シュタルケルのブラームス



四月も下旬。先週あたりまで雨の多い不順な天気が続いたが、きのうから関東地方は真夏日も記録するほどの陽気になった。きょうも25℃超えの一日。仕事を終えてから知人と一献。9時を少しまわって帰宅した。急に暑くなったせいか、何となく疲れが残る。あすから連休の輩も多いのかな。当方は暦通りで、あすはひとまず休み。あまり音楽を聴く気分でもないのだが、そんなことを言っているとずっと聴かなくなりそうでもあり、半ば強引にアンプのスイッチを入れて、こんな盤を取り出した。


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ヤーノッシュ・シュタルケル(1924-2013)の弾くブラームスのチェロソナタ集。ピアノはジェルギー・シェベック。1959年録音。たまたまネットを覗いていたら、きょう4月28日がシュタルケルの命日と知り、思い出して取り出した。2年前2013年のきょう89歳で亡くなっている。手持ちの盤は70年代半ばに出ていたエラートレーベルの廉価盤。ジャケット裏に日付が記されていて、それによると大学3年の春に手に入れている。当時、ブラームスの交響曲や協奏曲をいやと言うほど聴いて耳と身体に叩き込み、次は室内楽をと思って買った最初に盤だったように記憶している。そして粗末なオーディオセットにこのレコードを載せ、四畳半の下宿に流れた第1番冒頭のその渋い響きに、思わず嗚呼…と感嘆をもらしたことを思い出す。

ブラームスの二つあるチェロソナタのうち第1番は彼が32歳のまだ壮年期というにも早い時期の作品であるが、北ドイツ風の荒涼とした味わいや深々とした叙情はその年齢からは想像が出来ない。特に第1楽章はチェロの低音域を有効に使い、ほとんどのフレーズでピアノよりも低い音域を歌う。ぼくら世代にとってシュタルケルというと、例のコダーイ無伴奏の名録音で知られた豪腕チェリストというイメージがあって、このブラームス第1番の出だしの楚々とした風情にも驚いたものだ。シュタルケルはこの録音の前、50年代にモノラルで、またこの録音のあと60年代初頭に同じジェルギー・シェベックと再録。さらに90年代にもこの曲を録音している。よほど好きな曲なのか、あるいは前の録音に満足できなかったのか…。手元には、フルニエとバックハウスのモノラル盤、ロストロポーヴィッチ、トルトゥリエの盤などもあるが、青春時代への郷愁も手伝ってか、このシュタルケルのエラート盤に手が延びることが多い。録音も優秀で今もって色あせない。


この盤の音源。第1番全曲



シュタルケルのオハコ。コダーイ無伴奏の第1楽章。1988年来日時の音源。



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L-570 メンテナンス完了



メンテナンスに出していたアンプ:ラックスマンL-570がきのう無事帰還した。今回は故障でも不具合でもなく、予防保全として少し前に同社サービス部門へ依頼したもの。
1989年にラックスマンのフラグシップモデルとして発売され、現在でも愛好者が多いアンプだが、その音の良さと引き換えに、純A級動作からくる発熱による不具合に泣かされるケースも多い。もう四半世紀も経過しているモデルなので、普通の家電メーカーならとっくに修理不能で返されるところだ。しかし、そこは老舗メーカーのいいところ。ライバルのアキュフェーズ共々、可能な限り修理・メンテナンスの応じてくれる。特にこのモデルに関しては、数年前から保守キャンペーンを実施していて、必要と思われる処置をパッケージ化し、毎年夏になると受付けている。今回はまだそのタイミングではないが、同内容でメンテナンスをしてくれるというのでお願いすることにした。

本体重量30キロ超。一人で持つのも限界だ。
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施した内容は以下の通り。
<基本作業>
 ・スピーカー出力リレー交換
 ・バランスボリューム交換
 ・パワーアンプ部電解コンデンサー交換
 ・パワーアンプ基板ハンダ修正
 ・全ボリューム・スイッチクリーニング
 ・アイドリング電流調整
 ・RCA端子・スピーカー端子クリーニング
 ・各部動作確認・点検
<追加作業>
 ・アルティメート・アッテネーターの分解清掃
 ・電源スイッチ交換
 ・スピーカー端子交換
 ・銅スチロールコンデンサー交換

本体の発熱でもっとも影響を受けるのがコンデンサ類と基板のハンダだ。コンデンサ類のうちスチロールコンデンサと、大型ブロックコンデンサを除くパワー部の電解コンデンサの交換、それと各基板のハンダ修正がこれに当る。コンデンサ類は通電中の温度環境によるもの、ハンダ劣化は温度サイクルによる膨張収縮で機械的なストレスが加わり次第に劣化して最終的にはハンダ部にクラックが入って接触不良に至るもの。ぼくも仕事で何度か出くわした経験がある。

整然としたレイアウト。MM/MC独立のイコライザ基板は厳重な銅シールド内に配置。
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ツマミ類のローレット加工がマニア心をくすぐる。
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幸い大型のブロックコンデンサや出力トランジスター、放熱の要であるヒートパイプなどは交換不要との判断で温存。これらについても必要に応じて代替品で対応するようだ。調整の中では出力段のアイドリング調整が肝。今回は動作点を少しAB級にシフトしてアイドリング電流を減らし、いくらかでも発熱を減らそうと思って、同社のメンテナンス担当者に相談したが、可能ではあるが、きちんとセッティングして放熱されていれば問題ないとのことで、これもオリジナル通りの動作点を維持することにした。

巨大なヒートパイプは当時のハイテク。パワー段のドライブ基板も左右独立。右chは本体下部に対象配置。
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子供の拳ほどの大きさのアルティメートアッテネータと左右独立のプリアンプ段。
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美しい佇まい…と自己満足
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昨日の帰還から一夜明けて本日音出し。もちろん問題になるところはない。イコライザのSN比も変らず良好。内部もリフレッシュされ、本機が誇るアルティメイトアッテネータ(音量ボリューム)の感触も一段と良くなった。スピーカーポストも新型に交換され太いケーブルやバナナプラグにも対応可能。これでまたしばらくはアンプのことを気にせずに音楽を楽しめる日々が続くだろう。


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ミュンシュのブラ1



もうすぐ連休。そろそろ天気も安定していい頃だろうが、相変わらず降ったりやんだりの日々。
そういえばポール・マッカートニーが来日公演中。知人からチケットが手に入るがどうだとのお誘いがあったのだが、ポール牧(故人)なら行きたいが、マッカートニーはよう知らんしなあ、マッカートニーは指パッチンはしないんだろ…とスットコドッコイなことを言ってパスした。 よって本日もほぼ平常通り8時少し前に帰宅。ひと息ついて音盤タイム。先日聴いたフランクニ短調の続きで、ミュンシュといえば忘れてはいけないこの盤を取り出した。


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ミュンシュ&パリ管によるブラームス交響曲第1番ハ短調。1968年録音。当時の仏文化相アンドレ・マルローの提唱で、パリ音楽院管弦楽団から発展的解散を経て創設され、ミュンシュを音楽監督に迎えたパリ管弦楽団創設直後の一連の録音の一つ。この演奏については多くが語られているので、今更付記すべきこともない。久々にこうして聴いてみると、やはり一期一会の名演だ。ライナーノーツで宇野功芳御大が例の宇野節でこの演奏について熱く語っている通り、この演奏は、フルトヴェングラーのステレオ録音かくやと思わせるところがある。

第1楽章冒頭の序奏からして並々ならぬ重量感と堂々たる威容に圧倒される。フルトヴェングラー&BPOのDG盤1952年録音の序奏を彷彿とさせる。序奏の終盤、木管のフレーズを受けてチェロが寂寥感に満ちた下降音形を奏でるところがあるが、ここでそれまでの力感あふれる運びから一転して抑え気味にこのフレーズをチェロに弾かせ、力ばかりでないこの曲の成り立ちを象徴的に表現する。主部も遅めに始まるが、じわじわとテンポを上げていく。全体に響きのトーンは重心低くドイツ的。コントラバスがゴーゴーと唸るような音を立て、金管やティンパニーが要所要所の決め所で強烈なくさびを打ち込む。第2、3楽章ではパリ管木管群の響きが冴え渡る。そして終楽章で音楽はますます即興的になり、より熱を帯びてくる。周到な練習を経て、合わせることに注力する演奏の対極といってもよい。第1楽章以上に低弦群が強調され、ティンパニーの強打にも一層力が入る。そして一気になだれこむコーダ。手持ちのブラームス第1の盤は二十指に及ぶと思うが、その中でももっとも熱い大団円だ。チェリビダッケやヴァントのような緻密で周到に仕組まれた演奏もいいが、ときにこのミュンシュ盤のラプソディックで熱っぽい演奏も聴きたくなる。


第2楽章。1966年ORTF(フランス国立放送管)との来日公演。



LP盤の音源で第1楽章冒頭。コメント欄に<パリ音楽院管弦楽団>とあるのは誤り。



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BWV639



「与太くん、遊びぃましょぉ~」
知人のフルート&チェロの両刀使いから声がかかり、チェロ相方含めて今度の連休中に三名様全員集合の予定。ポロの三重奏曲を三人で合せたのがちょうど半年前の去年10月。ついこの間だと思っていたのに…年も取るはずだ。お遊びのネタ(曲目ですね)も調整完了。楽譜も揃ったので、ボチボチさらわないといけない。


BWV 639 Ich Ruf zu Did Herr  DSCN3474 (480x480)


その中の一曲として、知人から提案があったバッハのコラール前奏曲「主イエス・キリストよ、われ汝に呼ばわる」BWV639を取り上げることになった。オルゲルビュッヒライン(オルガン小曲集)の中の一曲。その美しさゆえに古くから単独でも取り上げられ、オルガン以外の楽器でもしばしば演奏される。手持ちのジャンドロンが弾く小品集にも入っていて、今夜は楽譜を眺めつつそれを聴いている。フルニエがこの曲を録音し、楽譜も出ていることから、その版も参考にし、フルート、チェロ、ギターのトリオで演奏する予定だ。主旋律をフルート、ほぼ2声の伴奏部のうち最低音部をチェロ、中声部の16音符のオブリガートをギターで弾く。

オルガン譜にはフラット3つが付されているが、Dには常時臨時記号としてフラットが付きDesになっていて、実際にはフラット4つのヘ短調として出来ている。バッハがなぜこんな記譜をしたかについて知人から「三位一体の修辞学的提示に他ならない。<我は御身を呼ぶ、イエス・キリストよ>というイエスは父と子と聖霊は一体ということからして神に向かっていることも同時に示している。」とのコメントがあった。

当初フラット4つはギターでは弾きにくいので、半音下げてホ短調で弾きたいとぼくから提案したのだが、知人のコメントもあって、ここはやはりオリジナル尊重すべしということで、ヘ短調で演奏することにした。但し、ギターは少々インチキをして、カポタストを1フレットに付け、その状態でホ短調の楽譜で弾く。これで出る音はヘ短調になる。シャープひとつの楽譜とフラット4つの楽譜ではメンタリティーが異なるのだが、そこは<気分はf-moll>で勘弁してもらうことにした。このBWV639の他、先日の同じ編成のコンサートでの刺激もあって、ピアソラ<オブリヴィオン><チキリンデバチン>も合わせる予定。首尾よく弾けたら音源アップいたしましょう。


チェロとオルガンによる演奏



ポール・ガルブレイスのブラームスギターによる演奏。



以前も貼ったアンヌ・ケフェレックの演奏。



オリジナルのオルガンによる演奏。楽譜付き。



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フランク 交響曲ニ短調



新年度だ、桜だといっていたら、四月も半ばを過ぎた。天候相変わらず雨の日が多く、気温も低め。きょう日曜日も時折り小雨のあいにくの天気だった。きのうの外出疲れもあってか、終日ダラダラと過ごし、夕方になってから気分切り替えにとこんな盤を取り出した。セザール・フランクの交響曲ニ短調。シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団の演奏。1957年録音。手持ちの盤は70年代初頭に日本ビクターから出ていたRCA系廉価盤の一枚。ぼくら世代にはお馴染みのジャケットだ。


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フランクのこの曲に初めて触れたのは学生時代の70年代半ば。FMで何度か聴き、その後ロンドンレーベルの廉価盤で出ていたフルトヴェングラーとウィーンフィルによる盤を手に入れた。当時は随分と聴いた記憶があるが、その後新しい盤を買うこともなく、またこの曲の持つ独特の暗さにあまり馴染めず、好んで聴く曲ではなくなった。このミュンシュ盤も、もう聴かないからという知人から譲り受け、その後もずっと棚の中で眠っていた。だから、この曲をきちんと通して聴くのも本当に久しぶり。このブログにも初登場だ。

フランク(1822-1890)がこの曲を書いたのは晩年66歳のとき。当時、独墺系に比べ歴史的に交響曲作品の少ないフランスにあって、ベルリオーズやサン・サーンスの成功を得て、それに続く作品を目指した。フランス人ではあるが、ドイツ語圏の影響が強いベルギー生まれであること、またオルガン曲や教会音楽を多く作ってきたことから、ドイツ系のバッハ、ベートーヴェン、ワグナーらの作品からも大きな影響を受け、循環形式の名作といわれるこの交響曲もドイツ風の響きが色濃い。初めてこの曲に親しんだ頃、その重々しい響きから、フランス人作曲家というイメージにつながらなかった記憶がある。

指揮者のミュンシュもフランス人ではあるが、当時はドイツ領だったアルザス地方に生まれ、フランス系作品のみならず、ドイツ系作品でもボストン響やパリ管と名演を残した。晩年になってもエネルギッシュな演奏スタイルは変らず、テンポも落ちなかった。この盤の演奏も、第一楽章の序奏こそ意味深長に始まるが、主部に入ると一転、速めのテンポと短いフレージングでグイグイと進む。響きのバランスは弦楽群を主体にした重厚なもので、後年のパリ管とのブラームス1番を彷彿とさせる。ハープに導かれてイングリッシュホルンが歌う第2楽章もほぼインテンポでもたれることなく進む。そしてここでも厚みのある弦楽群が音楽の重心を低めにキープする。終楽章は一転して大きな起伏を伴って表情豊かに歌う弦楽群、そして終盤ではそれまで秘めていたエネルギーを解き放つようにオケの咆哮が響き渡る。独特の暗さにあまり馴染めずなどと書いたが、こうして聴いてみるとやはり名曲。巧みに仕組まれた循環形式により、終楽章に向けて全曲が収斂する見事さは、ワグナーやブルックナーに通じるところもあり、深い感銘を受ける。 手持ちのこの古いLP盤でも強音部で少々音が混濁することを除けば、全体のバランスと響きの基調はよく再現されるが、最新のBlue-specCDによる盤など、どんな音がするのか聴いてみたいものだ。


スウェーデン南西部ヨーテボリの学生オケによる演奏。



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諏訪内晶子のバッハVn協奏曲集



風邪はほぼ回復。少々咳と鼻水が残るが身体のダルさはなくなり、日中、業務も集中力MAXで乗り切り(ホントか?)、無事週末を迎えた。思い出してみると、この時期や秋口、ちょっとした風邪をひき込むことが多いようだ。季節の変わり目、身体も正常反応ということで付き合っていこう。 さて、きょうの朝、移動中にNHKFMで久々にバッハのBWV1060を聴いたのを思い出し、今夜はこの盤を取り出した。


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諏訪内晶子が弾くバッハのヴァイオリン協奏曲集。オケはヨーロッパ室内管弦楽団。2005年ロンドンでの録音。ぼくには珍しく発売とほぼ同時に輸入盤で買い求めた。バッハのヴァイオリン協奏曲集ということで、あらためて記すまでもないが、収録曲は収録順に以下の通り。

 ・2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043
 ・ヴァイオリン協奏曲 第2番 ホ長調 BWV1042
 ・ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲 ハ短調 BWV1060(R)
 ・ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調 BWV1041
   諏訪内晶子(ヴァイオリン、指揮)、ヨーロッパ室内管弦楽団
   フランソワ・ルルー(オーボエ)、フォルクハルト・シュトイデ(ヴァイオリン)

そういえば、だいぶ以前の記事に取り上げたことがあった。そのときはニ短調BWV1043を聴いたことを思い出す。今夜はもう一つのドッペル、ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ハ短調を聴く。
世にドッペルコンチェルトの名曲は多い。その代名詞のようなブラームスのVn&Vcのドッペル。モーツァルトのVn&Va、FL&Hrp、そしてバッハの2台ヴァイオリンのBWV1043が即座に思い浮か。加えて、このヴァイオリンとオーボエのための協奏曲も劣らず名曲だ。

LP時代までのバッハ:ヴァイオリン曲集というと、このヴァイオリンとオーボエのための協奏曲が収録されていないことが多かったように思う。2台チェンバロの元曲としての復元と、CDになって収録時間が延びたことが幸いして、この盤のようにすべてを聴けるようになった。もちろん2台チェンバロ用もいいが、このヴァイオリンとオーボエの組み合わせは、この曲がバッハ作かどうかの真偽に疑問があることを考慮しても、素晴らしく魅力的だ。
この盤は全曲、諏訪内晶子の弾き振りということになっているが、コンセプトしては決して彼女のオンステージという感じはなく、名手揃いの合奏体によるアンサンブルを聴く盤だ。録音もソロヴァイオリンだけにフォーカスすることなく、相方の名手フランソワーズ・ルルーのオーボエはもちろん、オケの響きも十全に響き渡る。いずれの曲も活力と推進力に満ち、美しさと強さと奥深さと、そうしたものをみな併せ持つ。古楽をオーセンティックに楽しむ風情ではなく、あくまでモダンな今風の解釈と音響だ。


ポーランドの学生によるBWV1060。



元祖ドッペルともいうべき名曲BWV1043。シュタインバッハーと諏訪内晶子。



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ミルバ&ピアソラ ライヴ・イン・東京1988



不覚にも風邪をひいてしまった。今週初めからのどが痛く、咳も少しでる。幸い発熱はなく、表向きは通常通りの生活だが、なんとなく身体がだるく、仕事をしていても集中力を欠く。寝るのが一番と、ここ二、三日は早めにやすんでいるが一進一退。あまり大仰にするのもナニかなと思い、今夜は三日ぶりにアンプの灯を入れ音盤タイム。こんな盤を取り出した。


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イタリアの歌手ミルバ(1939-)とピアソラ(1921-1992)が組んで来日した際のライヴ録音。バブル絶頂期1988年、中野サンプラザでの公演。長らくこのときの録音はないとされていたが、サブマスターとして保存してあったカセットテープが見つかり、2009年にこの2枚組として日の目を見た。収録曲は以下の通り。

<ディスク1>
1. タンゲディアIII /2. わが死へのバラード(6時が鳴るとき) /3. ルンファルド/4. 迷子の小鳥たち/5.もしもまだ/6. ブエノスアイレスの夏/7. 孤独の歳月/8. ロコへのバラード/9. ムムキ/10. ミケランジェロ70
<ディスク2>
1. 行こう、ニーナ/2. 忘却(オブリヴィオン) /3. チェ・タンゴ・チェ/4. アディオス・ノニーノ/5. 3001年へのプレリュード(私は生まれ変わる) /6. フィナーレ“ブレヒトとブレルの間で” /7. 天使の死/8. ミルバの挨拶/9. ロコへのバラード (アンコール) /10. チェ・タンゴ・チェ (アンコール)

ピアソラは50年代から活躍してきたが、タンゴ愛好家以外にも今のように広く知られるようになったのは最近になってから。もっといえば1992年にピアソラが世を去ってからといってもいいだろう。バレンポイム、クレーメル、ヨーヨーマといったクラシック界の演奏家が取り上げこともあって、90年代後半からにわかにピアソラブームとなった。1988年の来日公演が今日のような状況下であれば、まともな録音が残っていないなどということはありえない。当時の受容の状況がうかがい知れる。

有名なアディオス・ノニーノやオブリヴィオンなど、今では様々な編成やアレンジで演奏される。それ自体は悪いことではないと思うが、本来ピアソラがイメージしたオリジナルがどういうものなのかを知ることは、様々な手を加える上でも重要だろう。その意味で、このアルバムに聴くピアソラ楽団の演奏と、ピアソラ自身が最高のピアソラ歌いと称したミルバの歌唱は、ひとつのオリジナル=原点として貴重だ。カセットテープから編集された音源ではあるが、音質はライヴらしい雰囲気をとらえていて悪くない。50歳前の円熟したミルバと晩年のピアソラによる音楽が、ときに情熱的に、ときに淡々と奏でられる。ミルバの歌はもちろん、ピアソラ五重奏団によるインスト演奏も素晴らしい。


ピアソラ楽団をバックにオブリヴィオン(忘却)を歌うミルバの音源。80年代後半と思われる。
1984年に映画音楽として作られ、その後ミルバの歌唱でヒットした。以下のような歌詞が付いている。

  重い、突然重く感じられる
  あなたのベッドのビロードのシーツ
  私たちの愛さえも思い出せない時には
  重い、突然重く感じられる
  夜の闇の中で私に巻き付いたあなたの腕
  船は出発し、どこかに行ってしまう
  人々は別れ別れに、思い出さない、私は思い出さない
  …略…



別の音源。


ミルバが日本で有名になったのは<ウナ・セラ・ディ東京>を美しい日本で歌ってからだ。ザ・ピーナッツの<東京たそがれ>がオリジナルだが、ミルバの歌唱がきっかけで<ウナ・セラ・ディ東京>と改名され大ヒットとなった。



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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