セ-ゲルスタム&スウェーデン王立歌劇場 ワーグナーオペラ合唱曲集


そろそろ夏も終わりという今頃になって話を切り出すのもいささか間が抜けているが、夏と言えば彼の地ドイツのバイエルン地方ではバイロイト音楽祭の季節だ(バイロイト劇場のサイト。解説が興味深い)。年に一度のワーグナーの祭典とあって世界中のワグネリアンが集う。ぼくなどはもちろんワグネリアンの足元にも及ばないが、気分だけは仲間入りしようと夏になると、分厚い響きで傍目には暑苦しいと思われそうなワーグナーをよく聴く。といっても長大な全曲を毎日何時間も聴くというわけにもいかず、大体は管弦楽曲集や抜粋盤を聴いてほどほどに手を打つことにしている。デッカ録音のバイロイトライヴ盤やいくつかのダイジェスト盤などを差し置いて、このところよく聴くのがワーグナーの合唱名場面を納めたナクソスのこの盤だ。


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フィンランド人のレイフ・セーゲルスタムが指揮するスウェーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団による演奏。2003年のセッション録音で収録曲は以下の通り。

1. 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」~フィナーレ(抜粋)
2. 歌劇「さまよえるオランダ人」水夫の合唱「舵手よ、見張りをやめよ!」
3. 歌劇「タンホイザー」~入場の行進曲「夢の殿堂をたたえよう」
4. 歌劇「ローエングリン」~婚礼の合唱「真心こめてご先導いたします」
5. 歌劇「リエンツィ」~平和の使者
6. 舞台神聖祝典劇「パルジファル」~モンサルヴァートへの旅

マイナーな作曲家やマニアック楽曲を集めた盤ならともかく、ナクソスレーベルでワーグナー?…とほとんど期待せずに手にしたのだが、その予想は見事に裏切られた。何がいいって、この盤のタイトル通り、まず合唱が素晴らしい。スウェーデンは合唱王国だそうだ。中でもこの王立オペラは同国内トップにあることは間違いない。2003年から2006年の間に何度か仕事でスウェーデンを訪れた際、ストックホルムの王立フィルハーモニーのコンサートは聴くことが出来たが、ロイヤルオペラはタイミングが合わずに観られなかった。それでも大柄なスウェーデン人たちが歌う合唱の迫力は想像に難くない。それにスウェーデンはドイツ以外の国では最も数多くのワーグナー公演がある国だそうだ。元々歴史的にゲルマン民族とのつながりが深いスウェーデン人の血が騒ぐのだろうか。

収録されたどの曲もそうした彼らの合唱の素晴らしさを堪能できる。2曲目<さまよえるオランダ人>の有名な水夫の合唱だけでも誰しもが納得するだろう。セッション録音なのでバイロイト・ライヴ盤で聴けるような水夫達が足を踏み鳴らす音や歓声などは望むべくもないが、反面、整ったアンサンブルと発声による迫力と美しさは比類がない。マイスタージンガーも聴き馴染んだ第1幕前奏曲に出てくる様々なモチーフが合唱で響き渡り実に新鮮。リエンツィやローエングリンの合奏曲も美しい管弦楽を伴い聴き応え十分だ。
ワーグナー、それとバッハを聴いていると、星の数ほどあるクラシック音楽の中でワーグナーとバッハだけあれば、他ももういいかなと思うときがしばしばある。現実にはベートーヴェンもハイドンもブラームスももちろん捨てられないのだけれど。


ロシア生まれのウォルデマル・ネルソンが指揮した1985年のバイロイトの舞台。
さまよえるオランダ人<水夫の合唱>



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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