<世界初のデジタル録音盤> スメタナSQのモーツァルトK.421


きょう12月14日で思い出すのは赤穂浪士の討ち入り。この時期になると年末三点セットと称した記事をアップしたくなるのだが、毎年繰り返すのもナニかなと去年はお休み。そして今年もお休みだ。以前からこのブログに付き合っていただいている輩には、またかぁの与太話だが、何それ?という向きは一昨年のこの記事を
ところできょうの昼下がり、音盤棚を探っていて貴重な盤を見つけた。スメタナカルテットによるモーツァルトのLPだ。弦楽四重奏曲第17番変ロ長調<狩>K.458と第15番ニ短調K.421が収録されている。


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きちんと整理していないのではっきりしないのだが、手元にはおよそ2000~2500枚程のアナログレコードがある。以前も記した通り、ぼくはコレクターでも何でもなく、若い頃はマイナーな廉価盤をショボショボと買い、30代、40代と音楽とは疎遠な状態で過ごしてその後復活、十年ほど前にネットで行き着いたデッドストック所有者からの箱買いや、出張の折の中古レコード店行脚で集めるともなく集まった。この10年余で急増したこともあって、中にはまったく針を通していない盤も多々ある。このスメタナSQのモーツァルトもそんな1枚で、きょう初めてジャケットを広げた。この盤は1972年に作られた世界初のデジタル録音盤として有名な盤だ。事の詳細はこちらのサイトを見ていただきたい。かいつまんで言えば…60年代から日本コロンビア(DENON)はNHKと共同でデジタル方式の録音・再生の開発を進めていた。それが初めて結実して商品として世に出たのが、このスメタナSQのレコードというわけだ。レコードのデジタル録音が一般化する数年前、そしてCDが登場する10年前。まだ<PCM録音>という呼称も使われていた時期だ。 


R0013658 (480x480)


手持ちの盤は以前、@100~300円で箱買いした盤の中に入っていたもので、まったくの未聴品。今夜初めてジャケットが開けられ、拙宅のレコードプレイヤーの上で40年余の眠りから突然起こされたことになる。見開きジャケットに記されたスメタナSQの紹介と曲の解説に加え、PCM録音に関する解説が記された付録が付いている。1972年というと大阪万博から2年後、第一次オイルショックの前年。そしてこの盤がその後大きな変貌を遂げるオーディオ世界の最初一頁を記したことになる。

第2面のモーツァルト弦楽四重奏曲第15番二短調K.421をCEC:ST930のターンテーブルに載せる。回転が安定した頃合を見計らって、オルトフォンSPUの針を静かに降ろす。ごく僅かなトレースノイズに続いて第1楽章の憂いに満ちた主題が静かに流れ出す。一聴して、そのクリアかつ深みのある音色の驚いた。デジタル録音初期のものの中には、音のエッジが立ち過ぎた録音も散見されるが、この盤にはそれがない。レコードとCDを比較して、アナログレコードの良さを訴える記事はよく見かけるが、ぼく自身はレコードの音の方がいいとは思わない。しかしこの盤に関しては、同じ録音のCDと比較したわけではないので、はっきりしたことは言えないが、LP盤に軍配を挙げるかもしれない。各楽器の音色やボウイングのかすかなコントロール具合、胴鳴りを伴ったチェロ。それらが手に取るように聴き取れる素晴らしい録音だ。

スメタナSQはこの盤のジャケット写真からも分かる通り、ステージでは暗譜で演奏する。音符そのものはもちろん、互いのパートとの関連も含めて曲の隅々まで全員が掌握して演奏に望んでいる証しだろう。曲についての解説はあちこちのサイトで語られているだろうから、付け加えるものもない。緊張感の中にも終始控え目な憂いの表現を感じさせる第1楽章。スメタナSQはかなりゆっくりとしたテンポで弾き進める。内省的な主題が支配する第2楽章。メヌエットの主部とトリオの対象がとりわけ際立つ第3楽章では、スメタナSQのシフトチェンジが鮮やかだ。終楽章はシチリアーノ風の主題による変奏曲。全楽章を通してスメタナSQの演奏は、弦楽器が本来持つ木質系の自然な音色と豊かな倍音が美しい。もちろん曲が曲だけに、無理に音量を稼いだり、力で迫力を前面に出すようなところは皆無だ。
やがて百年になる音楽録音史上の記念すべき1枚は、日本の技術によって作られた。現在もCDフォーマットで手に入る。機会があればCDと比較して聴いてみたい。


ハーゲンSQによる演奏。



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音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

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