ブロムシュテット vs スウィトナー <ベートーヴェン交響曲全集>



久々にCD少々調達。ぼちぼち聴いている。伊東ゆかりヨーヨー・マ舘野泉の盤については先日来の記事に書いた。以下に控えるは…。由紀さおりの新アルバム<VOICEII>、ジュディ・オングが昭和歌謡を歌ったカヴァーアルバム<LAST LOVE SONGS>、例の<ジャズの100枚>から落穂拾い2枚、ケニー・ドーハムとアート・ブレーキー、それと米寿を迎えてますます健在、ブロムシュテットのベートーヴェンとシューベルトの交響曲全集…てな調子。きょうはこのうち、ブロムシュテットのアルバムを取り上げる。


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先日の記事にも書いたブロムシュテットは壮年期の70年代後半から80年代にかけて、名門シュターツ・カペレ・ドレスデンと多くのアルバムを当時の東独ドイツシャルプラッテンレーベルに録音した。このうちベートーヴェンの全集は十年ほど前に廉価盤ボックスセットの風雲児ブリリアントクラシックスから持ってけ泥棒的な超廉価でリリースされ、その後のも何度か発売元を変えてリリースされてきた。今回は久々に国内キングレコードからのリリース。安心安全のメイドインジャパンということで、同時にリリースされたシューベルトの全集と併せて手に入れた。実はベートーヴェンの方は最初のブリリアントクラシクス盤を持っていたのだが、訳あって放出した経緯がある。今夜はこのブロムシュテット盤のインプレッションを記すつもりではなく、ふと思いついたオトマール・スウィトナーによるベートーヴェン全集とちょっと聴き比べてみた。

ブロムシュテットとスウィトナーは、世代、風貌その他の雰囲気は違うのだが、実際のキャリアをみると、案外似た点が多い。ともに東独時代のSKDのシェフを務めた、N響にも度々客演し日本でもお馴染み、独墺系の保守本流のレパートリーを機軸にし、いずれも奇をてらわない正統的な演奏様式をとった等々。大きな違いはオペラでの経験度合いあたりだろうか。その二人の中核をなすレパートリーのうちベートーヴェンの比較は興味深いところだ。

さて、前置きが長かった分、結論を急ごう。あくまですっとこどっこいオヤジの私見ということで…
この二人によるベートーヴェン、演奏様式としては共にオーソドクスかつ正統的で驚くようなところや、オヤ~?と首をかしげるような箇所は皆無。もっとエキセントリックな演奏を望む輩には無縁の盤。しかしベートーヴェンらしい感情のたかまり、劇的表現など過不足ない。すべてを聴き比べたわけではないが、演奏そのものはいずれも素晴らしく、甲乙付け難い。
今回同時に比較してもっとも大きい違いは録音状態だ。共に70年代終わりから80年代初頭の録音ではあるが、ブロムシュテット盤が東独シャルプラッテンによるアナログ録音、スウィトナー盤が日本コロンビアによるデジタル(PCM)録音。スピーカー;アヴァロン・エクリプスで聴く限り、一聴してスウィトナー盤の方が響きが豊かで広がりがあり、同時に細部もよく録れていて、オーケストラサウンドしての満足度は高い。一方ブロムシュテット盤はアナログ最後期の完成度の高い録音であることは間違いないが、スウィトナー盤に比べや残響が少なめ。細部もスウィトナー盤のデジタル録音に比べると弦楽群の高音域などで少々混濁感がある。木管群のソロもやや遠めだ。スウィトナー盤が芳醇な響き包まれるのに対し、ブロムシュテット盤はキリッと引き締まった響きで、ストイックな印象となる。もっともこの印象はヘッドフォンで聴くとまたかなり変わってくる。ゼンハイザーHD800で聴くと、ブロムシュテット盤にも過不足ない響きがのっていることが分かる。もっとも高音域の混濁感はやはり残る。スウィトナー盤はやや響き過ぎるかと思っていた中低域が引き締まり、バランスが改善される。
…とまあ、演奏解釈の本筋から少し外れたところで、オーディオオタクの小田原評定が続く。なんだかなナアという感じではあるが…。 以下にYouTubeにあった両音源を貼っておく。同じ条件下でアップされたものでないので、単純な比較は出来ないが、さてどうだろう…


ブロムシュテット&シュターツ・カペレ・ドレスデンの<英雄>



スウィトナー&シュターツ・カペレ・ベルリンの<英雄>



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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