きのう9月24日、諏訪根自子が去る三月に亡くなっていたとのニュースがあった。伝説の美人ヴァイオリニストとして、ぼくらの親くらいのオールドファンには懐かしい存在だろうか。ぼく自身は1980年、長らく一線から退いていた彼女が突然のように録音したバッハ無伴奏ヴァイオリン作品のLPを当時買い逃した苦い思い出がある。今はプレミアムが付いておいそれと手が出ない。その少しあと、深田祐介著『美貌なれ昭和―諏訪根自子と神風号の男たち』を読んで当時の彼女の様子を知った。戦前からベルリンに渡り、クナッパーツブッシュ指揮のベルリンフィルと協演したり、かのゲッペルスからストラディバリウスを贈られたりといった逸話が残っている。90年代になってからもプライベートな形で演奏を続けていた様子。享年九十二歳。合掌。

80年代初頭テレビ朝日のドキュメンタリーで先に記した深田祐介氏の著作と連動した番組があった。昭和12年・1937年に朝日新聞がロンドンまで飛ばした『神風号』に関するものだった。神風号が飛来するロンドンでは麻生太郎の母;吉田和子が待ち、ベルギー;ブリュッセルの飛行場では諏訪根自子が待っていた。そして1937年といえばセゴヴィアがハウザー1世が作ったギターを絶賛し、それまで使っていた愛器マヌエル・ラミレス作(実際はM・ラミレス工房の職工長サントス・エルナンデス作とされる)のギターをハウザーに変えた年でもある。いろいろな異なる事象が同じ時間軸にのり、それぞれの歴史が作られていくのだと実感する。
残念ながら彼女の盤は手元にない(90年代に出たCDもプレミアム価格だ)。YouTubeには僅かながら貴重な音源があったので貼っておこう。彼女が12歳のときの録音とある。
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昨夜から降り出した雨が終日続く。十月中旬の気温とやらで、外に出るとやや肌寒いほど。それでも明日からまた晴れて30℃超えの予想だ。九月最後の日曜かと思ったらまだ来週末があったか…。
天気に乗じて気分だけ秋を先取り。五月中旬から使っていたオーディオセットを秋冬仕様に衣替えをした。季節でオーディを入れ替えるなど少々贅沢のようだが、何のことはない手持ちのアンプを入れ替えただけの話だ。夏をはさんで気温が高い時期には発熱量の少ないデジタルアンプを使っていたが、そろそろ室温も程々になるから音質優先でもよかろうと今年年頭に入手したラックスマンのA級動作アンプを引っ張り出してきたという次第。このアンプの発熱量は相当なもので、夏に使うのはアンプの電子部品にもストレスが多い。しかしこれからの季節なら問題ない。寒い冬にはヒーター代わりにさえなりそうだ。アンプ以外、レコードプレイヤーは変らずCEC。CDプレイヤーはアンプの上にひっそり置いた懐かしのソニー;ディスクマンD-100だ。

セットの調子をみるつもりで、サイモン・ラトルのマーラー・ボックスセットから第5番を取り出して聴いている。このボックスセットは2007年に格安で出た際に買い求めたもの。5番と10番が2000年前後の録音でオケはラトルがシェフになったベルリンフィル。9番がウィーンフィル。他は古巣バーミンガム市響の盤で構成されている。
マーラーを極上のオケと極上の録音で聴くとなると、こちらもいささか身構える。音楽そのものも楽しめるし、細部まで目の行き届いたオーケストラコントロールとそれを微細に捉えた録音を聴き逃すまいと思うのだ。実際この5番の冒頭、トランペットのソロとそれに続くトゥッティの大音響が終わったあと、弦が葬送行進曲風に静かに歌い始めるとき、その背後でコントラバスが聴こえるか聴こえないかのレベルでピチカートを奏する。こういう箇所でそのピチカートがピアニシモではあるがきちんと聴こえるかどうかで演奏の印象も、そしてマーラーのオーケストレーションの妙を感じ取れるかどうかが決まる。オーディオなんて何でもいいのだが、聴こえるべきものが聴こえないでは音楽にならない。
そういえばこのところ関東地方では、JR東日本のCMが盛んに流れている。東京駅の駅舎リニューアル工事がいよいよ終わりに近付き、建設当時の3階建て駅舎が全容を現した。このCMのバックに流れているのがマーラーの第5番・第4楽章アダージェットだ。音楽だけ聴くと極めて耽美的で、世紀末の退廃的ムードさえ漂ってくるのだが、こうしてCMの映像と共に聴くと、明るい未来の夜明けを感じさせるから不思議だ。
JR東日本のCM。BGMはマーラーの第5番・第4楽章アダージェット。
マンドリン合奏による第5番・第4楽章アダージェット。
何を隠そうこのぼくも学生時代にマンドリン合奏でマンドチェロを抱え、この曲を弾いた。
やはり原曲も貼っておこう。バーンスタイン節全開!
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きのう9月15日土曜日、予定していた埼玉県川越での内輪の発表会に参加してきた。折りしも午前中は隣り町のマンドリン楽団による出前演奏のイヴェントに参加。11時に終了後、そのまま高速を飛ばして川越まで向かった。連休渋滞の関越自動車道下り車線を横目に、上り車線を快調に進み、会場の川越市産業観光館には午後1時過ぎに到着。午後1時間半の開始に間に合った。先日の記事に記載したプログラム通り、今回の参加者は10名。ジャーマンテオルボ、バロックギター、19世紀ギターが2本、モダン10弦ギターが2本と、相変わらず川越での集まりには珍しい楽器を持った好事家が集まる。ぼくは今回モダンギターで参戦。例によって恥を承知で演奏動画をアップする。

◇ J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第1番から プレリュード・サラバンド・メヌエット
プレリュード後半の盛り上がりで大きなミステイク。楽譜をちょっと見失ってしまったのだ。先回7月15日のときの方がよかったかな。
◇ D.スカルラッティ/ソナタ イ長調 L.483
1週間前、加須市での演奏でテンポを速く取り過ぎて制御不能となったたの、今回はかなり安全運転。しかし、この速度ではこの曲の洒脱な軽さやコミカルな雰囲気が出ない。そのほかハイポジションへの移行でミス、弾き損じで間違えた音を繰り返した際にも間違えた等々悔いが残る。
◇ J.ハイドン/アンダンテ(バリトントリオから石月一匡編)
ろくに練習せずに臨んだ一週間前の加須市での演奏よりは、いくらかまともに弾けた。後半短調に転じてからの緊張感のあるフレーズで弾き損じのミス。演奏中にふと頭をよぎったアイデアを入れようとしてミスってしまった。
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当地関東内陸部は相変わらずの残暑。朝晩こそ幾分涼しくなったが日中は30℃超えが続く。今週は職場同僚との懇親会、来客対応などで夜の部がいくつか続いていて帰宅も遅く、音盤タイムも休みがち。早く灯火親しむの時節がならないものか。
さて先日の日曜日に埼玉の加須市でmixi仲間による内輪の発表会があって弾いてきたと書いたが、あさって9月15日土曜日も埼玉の川越市まで遠征することにした。こちらもmixi仲間による内輪の発表会だが、ギャラリー、冷やかし大歓迎。ご近所の方はぜひどうぞ。場所は川越中心部にある『小江戸蔵里』という観光スポット内のイヴェントスペース。演奏曲目は先日の加須市のときと一緒で以下の通り。
J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第1番から プレリュード・サラバンド・メヌエット
D.スカルラッティ/ソナタ イ長調 L.483
J.ハイドン/アンダンテ(バリトントリオから石月一匡編)

当日は隣り町のマンドリン楽団の出前演奏に参加し、終了後2時間余り車を走らせて川越までいく関係で、3時半過ぎの演奏順番にしてもらった。加須市での演奏はあまりの酷さに動画アップを躊躇しているのだが、今週末の川越ではきっとうまく弾けるだろうから!それをアップしようと思う。…って、そんな風にはきっといかないのだが。
<演奏記録@川越>
◆川越で弾いてきた 2012年7月15日
◆川越で弾いてきた 2012年4月28日
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そろそろ夏も終わりという今頃になって話を切り出すのもいささか間が抜けているが、夏と言えば彼の地ドイツのバイエルン地方ではバイロイト音楽祭の季節だ(バイロイト劇場のサイト。解説が興味深い)。年に一度のワーグナーの祭典とあって世界中のワグネリアンが集う。ぼくなどはもちろんワグネリアンの足元にも及ばないが、気分だけは仲間入りしようと夏になると、分厚い響きで傍目には暑苦しいと思われそうなワーグナーをよく聴く。といっても長大な全曲を毎日何時間も聴くというわけにもいかず、大体は管弦楽曲集や抜粋盤を聴いてほどほどに手を打つことにしている。デッカ録音のバイロイトライヴ盤やいくつかのダイジェスト盤などを差し置いて、このところよく聴くのがワーグナーの合唱名場面を納めたナクソスのこの盤だ。

フィンランド人のレイフ・セーゲルスタムが指揮するスウェーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団による演奏。2003年のセッション録音で収録曲は以下の通り。
1. 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」~フィナーレ(抜粋)
2. 歌劇「さまよえるオランダ人」水夫の合唱「舵手よ、見張りをやめよ!」
3. 歌劇「タンホイザー」~入場の行進曲「夢の殿堂をたたえよう」
4. 歌劇「ローエングリン」~婚礼の合唱「真心こめてご先導いたします」
5. 歌劇「リエンツィ」~平和の使者
6. 舞台神聖祝典劇「パルジファル」~モンサルヴァートへの旅
マイナーな作曲家やマニアック楽曲を集めた盤ならともかく、ナクソスレーベルでワーグナー?…とほとんど期待せずに手にしたのだが、その予想は見事に裏切られた。何がいいって、この盤のタイトル通り、まず合唱が素晴らしい。スウェーデンは合唱王国だそうだ。中でもこの王立オペラは同国内トップにあることは間違いない。2003年から2006年の間に何度か仕事でスウェーデンを訪れた際、ストックホルムの王立フィルハーモニーのコンサートは聴くことが出来たが、ロイヤルオペラはタイミングが合わずに観られなかった。それでも大柄なスウェーデン人たちが歌う合唱の迫力は想像に難くない。それにスウェーデンはドイツ以外の国では最も数多くのワーグナー公演がある国だそうだ。元々歴史的にゲルマン民族とのつながりが深いスウェーデン人の血が騒ぐのだろうか。
収録されたどの曲もそうした彼らの合唱の素晴らしさを堪能できる。2曲目<さまよえるオランダ人>の有名な水夫の合唱だけでも誰しもが納得するだろう。セッション録音なのでバイロイト・ライヴ盤で聴けるような水夫達が足を踏み鳴らす音や歓声などは望むべくもないが、反面、整ったアンサンブルと発声による迫力と美しさは比類がない。マイスタージンガーも聴き馴染んだ第1幕前奏曲に出てくる様々なモチーフが合唱で響き渡り実に新鮮。リエンツィやローエングリンの合奏曲も美しい管弦楽を伴い聴き応え十分だ。
ワーグナー、それとバッハを聴いていると、星の数ほどあるクラシック音楽の中でワーグナーとバッハだけあれば、他ももういいかなと思うときがしばしばある。現実にはベートーヴェンもハイドンもブラームスももちろん捨てられないのだけれど。
ロシア生まれのウォルデマル・ネルソンが指揮した1985年のバイロイトの舞台。
さまよえるオランダ人<水夫の合唱>
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暑さはほどほど湿度MAXの日曜日。いつも通りにダラダラと過ごした。
実は来週9月9日日曜の午後、当地から車で2時間ほどの埼玉県加須市でmixiのギター仲間による内輪の発表会がある。すでにエントリー済みで、いよいよ来週にせまったので、きょう曲目を決めた。今回は20分の枠があるので、かなりまとまった選曲が可能なのだが、例によって準備不足。このところ弾いている曲の繰り返しばかりでも仕方ないので、新しい曲も入れて以下の曲目を弾く予定だ。
J.S.バッハ;無伴奏チェロ組曲第1番から プレリュード・サラバンド・メヌエット1/2
D.スカルラッティ;ソナタ イ長調 L.483
J.ハイドン;アンダンテ(バリトントリオより石月一匡編)

きょうは昼をはさんでスカルラッティのソナタを練習した。イタリアンバロック後期のスカルラッティのソナタはもちろん元はチェンバロ用のものだが、歴史を通じてモダンピアノでも弾かれるし、ギターへの編曲も昔から行われてきた。ぼくはこれまであちこちの曲集に載っている楽譜をときどき拾い弾きする程度でまともに練習したことはなかったのだが、今回弾くイ長調のソナタL.483(K.322)は一連のスカルラッティー作品の中では技巧的なハードルは差ほどでもなく、暗譜をせずに楽譜を見ながら何とか弾き通せそうだったのでこの曲に決めた。
4分の2拍子のアレグロなので本来はかなり速めのテンポで軽く弾き切る曲だと思うが、(自分の下手くそを棚上げしておいてナンだが)ギターだどその軽さが出しにくい。曲想からおのずとアーティキュレーションの察しは付くが、終始同じ音形が続くのでひと工夫必要だ。しかし、ある程度の速度で弾き出すとこの曲の持つ軽快さやちょっとコミカルな面白さが感じられ中々楽しい。装飾音の扱いも大きな課題だが、今回はそこまで考える余裕がないのでほぼ譜面通り弾く予定。
ハイドンのアンダンテは2003年に他界した石月一匡氏がバリトントリオから編曲したもので、ハイドンらしい古典的な雰囲気が楽しめる。バリトンの弓をゆったり弾くイメージでメロディーラインをややテヌート気味に歌わせ、時々現れる16分音符を軽やかに弾いてアクセントを付けていく。…と、まあイメージトレーニングはいつも通り十分なのだが、本番になると存外あがって指がコントロール出来なくなる。さて来週に本番はどうだろうか。
YouTubeには様々な演奏がアップされている。
まずは大御所ミケランジェリのピアノ
エリオット・フィクスのギターにルセロ・テナのカスタネットが加わった演奏。
ギターオジサン達の新たなアイドル朴葵姫(パクキュヒ)の演奏。
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