シューベルト アルペジョーネ・ソナタ イ短調 D.821
午前中は雲が多く肌寒かったが、午後になって冬晴れに転じて陽射しが戻ってきた。きのうのバリオスねたで思い出し、ギターを取り出して昨夜のYouTubeリンクで貼り付けた「祈り」を弾いてみた。6弦=Dの調弦で響きの深みを増したニ長調で、旋律がよく歌う曲だ。鈴木大介編の楽譜を開いたが、技術的難易度はバリオスの曲の中では低い方だろう。初見で弾いても、自然とメロディーを歌ってしまうし、和声の緊張と解決もすぐに見通しがついて、それらしく弾きたくなる。この辺りがバリオスの取っ付き易さと人気の要因かもしれない。


ひとしきり弾いたあと、冬の陽射しの暖かさにつられてレコードを引っ張り出す。
シューベルトのアルペジョーネ・ソナタ。フルニエのチェロと息子ジョン・フォンダのピアノ伴奏。1967年録音。手持ちの盤は70年代終わりから80年年代初頭に出ていたグラモフォンのミドルプライスシリーズのもの。これは中古ではなく発売当時に手に入れた。アルペジョーネ・ソナタの他、メンデルスゾーンの協奏的変奏曲作品17、シューマンの幻想曲作品73、同じくシューマンの民謡調の5つの小品作品102が収録されている。アルペジョーネ・ソナタは学生時代から好きな曲の一つで、そんなこともあってこの盤を買ったのだろうが、近年ほとんど聴くていなかった。
アルペジョーネについての講釈はネットに山ほどあると思うのでそちらをみていただきたい。ギター弾き、特に19世紀時代の楽器に興味のある好事家には、アルペジョーネ生みの親、シュタウファーは馴染みが深い。独墺系ギター系譜の創始者といっていい。あのマーチンもシュアウファー工房で修行していた。実際、アルペジョーネの写真を眺めていると、特にフレット周辺や全体のプロポーションなど、ギター的な雰囲気も強く親近感を覚える。調弦も6弦ギターと同じだ。
現代ではすっかりチェリストのレパートリーになっているアルペジョーネ・ソナタだが、現代チェリストが弾くと、少々エネルギッシュになり過ぎ、朗々と歌い過ぎてしまうように思う。元々はもっとこじんまりとした楽器で、音量も控え目だったろう。弦が6本あることから重音が出しやすい反面、強いボーイングは隣の弦と接触するリスクも大きいから、弾き方も軽かったように想像する。最近は復元したアルペジョーネで演奏するケースもしばしばあるようだ。フルニエの演奏はそのあたりを考慮していてか(もちろん元々の資質もあって)、「過ぎない」歌いっぷりで好感が持てる。
現代チェロによる標準的演奏。1楽章途中まで。続きもアップされている。ペレーニとシフ(だいぶ前の映像だろう)。
実際のアルペジョーネはこんな感じだ。フレットに注目。近年ギターでも試みられている古典音律によるフレッティング。
チェロとギターのデュオで演奏されることもある。チェロ趙静(チョウチン)とギター大萩康司のヴィジュアル・ペアもこの曲の入ったアルバムを出している。
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