新村理々愛登場 群馬交響楽団第491回定期演奏会


きのう15日土曜日は群馬交響楽団の定期演奏会に足を運んだ。先月は秋山和慶氏登場でオールドイツ物の魅力的なプログラムだったが所用で行けず。今回は4月の大友直人音楽監督就任記念演奏会以来二ヶ月ぶり。プログラムは以下の通り。指揮はパスカル・ヴェロ、フルート独奏には注目の若手新村理々愛が登場した。


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ハイドン/ 交響曲 第82番 ハ長調 Hob,Ⅰ:82「熊」
C.P.E.バッハ/ フルート協奏曲 ニ短調 Wq.22
シューベルト/ 交響曲 第5番 変ロ長調 D.485

まずプログラムが実に魅力的だ。バロック後期から古典派の確立、そしてロマン派の扉が開かれるまでの時期にあって、代表する作曲家の、しかもそれぞれの個性を反映した曲目。<熊>はハイドンのユーモアあふれるギミックがいっぱいだし、C.P.Eバッハのフルート協奏曲は近年のC.P.E.バッハ再評価の流れの中でも特に注目される曲。シューベルトの5番はいうまでもない。このブログでも何回も取り上げた。

演奏は前半の2曲が特によかった。ハイドンではティンパニとトランペットが追加された楽譜を採用。終始華やかで活気あふれる響きに満ちていた。弦の編成を10・8・6・6・4とし、運動性能と響きの充実を両立させた結果だろうが、その狙い通り、やや速めのテンポと大胆なダイナミクスの切り替えがことごとくうまく決まっていた。会場の群馬音楽センターは響きがデッドである反面、音の分離はよく、各パートの動きは手に取るように分かる。ハイドンの各所に仕組んだギミックがよく分かって、この曲の魅力を再認識した。

2曲目のC.P.Pバッハのフルート協奏曲ニ短調では、まだティーンエイジャーの新村理々愛が髪を金髪に染めて登場。プログラムにのっているイメージとは違っていて少々驚いた。原曲はチェンバロ協奏曲のこのニ短調協奏曲は名曲の誉れ高く、実際リトルネッロ形式の第1楽章の出だしから美しくも緊張感のある曲想が続き、実に素晴らしい。第2楽章も単なる緩徐楽章に留まらず、オケ部(弦8・6・4・4・1とチェンバロ)とのやり取りなど、後期バロックの域を出て古典派への道筋の過程にあることを感じる。前半2楽章では、フルートは総じて低い音域に終始し、華やかな協奏曲という印象は少なかったが、終楽章に入ると一気にテクニカルになる。弦楽パートが速いパッセージで導入主題を奏したあと、フルートソロの無窮動風のフレーズが続き、音域も高くなって華やかかつテクニカルになる。フルートのことはよく分からないが、新村理々愛の音色は低音域が太くたっぷりしていて、シャープさよりは丸みのある穏やかな音色に感じた。なおこの曲目は本人が望んだ選曲だそうだ。

休憩をはさんでシューベルト。弦パートは12・10・8・8・6。木管群はオリジナルの指定通り。先のハイドンと比べわずかに弦パートが増えただけなのだが、明らかに響きはたっぷりとして、反面シャープな運動性能は後退した。むしろこの曲の室内楽的な特性を生かし、ハイドンと同じ位の編成で臨んだ方が面白かったのではないだろうか。もっとも定期演奏会のメインプログラムという位置付けなので、そういうトライはやりづらかったのかもしれない。

今月は少々玄人好みの選曲といえないこともないが、当夜は夕方から激しく雨が降る中、会場は9割近い入り。古典の薫り豊かないい演奏会だった。来月は展覧会の絵とドヴォルザークのチェロ協奏曲。チェロ独奏には若手注目株の宮田大。また同じ7月には前橋でマエストロ高関の棒でオール・マーラーの演奏会が予定されている。時間がうまく取れたら、ぜひ聴きにいきたい。


名曲C.P.Eバッハのフルート協奏曲全3楽章。ホルンとファゴットが追加され、通奏低音にはリュートも参加。


小編制での演奏。



新村理々愛。まだ十代の彼女ですからね…。気持ちは分かりますが、ここは迷わずフルートの道に進んでいただきたい(^^;



きのうの演奏会について、大友直人氏とコンミス伊藤文乃のトーク。




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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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