DENON DL-103


昨年秋の価格改定の際、駆け込みで針交換扱いで手に入れておいたDL-103。今頃になって、そういえば的に取り出してみた。1年前にオルトフォンSPUを導入してからは、ずっとSPUを付けっ放し状態で、他のカートリッジに換えるのは久しぶりだ。


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自重30gを超えるSPU用に付けていたカウンターウェイトをノーマル仕様に換え、DL-103をオーディオテクニカのMG-10に取り付け。ついでにくたびれていたリード線も有り合せの安物ながら新品に交換した。オーバーハングの確認、アーム高さの確認と済ませて、セットアップ完了となった。
音の記憶ほどあいまいなものはないので、正確な比較になっている自信はまったくないのだが、SPUとDL-103、やはり印象は違う。単純な言い方をすれば、SPUは繊細な音、そして103はずっと骨太でエネルギーに満ちている。SPUはゆったりとして量感豊かな低音に上に、弦楽群のヴァイオリン1台1台の音が糸の筋のように見えるかのような高音がのる印象。中高音がしなやかかつ分解能に優れていて、聴感上のレンジも広い。一方DL-103はややナローレンジで、低音も中高音も凝縮されたエネルギーを感じる。極端にネガティブな言い方をすれば、鼻づまりのような音。SPUを聴いたあとだと、余計にそう感じる。

MM用MC用独立したヘッドアンプを持ち、SN比抜群のL-570につないでしばらく聴く。次第に耳も慣れ、103の骨太サウンドがしっくりくるようになるから不思議なものだ。そういえばアンプのL-570。前の記事に書いたALTEC 612Cをつないだ際、103dBの高能率ゆえにアンプの残留ノイズが気になるのではと思っていたのだが、スピーカーユニットに耳を付けてようやく確認できるレベルで、通常のリスニングポジションではまったく無音。これまで使ったことのあるアンプの中でもっとも静かなアンプであることを再確認した。




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ALTEC 612C


先日の記事にちょっと書いたのだが、ALTEC:612Cをしばらく使うことができた。一度じっくり聴いてみたいと思っていたALTECの同軸2wayユニット604。今回の612Cには初期型アルニコ仕様の604-8Gが入っていた。


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聞きしに勝る強靭な音。15インチウーハから連想するのは、まず低音ということになるが、何種類かのディスクをかけてみて、印象的なのは低音よりも中高音の強さ。ハガネのように鋭くそして太い。エネルギーに満ちているといってもいい。サックスやトランペット、そしてドラムのスネアショットなどは、まさに横っ面を叩かれるかのように突き刺さってくる。この第一印象をもって、ジャズ向き、ロック向きということになるのだろう。それには確かに同意する。しかしクラシックはダメかといわれると、決してそんなことはない。ピアノの弱音はスッと音が立ち上がり、こちらの身体に染み入るように響く。強いタッチで弾かれた和音は、その重みとエネルギーを十分再現している。あいまいなところがまったくない。映画館での拡声装置としての素性からして、103dB/W・mという極めて高い能率も大きな特徴だ。音の立ち上がりが極めて速い。

クラシック音楽のオーディオ的イメージとして、柔らかく奥深い響きといった表現が使われる。しかし、管楽器はもちろん弦楽器も、目前で弾かれる音は鋭くエネルギーに満ちている。ジャズとの違いは楽器の音ではなく、それぞれの音楽が響く演奏場所のアコースティックの違いが大きい。クラブやライブハウスというデッドな空間とコンサートホールというライブな空間の違い。それを反映するように、クラシックの録音では楽器の直接音と響きを含んだ間接音との塩梅に録音エンジニアは腐心する。ALTECで聴くと、その塩梅のうち直接音を強調するような鳴り方をするので、そこで好き嫌いが分かれるのだろう。

昨年まで使っていた三菱2S-305を比べると、50~80Hzあたりの耳につく低音の量感は305に軍配が上がるが、50Hz以下のより低い帯域では612Cが粘り強くレスポンスする。さすが38cmウーハの威力だ。音量を上げていけばいくほど、612Cは底なしのポテンシャルを明確に示してくる。また中高音のエネルギー感は612Cの圧勝だが、分解能や繊細なニュアンスの表出は305の方がいい。総じて平均的な日本のリスニング環境での広さでは305の方がはるかに使い易いと感じた。しかし、いずれにしても、大型スピーカーとは決別した身。あまり長居をしてもらうのは物騒なので(^^; 近々返却の段取りと相成った。


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ラミレスの弦交換


朝から穏やかな日和だったが、午後三時を過ぎた頃から風が強くなり、少し雲も出だした。天気図をみるとちょうど低気圧が本州を横断中の様子。明日はまた冬型に戻って少し気温も下がるだろうか。そうこうしつつ、冬から春へと季節は移る。拙宅の道楽部屋に差し込む陽射しにつられて、のんびり手仕事。手持ちの楽器のうち、ホセ・ラミレスの弦を交換した。

ラミレス3世1a1978年製。30年間ほとんどデッドストック状態のものを数年前に手に入れた。ぼくにとっては初めての外国製ギターだった。状態は今も健全で、時折取り出して弾くが、当時全盛期だったマドリッド・ラミレス工房の隆盛がうかがえるいい音だ。一時期664ミリの弦長が気になって、650ミリのものに替えようかと数台試奏してみたが、たまたま試奏した個体は、音に関しては自分の楽器以上には感じなかった。旧友Y氏が長らく使っていた650ミリのラミレスは、表板に松を使ったモデルで、典型的なラミレスとは少し違っていて鳴りも素晴らしかった。

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弦交換と併せて楽器のクリーニングも。
フレットと指板はもっとも汚れやすい部位だ。フレット磨き用のツールは500円で購入。ゴージャスマダム御用達の銀製品磨きクロス(楽器用も有り)で拭く。黒檀の指板はレモンオイルで汚れを落とす。部屋に柑橘系の匂いが香ってくる。

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表板にはカルナバワックスを使う。ラミレスの塗装は丈夫な樹脂による塗装なので、煙草の根性焼きにも耐える?!のだが、手持ちの楽器にはセラック塗装のものもあるので、もっぱらこのカルナバワックスを使っている。表板に写真のようにたらして指で延ばす。数分おいて白く乾いたところで百均のマイクロファイバークロスで吹き上げる。

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36歳とは思えない美しい輝きの表板。マドリッド生まれの美魔女の面目躍如(^^; 
糸巻き周辺もクロスでよく拭く。美魔女は隅々まで磨きをかけるのだ。

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弦は今回プロアルテのハードテンション。高音弦の駒側には牛骨のチップを使った。まあ、気休めあるいはおまじないというところ。今回は低音弦の駒側は弦をよじらず、シンプルなワンターンで留めた。余分の出た弦の尻尾は駒側、糸巻き側ともに短くカット。その際、表板を傷つけないよう、厚紙を敷く。

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以上で完了。ひと通り調弦を済ませて音出し。妙なところがなければ半音ほど高めに合せ、ひと晩おいてから本格的に弾き始める。弦の交換作業が実に楽しい。心踊るといっていいほどだ。普段は黙って音を奏でているギターと、ちょっとした会話をしている気分になる。


マドリッドのラミレス工房の様子。60~70年代は多くの職工を抱えて全盛を誇った。現在は規模を縮小したが、それでも活気あふれる様子が伝わってくる。



ショップに併設されているミュージアムの様子。



ラミレス全盛期の1971年1aモデル。アルベニスやグラナドスなど、スペイン物のここ一番での甘い音にラミレスはぴったりだ。



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ペライア バッハ パルティータ第2番ハ短調


週末土曜日の夜。すでに日付は日曜に変る時刻だ。今週も一週間あわただしく働いた。三月の年度末進行の業務は、幸いこの一週間で見通しがついた。まだ終わったわけではないし、新年度からもかなりの荷物を背負い込むことになりそうなのだが、ひとまずヤレヤレというところだ。


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久しぶりにマレイ・ペライアの弾くバッハ・パルティータのCDを取り出した。2007年録音。
6曲あるバッハのパルティータのうちどれが一番好きかと問われたら、やはりこの2番と答えるだろうか。無論それぞれに素晴らしく聴き飽きることがないが、とりわけこの2番は素晴らしい。第1曲シンフォニアの冒頭ハ短調の和音。バッハ以降の時代にも幾多の名曲を生んだハ短調という調性と付点音符による緊張感。その厳粛で高貴な響きに身が引き締まる。ゆっくりとした歩みで主部に入ると、何かこれから始まる長い旅の始まりのように感じる。アルマンド・クーラント・サラバンドと、曲想は静と動、横と縦、明と暗、といった二極構造的な展開を行きつ戻りつしながら、次第に天空へ上り詰めていく感がある。
ペライアの弾くピアノは特別にインスピレーションに満ちているわけでも、また驚くような技巧の冴えを示すわけでもない。何とはなしに、ごく「普通」に聴こえてくるが、しかし曖昧なところはない。そしてその音は実に美しく、それをよくとらえた録音もまた素晴らしい。残響多からず、明瞭に音の芯とその周囲に付くふくらみとがよく聴き取れる。モダンピアノの美しい音の見本のような音だろうか。


第6番ホ短調。かなりロマンティックな解釈を示す。



録音会場のベルリン・ルンドフンクセントラムにて。



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閑話休題 平成二十六年三月


穏やかに陽射し差し込む日曜日。午前中は部屋の中より室外の方が暖かいほど。隣家の梅の木も七分咲き。昼を過ぎてようやく部屋の中まで暖まってきたところで、おらがグンマの誇る名品、トンビの珈琲でいっぷく。素人の下手なドリップでも相変わらずうまい。決め手は厳選された豆と焙煎だ。仕込からシティーローストで2ハゼの焙煎、そしてねかせまで入念に仕上げられていて文句なしだ。

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さて近々、チェロとの合わせ練習二回目の予定があって、少し練習を進めている。フォーレ「夢のあとに」はフラット三つのハ短調。しかもローポジションでの四声和音が続く。コードネームが書かれている写真の参考楽譜を見ればわかるように左手が緊張MAXだ。ジャン・ワンとセルシェルが雰囲気たっぷりに弾いているが、セルシェルは11弦ギターを使用。ちょうどハ短調には都合がいいし、付加された低音弦の開放音が有効に使える。通常の6弦ギターではどうしても窮屈な感じになってしまう。さてどうなるか。

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緊張が続いたあとはバリオスの「祈り」で小休止。

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突然だが、ALTECの名器612Cが駐屯中。永住予定はない…はずだが。
カシオペアミントジャムをフルボリュームでかけると、神保彰のスネアショットがパシッと痛いほどに頬を打つ。アルニコ仕様604-8Gの15インチウーハーの低音はガチガチに締まっていて8畳程度の部屋でヤワに聴くにはマッチしないかもしれない。学校の教室二つか三つ分のスペースで思い切り鳴らせば真価発揮だろう。

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…というわけで弥生三月。
いろいろ、ちりぢり、どきどきと、心沸き立ちそして乱れる春ではあります。
さあ、明日からまた年度末進行の仕事だ。Go for it !

バリオス<祈り> 京大工学部出身の北口功が名器:ドミンゴ・エステソで。



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音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

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