金沢


この週末土日を使って、かつて学生時代を過ごした北都金沢へ。
当時のサークル仲間のうち今年還暦を迎える連中及び前後アラカン世代が、後輩達の演奏会に合せて集うこととなった。サークルの40周年とやらで百名近くが集まった2002年に参加した際、二十数年ぶりに、そのあと仕事で数回同地を訪れている。


kanazawa_201512.jpg  kanazawa_2015_2 (560x560)


70年代半ばから80年代初頭のアンノン族ブームで金沢は観光地として大いに賑わった。しかしその後バブル期の再開発で方向性を誤り、ついこの間まで乱開発の傷跡も痛々しく、低迷が続いていたという。それが今春の北陸新幹線開業で一気に息を吹き返した。北陸新幹線は当地高崎から金沢まで二時間半。昭和時代に特急列車で六時間を要していたのと比べると隔世の感がある。金沢までの指定席はほぼ満席。駅前の巨大な<おもてなしドーム>周辺も観光客があふれていた。熟年世代になったアンノン族の再訪もあるだろうか。宿の確保も中々に大変であったが、何とかおさえた駅前のホテルに投宿。夜の同窓会本番まで少し時間があったので、かつて過ごした下宿跡やその界隈探索へと出かけてみた。

ぼくの下宿があった界隈は市街地から数キロ離れた石引・小立野エリア。バス路線の停留所名はほとんどそのままで迷うことはなかった。もちろん当時の建物はなかったものの、大家さんの表札は健在。近所の酒屋や食堂もいくつか残っていて、40年前の記憶が蘇える。家々や店舗の多くは建替えられらり改装されたりしているのだろうが、昭和時代の象徴ともいえる商店会アーケードもそのままで、大きなイメージ変化はなかった。 一方で先に記したように、市街地中心部で繁華街の香林坊、片町、及びその周辺エリアの変貌は著しい。ブランドを掲げるファッショナブルな店がつらなる様子はミニ東京を志向する。金沢らしさといえば、伝統、新世代含めた美術工芸、伝統工芸のギャラリー、販売店がのきを連ねることだろうか。町の中心にどんと構えている広大な金沢城址は公園として整備され、かつて大学キャンパスがあった頃の面影はない。当時はまだ入場無料だった兼六園を通り抜け、石川門をくぐって通学していたことが、随分贅沢なことだったなあと今更ながらに思い起こされる。 生鮮魚類が人気の近江町市場も以前は市民の台所であったが、近代的なビルに変身した今は完全に観光客向けだ。総じて地元の、特に古い世代の人たちは近年の金沢の変貌ぶりに首をかしげているという。しかし、近代的でファッショナブルなブランドショップと、江戸時代以来の和の文化継承とを天秤に掛けられる希少な地であることも事実。新幹線開業による再ブレイクがよい方向に向かえばと思うばかりだ。

さて、香林坊から一本裏通り周辺、柿木畠エリアでの同窓会そのものは、オッサン、オバサンの昔話オンパレード。今どきの還暦はみな元気だ。しかし楽器を続けているメンバーが皆無なのは残念。そんな中、隣りに座った一年下の女子(今は金沢マダム)が3年前からギターを始め、先生の進めもあってハウザー3世を買ったという。「ぼくもハウザー使っている」というと、「えっ、そうですか。何世の楽器?」と問い返してきて、なぜ彼女がハウザー家の世代まで知っているのかと驚いた。何でも彼女の楽器は1982年製で、「先生によると、2世の手も入っている時期のものだそうで」というから、その通りと、ひとしきり楽器のうんちくを語ってしまった。どうやら同窓会も来年以降は年に一度の定例行事となるようで、来年の再会を期してお開きとなった。

一夜明けてきょう日曜。ゆっくりチェックアウトし、昔からある大衆そば屋<加登長>で昼ご飯。すっかり立派になった駅内で少々土産を買い、一泊二日のノスタルジックな旅を終えて金沢をあとにした。さて、今夜は買い求めた<加賀棒茶>と<柴舟>で一服しませうか。


今年春の北陸新幹線開業で一気に勢いづき、人気再燃の金沢。


金沢にとっては忘れられない人、岩城宏之。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

今夜はガツンとディープパープル



師走第一週が終了。業務なかなかにひっ迫中。忘年会だの何だのと、お気楽にやりたいところだが、そうも言っていられない状況。まあ、あせっても仕方ないので、ここは着実に処理を進めるとしよう…。そんなわけで今夜も9時少し過ぎに帰宅。気分転換に今夜はガツンといこうかと、こんな盤を取り出した。


DP.jpg  HR_70s.jpg


ディープパープル1972年の来日公演からピックアップした<ライヴ・イン・ジャパン>。これもブログ開設当時に一度記事に書いたので再掲。
以前も書いたが、ぼくの高校入学が1970年。中学時代は日本のGS:グループサウンズがピークだったし、ビートルズもローリング・ストーンズもラジオのスイッチを入れれば流れていた時代だ。ハードロックのディープ・パープル、ツェッペリン、GFR、ブラスロックのシカゴは高校時代のさなかにあたる。実は中学校時代、ぼくは不良番長グループのバンドに雇われてエレキギターを弾いていたこともある。中学3年のときには同学年のワル達とGSの真似事もやった。バンドスコアなどない時代だったので、借り物のレコードプレイヤーで何度も聴いて耳コピー。アンプが買えないのでラジオを分解した部品で自作し、スピーカーも箱を作ってでっち上げた。自作のアンプは電圧増幅段を12AX7の2段にしたため、ゲインが有り余って発振寸前。エレキをつなげばそれだけでオーバー・ドライブのナチュラル・ディストーション状態だった。まあ、ぼくが有名人になっていたら十分に武勇伝的なエピソードになりそうな話の連続だ。しかし高校時代になって興味はクラシックに移ったので、ディープパープルもツェッペリンも、そんなものもあったなあ程度で終わっていった。写真に映っている70年代ロックの盤は15年ほど前から高校時代の記憶を頼りにポツポツと集めたものだ。

ディープ・パープルの「ライブ・イン・ジャパン」は今も昔もロック小僧やロックオヤジには定番のアルバムだろう。セッション録音より数段テンションの高い<ハイウェイ・スター>でこの盤は始まる。何度聴いても興奮する演奏だ。ワンコーラス終わったあと、ジョン・ロードのハモンドオルガンが前のめりのテンポで更に曲の煽る。途中のリフはバッハの半音階的進行からアイデアを得たものだそうだ。続くツーコーラスめが終わると、リッチー・ブラックモアのギターが地の底から浮かび上がるように出てきて、有名なギターリフで曲は最高潮を迎える。
日本ではGSレベルのバンドが人気を集めていた時代。今聴いても、曲の構成、楽器演奏の実力などまったく大人と子供の違いがある。ギターのリッチー・ブラックモアだけでなく、キーボードやベースなど他のメンバーも実力は十分。実際のこの盤でも彼らの持ち歌のイントロに、ジャジーなフレーズを使ったり、バロック風のパッセージが出てきたりと、音楽的素養の広さをうかがい知ることができる。他のライブでもジャズやクラシックのかなり長い時間のインプロヴィゼイションを展開することも多かったそうだ。インストゥルメンタルのバンドとして何でもこなす実力があったのだろう。単純なコード進行で歌謡曲風の歌を3コーラス歌って終わりにする程度だったほとんどの日本のGSとはまったく次元が違う。メンバーチャンジをしながらも、その後長きに渡って活動を続けてきた背景には、彼らの高い音楽性と創造性があるのだろう。高校時代に横目で見ていたディープ・パープルやツェッペリンを今になって再認識し、時折こうしてヘッドフォンをして深夜の大音量で楽しんでいる。


ライヴ・イン・ジャパンの音源を他のライヴの映像とシンクロさせて作ったという労作動画。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

シルヴェストリの<チャイコフスキー第4>



関東地方はきのうから通過中だった気圧の谷が抜け、きょうは昼過ぎから北風吹き付ける一日となった。色付いた街路樹の葉が風に舞い、あわてて冬支度をしているかのようだ。
さてさて、音楽にも季節性を感じることがしばしばあるが、この時期、冬到来を告げる音楽というと、ぼくの場合はチャイコフスキー、それも第4交響曲がまず思い浮かぶ。北風吹き抜けるきょうは、まさに冬到来の<チャイコ日和>。音盤棚を見渡し、こんな盤を取り出した。


silvestri.jpg  DSCN1825 (480x480)


チャイコフスキーの交響曲第4番へ短調。ユニークな爆演型指揮者として有名なルーマニア生まれの指揮者コンスタンチン・シルヴェストリ(1913-1969)がフィルハーモニア管弦楽団を振った演奏。1957年録音。手持の盤は2000年前後に出た2枚組の輸入盤で、第4~6番の3曲が収められている。この盤についてもだいぶ前に一度記事にしているので再掲。

この曲を知る人なら、プレイボタンを押し、冬到来を告げるファンファーレである冒頭のホルンが鳴り響いた次の瞬間、腰を抜かすほど驚くだろう。2拍目の裏にある3連符と3拍にある2つの八分音符のアーティキュレーションがまったく独自なのだ。(貼り付けたYouTubeの音源をこのピアノ譜を参照しながら確かめてほしい)
もちろん4分の3拍子の譜割りには従っているのだが、3連符が3拍目にくい込み、3拍目の2つの8分音符が寸詰まり状態になっているといえばいいいだろうか。こんな音価の演奏は他では聴いたことがない。1964年に来日してN響を振ったときも、この独自の音価で演奏したようだから、よほど信念があってのことだろう。
しかし、その冒頭のファンファーレのエキセントリックさを除けば、この演奏は大そうロマンティックかつ熱気を帯びていて素晴らしい。第2主題に入る前からぐっとテンポを落として、切々と歌い上げる。第2楽章も弱音部を効果的に生かしていて冬のイメージであるチャイコフスキーのロシアの空気を感じさせる。終楽章もよくコンロトールされていて、爆演型のハチャメチャというわけではもちろんない。第1楽章冒頭の妙な譜割りのテーマが回顧され、そこからコーダに入って最後のコードが鳴り終わるまでの熱の入った加速には思わず身体が乗り出してしまう。

1957年の録音で、ピアニシモ部分では空調ノイズのような暗騒音が少し高いレベルで聞こえるものの、オケの響きは充実してマスの響きもよくとらえられていて悪くない。シルヴェストリは生前、「演奏は生き物で、同じ曲でもそのときどきによって表現が変る」と語っていたそうだ。残されたチャイコフスキーやドヴォルザークなどの録音はそんな彼の面目躍如たる、ワンアンドオンリーの演奏だ。


この盤の音源。問題の冒頭ファンファーレ。…びっくりしたなぁもぉ~!
しかしそれ以外は実にロマンティクかつ充実した響きの名演。



チョンミュンフンとスカラ座のオケによる演奏。かなりオンマイクでとらえられた録音。ヘッドフォンで聴いていると各パート(特に弦楽群)の音が明瞭に生々しく迫ってくる。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

CDちょこ買い継続中


少し前の記事に書いたものと前後して、先月からちょこちょことCD調達継続中。

DSCN4460 (560x560)

左のバーンスタインは、ニューヨークフィル時代の60年代を中心にセッション録音した、彼にとっては最初のマーラー全集。LPでも何枚か持っていて、ぼくにとってはマーラー原体験の演奏。オリジナルLPデザインの紙ジャケット仕様ボックスセット。1~10番&亡き子をしのぶ歌全12枚で2,887円也。手持ちのLPセットは処分しようかと。

その上は、好事家の間でしばらく前から話題だったデニス・ラッセル・デイヴィス指揮シュトゥットガルト室内管弦楽団によるハイドン交響曲全集10年ほど前に出たアダム・フィッシャー盤でハイドンの面白さを再確認したが、一部の録音でちょっとにわか仕立ての感があり、適当なセカンドチョイスをと思っていたところにリリースされたもの。演奏、録音ともきわめて秀逸。そろそろ市場在庫が無くなる頃で価格も底値。全37枚で6千円ちょっと。マーラーもハイドンも、ボックスセットは価格の安さから、つい手がのびる。

単品CDは…
まず、お気に入りのアファナシエフ。ベートーヴェンのディアベリ変奏曲、ブラームス後期ピアノ曲集、それと「オマージュ&エクスタシー」と題された小品集の3枚。その下はスウィトナー&SKBによるシューマン交響曲全集の2枚。どれも日本コロンビアの廉価盤。以前は千円盤のクレスト1000シリーズで出ていたものから、一部Blu-SpecCDとなって200円アップ。もっともアマゾンではどれも千円を切って購入可能だ。

davis_SKD_shubert.jpg

加えて、先日入手したブロムシュテット&SKDのシューベルト交響曲全集の対抗馬として、スウィトナー&SKBをポチろうかと思っていたのだが、90年代半ばに録音されたサー・コリン・デイヴィス&SKDのセットが10月末に廉価でリリースされ、ちょっと思案中。

…とまあ、そんなこんなで、呑気な師走の入りではあります。


★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

カレンダー
11 | 2015/12 | 01
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
月別アーカイブ
QRコード
QR
閲覧御礼(2010.10.01より)