にならない。

そういえばこのところ関東地方では、JR東日本のCMが盛んに流れている。東京駅の駅舎リニューアル工事がいよいよ終わりに近付き、建設当時の3階建て駅舎が全容を現した。このCMのバックに流れているのがマーラーの第5番・第4楽章アダージェットだ。音楽だけ聴くと極めて耽美的で、世紀末の退廃的ムードさえ漂ってくるのだが、こうしてCMの映像と共に聴くと、明るい未来の夜明けを感じさせるから不思議だ。


JR東日本のCM。BGMはマーラーの第5番・第4楽章アダージェット。



マンドリン合奏による第5番・第4楽章アダージェット。
何を隠そうこのぼくも学生時代にマンドリン合奏でマンドチェロを抱え、この曲を弾いた。



やはり原曲も貼っておこう。バーンスタイン節全開!



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アンネ・ゾフィー・ムター リサイタル2000


昼間の街中を歩くとまだ汗が出てくるが、朝晩はようやく涼しくなってきた。暑さ寒さもなんとやらだ。昔の人は賢かったなあ、まったく。さて昼をはさんで野暮用を済ませ、少し前から久々に真昼のリスニングタイム。いつものように音盤棚からこんな盤を取り出した。


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アンネ・ゾフィー・ムターが弾く近現代の作品集。2000年5月にシュトゥットガルトで行われたライヴをそのまま収録したアルバムだ。この盤は10年ほど前に仕事で中国を何度か訪れた際に買い求めた。確か10元(150円程度)かそこらの値段で、パッケージをよく見ると正規商品かどうかあやしげなところがある。もっとも音は至極まとも。以下の通り近現代の作品だけが収められている。ピアノはランバート・オルキス。

 1. ヴァイオリン・ソナタ第2番ニ長調op.94a(プロコフィエフ)
 2. 4つの夜想曲(G・クラム)
 3. 4つの小品op.7~ヴァイオリンとピアノのための (ヴェーベルン)
 4. ヴァイオリン・ソナタ ロ短調 (レスピーギ)

プロコフィエフとレスピーギを除いたクラムとウェーベルンの作品は完全な前衛的な作品といっていいだろう。こうしたプログラミングの意図がライナーノーツに記されている。それによると、21世紀の将来に向けての新しい定番的なレパートリーにするべく取り組んだとある。プロコフィエフはすでにヴァイオリニストにとっては定番レパートリーだろうか。古典的ソナタの形をとった4楽章構成で、それぞれの楽章のキャラクターが明確かつ親しみやすい。クラムとウェーベルンはいわゆる現代曲そのものだが、こうしてプロコフィエフとレスピーギの間に置かれて聴いてみると違和感はない。現代曲にももちろん様々なものがあるだろうが、一つの典型としてある<夜><静寂>を描いたイメージを強く感じる。レスピーギは、ブラームスのソナタと言われたらそのまま信じそうな曲想だ。レスピーギ自身はイタリア近代というカテゴリーに入るだろうが、この作品はまったく後期ロマン派の風情だ。色濃く、美しく、深い。このアルバムそのものを4楽章構成の一つの曲と考え、4人の作曲家がそれぞれの楽章と考えたらいいのかなと、ふと思ったのだが、あながち間違いでもないだろう。
ムターの演奏はいずれも文句なしの素晴らしく。前衛作品の良否を言える耳は持たないが、プロコフィエフは意図的にやや控え目な表現で好感が持てる。楚々として美しく、穏やかに心静まる。レスピーギはやや積極的に踏み込み、濃い口の表現だが、ブラームス風のこの曲にはよく合っている。


クレメルとアルゲリッチによるプロコフィエフ。第3楽章。



順序が逆だが、ついでの第1楽章も。



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C・クライバー&ウィーンフィル ブラームス 交響曲第4番


やれやれ一夜明けたらまた暑さ復活。きのう木曜日はこれでもかの30度超えだった。週末からは秋めいてくると予報では言っているが、にわかには信じがたい。まあ自然現象にとやかく言っても仕方ないッスね。はい、いずれ涼しくなります!


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さて、前回の記事でペドロッティの『歌うブラームス』を聴いて思い出した盤があった。カルロス・クライバーがウィーンフィルを振ったグラモフォン盤だ。デジタル録音も軌道にのり始めた1980年にウィーン・ムジークフェラインで録音されている。
この盤についてはもう様々なことが語り尽くされていて、今更ぼくなどが口をはさむ余地はない。元々録音が少ないクライバー。貴重なブラームス録音がウィーンフィルとの演奏で残されたことは幸いだった。ペドロッティの『歌うブラームス』を聴いて思い出した…と書いたが、このクライバー盤をあえて称すれば『しなやかに歌い、ときに燃え立つブラームス』とでも言ったらいいだろうか。彼を評してよく言われる、その場でその音楽が誕生したような新鮮さがある。どの楽章もリズムは生き生きと脈打ち、旋律は天から降り注ぎ、地から沸き立つ。音楽のすべてに生気があふれている。
そしてクライバーのひらめきに満ちた指揮に応えるウィーンフィルの音がまた素晴らしい。70年代全盛期のメンバーがみな残っている時期だろう。またムジークフェラインでの録音にしては残響は控えめで各パートの音が明瞭に捉えられている結果、クライバーの棒に反応してオケ全体の温度感が上がっていくのがよく分かる。
きのうのペドロッティ盤と同様、この曲でよく言われる、秋の暮色や枯淡の境地といったイメージとは異なる演奏だが、他に類をみない、そしてブラームスの魅力の存分に楽しめる名盤だ。


バイエルンのオケとの1996年の映像があるので貼っておく。
第2楽章。この楽章の聴き所は後半、この演奏で言えば8分10秒から弦楽群によって繰り出される主題に始まり、9分10秒でピークを向かえる辺り、そして最後のコーダに向かっての沈静。何度聴いても胸が張り裂けそうになる。この映像、ウィーンフィルとの録音と基本的な解釈は同じだし、バイエルンのオケも健闘しているが、やはりウィーンフィルとのCDの方がはるかにいい音だ。オケのアンサンブル能力や音色の魅力もウィーンフィルに軍配が上がる。




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A・ペドロッティ&チェコフィル ブラームス 交響曲第4番


昨夜遅くから久々の雨。一夜明けてきょうは時折雨まじりの曇天。おかげで気温は30℃を下回ったが、湿度はほとんど100%でおよそ快適とは言い難い一日だった。いつもの片道37キロ1時間余の車通勤。きょうの車中リスニングはこんな盤を持ち込んだ。


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アントニオ・ペドロッティ指揮チェコフィルハーモニー管弦楽団によるブラームスの交響曲第4番ホ短調。録音は1957年(モノラル)。数年前に日本コロンビアからリリースされたスプラフォン・ヴィンテージ・コレクションの中の1枚だ。アントニオ・ペドロッティと聴いてピンとくる人は相当なマニアかオールドファンだろう。1901年に生まれ1975年に没したイタリアの指揮者。最近では彼の名を冠した『アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクール』の方が有名だろうか。売り出し中の女性指揮者;三ツ橋敬子さんは2008年にこのコンクールで最年少優勝してデビューを飾った。ぼくもペドロッティの名前だけは知ってはいたが録音は持ち合わせていなかった。たまたま入った店で『アナログ時代の幻の名盤、待望の復刻』をいう帯のコメントが目にとまりレジに持っていった。

このブラームスが中々の聴きものだ。帯の売り文句も伊達ではない。
第1楽章はやや速めのテンポで推進力を感じさせる運びながら、決して前のめりにならず正確なタクトで進む。ラテン系指揮者にありがちなせかせかしたところがなく、またドイツ系指揮者にイメージする深く重いアインザッツでもないが、響きは充実していてブラームスらしい重量感に不足はない。そしてともかくよく歌う。冒頭のメロディーからフレーズの中で起伏を持たせて歌い上げ、更に一つ一つの音に力が満ちている。ところどころで打ち込まれるティンパニ、響き渡るホルンや金管群も全体のバランスを崩さずによく存在感を主張している。全てにペドロッティのコントロールが行き届いている演奏だ。
第2楽章以降もやや速めのテンポでよく歌う弦楽群、特にヴァイオリン群の熱いカンタービレが印象的だ。濃い口の表情付けではあるがテンポが速めで、しかもフレーズごとに立ち止まることなく前進するので、もたれた感じにはならない。総じてひと言でいえばイタリア風ブラームスということになるだろうが、この語感から受けるネガティブなイメージはなく、この曲が持つ晩秋の枯れた味わいには遠いものの、純粋にメロディーを熱く歌い上げることで、この曲の持つ情熱的な側面を引き出した名演といえるだろう。

この盤を含む日本コロンビアの復刻盤には以前記事にしたアンチェルの録音他、味わい深い名盤がたくさんあるが、プレス数も少ないのか現在すでに入手困難なものも多い。2006年に出たこの盤も元々1200円の廉価盤だがAmazonをみたら数倍の値段が付いていて驚いた。この手の盤はむしろ当地のようなローカルの店に在庫が眠っている可能性が高い。なお、このシリーズを含む一連の復刻盤デジタルマスターの作成は、近年数多くのアルバムを手がけている日本コロンビアの女性マスタリング・エンジニア;山下由美子さんが担当していることを付け加えておく。


あいにくブラームスは無かったが、同じチェコフィルを振ったラヴェルの音源があったので貼っておく。



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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