きらクラ!



NHKFMに<きらクラ!>という番組があって、移動途中に聴くことがある。パーソナリティーの二人、タレントのふかわりょうとチェリストの遠藤真理のトークをはさみつつ、クラシック音楽を流す。2012年4月に始まりまもなく3年。沿革をたどると2012年3月までは<気ままにクラシック>略して<きまクラ>、さらに90年代の<おしやべりクラシック>にさかのぼり、渡辺徹、鈴木大介、笑福亭笑瓶、幸田浩子、熊本マリ、向山佳絵子、長谷川陽子などが歴代のパーソナリティーを務めている。番組のジャンルとしては初心者向けクラシック番組ということらしいが、どうやらリスナー、スタッフ共に筋金入りのクラシックファンも多いようで、ときにマニアックな内容も含まれていて興味をひく。音大を目指したこともあるというふかわりょうのピアノの腕前はよく知られているところで、彼のコメントも面白い。


kiracla.jpg


この手の番組の定番としてイントロ当てクイズがあるが、この<きらクラ!>でも<きらクラDON>というコーナーがある。レベルはおおむね中級というところだが、引っかけの曲がしっかり準備されているようで、ときどき迷うことがある。さらにイントロだけではなく、途中の聴きどころを当てる<中トロDON>やエンディングを当てる<アウトロDON>なる趣向が凝らされたこともある。
先日の放送では<BGM選手権>というコーナーがあった。これはまず、散文(ジャンル様々)の朗読で紹介され、それに合わせてリスナーがこれはと思うBGMを選ぶというもの。番組内でふかわりょうが実際に朗読し、バックでその選ばれた曲が流される。今回は中原中也の<生い立ちの歌>という詩がお題となった。こんな詩だ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

幼 年 時
私の上に降る雪は
真綿(まわた)のようでありました

少 年 時
私の上に降る雪は
霙(みぞれ)のようでありました

十七 ― 十九
私の上に降る雪は
霰(あられ)のように散りました

二十 ― 二十二
私の上に降る雪は
雹(ひょう)であるかと思われた

二十三
私の上に降る雪は
ひどい吹雪とみえました

二十四
私の上に降る雪は
いとしめやかになりました……


私の上に降る雪は
花びらのように降ってきます
薪(たきぎ)の燃える音もして
凍るみ空の黝(くろ)む頃

私の上に降る雪は
いと なよびかになつかしく
手を差伸べて降りました

私の上に降る雪は
熱い額(ひたい)に落ちもくる
涙のようでありました

私の上に降る雪に
いとねんごろに感謝して、神様に
長生したいと祈りました

私の上に降る雪は
いと貞潔(ていけつ)でありました
~~~~~~~~~~~~~~~~~~

さてこれを朗読する際に付けるBGMとして何を選ぶか。そこが腕の見せ所となるわけだが、今回リスナーの応募の中から、選ばれたのは…

1.ラフマニノフ/前奏曲 ト長調作品32第5(抜粋)
2.フィリップ・グラス/弦楽四重奏曲第2番“カンパニー”から 第1楽章(抜粋)
3.カリンニコフ/交響曲第1番 ト短調から 第2楽章(抜粋)

1と3は知らずとも遠からず想像がつくが、ミニマルミュージックの2などは、その分野の好事家でないと出てこないだろう。実際に朗読のバックで流れるBGMとして聴いてみるとそれぞれに納得の選曲だ。ほのぼのとした憧憬を感じさせるラフマニノフ、大自然の中で春を待つ人の心を感じさせるカリンニコフ、冷たい空気と寂蓼感のミニマル音楽…そんな風に思いながら聴いた。

3曲の音源を以下に貼ってみた。上記の中原中也の詩を口ずさんでみてはいかが?
他にこれはという曲あれば、ぜひコメントを。

ラフマニノフ/前奏曲ト長調32-5


カリンニコフ/交響曲第1番第2楽章


フィリップ・グラス/弦楽四重奏曲第2番“カンパニー” 確か2分40秒過ぎからの部分が使われていた。



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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