フルート、チェロ、ギターで遊ぶ P.J..Porro <Grand Trio extrait de Mozart>
18世紀後半から19世紀初頭のフランスで、ギタリスト、作編曲家、出版事業者として活躍したピエール・ジャン・ポッロ(1750–1831)。先日、彼がモーツァルトの名曲、ホ短調のヴァイオリンソナタK.304をヴァイオリン・チェロ・ギターのトリオに編曲した<Grand Trio extrait de Mozart>を合わせる機会があった。この曲は旧友Y氏から紹介され、以前記事の中でも触れたもの。その記事を見た知り合いのフルート吹きから、ちょっと遊ばない?と誘いがあり、いつものチェロ相方も入れて三人で合わせることになった。 曲目にある「モーツァルトによる」という付記から、原曲の主題を使った変奏曲かと想像していたのだが、何のことはない、まんまモーツァルトの原曲。ヴァイオリンの主旋律とピアノ伴奏をうまく三つの楽器に割り振ってトリオ編成の室内楽に仕立てたものだ。

ヴァイオリンとフルートは高音系のメロディー楽器ということで、しばしば互いに代役を演じることがある。今回はそのままフルートで吹くには、調性上、頻繁に出てくるHの音が出せないことから、知人は手持ちのH管フルートを整備に出して臨むことになった。チェロは問題なし。ギターパートは、ギターまたは当時流行していたリラとの指定がある。雰囲気を楽しむため、19世紀ギターを持参しようとも思ったのが、ちょっとした事情があって、通常のモダン楽器を使うことにした。
調弦が完了したところで、楽譜の確認かねて通してみると、特に問題なく最後までいく。私以外のお二人は、正統的なクラシックのレッスンを受け、かつ長いキャリアのあるハイアマチュア。こうした古典派の合わせ物はこれまでも山ほど経験しているに違いない。ギターのぼくは、二人の手馴れた合奏に便乗しているようなもの。それでも、モーツァルトの名曲の一つに数えられる原曲の雰囲気に緊張感も感じつつ、大いに楽しみながらギターパートを弾いた。楽譜を見てもらうと分かる通り、ギターパートの技術的難易度はそれほど高くなく、中上級レベルのアマチュアなら初見でも通せるレベル。ただ、ポッロの意図だと思うが、リラを意識した音形がところどころにあって、ギターで弾く場合は少し注意が必要だ。もちろん技術的な問題とは別に、曲全体の把握と細部の解釈、各楽器のバランスなど、いくらでも課題はある。今回は2時間ほどの合わせ練習だったが、合奏を楽しむことと同時に、そうした課題の確認も出来た。もう一度合わせる機会があれば、かなりうまく行くのではないかと安易にポジティブシンキングしている。
…というわけで、当日の演奏音源を貼っておく。
1時間ほど合わせの確認をしたあと、珈琲ブレイクをはさんで録音してみた。ところどころ動画やスナップショットもあり。YouTubeには海外のいくつかのグループの演奏がアップされているが、日本人のものはなし。本邦初演…ってことはないかな。ギターは実際も録音も少々音量不足(大きめのヘッドフォンなど、低音域も出る状態で聴くと、いくらかマシなバランスで聴ける)。ギターには不利な部屋のアコースティック(録音では盛大にリヴァーブがかかっているが、実際は完全デッド)もあるが、弾き方の問題も大きい。単純な音量だけでなく、タッチや音色、アーティキュレーションの工夫も必須。他の楽器とのアンサンブルにおける大きな課題を確認した次第。
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