セルの<ボヘミアン・カーニバル>
今週は雨まじりの寒い日が続いた。きょう土曜日はきのうの雨はあがったが、雲が垂れ込め、気温も相変わらず低い一日だった。昼をはさんで少し車を走らせて野暮用外出。夕方帰宅した頃には西の空に晴れ間がのぞいていたので、あすは天気回復するだろうか。
さて、先日NHKFM<きらクラ!>を聴いていたら、例のきらクラ・ドンの正解曲として、スメタナの<モルダウ>をセル&クリーヴランド管の演奏で流していた。移動中のヘッドフォンから流れるその素晴らしい演奏に接し、この曲の良さと難しさ、そしてセル&クリーヴランド管のうまさにあらためて感銘を受けた。今更ながらCDを手に入れようかと考えたのだが、ふと手持ちの盤にオリジナルがあったことを思い出した。


セル&クリーヴランド管による<ボヘミアン・カーニバル>と題されたLP。1963年、セル(1897-1970)楽壇生活50年を記念して録音された一連の録音のひとつ。手持ちの盤は1964年の国内盤。発売時期とライナーノーツの記述からすると国内初出盤と思われる。レーベルには米CBS傘下のEPICと記され、日本の販売はまだ<CBSソニー>になる前の日本コロンビア時代。はっきり記憶がないが、これも大阪出張の折に梅田の中古レコード店で手に入れたはずだ。アルバムタイトルに従い、以下の曲が収録されている。
スメタナ:交響詩<モルダウ>
スメタナ:オペラ<売られた花嫁>から3つの舞曲(ポルカ、フリアント、道化師の踊り)
ドヴォルザーク:序曲<謝肉祭>
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲から4曲(作品46-1、3 72-2、7)
演奏はいずれも圧倒的な素晴らしさだ。このコンビの持ち味である完璧なアンサンブルだけでなく、ときにみせるロマンティックな表情に、これらの曲がハンガリー生まれのセルにとっては望郷の音楽でもあったことを強く感じる。
FMで聴いて感銘を受けたモルダウは、冒頭のフルートの掛け合いそしてクラリネットが加わってやがて弦に引き渡される下りだけ聴いても惚れ惚れする。アンサンブルのみならず音色までも完全に整い、同時にフレーズの隅々にまでしなやかに歌う。<売られた花嫁>から選ばれた舞曲やドヴォルザーク<謝肉祭>での活き活きしたリズムは、もうこれ以上のものはないと思うほどだ。同時に、こうした闊達な表現を決して速すぎないテンポで展開するところもセルの素晴らしさだ。これでテンポも煽るような設定だど、勢いだけのイケイケな演奏になりかねない。スラヴ舞曲でもテンポの切り替えが胸のすくように決まり、ライヴ感あふれる展開にスタジオセッションであることを忘れそうだ。
60年代のプレスではあるが音は予想以上にいい。高音域にやや硬さを感じるが、SN良好。コントラバスのピチカートも重量感十分に響き、オケの重量感も過不足ない。現在、この盤のカップリングによるCDは出ていないようだが、スメタナもドヴォルザークも異なるカップリングで入手可能だ。
この盤の音源で<モルダウ>
スラヴ舞曲ホ短調作品72-2。晩年1970年のEMI録音と思われる。
★★追伸★★
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