9月も下旬。好天続きで日中は30℃近くまで気温上昇。朝晩の寒暖差は15℃近くあり、日々大したこともしていないのに、夏の間に溜め込んだ疲れが出てくるのか、何となく体がダルい。秋口の今頃、過去何度か季節はずれの風邪を背負い込んだことがある。用心しておこう。
さて、少し前に久々に買い込んだCD、セルとクリーヴランド管のセット。シューマンと合せて、ベートーヴェン交響曲集もぼちぼち聴いている。

ベートーヴェンの交響曲全集は一体何組めかという感じだが、セルの盤はもっと早く手に入れたいと思っていながら、中々出会うことがなく、今頃になってしまった。ベートーヴェンの交響曲全集を手に入れたとき、最初に聴く曲は第2番ニ長調と決まっていて、今回もまず2番をプレイヤーのトレイに載せた。1964年10月録音。ちょうど半世紀前ということになる。
第1楽章冒頭の序奏から、セル&クリーヴランド管の名前からイメージする音がそのまま飛び出してくる。きっちり整ったアンサンブル、引き締まった弦楽群の響き、各パートの明確な分離、もたれないフレージング…そんなところだろうか。同コンビの録音は70年代の廉価盤LP時代から、音の状態に不満が多く、その演奏の真価を伝え切れていないとの評が多かった。今回、2012年秋からリリースされた一連のSONYCLASSICAL盤や、この輸入盤のセットなどでは、その辺りは随分改善されているように感じる。それでも弦楽群の響きなどはもう少ししなやかであってほしいと思いのだが、おそらくこれがオリジナルに近い音だろう。やや硬質で乾いた響きも、このコンビの解釈と演奏にマッチした音とも言える。
第1楽章。序奏も、そして主部に入ってからも、要所要所のアクセントが切れ味鋭く短めのアインザッツで、ザッと打ち込まれる。決してズワ~ンとはならない。主部は速めのテンポでよく流れ、クレシェンドのフレーズでは、その山のピークの手前ギリギリまで待って、ここぞというタイミングで一気にクレッシェンドをかける。こうしたことで演奏の切れ味の良さがより強調される。
変奏名人のベートーヴェンだが、この曲の第2楽章は取り分け美しい。このコンビによる演奏は各パートの分離が明確なので、変奏形式のこの楽章は一層効果的に響く。ヴァイオリン群の音程が正確で、フル編成にも関わらず音が引き締まり、旋律線はひとすじの絹糸のように美しくつながる。かつ、アクセントを置いたリズミックなフレーズと横に流れる旋律的フレーズの対比が明瞭で、ベートーヴェンが書いたスコアの意味が実によく分かる。第3、第4の動的な楽章でもクリーヴランド管のアンサンブルの良さと筋肉質の響きが素晴らしい効果を上げているが、その合間に聴こえてくるひなびた木管群のソロも、妙に華美に吹かないところが好ましい。そして終楽章のコーダは熱を帯びたライヴのように一気呵成にアチェルランドして最後の和音を閉じる。 カラヤンが唯一マエストロと呼んで敬意を示す指揮者だったというセル。その面目躍如たる名演奏だ。
第5番冒頭の練習風景。
このコンビによる第2番全曲。
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先日、チェロとのデュオについて書いたが、過日、相方と合せる機会を持った。
いつもの通り、練習時間は途中珈琲ブレイクをはさんで3時間半ほど。あっという間に時間が過ぎる。今回も3曲ほど練習したが、その中から記事にも書いた新たなレパートリー候補曲のメンデルスゾーン<無言歌作品109>の音源をアップしておく。

当日、さて始めましょうかと、初回合わせを録音した音源からの抜粋。抜粋と言えば聞こえがいいが、ちょっとミスったなあというところは削除した、ご都合主義の抜粋版(^^; 初めての合せなので、やや遅いテンポ設定。それでも、いきなり初めて合わせたにしては、ソコソコいい感じで弾けた…かな。
チェロ相方の歌いっぷりは、さすがに正統派の長いキャリアの持ち主。本人は音程ほか気になるところで耳が痛いというが、どうして、初回合せにしては文句なしの歌いっぷりだ。 ギターの方は、ニ短調のアジタート部分が石月一匡編のギター譜だと切迫感が出ないので、原曲のピアノ譜を参考に6連符のアルペジオにあらためた。音量としてピアノのような迫力が出ないのでは仕方ないところだ。
10月にはフルートも交えて、モーツァルトのヴァイオリンソナタをアレンジした、ポッロのトリオ(こちらの記事参照)を合せる予定で、楽しみだ。
メンデルスゾーン <チェロとピアノのための無言歌作品109 ギター伴奏版 ~ダイジェスト~>
ついでながら…以前アップした<夜の歌~digest~><ブルーボッサ~digest~>などは以下の記事へ。
<ブルーボッサ>については、去る8月に某所にて演奏したフルヴァージョンを近々アップ予定。
◆チェロと合わせる 2014年5月編◆
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過分にもクラシックランキングのバナークリップを沢山いただき(お前がうるさく言うから仕方ないだろう…スンマセン)、恐縮しております。せめてもの返礼として、せっせと更新いたしましょう。

そういえば、夏の音楽祭のことを考えるまもなく夏が終わってしまった。ドイツのバイロイト、イタリアのヴェローナ、ロンドンのプロムス、そして日本は、おらが群馬の草津国際音楽アカデミー…。今年も縁がなかったかと思いつつ、NAXOSから出ているプロムス音楽集とでもいうべき1枚と取り出した。プロムスの最終日によく演奏される<お約束>の曲がひと通り入っている。ウォルトンの<Crown Imperial>に始まり、エルガー<威風堂々>まで、英国調の祝祭的気分とノスタルジーを感じさせる曲が収録されている。英国市民の家庭なら一家に一枚という感じの盤だろうか。
プロムスは7月から9月までおよそ二ヶ月に渡って開かれる。様々なアーティストが出演し、軽めのコンサートもあるし、本格的なクラシックももちろん沢山ある。YouTubeで検索すると、すでに多くの演奏がアップされているが、プロムスを主宰する本家BBCのホームページが中々充実している。
プロムスの特設HPが開設されているのはもちろんだが、多くの演奏音源がすでにアップされていて、存分に楽しめる。通信負荷や著作権のこともあってだろう、多くは音源のみだが、ものが音楽なのだから、絵は二の次で問題ない。こちらのページをみていただきたい。このページのListen&Watchと題されたメニューが演奏音源の入り口になっていて、それぞれのアイテムに跳べる。例えば、Proms 2014 Collectionという称するページに行くと、4ページ渡って演奏音源が並んでいる。ベートーヴェンの第九、ブラームスの1番・4番、マーラーの3番、マタイ受難曲、ホルストの惑星、ドヴォコン…。実際の演奏から一定期間公開されている様子。すでに9月11日にプロムスは終わっているので、いずれHPでは聴けなくなるかもしれない。もっともプロムスのこだわることもなく、BBCの音楽専門の3チャンネルも中々興味深い。BBCを聴くといっても、かつてのように短波ラジオから流れるフェージング混じりの音ではないから、うるさいことを言わなければ、音楽も必要十分の音質で楽しめる。幾多のインターネットラジオがあるだろうが、BBCの音楽番組はその質と内容において一頭抜きん出る。
2週間前に終わったプロムス2014の最終日から2題。
メリー・ポピンズのメドレー
BBCのリンクはこちら(期間限定)
http://www.bbc.co.uk/programmes/p026mr41
英国人の魂燃えるエルガー
BBCのリンクはこちら(期間限定)
http://www.bbc.co.uk/programmes/p026mr07
この4月の来日で聴いたジンマン&チューリッヒトーンハレによる<田園>
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あすは9月20日。じきに10月だ。2010年10月にこのブログを始めてからまもなく丸四年ということになる。きょうやめよう、あすやめようと思いながらも細々と続け、与太話も900話を超えた。取り上げた音盤も700枚近くなったろうか。日々のアクセス数は120~150IPと、地味にコンスタント。モチベーションアップのために、ブログランキングなるものも登録しているが、こちらも低調。毎日アクセスしていただいている人の内、1割でもバナークリックしてくれると堂々1位になるのだが…。 というわけで、一日一打!記事の下にある<クラシック音楽鑑賞>というランキング登録用のバナーをクリックしていただけるとありがたい。クリックするとランキングのサイトに飛ぶだけで人畜無害。同好の士が綴る他のブログもリストされているので、ご覧になるのも一興かと。
さて、先週のNHKTV<ためしてガッテン>で、こんなネタを取り上げていた。
インスタントコーヒー(最近は和製英語あらためソリュブルコーヒーとか)を美味しく淹れる方法があるという。何でも、熱いお湯をいきなり注ぐと、インスタントコーヒーに含まれているデンプンが凝固してダマになってしまい、食感が粉っぽく、かつ香りがたたないというのだ。そこで、カップにお湯をいきなり注がず、まずスプーン1杯の水で粉を溶き(練り)、それからお湯を注ぐ…。たったこれだけだ。こんな感じ(写真)でトライ。おっかなびっくり飲んでみると…

う~ん、確かに違う。水練りヴァージョンの方が舌触りが滑らかだ。鼻を近付けると香りもよりたっているようだ。舌先にしばし含んでみると、味もまろやかに感じる。もちろん様々条件で結果はいろいろだろうが、違いは確実に分かる。オーディオアンプのブラインドテストより、ずっと再現性高い。そういえばと思い出しのだが、30年近く前、会社の先輩に「与太君、珈琲は飲む? オレは毎朝インスタントコーヒーを飲むのだが、カップに粉を入れて、お湯ではなく水を注ぎ、その状態で電子レンジに入れて温めて飲んでいる。普通にお湯を入れるのよりずっと美味い。やってみな」と言われたことがある。そんなバカなとずっと取り合っていなかったが、今回の話で、なるほどそうだったのかとガッテンしてしまった。
…というわけで、水練り・そののちお湯注ぎのコーヒーで一服しつつブログアクセス&<クラシック音楽鑑賞>バナー一日一打のほど、ヨロシクです(^^;
一応音楽ブログなので、最後は音楽ネタで閉めよう。
NHKの<ためしてガッテン>は60年代の<四つの目>という科学番組がルーツ。その後、<レンズはさぐる><ウルトラアイ><ためしてガッテン>とつながる。ぼくら世代にはいずれも懐かしい番組だ。60年代は子供向け科学番組全盛期といってよく、今にして思えば、産業立国日本を志向して、理工系進学を後押しする力にもなっていたのだろう。中でもNHK教育TVの<みんなの科学>はよく見た。1980年まで続き、そのテーマ音楽がとても印象的で今でも時折り口ずさむ。
<四つの目>や<みんなの科学>にもたびたび出演していた草下英明さんも懐かしい。

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このところ中森明菜が話題になっている。
8月にリリースされたアルバムがオリコンチャート上位にランクされ、今後の復活への布石かなどと取りざたされている。そう簡単にはいかないだろうが、隠れ明菜ファンとしては、ひとまず喜びたい。 そんなこともあって今夜は元祖歌姫:中森明菜の盤を取り出した。


あまり大きな声でいうのは気恥ずかしいのだが、彼女のアルバムは手元にほぼ揃っている(^^;。 もっとも80年代アイドル時代の彼女の全盛期から熱を入れていたわけでなく、諸事情あって彼女の人気がすでに確定右肩下がりになりつつあった90年代半ば頃から聴くようになり、リサイクルショップのジャンク箱からせっせとLPやシングル盤を救済してきたという次第。
今夜プレイヤーにセットしたのは、1995年に出た<TRUE ALBUM AKINA 95 BEST>という3枚組のアルバム(現在廃盤)。彼女の主要なヒット曲を<Wild><World><Whisper>に分けて20曲ほどが収録されている。
このアルバムは単なるベスト盤ではなく、リニューアル・アレンジの新録音であることがポイントだ。1995年当時の彼女が10年前のアイドル時代を振り返りつつ、「今ならこう歌う」という自信を示した盤でもある。しかもアレンジがアイドル時代のそれとは異なり、ジャズ・フュージョン界の腕利きがアレンジを施し、演奏にも参加している。実際このアルバム買った理由の半分は、その<歌伴>と聴きたかったからだ。
1995年というとすでに20年前ということなるから、若い世代には大昔だろうが、オッサン世代にはついこのあいだの、ちょい若かった頃。中森明菜の声もまだまだハリとノビがあり、あの独自のハイトーンのヴィブラートも健在だ。同時に<難破船>や<予感>での抒情的表現は10代のそれから、当然ながら深みを増していて、<予感>の最後で「…もう疲れたわ…♪」とクローズするところなどは、思わずグッときてしまう。今回のヒットを見ると<明菜シンパ>はいまだに健在の様子。ぜひヴォイストレーニングを積んで、その圧倒的な歌唱力を再び聴かせてほしいものだ。さあ、みんなで叫ぼう「…明菜ちゃん、頑張って~!」
ヒットメドレー。 ちなみに<Desire>はぼくのカラオケ十八番ッス!
昨今のカバーアルバムブームの先駆は中森明菜のアルバム<歌姫>だろう。
千住明の秀逸な弦楽アレンジが素晴らしい<思秋期>
◇ 本ブログの明菜関連記事(^^; ◇
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このところ当地関東では曇りがちで気温も低い日が続いていたが、きょうは久々に太陽が顔を出した。しかし真夏の照り付けはなし。このまま秋になることはないだろうが、過ごしやすいことだけはありがたい。
さて九月。週明けのきのうは先週の遅い夏休みのダラダラ気分が尾を引いていたが、きょうは朝から身を入れて業務に精励。夕方にはヘトヘトになって8時過ぎに帰宅した。ふ~ッ… 夕飯を済ませ、ひと息ついて音盤タイム。先週の続きというわけでもないが、こんな盤を取り出した。

フルトヴェングラーが1948年に渡英しロンドンフィルとの演奏会を持った際に録音されたもの。手持ちの盤は70年代半ばに出ていた、ぼくら世代には懐かしい<ロンドン不滅の名盤シリーズ>の一枚。ジャケットをひっくり返すと、学生時代の1976年に一年先輩のK氏から譲ってもらった旨のメモが書いてあった。
この盤、好事家の間での評判は決してよくない。まず英デッカのスタジオセッション(ロンドン・キングスウェイホール)でありながら音質が冴えない。モノラル時代とはいえ、英デッカならもっと輝かしい音質で録れたはずだ。もっともオリジナルのSP盤の音色はこのようなものではなく、LP化に際して音質がスポイルされたという見解もあるようだ。(ここにある平林直哉氏の談)
今こうして針を落として久々に聴いているが、中高音はすっかりロールオフし、かつ音が遠い。オケの音としてはかなりぼんやりとしているし、ありこちで音の揺らぎや不安定なピッチも気になる。低音もチェロ・バスの豊かな響きは聴こえてこない。解釈にはフルトヴェングラーらしいところも見られるが、後年全集盤としても収められたウィーンフィルやベルリンフィルとの盤に比べ、万事手ぬるい感は否めない。それでも第2楽章のロマンティックな表現や、不揃いのアンサンブルもものかわ突き進む終楽章後半などは、フルトヴェングラーらしさを感じる。
しかし、フルトヴェングラーのブラ2としてはやはり1952年録音のベルリンフィル盤がベストだろう。手持ちの全集盤にも収録されている。近々また聴いてみることにしよう。
この録音のLP盤音源。
◆1952年ベルリンフィル盤の終楽章◆
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