インバル&フランクフルト放響 ブラームス交響曲第2番ニ長調


遅い夏休みは予定通り、もとい予想通り、これといった前向きな行動もなく、グウタラ生活に終始。メンテナンス上がりの田邊ギターに新しい弦を張ってアレコレ音色の確認、あまり身の入らない仕事の宿題少々、きょうは隣り町のデパートまで出かけ秋冬の服で少々散財、そんなところで休みも残すところあす一日となった。
音楽は新規開拓なく、あてもなく手持ちの在庫確認。今夜はさきほどからインバルのブラームスを絞り気味の音量で流している。


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手持ちの盤はエリアフ・インバルが長らくシェフを務めたフランクフルト放送交響楽団を振ったブラームス交響曲全集。2007年に日本コロンビアから3枚組のセットでリリースされた際に手に入れた。近年多くのマスタリングで高い評価を受けているマスタリングエンジニアの山下由美子によるリマスタリング盤。録音は1996から1998年に同団の本拠地フランクフルトのアルテ・オパーで行われている。
インバルとフランクフルト放響のコンビは、ぼくがまだ学生だった70年代後半からNHKFMの海外コンサートライヴの放送でよく取り上げられた。ほどなくDENONレーベルでの録音も始まり、マーラーやブルックナーなどの大曲と次々にリリース。その録音の素晴らしさもあって多いに人気を博した記憶している。その後も、フランスやウィーンのオケとラベルやショスタコーヴィッチを録音した。しかしどうもそうした大曲のイメージが強くて、ウィーン古典派やブラームスに関して、インバルの演奏が最初に推されることはほとんどない。1936年生まれのインバルも70代後半。都響との関係も深く日本でもお馴染みとなったが、マーラースペシャリストの看板は変らないようだ。

さてブラームス第2番。第1楽章からごくオーソドクスな解釈とテンポで進む。アルテオパーの前後左右に広がる音からは、いかにもヨーロッパのオケを感じる。どっしりとしたチェロ・バスの響き、やや遠めに響く木管群、時折り浮かび上がるホルン。いずれも過不足ないものの、一方で展開部や終盤の盛り上がりなどには少々物足りなさも感じる。第2楽章冒頭のチェロのフレーズなどはマーラーの緩慢徐楽章のようにたっぷり歌うかと思いきや、意外にあっさりとした表現だ。第3、4楽章もハッとするような表現、あるいはキリッとした造形、柔軟なフレージング、そういった特別な何かを感じさせるところはなく、不足なくしかし淡々と進む。マーラーなどでは、この冷徹さとでもいうべき性向が複雑なテクスチャの表現に合っていたのだろう。しかし、ブラームスとなるとそれだけではうまく事が進まないような気がする。インバルの方向性であれば、第3番や第4番の方がピタリと合うようにも思う。もう少し季節が進んだら、その時期に相応しい第3番や第4番でインバルのブラームスをもう一度聴いてみようと思う。


ドホナーニとNDR:北ドイツ放響。伝統を感じさせる重心の低い、よくブレンドされた音。いい演奏だ。



以前も貼ったチョン・ミュンフンとソウルフィルによる第2楽章。冒頭チェロの長いフレーズの歌いっぷりが素晴らしい。



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田邊ギター工房へ


きょうから少し遅い夏休みを取得中。あいにくというか幸いにというか、きのうあたりからシベリア生まれの寒気流入で気温低く、きょうも最高気温は23℃ほど。どんよりした雲とひんやりした空気に覆われている。今週いっぱいはこんな天気が続くようだ。まあ、あてもない夏休み。たまった身辺雑事の処理でうだうだ過ごしましょう。さて、そんな休み初日のきょう、拙宅から車で1時間ほどの田邊ギター工房へ行ってきた。実はしばらく前にお願いしていたマイギター田邊号(こちらこちらも)のメンテナンスが完了したというので受け取りに出向いたという次第。

田邊さんとは彼が足利に工房を開いた直後の2001年に知り合い、その後も年に何度かお会いしている。マイギターの2004年作ロマニリョスモデルの田邊ギターもちょうど10歳になったところだ。仕事の邪魔をしては悪いので、あえて昼飯時に合せて訪問し、近所の店で食事をしながら、お互いの近況報告やらギター談義やら、しばしの歓談を楽しんできた。


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折から11月の弦楽器フェアに出展予定の楽器が仕掛り中で、製作の方針を聞きながら拝見。最近注力しているトーレスモデルで、横裏には真性ハカランダ、表板はアルカンヘルから譲り受けたという松、弦長は645mmで予定しているとのことだった。特に表板は恐ろしく柔らかく弾力のある材で、7本のブレイシングを施した状態でも木目にそって力を入れると大きくたわむほど。さらにそれに大きめのドーミングを加えている。田邊さんいわく「ハカランダのかっちりしたボディと、この柔らかい表板の組み合せがどうなるか、楽しみにしていて下さい」とのこと。ひと月後には形が出来上がり、ふた月後には塗装も終わって完成しているだろう。11月の弦楽器フェア三年ぶりに出向いてみようかと思っている。

与太plays田邊ギター (^^;



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セゴビア SPコレクション


何やら秋雨前線が居座ったかのような天気図で、パッとしない天気が先週から続いている。気温はほどほどでしのぎやすいのはいいが、このまま夏が終わるとも思えない。ぼちぼち周回遅れの夏休みでも取ろうかと、仕事の兼ね合いを見ながら様子見。週明けのきょうは少し早く帰宅した。ひと息ついて音盤タイム。久々にセゴビアでも聴こうかと、こんな盤を取り出した。


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セゴビアSPコレクションと称する2枚組CD。80年代の終わりに出た例のセゴビアコレクション全16巻の番外編として1989年にリリースされたもの。ときすでに第2次大戦の真っ只中の1944年1月10日から29日までの3週間に渡って米デッカ(MCA)のために録音したすべての曲が収められている。少々長くなるが収録曲を以下に記しておく。

CD1
1. 第1番 ハ長調作品6の8 /ソル 
2. 第2番 ハ長調作品35の13 /ソル 
3. ソナタL.352 K.11 /スカルラッティ 
4. メヌエット /ラモー 
5. 第5番ロ短調作品35の22 /ソル 
6. 第4番二長調作品6の1 /ソル 
7. 新しいアイルランドの調べ /パーセル 
8. メヌエット /パーセル 
9. ジグ /モルガン  
10. ガリアード /ダウランド 
11. アンダンテ /ハイドン 
12. 第3番イ長調作品6の2 /ソル 
13. 第6番ニ長調作品35の17 /ソル 
14. 第9番イ短調作品31の20 /ソル 
15. 第10番イ長調作品31の19 /ソル 
16. 聖母の御子 /カタルーニャ民謡 
17. アメリアの遺言 /カタルーニャ民謡 
18. 第19番変ロ長調作品29の13 /ソル 
19. サラバンド /ポンセ 
20. ガヴォット /ポンセ 
21. メヌエット /ハイドン 
22. 第12番イ長調作品6の9 /ソル 
23. 第15番ニ短調作品35の16 /ソル 
24. 第8番ニ短調作品6の9 /ソル 
25. 第11番ホ長調作品6の3 /ソル 
26. 第20番ハ長調作品29の17 /ソル 
27. ダンサ・モーラ /タレガ 
28. メヌエット /タレガ 
29. ブルガーサ /トローバ 
30. アルバーダ /トローバ 
31. アラーダ /トローバ 

CD2
1. グラナダ /アルベニス 
2. スペイン舞曲第10番 /グラナドス 
3. パバーナ第6番 /ミラン 
4. パバーナ第4番 /ミラン 
5. パバーナ /サンス 
6. ロマンス /パガニーニ ポンセ編 
7. スペイン舞曲第5番 /グラナドス 
8. 朱色の塔 /アルベニス 
9. トナディーリャ /グラナドス 
10. セビーリャ /アルベニス 
11. エントラーダとジーグ /ド・ヴィゼ 
12. ジーガ・メランコリ /セゴビア
13. ブーレ /ド・ヴィゼ 
14. メヌエット 
15. カンツォーネ 
16. サルタレッロ 

こうしてみると後年の再録音やセゴビア編の楽譜でもお馴染みのオハコが並んでいる。CD1ではソルの練習曲(特にセゴビア編20の練習曲)が、そしてCD2ではスペインものが過半を占めている。個々の曲の演奏や解釈は後年、60年代以降の再録音のものに比べ、総じてテンポが速いものの基本は大きく変らない。その解釈については、現代的な視点でみると異論を免れないものではあるが、それよりもこの盤でもっとも注目すべきは、セゴビアの奏でるギターの音色そのものだ。使用楽器はハウザー1世。そしてまだナイロン弦はなく、ガット弦が張られていた時期にあたる。つまり、20世紀初頭のスパニッシュギターを範にしたハウザーギターとガット弦の音がよい条件で聴けるアルバムということになる。
SP盤用の録音ということではあるが、1940年代半ばの録音としてはすこぶる録音状態がいい。もちろんSP盤から<板起し>をしたわけでないので、SP盤再生に付いてまわる針音はない。ギターの目前にマイクを置いて録られた音のようで、しかもほとんど残響のないデッドな録音のため、セゴビアのタッチに反応するギターの音色が生々しく聴こえてくる。ハウザーギターとガット弦による音は甘く太く、同時にカリッとした立ち上がりの良さも兼ね備えている。ヴィブラートのかかり具合も現代のギターよりも強い。一方で、サステインは短めでコロコロした音色。6弦低音の音も特徴的で、低めのウルフトーンに支えられ、6弦ローポジションの音がドンッと響く。
録音当時50歳のセゴビアは、まだまだ壮年というべき時期で、時折聴かせる技巧の切れは素晴らしく、また特徴的なタッチとそこから生まれるセゴビアトーンは、後年の録音よりも一層個性的。現代の多くの名手と違って、音を聴いてすぐにそれを分かるセゴビアは、やはりワンアンドオンリーの存在だ。


この盤と同じ音源によるグラナドス<トナディーリャ=ゴヤの美女>


60年代半ばと思われる。



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序奏LOVE


八月も下旬になった。昔の記憶ではお盆を過ぎると朝晩は涼しくなったものだが、近年はその気配なく、暑い日が続く。昨夜の当地は、差ほど長い時間ではなかったが激しい雷雨に見舞われ、小さな川が流れる隣り町では避難勧告が出た。夕立も風情を楽しむ程度ならいいのだが、そう都合よくはいかない。
さて土曜の昼下がり。音盤棚を眺めながら、2枚のレコードを取り出した。


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ブルックナー交響曲第7番ホ長調のマタチッチ&チェコフィル盤、そしてメンデルスゾーン交響曲第3番イ短調<スコットランド>のペーター・マーク&ロンドン響盤。共に昔から親しみ、今でももっとも優れている演奏の一つだと感じている名盤だ。この二つの曲の共通点は、その序奏の素晴らしさにあると思うのだが、どうだろう。
ハイドンやモーツァルトなど古典派交響曲にももちろん素晴らしい序奏がある。ハイドンのそれはいずれも簡素ながら充実した和声感をもっているし、モーツァルトの、特に後期交響曲のいくつかは、より拡大された構成が素晴らしい。そして時代が下ってロマン派になると、交響曲そのものの構成が拡大するのに伴い、その序奏も一層充実してくる。そしてあまたある楽曲の中で、序奏の素晴らしさで思い出したのがこの2曲だ。

典型的な<ブルックナー開始>で始まる第7番。ザワザワという弦のトレモロにのってチェロが大らかで明るい旋律を歌う。息の長いフレーズを深い呼吸で歌うのは簡単なようで案外難しいだろう。メロディーの高揚に伴って、どうしても拍節が前のめりになってしまう。その点、マタチッチとチェコフィルによるこの演奏は完璧だ。旋律が高音楽器群に移ってからは、チェロとコントラバスが支える低域の対旋律がまたすばらしく、6分ほどの序奏は、ときに緊張も含みながら大河のように大きく豊かに流れていく。
メンデルスゾーン<スコットランド>の序奏もブルックナーと性格は異にするが、劣らず素晴らしい。イ短調のほの暗い冒頭は、霧につつまれ憂いをただよわせるスコットランドの自然を思わせる。このマーク&ロンドン響盤は、ステレオ初期の録音ながら英デッカの秀逸な技術により、各パートの動きが手に取るように分かる細部と、オケ全体の響きとエネルギーとが素晴らしく良くバランスしている。
ロマン派以降の管弦楽曲には、主役であるはずの主部を食ってしまうほどスケール豊かで充実した序奏を持つ曲も少なくない。きょう取り出したこの2曲などは、その筆頭だろう。


マタチッチ&チェコフィル盤の全曲。



ペーター・マーク指揮ロンドン交響楽団によるメンデルスゾーン<スコットランド>第1楽章。序奏は3分40秒まで。1分40秒辺りからの低弦群の充実ぶり。2分15秒でのトランペットの強奏。2分20秒過ぎからの低音の上昇音階も鳥肌ものだ。



ブルックナー第7番ホ長調。フルトヴェングラーの死後、ベルリンフィルのシェフ最有力候補だったチェリビダッケが、38年ぶりにベルリンフィルを振った演奏。9分40秒まで続く序奏の終盤、8分30秒から旋律を歌う高音群を支えるコントラバスとチェロ。単純な音形だがゾクゾクきてしまう。そして個性的かつ説得力のある高音群のフレージング。



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スピーカー試聴 タンノイとハーベス


以前から気になっていた…シリーズ。SOULNOTEのRM10、ハウザー1世ウィーンモデルとフリッツ・オベールに続き、三回目の今夜は、以前から気になっていた総務部の○○嬢…という話はまったく無くて、再びスピーカーの試聴であります。 

さて、あらためて、以前から気になっていたスピーカー…。2S-305とおさらばして以来、大型スピーカーとは決別したわけだが、心残りがないのかと言われると、wwwっと言葉に詰まってしまう。現有のHarbeth:HL-P3ESRも、神田リビングミュージック社のS-2Cも、小型なりのメリットを発揮していい音を奏でてくれてはいる。がしかし、オーケストラ音楽の根幹を成す、コントラバスの基音が十分に聴こえずして、音楽の和声感の成り立ちを楽しむことは出来ない。どうしても40Hzまでしっかりレスポンスして欲しいと思うのだ。そして、大型とはおさらばしたが、<中型>ならいいのではないかと、変な自己弁護も働く。そんなこんなで、試聴だけでもと思って選んだのが以下の2機種だ。過日、秋葉原の某販売店で試聴する機会があったので記しておこう。


■タンノイ:スターリング■

クラシックファンにとってはお馴染みのブランドであるタンノイ。家具調のエンクロージャがもてはやされるのは、今や極東の島国だけと言われながらも、相変わらずの存在感を示している。スターリングはその中ではエントリークラスの位置付けだが、数年おきにモデルチェンジしながらもIIILZ以来のポジションを守っている。以前のずんぐりした縦横比からスマートなトールボーイ型になり現行機種で三代目。中身を大きく変っていない。新しい傾向を追わない古典的なスピーカーとしては、もう変えるところもないのだろう。試聴には先日の記事書いたSOULNOTE:RM10の試聴に使ったのと同じCDで臨んだ。

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予想以上にメリハリのある音で驚いた。よく言えば柔らかい、悪く言えば眠い音を予想していたが、見事に裏切られた。タンノイのプレステージシリーズと言えば、豊かな低音をまずイメージするが、今回試聴して最初に耳が向いたのは、小型ながらホーン形式を採る中高音のレスポンスの良さと、同軸ユニットらしいシャープな定位だった。中域以下が柔らかい音色なので、総体としては決してエッジが立った音ではないのだが、少なくても眠いようなぼんやりした音ではない。ホリー・コール、熱帯ジャズ楽団、ヤニグロのチェロ、いずれも十分にリアルで過不足ない表現。もちろん、マーラーはホールトーンの広がりを感じさせる素晴らしいものだった。う~ん、スターリング侮り難し…。デザインもスリムで、我が道楽部屋にも違和感なく収まりそう。マジでヤバい…


■ハーベス:HL-Compact7es3■

ハーベスのスピーカーはいずれもそのヴィジュアルが秀逸だ。なんの変哲もない木製エンクロージャだが、いかなる調度にも違和感なく溶け込みそうな佇まい、見事な黄金比のプロポーションなど、英国中庸の美そのものだ。そんなことを思いつつ、現有のHL-P3ESRの音色をそのままに、低域方向のスケール感が拡大したら…という下心たっぷりに試聴に臨んだ。

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一聴して、その下心が吹き飛んだ。タンノイのスターリングを聴いたあとだが、同じ英国ブランドながら、まったく印象が異なった。正直いって眠い音。エネルギーバランスとしては中低域寄りで、それに見合った中高音が載ってこない感じだ。この音をもって、刺激的でない柔らかく聴き疲れしない音という評価になるのだろう。しかし楽器の生音を知っている人なら分かるように、楽器の素の音は毛羽立ち刺激的なものだ。それが実際に弾かれる環境のルームアコースティックによって豊かで潤いのある音に変る。
手持ちのHL-P3ESRは決してこんなバランスではないし、眠い音でもない。どうやらエンクロージャのサイズアップとバスレフ化に伴って中低域が拡大した一方で、それに見合った中高音の質と量が確保されていないことが要因のように思う。そもそもロジャースのLS3/5のオリジンを持つHL-P3ESRは、人の声のモニターとして開発された経緯があり、帯域は広くない。HL-Compact7es3はHL-P3ESRの単純なスケールアップ品ではなく、まったくコンセプトが違うのだ、というのが、今回の試聴での結論となった。


さて、共にいいスピーカーだがどうする。
小型スピーカーに徹するわけじゃなかったのか。いや、まあ、その~。しかし、スターリングの大きさなら、投影面積は小型と差ほど変らないし、方寸8畳間でも圧迫感はない。音のバランスもいい…。スターリング…
と、まあ、そんなことをつぶやきつつ、夏の夜は更けるのでありました。


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ギター試奏 ハウザー1世ヴィエナモデルとフリッツ・オベール


最近、以前から気になっていたギター2本を試奏する機会があった。備忘のために記しておこう。

■ハウザー1世ヴェエナモデル1932年作■

ロンドンを中心に活躍中の古楽器奏者:竹内太郎さんとは、数年前にオリジナル19世紀ギターを紹介していただいたのが縁で知り合い、以降時々お会いしている。今回、以前からリクエストしていたヴィエナ(ウィーン)モデルの楽器、それもハウザー1世作のものが試奏可能ということで、帰国のタイミングに合わせて横浜のスタジオまでお邪魔した。
ヘルマン・ハウザーは今日まで100年続くドイツ・ギターマイスターの名門。初代1世作の楽器が1930年代後半にセゴヴィアの目に留まり評価を高めた。ハウザー1世は様々な形式のギター族を作っていたが、このウィーンモデルもその中の典型。セゴヴィアが使い始めたのはスパニッシュスタイルのハウザーギターだったが、おそらくハウザーを最初にみそめたのは、それ以前のウィーンモデルであったろうと竹内さん。シュタウファーのレニャーニモデルを範に取る弦高調節機能と持ち、ボン・キュッ・ボン(^^;のボディシェイプはガダニーニの作を思わせる。材料の見かけにはあまりこだわらなかったとうハウザー1世だが、裏板には美しいトラ目のメイプルが使われている。糸巻は独ライシェル社製。同社がこの頃すでに、現在をほとんど同じデザインでアルミ軸のペグを作っていたことに、竹内さん共々驚いた。

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軽いボディーを抱えて爪弾いてみる。張ってあったアクイーラ社製ナイルガット弦の特性もあって、カリッとした反応よい高音が立ち上がる。サステインも思いのほか長く、少々乱暴な言い方をすれば、19世紀ギターの反応の良さとモダンギターのサステインの長さを併せ持つ感じだ。低音のウルフは軽量ボディーの割に高めでA付近。6弦ローポジションのボリューム感は程々。総体として、軽く反応のよい、それでいて19世紀ギターとはあきらかにテイストが異なる楽器という印象だ。弦高調節機構のおかげで、やや上げて明るく張りのある弾き心地に、あるいは下げて柔らかく調和的な味わいにと変身可能なのが面白い。竹内さんいわく、これまでこの種のウィーンモデルをたくさん見てきたが、やはりハウザ一作は音はもちろん、工作精度、ヴィジュアルデザインの完成度、楽器としての存在感など、一線を画すとのこと。私もまったく同感だった。


■フリッツ・オベール2013年作■

竹内スタジオの帰り道、都内某ギター専門店でドイツの製作家:フリッツ・オベール2013年作のギターを試奏した。フリッツ・オベールのギターは10年ほど前、ギターを再開した頃に一度大阪出張の際立ち寄った楽器店で出会い、そのときの好印象が残っていながら、これまで中々出会いがなかった。トーレスやハウザーのやや古いタイプの楽器に範とした作風で、軽いボディー、低いウルフに反応のいい高音というのがそのときの印象で、今回もそれを期待し、入荷の報があってすぐ試奏の予約を入れた。

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入荷品はハウザー・トーレスモデルと称するオベールのオリジナル仕様。中古扱いながらほとんど傷もない新品といってよい状態で、糸巻にはロジャース社製のハイグレード品、表板裏板ともに極上の材料が使われている。気持ちが悪いほど滑らかなロジャースのペグを回して調弦をしたのち、ゆっくりとスケールを弾きながら音を確認していった。ボディーはおそらく1500グラムを切るか切らないかというレベル。かなりしっかりした作りだ。ネックヘッドはもちろんⅤジョイント。低音ウルフはG#付近で決して低くはないが、6弦ローポジションはG#からEまで十分にボリューム感がある。高音はかなり太めの音で、カリッと鋭く立ち上がる感じではない。これはまだ完成から年月が経っていない若い楽器の特性だ。実は弾く前までは、軽量ボディー・低いウルフ・反応のよい高音という、近頃ずっと追い求めている音を予想していたので、少々落差があった。落差といっても予想との落差であって、この楽器自体が悪いわけではない。具体的にはハウザー1世よりも現役の3世作に近いイメージ。ぼくのハウザー3世作の低音を一段柔らかく豊かにしたような音で、これはこれで魅力的だ。

共にいい楽器だったが、さてどうする。
オベールは予想より少々ガッチリしていたし、ハウザー1世はウィーンモデルの位置付けが、ぼく自身の中ではっきりしていない。適価でのオファーがあるのだが…。 現有楽器との兼ね合いで考えると、やはりモダン(スパニッシュ)スタイルのうち20世紀前半までの楽器、あるいはそのレプリカが当面の要求ということになりそうだ。まあ、要求というより、なかば夢ですけどね。


ハウザー1世ウィーンモデルを弾くスタロビン。 曲、解釈、楽器のよくマッチした演奏。



同じハウザー1世1916年作。ガダニーニ型のもの。



フリッツ・オベール2010年作松・メイプル。米国ギター販売店:GSIの楽器紹介。



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SOULNOTE社訪問 RM10試聴

以前から気になっていたスピーカー:SOULNOTE社RM10を試聴してきた。
試聴のため向かったのは神奈川県内、小田急線柿生駅近くにある同社の本社兼試聴室。一般のオーディオ製品であれば秋葉原あたりの店で試聴できる。SOULNOTE社の製品も一部はそうした店での試聴が可能だが、お目当てのスピーカーRM10に限ってはそれが出来ない。そもそも生産数が限られているし、広くたくさん売ろうというモデルではないのでやむをえない。


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新宿から急行と準急を乗り継いで柿生駅に到着。そこから歩いて10分ほどの一般住宅地。同社本社もその中の一軒。約束した時刻に伺うと同社の社長兼開発者の鈴木氏が迎えてくれた。ひと息ついたとことで、さっそく試聴室に案内していただき、RM10の音出しとなった。


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試聴室といっても一般住宅の6畳間。「この環境なら、多くの人にとって現実的でしょう」と鈴木氏。その通りで、絨毯敷きの立派な試聴室でも、騒音混じりの量販店店頭でもなく、一般生活空間の近い条件の試聴なら、自宅にセットした際の再現性も確認できる。仕事場兼用の試聴室。長々とオーディを談義をする場ではないので長居は禁物。日頃慣れ親しんでよく音の特徴を分かっているディスクを持参し、てきぱきと再生していった。

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サイズでいえば小型ブックシェルフ型の範疇に収まるRM10。まずその音の生々しさに驚く。以前使っていた2S-305の共通するリアルな音。鈴木氏はマランツでの開発担当時代にNHKとの関係で305は十二分に承知していて、「305は原器」とのこと。今回のRM10も305同様、シンプルなネットワークで低音・高音の位相合せに注力し、鮮度の高い音を目指したという。25ミリ厚のアルミ削り出しのバッフル板、吸音材の排除、明確なメカニカルアースの確保、そうした一つ一つこだわりのスペックが奏功し、圧倒的にリアルな音像表現を達成している。低域25Hzの仕様値も伊達ではなく、低域の再現性を確認しようと思って持参した、ホリー・コールや熱帯ジャズの盤でも期待通りのレスポンスが聴けた。ヤニグロの盤では、50年前の録音ながら作為のない音で録られたヤニグロ全盛期の演奏が目前に展開する。クーベリックとバイエルンによるマーラー5番のライヴ盤では、広々としたホールに響く奥行きと広がりの空間表現も再現も申し分ない。

オーディオ的な良し悪しという話ではなく、音楽がその場でリアルに展開するかどうかの視点が重要との鈴木氏のコンセプトは、楽器作りとまったく同じ要素を持っていて、RM10はご自身プロ級のギター弾きである鈴木氏の面目躍如の作品といえるだろう。


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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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