ベートーヴェン:弦楽五重奏曲 ハ短調 作品104
週末土曜日。朝のうち陽射しも十分あって、予報に反して好天かと思ったが、その後雲が出始めて冷たい風が吹きぬける一日となった。日中から野暮用外出で慌しく終わる。夜半を過ぎてようやく一服。このところの続きで室内楽をと思い、音盤棚の室内楽エリアを探索。こんな盤を見つけた。


ベートーヴェンの弦楽五重奏曲を二つ収めたアルバム。スークカルテットにヴィオラが加わっている。1976年録音のチェコ:スプラフォンレーベルの一枚。手持ちの盤は1983年にミッドプライスで出たときの盤。今夜はその中からハ短調作品104に針を降ろした。
好事家の方はご承知の通り、この曲はオリジナルの五重奏曲ではない。原曲はピアノ三重奏曲 変ホ長調 Op.1-3。手持ちのこのLPの解説ではベートーヴェン自身の編曲と書かれているが、現在では他者の編曲によるものとされ、ベートーヴェンが僅かながら関わっている、というのが定説のようだ。
曲は4楽章からなる。第1楽章はベートーヴェンの名刺代わりとでもいうべきハ短調で書かれているが、原曲が初期の作品であることもあって、中期以降のような深刻な雰囲気はなく、冒頭はそこそこ悲劇的な開始ではあるが、展開の深さは程々。総じて短調調性のシンプルなフレーズが歌われる。第2楽章は民謡調の主題によるベートーヴェン得意の変奏曲。第3楽章は型通りメヌエットが置かれているが、軽やかな雰囲気はなく中々重厚な響きになっている。終楽章もソナタ形式で中身濃く書かれていて、充実した楽章だ。
楽譜を仔細に見比べたわけではないが、原曲のピアノパートをともかく弦楽に移植したものなのだろう。娯楽要素の高いサロンコンサート用の需要が多かった当時の音楽界にあっては、ピアノがなくても弦だけで演奏できるように、あるいは弦の得意な貴族向けに、といった要請から、本人作、他者作を問わず、こうしたアレンジが成り立っていたものと思う。先日の記事に書いた、P.J.ポッロのモーツァルトアレンジなどもそうしたものの一つ。原曲の持つ雰囲気を尊重しながらも、仲間内のアンサンブルで楽しむといった雰囲気が感じられる。
この曲の第1楽章。
原曲のピアノトリオ作品1-3の第1楽章。 ピアノが入ると、音楽が俄然色彩を帯びる。
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