ビリャダンゴス(G) アルゼンチン・タンゴ集


あすで7月も終わりという最終週の半ば。このところ比較的早い時刻に帰宅していたが、きょうは少々業務難渋。9時過ぎの帰宅となった。夕飯と風呂を済ませ、ひと息つく。久しぶりにギターでも聴こうかと思い、こんな盤を取り出した。


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アルゼンチンのギタリスト:ビクトル・ビリャダンゴスが弾くお国物のタンゴ集。ナクソスから出ている1枚。2001年録音。収録曲以下の通り。

1. 凧が飛ぶ夢(ブラスケス)
2. 決闘のミロンガ(モスカルディーニ)
3. 最後のグレーラ(ピアソラ)
4. リベルタンゴ(ピアソラ)
5. 想いのとどく日(ガルデル)
6. 帰還(ガルデル)
7. ミリタリー・タップ(モレス)
8. メランコリコ(フリアン・プラザ)
9. ノスタルヒコ(フリアン・プラザ)
10. 南((トロイロ)
11. ティリンゴたちのために(モスカルディーニ)
12. アディオス・ノニーノ(ピアソラ)
13. ブエノス・アイレス午前零時(ピアソラ)
14. ハシント・チクラーナ(ピアソラ)
15. 勝利(ピアソラ)
16. ラ・レコータ(コセンティーノ)
17. わが愛のミロンガ(ラウレンス)
18. ミロンガ・デル71(ビターレ)

お馴染みのピアソラをはじめとし、ブラスケス、ガルデル、フリアン・プラサといった、あまり馴染みのないアルゼンチンの作曲家によるタンゴ小品が18曲収めされている。
昨今のクラシックギターの立ち位置は案外あいまいで、クラシックギターの<クラシック>が意味する古典派ギター音楽としてのアイデンティティは次第に薄れてきているように感じる。これは聴く側だけでなく、弾き手側にも共通する。プログラムの多くにラテン系の近現代曲、それも民族色やポピュラリティの強い小品が並ぶことが多くなった。この盤などもその典型かもしれない。その是非はともかく、タンゴの生まれ故郷の奏者が弾くお国物という意味で価値ある1枚だ。
ギター1本で弾くタンゴは、踊りとしてのタンゴの伴奏という気配はなく、ノスタルジックなラテン抒情歌という趣き。ビリャダンゴスは自らの編んだ曲集を出しているだけのことはあり、どの曲も達者な弾きぶり。妙なコブシをきかせたラテン演歌にはなっておらず、節度ある歌い口で好感が持てる。


この盤のM1:凧が飛ぶ夢(ブラスケス)



お馴染みのピアソラ他。グレンミラーの<インザムード>も飛び出す。



こちらはクラシカルなレパートリー、トロバのソナチネ第3楽章を弾いている。



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群馬交響楽団第501回定期演奏会


先月、ベートーヴェン<皇帝>と大曲R・シュトラウス<アルプス交響曲>で記念すべき第500回の定期演奏会を迎えた群馬交響楽団。きのう26日は、指揮者に広上淳一を迎えて501回目の定期が開かれた。今でこそ地方の主要都市では立派なプロオーケストラが活動しているが、戦後まもなく産声をあげ、昭和30年代から定期演奏会を続けてきた群響(グンキョウ)はその草分けだ。そして1961年昭和36年には市民の力により当時としては画期的な音楽専用ホール<群馬音楽センター>が完成している。


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このホールはアントニン・レーモンドによる設計。第一次大戦後、帝国ホテル設計施工の助手としてフランツ・ロイド・ライトと共に来日。以降、多くの傑作建築を残した。群馬音楽センターはそのレーモンドの代表作であり、モダニズム建築の傑作といわれる。築50年を経て、設備や音響の面をみれば、その後作られたホールに劣ることは否めないが、一方で、歴史を重ねてきたものだけが持つ存在感を近年より強く感じる。
さて、きのう501回定期のプログラムは以下の通り。

 ショスタコーヴィチ/祝典序曲
 ショスタコーヴィチ/ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調
 グリーグ/劇音楽《ペール・ギュント》第1組曲・第2組曲
 指揮:広上淳一
 ヴァイオリン:ボリス・ベルキン

前半はショスタコーヴィッチの作品が2曲。<祝典序曲>は吹奏楽分野の定番曲のようだが、本来の管弦楽での演奏は珍しい。舞台袖にバンダの金管隊も陣取り、開幕に相応しい華やかさと迫力。夏の暑気払いの幕開けには最適だ。金管群の強奏とグランカッサの一撃に、デッドな音響の群馬音楽センターも大音響に包まれた。<ヴァイオリン協奏曲>は、自宅のオーディオセットで聴いていると内省的で沈うつな表情に耳がいきがちだが、こうしてステージを目前に聴くと印象がかなり違う。この作品がもつ音響的な構成に興味が向かい、ずっと明るくめざましい作品に思えてきた。これには広上淳一の曲作りも多いに関係している。彼のキャラクターの表れだろうが、深刻な沈うつに沈み続けるところがなく、第2、4楽章の軽妙さやスピード感が心地よく伝わってくる。開演前のプレトークでの音楽評論家:渡辺和彦氏の話によれば、ロシアのヴァイオリン協奏曲としては近年、チャイコフスキーと並ぶほどよく演奏されるそうだ。実演に接して初めてそれだけのポピュラリティーがあることを実感した。

休憩をはさんで後半は<ペールギュント組曲>。ポピュラーなクラシック名曲として、ファミリコンサートのようはカジュアルな演奏会では抜粋がよく演奏されるが、定期演奏会で第1・2組曲全曲が取り上げられることは滅多にないだろう。オーセの死、イングリッドの悲しみ、ソルベーグの歌での弦楽群のアンサンブルが美しい。広上淳一の指揮姿を見ていると、フレーズの運動性が手に取るように分かる。派手なアクションだけ見ると少々注文を付けたくなる向きもいるだろうが、出てくる音楽がピタリとマッチしているので違和感も嫌味のない。こういうタイプの指揮者も貴重だなあと感じた。
ショスタコーヴィッチとペールギュントという選曲の意図が分からずに開演に臨んだのだが、聴き終えてみて、それぞれの曲が持つ温度感の妙に納得。盛夏の夜の暑気払いとして、いいコンサートだった。


閣下と群馬交響楽団との競演。閣下、歌うまいなあ…



群馬県広報課謹製PR番組。



広上淳一の<白熱教室>


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五嶋みどり ショスタコーヴィッチ Vn協奏曲第1番イ短調


梅雨明けから数日。気温も徐々に上がり、きのう金曜の当地は35℃超えの猛暑日となった。都内での仕事を終えて夕方東京駅から新幹線に乗り、高崎駅に降り立つとムッとする熱気。都心周辺に比べ、100キロ内陸の当地の方が明からに数℃は高い。夜半近くになってアンプのスイッチを入れ、エアコンのシャワーを浴びていたところで記憶が途絶え、気付けば丑三つ時という、久々の体たらく。まもなく夜も白み始める時刻になってから活動開始となった。 先日の「短調のワルツ」というヘンテコな記事を書いたときに、ショスタコーヴィッチを思い出し、こんな盤を取り出した。


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ショスタコーヴィッチのヴァイオリン協奏曲第1番。五嶋みどりのヴァイオリン。アバド指揮ベルリンフィルのバック。1997年12月BPOの本拠地フィルハーモニーでのライヴ録音。
ぼくはショスタコーヴィッチのファンでも何でもないのだが、その作品の中核をなす交響曲全曲(バルシャイ&ケルン放響)といくつかの協奏曲、室内楽の盤だけが手元にある。この盤は五嶋みどりのチャイコフスキーを聴く目的で選んだところ、この曲がカップリングされていた。

 第1楽章 Nocturne(Moderato)
 第2楽章 Scherzo(Allegro)
 第3楽章 Passacaglia(Andante)
 第4楽章 Burlesque(Allegro con brio-Presto)

という4楽章からなり、古典的な協奏曲の形式から拡張され、各楽章の性格、規模、充実度など、交響曲作家としての面目躍如といえる。緩徐楽章の第1楽章、第3楽章がショスタコービッチらしいほの暗い抒情性にあふれ美しい。とりわけ第3楽章のパッサカリア形式は、充実したオケ群の響きの上にヴァイオリンの奏でる旋律が絶えず沈うつな雰囲気で浮かび上がり、この曲の白眉だ。急速調の第2、4楽章スケルツォとブルレスケも、いかにもショスタコーヴィッチ風のギミックと、時にユーモラスなフレーズが現れ、飽きさせない。

実はきょう26日の晩、オラが群馬の至宝:群馬交響楽団の定期で、ボリス・ベルキンのヴァイオリン、指揮広上淳一で、この曲が取り上げられる。
 ショスタコーヴィチ/祝典序曲
 ショスタコーヴィチ/ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調
 グリーグ/劇音楽《ペール・ギュント》第1組曲・第2組曲
うまく時間が取れそうなら夕涼みがてら出かけてみよう。


五明カレン(1982年東京生まれ在NY)のソロ。バックはウクライナ生まれのキリル・カラビッツ指揮デンマーク放響。第3楽章パッサカリアは20分45秒過ぎから。


五明カレンの弾くピアソラ。



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短調のワルツ


梅雨明け後の暑い一日。夜半に近くなっても、昼間の熱気が残る。当分は暑さMAXの日々が続きそうだ。
きょうはいくらか早く帰宅したので、夕飯のあとギターを取り出し、手慣らし程度に練習。実は8月半ばにちょっとした本番がある。1曲だけだが、チェロ相方と<ブルーボッサ>をお披露目の予定だ。


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ところで先日、OEKによる武満徹の曲を聴き、その中の<他人の顔>のワルツを聴きながら、あの曲と共通するテイストを持つ短調のワルツが思い浮かべていた。マイナーキーのワルツを聴くと、いずれもノスタルジックでセンチメンタルな響きの共通性を感じる。思いつくままに、そんな短調のワルツを上げてみると…

 ハチャトゥリアン:仮面舞踏会より<ワルツ>
 ショスタコーヴィッチ:ジャズ組曲第2番より<ワルツ2番>
 プロコフィエフ:組曲「シンデレラ」より<ワルツ>
 イワノヴィッチ:<ドナウ川のさざなみ>

ショスタコーヴィッチ(写真)のジャズ組曲第2番は1930年代に作曲されながら第二次大戦でスコアが消失。2000年になって再現され、以降特のその<ワルツ2番>が人気を得て広まった。「あの重く暗いショスタコが…」という曲想だが、「あのショスタコ…」も次第に遠くなり、彼の残した映画音楽やポピュラリティの強い音楽が彼の代名詞になっていくのかもしれない。ハチャトゥリアンの仮面舞踏会もここ数年よく聴くようになった。プロコフィエフのシンデレラ<ワルツ>も比較的有名だろう。<ドナウ川のさざなみ>も昔はホームミュージックの代表のようはポピュラーなワルツだったが最近は耳にしない。こうしてみると、ロシア優勢。ロシア民謡同様、短調のワルツは日本人魂の深層にスッと入り込んでくるような気がする。


プロコフィエフ 組曲「シンデレラ」より<ワルツ>



ショスタコーヴィッチ ジャズ組曲第2番<ワルツ2番> チェロ5台による演奏。



◆ハチャトゥリアン 仮面舞踏会より<ワルツ> ストコフスキー&NYPO@1947年。

◆スヴィリドフ 「吹雪」より <ワルツ> 仮面舞踏会に似た曲想。

◆本邦の短調ワルツ◆
◆武満徹 <他人の顔>◆



畠山美由紀 <夜と雨のワルツ>



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祝!梅雨明け ラテンでGo!


関東地方、ドーンと梅雨明けであります。
ひと月半ほどの今年の梅雨はよく降った。お陰で首都圏の水がめ、当地群馬県利根川水系のダムはどこも満水御礼。水不足の心配はゼロ。水浴び、水撒き、存分にどうぞの状態だ。
…というわけ、今夜は音盤も派手にドーンとイコか。…となれば、選ぶ音盤はラテン物。冬はラテンだ!と書いたこともあるが、やっぱラテンは夏でしょ。そしてラテンと来ればこれで決まりだ。


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本ブログでも時折登場の熱帯JAZZ楽団。その第11作目<Let‘s Groove>2007年録音。収録曲は以下の通り。

1. ヒップ・トゥ・ビー・スクエア
2. サムバディ・アイ・ノウ
3. セ・ラ・ヴィ
4. 愛がすべて
5. フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
6. レッツ・グルーヴ
7. エナモラドーラ
8. エレガント・ピープル
9. デスカルガ・トロピカル
10. ピック・アップ・ザ・ピーセズ
11. セルベサ (スペシャル・ボーナス・トラック)

正直なところ、この楽団の演奏に関していえば、曲目は二の次。もっと言えば、どうでもいいのだ。モチーフが何であれ、圧倒的なグルーヴ感とダンサブルなノリの前に、すべては熱帯JAZZ楽団風になってしまう。元々メンバーのレベルが超高い。神保彰のドラム、森村献のピアノ、中路英明・青木タンセイのトロンボーン等々。そしてもちろんカルロス菅野。ジャズ、フュージョン、ラテン界のオールスターズといってよいメンバーが揃っている。
このバンドのライヴは2回経験しているが、きっちり書かれたスコアをベースにしたバシッと決まるアンサンブルと、個人芸のインプロヴィゼーションが高い次元で融合していて圧倒される。




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岩城宏之&オーケストラアンサンブル金沢 夢千代日記・波の盆


物憂い日曜の昼下がり。珈琲を淹れ、リビングの端にある食卓テーブルにノートPC広げる。一昨日の記事に書いた岩城宏之とオーケストラアンサンブル金沢(OEK)の盤が手元に数枚あるが、その中から武満徹の作品を集めた盤を取り出した。


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この盤についてはだいぶ前に一度記事にした。収録曲は以下の通り。

(1) 海へ2
(2) ア・ウェイ・ア・ローン2~弦楽オーケストラのための
(3) 雨ぞふる~室内オーケストラのための
(4) トゥリー・ライン~室内オーケストラのための
(5) 訓練と休息の音楽~「ホゼ・トーレス」より
(6) 葬送の音楽~「黒い雨」より
(7) ワルツ~「他人の顔」より
(8) 波の盆~オーケストラのための
(9) 夢千代日記

武満徹というと、ぼくら世代には<弦楽のためのレクイエム><地平線のドーリア>そして<ノヴェンバー・ステップス>といった初期傑作群の印象が強い。緊張と平穏、不安と安堵、そうしたものを切り詰められた精緻な音で表現したそれらの作品群は、武満徹の代名詞だった。一方で彼は100を超える映画音楽を書き、その中で彼らしい現代風の音楽と同時に、ポピュラリティの濃い作品も多く残した。

この盤で取り上げているのは主に80年代以降に書かれた作品。武満徹とも親交の深かった岩城宏之とOEKによる演奏は、先日聴いたブラームスよりずっと表現が豊かで聴く側の琴線に迫ってくる。アルトフルートの落ち着いた音色が美しい<海へ>は、元々アルトフルートとギターのために書かれ、のちに弦楽合奏版<海へII>となった。<ア・ウェイ・アローン>、<雨ぞふる>共々、武満らしい透明感あふれる抒情的な響きに満ち、夏のこの時期に聴くに相応しい。映画「他人の顔>のノスタルジックなワルツ、<波の盆>は実相寺昭雄が監督したドラマの中で使われた悲しいほど美しい抒情歌だ。吉永さゆりの演じたNHKのドラマ「夢千代日記」の音楽はしっかり記憶に残っている。<波の盆><夢千代日記>は、ギタリストで現代音楽にも精通し幾多の武満作品の初演も行った佐藤紀雄が編曲および発掘した楽譜で演奏されている。

昨今も武満徹の人気は高いと思われるが、どちらかというと、後期の調性感と歌謡性の色濃い作品ばかりが取り上げられるような気がする。それを悪いとは思わないが、やはり初期の作品あっての彼であり、後期の作品にも初期作品にあった音の透明感は変らずに存在することを認識した上で、取り上げてほしいと感じる。

<波の盆>


<夢千代日記>
以前書いた記事のためにぼくが撮った写真がバックに使われていて驚いた。


映画「他人の顔」から<ワルツ>
安部公房の原作は大昔に読んだ記憶があるが、映画は観たことがない。若き日の前田美波里(当時18歳)が歌っていたのか…。平幹二郎、仲代達也…。昭和ど真ん中。


こちらは<他人の顔>管弦楽版


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岩城宏之&オーケストラアンサンブル金沢 ブラームス交響曲第2番ニ長調


7月も半ばを過ぎてじわじわと暑くなってきた。来週あたり好天が続けば梅雨明けになるだろうか。
さて週末金曜日。仕事のあと野暮用あって9時過ぎに帰宅。あすから三連休という気安さもあって、心身共に弛緩し切っている。あてもなく音盤棚を見回して、こんな盤を取り出した。


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岩城宏之とオーケストラアンサンブル金沢(OEK)によるブラームス第2交響曲。2004年OEKの本拠地、JR金沢駅に隣接する石川県立音楽堂でのライヴ録音。数年前、学生時代を過ごした思い出の地金沢を仕事で訪れた際、地元老舗レコード店「山蓄」で買い求めた。
良くも悪くも中編成OEKの特質がよく現れた演奏だ。このCDをプレイヤーにセットしながら、中編成だからやや速めのテンポと短めのフレージングで進むのかと思っていたのだが、音が出てきて意外にもフル編成の典型的速度設定とそう変らないテンポだと気付いた。そのためか、響きの薄さが時に気になる。岩城宏之がその音響特性を絶賛していた石川県立音楽堂。ぼくもこのホールでのOEKの演奏を一度経験している。会場では十分豊かに響いているのだが、こうして録音で聴くと思いのほか音が痩せて聴える。
第1楽章前半は弦楽群の音が何となく遠慮がちで精彩を欠く。音程、アンサンブル共にピリッとしない。深夜のヘッドフォンリスニングだと、細かいところまでよく聴こえてくるので、なお更よく分かってしまう。第1楽章の後半になって、ホルンが冴えたソロを取ったあたりからようやく音楽は活気を帯びてくる。第2楽章は冒頭から弦楽群が積極的に歌い、オケ全体の響きもずっと豊かになってくる。第3、4楽章とも、ことさら中編成を意識したところはなく、正統的な解釈とテンポで曲は進む。終楽章のコーダも、よくあるような煽るような演奏ではなく、テンポ不変のまま堂々と進んで大団円となる。


2006年6月に亡くなった岩城宏之。70年代初頭からN響を振る指揮姿をテレビで眺めてきたぼくにとっては特別な存在だった。バブル期に誕生したOEK。バブル崩壊後もオケは残ったが、現在の金沢市内は乱開発の爪痕があちこちに残り、無残極まりない。



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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