たまにはギターも弾きます


7月21日日曜日。参議院選挙投票日。大昔のガールフレンドの誕生日。若杉弘の命日。真夏なんだからさあ、もっとカーッと来ればいいのに…と、暑さに檄を飛ばしたくなるようなダラダラとした暑さ。それに合せるようにこちらも終日ダラダラ。ブログタイトルに六弦とうたっている割にはギターの話が出てこないのもナンだなあと思い、きょうは六弦ネタ。といっても、きょうはギターを弾きましたという、それだけの話です。


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昼をはさんでギターを弾く。きょうはロンドン在住の製作家:デイヴィッド・ホワイトマン作の楽器を取り出した。ハウザー1世1941年製のよく出来たレプリカ。少し前の古楽器奏者:竹内太郎さんの日記にホワイトマンのことが出ていた(ここの7月4日、11日あたり)。竹内さんとは何度かお会いししたり、オリジナルの19世紀ギターを紹介してもらった経緯があって、ときどきメールのやり取りをしている。最近、竹内さんがホワイトマンの工房を訪れた際のことが記されていて、近いうちに現代ギター誌の記事となる模様。ぼくのハウザー1世モデルも竹内さんの紹介を受けてホワイトマンから入手した。2世の60年代以降、現在まで続くモダンハウザーとは異なる楽器。重量軽くウルフも低い。サントスに範を取った20世紀前半までのスパニッシュスタイル。それにドイツ人らしい几帳面さがプラスされたイメージだろうか。ホワイトマンのハウザーモデルは日本にはほとんど入ってきていない。最近ハウザー1世モデルでは、G・オルディゲスやフリッツ・オベールなどが人気だが、ホワイトマンもそれらと肩を並べる出来の良さだ。

そんなホワイトマンの楽器を手に弾く曲は…バッハ。と、そうはいかない。最近はもっぱらヨーロッパの図書館で公開されている19世紀古典ギター全盛期のアーカイブを拾い弾き。きょうは、昨年あたりから話題にあがるようになった、ミュンヘン図書館のアーカイブ:MDZでマティエカの作品を見つけて弾いてみた。他のコレクションでは見かけなかった変奏曲が2つあった(これこれ)。
この時代の曲から、初見プラスアルファで弾ける程度の曲を選んでタラタラ弾くのは、実に興味深い。決して暗譜して練習するのはなく、当時の出版譜を見ながら、楽譜からいろいろなことをイメージしながら弾く楽しみ。19世紀のまだ電灯もなかった時代に、ちょっとした中流家庭での夜の団欒や都市のサロンでのコンサートで弾かれたであろう曲を、当時の様子を想像しながら楽しめる。残念ながらこの時代の多くの曲は忘れ去られたままだが、幸い近年海外のデジタルアーカイブが公開されて、そうした作品に触れられるようになった。

クラシックギターの世界は不思議な世界で、ピアノのバイエルにあたるレベルをマスターせずに、次にはいきなりバッハやソルの大曲に臨む愛好家が多い。アマチュアの遊びだから何でもアリと平然と言い放つ人も多く、議論にはならない。バイエルを終えたばかりのピアノ初心者が、「弾きたいから」という素朴な理由で、すぐにベートーヴェンの後期のソナタに取り掛かって、イヤー、弾けないなあ、もっと練習しないと…と言っているようなものだ。一生弾けませんよ、そんな…。 先ほどの古楽器奏者:竹内さんも以前日記に書いていた。難しい曲を選びすぎる、バッハなんてプロでもおいそれと手を出せないバロックの最高峰だと。クラシック音楽を聴いたり、演奏する楽しさの目指すところは何だろうかと考える。ぼくの場合ははっきりしていて、それは音楽を通して時代をタイムスリップすること。当時の時代の雰囲気を想像し、それに触れることだ。がむしゃらに格闘して敗退するのが目的ではない。

そんなことを思いつつ、きょうは3時間ほどギターと戯れた。
さて、あすは月曜。また1週間働きましょうか。


マティエカのソナタ作品23ロ短調第1楽章。楽譜はこちら


マティエカ/シューベルトの有名な四重奏曲から。マティエカ作の三重奏曲にシューベルトがチェロパートを加えたとされる作品。ウィーン古典派ど真ん中の作風。楽譜はこちら



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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