マット・デニス プレイズ・アンド・シングス


今夜はこの3月まで一緒の組織だったメンバーと暑気払い。ビール、日本酒、杯を重ねる中、下戸のぼくもウーロン茶で応戦。数ヶ月ぶりに会うメンバーも多く、ひとしきり歓談。9時半を少し回って帰宅した。さて、もう日付けが変わる時間だが、ちょっとクールダウンしようかとアンプの灯を入れた。


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久々にジャズ。ちょっと渋いところで男性ボーカルでも思い、マット・デニスの盤を取り出した。1953年、ハリウッドのクラブ「タリー・ホー」でのライブ録音。もちろんモノラル。作曲を始め多彩な能力を持っていたマット・デニスの代表盤ということになっている。コルトレーンの演奏で有名な「コートにすみれを」も彼の作曲だ。少し頼りなく感じる声の質と歌いっぷり。録音で聴く限り、美声でもなければ声量もやや乏しい。それでもピアノの弾き語りと共に繰り出されるバラードや軽いスウィングに、どこか引き付けられる。リラックスしたプレイ、クラブの客の歓談とグラスの触れ合う音。モノラルの落ち着いた音質もこうした盤には合っている。


この盤の第1曲「Will you still be mine ?」 YouTubeのタイトルには1941年とあるが、間違い。


マイナーチューンの「Angel eyes」



※ 明日にもアクセスカウンタが77777を向かえそうです(^^


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ライナー&CSO ロッシーニ序曲集

30℃超えでソコソコ暑い日曜日。夕方5時過ぎに夕立有り。上州名物「かかあ天下と空っ風」ということになっているが、北部に山岳地帯を持つ当地では夏の夕立・雷の頻度も断然多い。ひと雨あったあとは、一気に気温が下がりホッとする。 さて、昨晩聴いたアバドのロッシーニで少しスカッとして、今夜もスカッとのおかわりということで、この盤を取り出した。


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フリッツ・ライナー&CSOによるロッシーニ序曲集。1958年録音。手持の盤は数年前に店先で叩き売られていた輸入盤。収録曲は以下の通り。

 ・『セヴィリャの理髪師』(イギリスの女王エリザベス)序曲
 ・『どろぼうかささぎ』序曲
 ・『チェネレントラ』(シンデレラ)序曲
 ・『ブルスキーノ氏』序曲
 ・『絹のはしご』序曲
 ・『ウィリアム・テル』序曲

先日新聞で、かつて反映を極めた自動車産業の町、デトロイトの凋落ぶりが報道されていた。とっさに思ったのはデトロイト交響楽団のこと。アメリカのオーケストラはいずれもぞれぞれの町に根付いている。デトロイト、ボストン、ニューヨーク、クリーヴランド、ユタ…町の繁栄をバックにオーケストラも発展した。やはり自動車産業の町シカゴのオケ、CSO:シカゴ交響楽団もそんな楽団の一つだ。フリッツ・ライナーはCSOの第1期黄金期の立役者。多くの優れた録音を残し、そのいずれもが鍛え上げられた鉄壁のアンサンブルと無二のパワーを併せ持つ名演揃いだ。このロッシーニの序曲集も全盛期のCSOが堪能出来る1枚。
そもそもベートーヴェンなら少々技量に不安があるオケの演奏でも音楽になる。アマチュアオケや学生オケでもベートーヴェンは何とか聴ける。音楽の底辺にあるメンタルな要素で音楽の半分は成立するからだ。しかしロッシーニの序曲を技量未熟なオケがやっては楽しむべきところはなくなる。こういう曲こそ、うまいオケの演奏を理屈抜きに楽しみたい。華やかに鳴るトゥッティ、技巧を凝らしたパッセージ、美しいメロディ、そして一気呵成のロッシーニクレッシェンド…。人生哲学、苦悩や勝利を考える間もなくロッシーニの音楽は突き進む。ライナー&CSO盤はそんなロッシーニの魅力を、大真面目かつ圧倒的な力で繰り広げる。見るからに怖そうなライナーは、その様相通り仏頂面で指揮棒を振り下ろし、団員もニコリともせずそれに応える。その真剣さと真面目さゆえに、却ってちょっとしたルバートに遊びや洒脱を感じる。いずれの曲もCSOは芯のある強靭な音と鉄壁のアンサンブル。金管群のパワーはもちろん、木管群も上手い。弦楽群はどんな細かなパッセージもピタリと合っているし、カンタービレはまるで一本の絹糸のようにピッチが揃う。どの曲も実に立派で構えが大きく、まるでシンフォニーのようだ。この盤にはお気に入りの「泥棒かささぎ」も入っていて、その序奏だけでも鳥肌ものの演奏。「ウィリアム・テル」の終曲では激しくドライブをかけるライナーに、さしものCSOも性能限界ギリギリの勝負で応えている。アバドのしなやかで歌心あふれた明瞭な演奏も魅力だが、このライナー盤の真剣勝負のロッシーニも捨てがたい1枚だ。


この盤の音源で「ウィリアム・テル」序曲。終曲、特に最後の1分間のエキサイティングな追い込みは、まるでライヴの様。



町の凋落で心配なデトロイト響(指揮レナード・スラトキン)の演奏で「ウィリアム・テル」。冒頭2分40秒過ぎまで、ウェーバー顔負けのチェロはいつ聴いても美しい。



<花のワルツ>をこんなに仏頂面で振る指揮者は今どきいないだろう。
http://youtu.be/mgaS9CZ7KsQ

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アバド&ロンドン響 ロッシーニ序曲集


週末土曜の夜。日中かなり気温上昇し夕方には雷雨。野暮用重なり予定が頓挫。楽しみにしていた宮田大(チェロ)来演の群馬交響楽団の定期にも行けず残念。う~ん、アレコレうまくいかないことばかりだ。うさを晴らす遊びもなし、心あたたまる出来事もなし。こんなときはスッキリ爽やかロッシーニでイコか。


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アバド&ロンドン響の序曲集。1978年の録音。LP時代終盤の1987年に廉価盤で出た際に手に入れたもの。アバドは70年代前半にも同じロッシーニ序曲集をDGと、また80年代終わりにヨーロッパ室内管とも録音している。このRCA盤の収録曲は以下の通り。
 1・「セミラーミデ」
 2・「絹のはしご」
 3・「イタリアのトルコ人」
 4・「イギリス女王エリザベス」(「セヴィリアの理髪師」)
 5・「タンクレーディ」
 6・「ウィリアム・テル」
オペラ本体を観ずに序曲だけ聴いてその気になるのは、オペラファンからはブーイングの嵐かな。まあ、そう言わんで下さいな。ロッシーニばかりか、ウェーバーやモーツァルト(スウィトナーの魔笛やベームの理髪師などの全曲盤も手元にあるが…)、ワグナーも、まったく歌には興味がわかず。言葉も分からないし…。
高校時代、ロッシーニのことを「イタリアのモーツァルトって感じかな」とぼくに教えてくれたのはフルート吹きのS君だった。この盤でも颯爽として明快で、ややこしいことをつべこべ言わず、一気呵成に進むロッシーニ節が楽しめる。アバドはもちろん、こうした曲にはぴったりの指揮者だ。なんといってもミラノスカラ座の御大を長らく務めた。序曲はもちろん、そのベースとなっているオペラの隅々まで知り尽くしているし、一節一節のオペラの中での役割を心得た上での序曲演奏に違いない。アバドはロンドン響と70年代初頭から密接な関係にあり、80年代には音楽監督を務めた。同団はアバドに絶大な信頼をおいていたという。この盤の演奏は中々熱演ではあるが、録音セッションらしい整った演奏という印象が先に立つ感もある。これがミラノスカラ座のオケだともっと自在にかつ自発的に歌うのだろう。もう少し荒削りでもいいから、一筆書きのような勢いもあっていいかなと贅沢な注文を付けたくもなる。収録曲の中では、曲の良さもあって「イギリスの女王エリザベス」と「ウィリアム・テル」がもっとも楽しめる。


この盤で惜しむらくは「泥棒かささぎ」序曲が入っていないことだろうか。90年代にシェフを務めたベルリンフィルとの演奏。舌を巻くベルリンフィルの上手さ!



1991年のニューイヤーコンサートでのアバドとウィーンフィルの演奏その「泥棒かささぎ」序曲。何となくVPOにロッシーニはそぐわないかな…



ギターデュオ版



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G・グールド R・シュトラウス 5つのピアノ小品作品3


やはり今年の梅雨明け宣言は拙速だったか。きょうも小雨混じりの一日。首都圏の水をまかなう利根川水系。その水がめたる当地群馬のダム群貯水量は平年の6割程度にまで落ち込んでいるという。ほどほどの雨はありがたいところだ。 さて7月も末。ようやく木曜日。8時過ぎに帰宅。エアコンを除湿モードで少し動かしたあとスイッチを切り、替わってアンプの灯を入れた。 久しぶりにグールドのボックスセットを取り出す。心静まる曲はと思案して、こんな盤を取り出した。


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R・シュトラウスの作品を収めた一枚。もう1年半以上前に一度記事に書いた盤だ。今夜はトラック5から始まる「5つの小品」を聴くことにした。1979年録音。併録のピアノソナタの録音が1982年9月3日。数週間後の9月27日にグールドは病院に担ぎ込まれ、翌月10月3日死去。リリースは1984年。彼の盤歴中、最後期のものの一つ。
穏やかに始まる第1曲アンダンテ。第2曲スケルツォは、「愛の賛歌」中間部の旋律とそっくりだ。第3曲はもっとも長いラルゴ。深く内省的に沈みこむ。若さの芽吹きを感じる第3曲。終曲アレグロ・モルトでは途中フーガも交えてバロック舞曲風に華やかに終わる。
坂本龍一が推薦してからにわかに取り上げられるようになったブラームスの後期作品あたりに通じる曲想。R・シュトラウス16歳のときの作曲だそうだが、16歳の少年が一体どんなことを夢想しながら、こういうロマンティックな曲を書いたのだろうか。しかしここでのグールドの演奏は決してブラームスのときのような老成した感が強いものではなく、軽いタッチともたれないフレージングで、むしろ若き日のR・シュトラウスの連想させて心地よく、心和む。


第1曲、第2曲。



<追伸>
先日の記事でマティエカの曲について書いたが、YouTubeの音源を貼った作品23のソナタがハイドンのピアノソナタ32番を似ていると、n_n_ponceさんがコメントしてきてくれた。ご指摘の通りで、この作品の元ネタはハイドンのソナタ。その辺りの一部始終は旧友Y氏が詳しいが、楽譜出版TECLA社のサイトに解説があるので参考にされたい。ギターでクラシカルな古典の作風を楽しめるこの時代の職業作曲家の作品は貴重だ。

こちらはマティエカを取り巻いていた状況他 ⇒ http://www.tecla.com/authors/matiegka.htm
こちらはそのハイドンとの相違点確認 ⇒ http://www.tecla.com/files/filesworksdescr/matiegka/comparison.pdf


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CDプレーヤー


取り立ててオーディオ趣味でない人には少し大げさに聞こえるかもしれないが、レコードやCDを聴いて楽しむ者にとってオーディオ再生装置は、演奏家にとっての楽器に相当する。実際「レコード演奏家」なる造語もあるほどだ。少しでもいい音で聴き、音楽や演奏家の本意に触れるべく、財布の中身と相談しながら日々、いや時々心を砕く。凝る人凝らない人、有り合わせで文句のない人、一生機械選びで落ち着かない人、いろいろだ。


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今年前半はCEC製のレコードプレイヤーを購入から十数年目にして初めてメンテナンスに出したり、カートリッジの定番:オルトフォンSPUを手に入れたりして、レコードの音は随分とよくなった。今のところ文句のない状態だ。一方、日常的にはレコード以上に頻繁に聴くCDに関しては、一向に改善の一歩が踏み出せない。相変わらずソニーのD-100という25年前にポータブルプレーヤーを使っている。これはこれで中々いい音を出す。ポータブルプレーヤーとはいえ、主要なメカニカル部品はダイキャストや丈夫な鋼板で出来ていて、ずっしりとした重みがある。しかし、CDにアクセスするたびにびっくりするほどの大きな音でギーギーとピックアップが動くし、いくらなんでも25年前はないだろうという気持ちもあって、適当なプレーヤーを手に入れたいと考えている。もちろん、フルサイズのCDプレーヤーも使ったことがあるが、ぼくのしょぼい耳ではD-100との違いはわかるにしても、コンパクトなD-100を打っちゃるほどの魅力もなく消えていった。


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先週末、以前から持っているパイオニアのユニバーサルプレイヤーをセットしてみた。2万円でおつりがくる安直なDVDプレーヤーだが、SACDも聴け、その音の良さからオーディオ専門店がリファレンスに使ったり、極めつけはスイスのハイエンドメーカーG社が7桁のプライスタグが付く製品にこのユニットをそっくりそのまま使っていて物議をかもした。音は悪くない。全体にすっきりとした音で、いかにも現代のハイエンド風といっていい。しかし、ドライブのメカ周り、特にベアリングやら回転部分の構造体が安物で、静かな部屋では動作音が気になる。生活騒音がそこそこある環境ならば気にならないだろうが、ぼくのように田舎の静かな夜だと無視できないレベルだ。G社はそのあたりを独自の技術で押さえ込んで、100倍!の付加価値を付けたようだ。
写真のように奥行き20センチほどとコンパクトなので、アンプの上に重ね置きしたいのだが、ぼくの場合はアンプのラッックスL-570の発熱が多大で、その上に載せておくのは望ましくない。…ということで、一日付き合ってみたが、またソニーのポータブルに戻してしまった。


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いまこれなら使ってみようかと思っているのCDプレイヤーは、ラックマンのD-500というモデル。フィリップス製のスィングメカを搭載した最後期のものだ。ときどき中古で出回る。しかしこれとて90年代半ばの製品。進歩の著しいデジタル技術にあって、今更の感もある。DACも当時と比べたら格段に進歩しているだろうから、そんな20年前のハイエンドよりは今の3万円の方がいいのではないかと、そんな迷いもあって決めかねている。もっともCDプレーヤーの音質差を聞き分ける自信はないので、選択は純然たる音質勝負というよりは、しっかりした違和感のないデザインとたたずまい、ユーザーインターフェスの雰囲気といった情緒的なポイントも重要だ。財布の中身と相談の必要がなければ、最新型の中からやはりラックスマンのD-06を選びたい。

…と、まあ、きょうは音楽を聴く気分にもなれず、オーディオ妄想のひとこまでありました。


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たまにはギターも弾きます


7月21日日曜日。参議院選挙投票日。大昔のガールフレンドの誕生日。若杉弘の命日。真夏なんだからさあ、もっとカーッと来ればいいのに…と、暑さに檄を飛ばしたくなるようなダラダラとした暑さ。それに合せるようにこちらも終日ダラダラ。ブログタイトルに六弦とうたっている割にはギターの話が出てこないのもナンだなあと思い、きょうは六弦ネタ。といっても、きょうはギターを弾きましたという、それだけの話です。


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昼をはさんでギターを弾く。きょうはロンドン在住の製作家:デイヴィッド・ホワイトマン作の楽器を取り出した。ハウザー1世1941年製のよく出来たレプリカ。少し前の古楽器奏者:竹内太郎さんの日記にホワイトマンのことが出ていた(ここの7月4日、11日あたり)。竹内さんとは何度かお会いししたり、オリジナルの19世紀ギターを紹介してもらった経緯があって、ときどきメールのやり取りをしている。最近、竹内さんがホワイトマンの工房を訪れた際のことが記されていて、近いうちに現代ギター誌の記事となる模様。ぼくのハウザー1世モデルも竹内さんの紹介を受けてホワイトマンから入手した。2世の60年代以降、現在まで続くモダンハウザーとは異なる楽器。重量軽くウルフも低い。サントスに範を取った20世紀前半までのスパニッシュスタイル。それにドイツ人らしい几帳面さがプラスされたイメージだろうか。ホワイトマンのハウザーモデルは日本にはほとんど入ってきていない。最近ハウザー1世モデルでは、G・オルディゲスやフリッツ・オベールなどが人気だが、ホワイトマンもそれらと肩を並べる出来の良さだ。

そんなホワイトマンの楽器を手に弾く曲は…バッハ。と、そうはいかない。最近はもっぱらヨーロッパの図書館で公開されている19世紀古典ギター全盛期のアーカイブを拾い弾き。きょうは、昨年あたりから話題にあがるようになった、ミュンヘン図書館のアーカイブ:MDZでマティエカの作品を見つけて弾いてみた。他のコレクションでは見かけなかった変奏曲が2つあった(これこれ)。
この時代の曲から、初見プラスアルファで弾ける程度の曲を選んでタラタラ弾くのは、実に興味深い。決して暗譜して練習するのはなく、当時の出版譜を見ながら、楽譜からいろいろなことをイメージしながら弾く楽しみ。19世紀のまだ電灯もなかった時代に、ちょっとした中流家庭での夜の団欒や都市のサロンでのコンサートで弾かれたであろう曲を、当時の様子を想像しながら楽しめる。残念ながらこの時代の多くの曲は忘れ去られたままだが、幸い近年海外のデジタルアーカイブが公開されて、そうした作品に触れられるようになった。

クラシックギターの世界は不思議な世界で、ピアノのバイエルにあたるレベルをマスターせずに、次にはいきなりバッハやソルの大曲に臨む愛好家が多い。アマチュアの遊びだから何でもアリと平然と言い放つ人も多く、議論にはならない。バイエルを終えたばかりのピアノ初心者が、「弾きたいから」という素朴な理由で、すぐにベートーヴェンの後期のソナタに取り掛かって、イヤー、弾けないなあ、もっと練習しないと…と言っているようなものだ。一生弾けませんよ、そんな…。 先ほどの古楽器奏者:竹内さんも以前日記に書いていた。難しい曲を選びすぎる、バッハなんてプロでもおいそれと手を出せないバロックの最高峰だと。クラシック音楽を聴いたり、演奏する楽しさの目指すところは何だろうかと考える。ぼくの場合ははっきりしていて、それは音楽を通して時代をタイムスリップすること。当時の時代の雰囲気を想像し、それに触れることだ。がむしゃらに格闘して敗退するのが目的ではない。

そんなことを思いつつ、きょうは3時間ほどギターと戯れた。
さて、あすは月曜。また1週間働きましょうか。


マティエカのソナタ作品23ロ短調第1楽章。楽譜はこちら


マティエカ/シューベルトの有名な四重奏曲から。マティエカ作の三重奏曲にシューベルトがチェロパートを加えたとされる作品。ウィーン古典派ど真ん中の作風。楽譜はこちら



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カイルベルト&バンベルク響 ブラームス交響曲第3番ヘ長調

当地関東北部では今週に入ってから梅雨空に戻ったような天気が続いている。30℃超えの真夏日にはなるものの、35℃以上の猛暑日には至らず。きょうも真夏の太陽はどこへやら。ジトジトと蒸し暑い一日だった。日中、野暮用続き。日暮れてようやく一服。夜も更けてきたところで、じっくり週末の音盤タイムを楽しむことに。


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(写真右:左からヴィーラント・ワグナー、カイルベルト、ヨッフム、フルトヴェングラー)

さきほどネットをみていたら1969年のきょう、アポロ11号が月面着陸とあった。ぼくが中学3年の夏だった。まだ夏休みにはなっておらず、そのニュースがあった翌日の教室はその話で持ちきりだった。マイクがターンオーバーする度にピーッという音が鳴る基地とアポロの通信がリアルだった。西山千の同時通訳。同時通訳というものがあるのもそのとき知った。アポロ月面着陸から何日か後に夏休みに入った。その年の甲子園は、青森県三沢高校の太田幸司が登場し、松山商業:井上との壮絶な投げ合いを演じた。半年後には高校受験、そして高校1年の1970年は万博の年…と、まあ、年を取ると昔の記憶ばかり鮮明になる。
アポロ11号の記事のすぐ下には1968年のきょう、ドイツの指揮者ヨーゼフ・カイルベルトが亡くなったと書いてあった。カイルベルトかあ…と思い出して、いくらもない手持ちの彼の盤からブラームスの交響曲二つが入った盤を取り出した。1968年に亡くなったので、ぼくらより少し上の世代のクラシックファンには馴染み深い指揮者だろう。亡くなるほんの少し前まで来日してN響を振っている。
この盤は70年代半ばに廉価盤で出ていたシリーズの1枚。帯裏の広告をみると、このシリーズでベートーヴェンほか随分多くのカイルベルトの代表的な録音が出ていた。この盤には第3番と第4番が入っているがオケが異なり、演奏の印象も随分と違う。今夜針と降ろしたのはバンベルク響との第3番。第4番はハンブルクフィルハーモニーとの演奏だ。
実に味わい深い演奏。出だしから流麗とは程遠いごつごつとした肌触りの音楽が流れてくる。ブラームス、そして特にこの曲では重要な付点音符や三連符の扱いがきっちりして、そのごつごつ感を際立たせている。オケの音色も地味。バランスも周到に準備した録音セッションというよりはライヴに近く、いい意味での荒さが残っている。まさに質実剛健。ドイツ魂の権化といった響きだ。むかし聴いていた記憶では、そうした素朴さに何となく物足らなさと田舎臭さと感じていたものだが、いまこうして聴くと、どうして重量感も十分で、聴き応えがある。もっと冴えない録音という記憶もあったが、SPUで聴く独テレフンケンの音はコントラバスの低音もしっかりとらえていて、この演奏の目指すところとピタリと合っている。

1908年生まれというからカラヤンと同い年だったカイルベルトの盤はCD時代になってからまとめて出たこともあったが、最近は見かけない。2006年に突然英デッカ蔵出しの1955年バイロイトのステレオ録音がCDとLPで出て話題になった。


ベルリンフィルとの第2番終楽章



手兵バンベルク響とのベートーヴェン:レオノーレ第3番。音を聴くとライヴ録音。1968年とあるので同団との来日時のライヴ盤と思われる。



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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