2015年述懐 <番外編>



ここへきて気温もぐっと低くなってきた。冬型気圧配置で荒れる北日本とは対照的に、当地関東は冬晴れの穏やかな年の瀬を迎えている。今年も残すあす一日となった。あまり年越しの感慨もないのだが、備忘目的の本年述懐。<音曲編><六弦編>に続いてきょうは<覗機関=のぞきからくり:番外編>を記しておこう。

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…で、何の脈略もなく餃子の写真。たまたま昨夜作って旨かったので(^^;
豚挽き肉250g、キャベツ250g、ニラ1束、長ネギ1本、生姜ピンポン玉程度のもの1個。野菜をみじん切りにして肉に混ぜ、よくこねる。塩、醤油、酒、鶏がらスープの素などを控え目に加え、大判の皮に丁寧に包む。以上の材料で大ぶりの餃子が約30個。チーズや干しイカを加えるなど自在なヴァリエーションも可。拙宅では包み=家人、焼き=私の分業。IHヒーターなので焼きむらは避けられないが、まあまあの出来だった。たらふく美味しくいただきました。正月のおせちに食傷したらトライしてみてはいかがかと。

さて、あらためて本題の本年述懐<番外編>。まずはオーディオねたから。

◆アヴァロン社のスピーカー
音楽好きにとってはオーディオ装置は楽器弾きにとっての楽器と同等の存在。取り分け音質のほとんどを決めるスピーカーは、表に出る性能諸元だけで読み取れない要素が多々あり、その選択は楽しくも悩ましい。ここ二十年ほど三菱ダイヤトーン2S-305を使ってきたが、数年前から小型スピーカにシフト。これで十分と思ったのも束の間、大型スピーカーへの恋慕捨てきれず、昨年夏にタンノイ:スターリングを導入。しかしこれも低音が思いのほか早くロールオフし、管弦楽の基本となるコントラバスの低域再現性が不十分で、2S-305を買い戻そうかどうしようかと悶々とする日々が続いていた。そこの現われたのがアヴァロンだった。

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アヴァロン社の存在は以前から知っていたが、いわゆるハイエンド商品のたぐいで、自分には分不相応と決め込んでいた。ところが今年夏、同社が地位確立したかつてのベストセラーモデルの中古出物に遭遇。スターリングもそこそこの値で下取りOKということで、その場で即決となった。
ウーファサイズ9インチで密閉箱というスペックから心配していた低音は、店頭での試聴とまったく変わらず十分に低いところまで応答する。50Hz以下がスカスカでレスポンスしないスターリングとはまったく異次元。ローエンドは12インチウーファと大容量160リットル箱のダイヤトーン2S-305と同等に深く沈み込む印象だ。もちろん密閉箱なので妙な共振やふくらみはなし。コントラバスやオルガンペダル音の音階がきっちりと提示される。中高音の解像度はアヴァロン社の真骨頂。高解像度を保ちつつ、音場感も広く深く展開する。86dBの能率はサイズからすると少々低いが、よくある低能率ゆえの反応の悪さなどはない。おそらくこれでわがオーディオライフのスピーカー選びは終止符の見込みだ。
スピーカー以外のセットアップは変わっていない。ラックマン社のアンプL-570は、不具合はなかったが予防保全として夏前にメンテナンスに出してリフレッシュした。CDプレイヤーのメインはやはりラックスマン社D-500で変わらず。今春手に入れたDENONのDCD-1500SEはCDプレイヤーとしてではなく、もっぱらPCとiPhoneのUSB受け用として稼働中。これでYouTube音源やストリーミング放送などもまずまずの音質で聴けるようになった。


◆ヘッドフォンリスニング
帰宅後、深夜の音盤リスニングが多いことから、ヘッドフォンのグレードアップを画策。長らく愛用してきたド定番ソニーMDR-CD900に加え、ゼンハイザー社のハイエンドモデルHD800と、移動中用途にシュア社SE535とを一気に大人買い。またL-570にヘッドフォン端子がないことから、いささか安直な選択ながらフォステクス社HP-A7を調達した。これらのセットアップで聴くヘッドフォンサウンドは極めて解像度が高く、音盤に潜んでいた音をこれでもかと提示。解像度では負けないはずのアヴァロンのスピーカーで聴く音との違いに、ときにまるで別の演奏かと思うほどで、ちょっとした悩みではある。

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◆パピーその後。
話変わって身辺諸事情を少しだけ。9月の始めにやってきた盲導犬育成ボランティアのパピー。その後順調に成長し、きょうでちょうど生後六ヶ月。拙宅にきたときが生後二ヶ月で体重5キロほどだったが、現在20キロ。元々盲導犬用途にはラブの中でも小さめの個体血統が選ばれるらしく、おそらく22~3キロで成犬レベルということらしい。当初は昼となく夜となく、トイレの躾けで苦労したが、さすがに高IQの犬種。すぐに心得るようになった。またこれまでの四ヶ月間の生育段階で愛玩用とはかなり違う接し方をしていることから、普段の行動も子犬とは思えないほど落ち着いていて驚く。

9月初旬
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最近の様子
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…というわけで、あす一日残して今年も終わり。本年述懐<番外編>をもって今年の与太記事の書き納めと致します。勝手なマイペース与太話といいながら、日々アクセスいただいた方々の後押しも実感する日々。コメント、拍手、バナークリックでの応援、ありがとうございました。お気楽な道楽記事とは裏腹に、世間並みの悩ましき日常もあるにはありますが、そこは本ブログの基本姿勢<人生と天下国家を語らず>。まあ語るほどの人生も知力見識もないだけのことでありますが、来年も引き続き、道楽人生成れの果ての御粗末を続けることにいたします。それでは皆様、よいお年をお迎え下さい。

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今年の最後に昨年同様、昭和時代からのお笑い好きとして年忘れの一席を。
再び漫才、もといMANZAIブームだそうだが、今も昔もオーソドクスな掛け合い漫才がいい。今更Wけんじというわけにもいかないので、この二組で年忘れ。そして最後に長講一席。しみじみと年の瀬の<芝浜>もいいが、冬の話でパッと明るく終わりましょう。何度聴いても面白い古今亭志ん朝の<二番煎じ>を。








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2015年述懐 <六弦編>



きのうに続き本年述懐。きょうは<六弦編>。マイ・ギターライフを振り返る。
クラシックギターを始めたのは1970年高校一年のときだから、足掛け四十年余ということになる。といっても長いブランクもあり、本格再開したのは50歳になってからのこと。再開後は遅れてきた道楽バブルよろしく、楽器調達に他流試合にと楽しく過ごしてきたが、昨年から今年はその流れに幾らか変化があった。

◇楽器あれこれ◇
ここ数年、様々なタイプ・時代の楽器を手元において楽しんできたが、もともと楽器蒐集の目当はない。最初から承知していたことだが、多くの楽器を手元においてもそれぞれの真価を発揮するまでに弾き込めるわけではないことをあらためて自覚し、ピーク時には二桁台数あった楽器の整理進めてきた。
中出敏彦西野春平中山修などはすでに数年前に放出、その後英国のデイヴィッド・ホワイトマンの楽器をハウザーモデルオリジナルモデルの2台を入手。他に19世紀ギターのオリジナルも何本か手に入れた。かつての憧れだったハウザーも2年前に入手。その後も古いスパニッシュの味わいを求めて、事あるごとに試奏も重ねてきた。そんな中、手持ちの楽器は昨年来一気に更新が進んで以下の6本になり、現在に至っている。

 ヘルマン・ハウザー3世 2006年
 ホセ・ラミレス3世 1978年
 田邊雅啓 2004年
 ゲルハルト・オルディゲス 2008年
 サイモン・マーティー 2006年
 英チャペル社 1860年代

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チャペル社の19世紀オリジナルとラミレス以外は2000年以降の新しい楽器ということになったが、いずれもそれぞれに味わい深い音で、手にするごとにその音に魅了される。
ハウザー3世は「今更?」の前評判に反して、基本に忠実でしっかりした音と作りに感心。いつ弾いても低音・高音とも太くよく通る雑味のない音で、曲の時代性に関わらず、モダンギターとしての万能性を発揮する。近代ギター製作の保守本流をいく趣きがあるし、1世以来、様々なトライアルは継続していると思うが、商品としては妙なラインアップやバリエーションを安易に作らないのも好感がもてる。
ラミレス3世は70年代後半ラミレス工房最盛期のもの。すでに製作者の名を表すスタンプは廃止された時期のものだが、ぼくの個体は内部に残された符丁からマヌエル・カセレス作のものと思われる。ラミレスは音の分離が悪いと言われることがあるが、おそらくハウザーあたりとの比較の問題で、よくある国産の楽器よりずっと明瞭で和音の調和・分離とも問題はないし、音もよく通る。そして何より高音の甘くたっぷりとした響きが魅力だ。
田邊ギターも完成から10年になった。低いウルフを伴ったたっぷりとした低音と、すっきりした高音で、手元の音量感以上に音はよく通る。工作精度や材料の扱いも完璧で、10年間弦は張ったままだが、ネックはまったく反りもなく指板・フレットともに、これ以上ない程の精度を維持している。
G・オルディゲスとS・マーティーの2本は昨年後半に出会って手に入れた。オルディゲスのハウザー1世モデルは、田邊ギターに華やかさと艶っぽさを加えたような音作り。高音はよく延びて歌うし、低音はふっくらとしたボリュームとよく通るエネルギーを併せ持つ感じだ。楽器店で試奏し5分としないうちに即決。今のところ死角が見当たらないほど惚れこんでいる。
サイモン・マーティーは、一昨年から始めたチェロやフルートとのアンサンブル用に音量感のある楽器を物色する中で行き着いた楽器だ。実は3年程前に一度オファーがあったが、そのときは音量を求める状況でもなくパスしていた。昨今、音量優先の楽器はいくつかの選択肢があるが、今回のS・マーティーは、音量感・エネルギー感とオーソドクスなギターの音色感を併せ持っている点が気に入った。
19世紀ギターはチャペル社製のオリジナル1台だけを残し、他のオリジナル、レプリカ共に手放した。19世紀ギターも仏系・独墺系・伊系と、それぞれに歴史経緯と音色感を持っていて魅力を感じるが、これ以上それらに関わるには、ぼくの素養が不足しているし、これからそれらを身に付けるのも難しいだろうなあと判断した。

◇アンサンブル◇
楽器は弾いてナンボ。2011年からmixiの集まりに時々出向いて下手なソロや旧友Y氏のギターとのデュオを楽しんできたが、一方で以前から、ヴァイオリンやチェロ、フルートとのクラシカルなアンサンブルをやりたいという気持ちがあった。運よく一昨年、チェロ弾き、フルート吹きのハイアマチュア2名と知り合い、ときどき合わせる機会を持つに至った。 今年2月には達者なチェロ弾き達の集まりに参加し、メンデルスゾーンのチェロとピアノための<無言歌>作品109で本番を経験した。また7月にはチェロ、フルートの仲間とトリオでピアソラを楽しんだ。ギターやマンドリンという以前から身近にあった楽器とのアンサンブルと違い、クラシカルな正統派楽器とのアンサンブルは実に楽しくもあり、勉強にもなる。

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…というわけで、今年の述懐<六弦編>のあれこれ。楽器探しの放浪も一旦終息し、長期安定の見込み。アンサンブルに関しては相手に恵まれながら、夏以降、ぼくの個人的事情でお誘いに応じられず、残念な思いをしている。アンサンブルはソロ演奏よりずっと楽しいもの。またいずれトリオやデュオで遊べる日が迎えられるようにしたいと思っている。

今年楽しんだアンサンブルからいくつか。
篠原正志さん(g)とたのうち惠美さん(Vc)らが主宰するアンサンブル<たのシック>から楽譜提供を受けたピアソラ<チキリンデバチン>。


メンデルスゾーン<無言歌>作品109(抜粋)
チェロ相方と2月に川崎で演奏した曲。事前練習時の音源。


イベール<間奏曲>
フルート相方からは、不本意な演奏だから、とダメ出しされているのだが、ほとんど初見でこれだけ吹けるのだからと素晴らしい!と勝手に公開(^^;



以下は昨年までのもの。
チェロとのデュオ。
エルガー<夜の歌>(抜粋)
ジャズ・ボッサの名曲<ブルー・ボッサ>(抜粋)
フルート、チェロとのトリオ。
ピエール・ジャン・ポッロ(仏1750–1831)の三重奏曲。モーツァルトのヴァイオリンソナタK.304を元曲にしたもの。

-ギター工房訪問記-
庄司清英(大阪)
野辺正二(浦和)
中山修(久留米)
堤謙光(浦和)
廣瀬達彦/一柳一雄・邦彦(名古屋)
松村雅亘(大阪)
西野春平(所沢)
田邊雅啓(足利)
田邊工房2014年

-その他ギターねた-
カテゴリー<楽器談義>
カテゴリー<ギター全般>
カテゴリー<演奏録音>


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2015年述懐 <音曲編>



今年も残すところ数日となった。
どうということのない与太記事続きの本ブログだが、世間並みに年の終わりの本年述懐をしておこう。ブログタイトル<六弦音曲覗機関:ろくげんおんぎょくのぞきのからくり>の成り立ちより、本日はまず<音曲編>を。去年の述懐とほとんど変わらない状況に、我ながら進歩のなさと加齢を実感する。

さて、今年2015年は230本余の記事を書き、その中でおそらく200枚程の音盤を取り上げた。10月にはブログ開始から5年が経過し6年目に入った。記録もしていないので定かでないが、この間、記事にした盤は900枚になるだろうか。音盤棚の目に付くところにある盤は、大体取り上げたかもしれない。 全在庫4000枚余の確認を記事にしていると一生続きそうになるが、そう意識して確認するつもりもないし、土台無理な話だ。もちろん新たな音盤購入は皆無といっていい状態だし、中古レコード店巡りはもうやるつもりはない。魅力的ながらCDのボックスセットに付き合うのもそろそろ止めにしようと考えている。…といった舌の根も乾かぬうちにナニではあるが、今年は新規調達も少々あった。


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一昨年、ジョージ・セルの録音が本家CBSソニーから少しまとまってリリースされた。その際、ブラームスの交響曲集を入手し、このコンビの精緻かつ活き活きとした演奏に感銘を受けた。昨年はシューマンとベートーヴェンの交響曲集を加え、今年になって更に、ドヴォルザークの7・8・9番、マーラー6番、スラブ舞曲集、ハイドンやモーツァルトの交響曲選集、ワグナー管弦楽曲集やムソルグスキーなどを手に入れた。いずれも精緻なアンサンブルと熱いパッションを両立させた名演。セル&クリーヴランドのコンビはLPレコード時代の70年からもちろん承知はし、何枚か手持ちの盤もあったが、その後はあまり注目せずにきた。一昨年からの一連のCDリリースではリマスタリングで音質も改善され、ようやく喉の渇きをいやした次第だ。

バッハ作品の中核を成すカンタータも時折り聴くようになった。ギター弾きの一人としてもっぱら器楽曲ばかりに目がいっていたが、「やはりバッハ作品の大半を成す宗教曲を聴かずして」の思いも強くなり、実際に教会暦に従って、一つ一つの作品をたどる試みの面白さにも気付いた。かつては重厚長大なロマンティック要素を引き継いだ演奏を好んだが、昨今は量感に頼った力ではなく、音楽の骨格と調和的要素に耳がいくようになり、よりオーセンティックな演奏に惹かれるようになったのも今年の変化の一つだった。

秋になってブロムシュテットとシュターツカペレドレスデンの録音が久々にリマスタリングされて再発されたのを機に、ベートーヴェンとシューベルトのボックスセットを入手。ついでにスウィットナーのシューマン、シューベルト、コリン・デイヴィスのシューベルトなどを加えた。いずれも70年代終盤から90年代初めにかけての録音。シュターツカペレドレスデン、シュターツカペレベルリンという、かつては<東側>ということわりがついた団体だが、いずれも現在ほどグローバル化される前の伝統的なオーケストラサウンドが堪能できる演奏だった。在庫切れ間際に手に入れたラッセル・デイヴィスのハイドン交響曲全集とバーンスタイン&ニューヨークフィルによるマーラー交響曲全集もお楽しみに加わった。いずれもCD1枚あたり単価@200円という音盤デフレ事情は変わらずだ。
ジャズやポップスも手持ちの盤を時折り出して楽しんだが、以前からファンの由紀さおりに加え、伊東ゆかりジュディ・オング、少し若い世代で森口博子らのアルバムを手に入れた。古い昭和歌謡やポップスを聴いて懐かしむという行為そのものも、段々と楽しさやノスタルジーを通り越して、少々辛く暗い気持ちの方が先に立つようにもなり、これも年齢のなせるわざかなあと複雑な気分だ。

もう二、三年前から考えていることだが、音盤在庫もいずれ整理しようと思っている。その「いずれ」のタイミングを推し量りつつ、当面差し迫った状況でないのをいいことに先延ばしをしているわけだが、還暦を過ぎたとことを機にボチボチと…という意識にはなってきた。実は数年前に、音盤に押されて場所を失った書籍数百冊を処分した。処分する前には、後悔の念に襲われるのではないかとも思っていたが、実行してみればあっさりしたもので、どうということはなかった。レコードやCDもと思うのだが、こちらは高校時代に最初に買ったレコードからして、まだ1枚も処分していないという現実があって思案中だ。20年後には手提げ鞄一つに道楽の品を収まる程度にして、跡を濁さずの状況を作りたいのだが、さて実行かなうか、かなわざるか。


手持ちの古い録音の在庫確認に終始する中、最近の演奏家に関しては、もっぱらYouTube音源のお世話になった。ブログ記事に貼り付ける目的で当てもなくサーチする中、いくつか印象的な演奏にも出くわした。以下に二つ。
バッハの宗教曲演奏は70年代から次第に、それ以前の重厚長大型から小編成へのシフトが行われてきた経緯があるが、こちらは80年代後半から試みられるようになった合唱団をおかず各声部1名による究極の小編成。ジェズアルド・コンソート・アムステルダムによるBWV80。躍動的で小編成ながらまったく不足感はない。


最近聴く交響曲は、かつてのモーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスあたりから、ハイドン、メンデルスゾーン、シューベルト、シューマンにシフトしてきた。中でもシューマンの4曲はブラームスの4曲に勝るとも劣らない。YouTubeで出会ったダニエル・ハーディング&マーラー室内管弦楽団による第2番の名演。



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エディ・ヒギンス&スコット・ハミルトン <My Funny Valentine>



12月最後の、そして今年最後の週末土曜日。きょうから年末年始の休みに入っている輩も多いかと思うが、今年のぼくのカレンダーは28日月曜に出勤が設定されている。一日くらい休みにして九連休設定でも構わないのだが、まあこういうのもいいかなと、素直に従うことにした。 …というわけできょうは普通の週末土曜日。風なく穏やかな一日。昼をはさんで野暮用外出。あっという間に一日が終わって夜更けの音盤タイムとなった。何となくダラ~っとした気分もあって、身構えて何かを聴く気にもなれず、ふと思い出してこんな盤を取り出した。


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2009年に他界したエディ・ヒギンズは50年代からキャリアがあるピアニストのようだが、日本では90年代後半ヴィーナスレコードから出したアルバムが、スローなヒーリング系ジャズ好きの日本人にうけ、人気が出た。ぼくも時流にのって3枚ほど手に入れたが、きょう選んだのはそのうちの1枚だ(こちらで試聴も)。これもだいぶ前に一度記事にしているので再掲。収録曲は以下の通り。

1. あなたの家に帰りたい
2. アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー
3. サニーがブルーになるとき
4. アローン・トゥゲザー
5. マイ・ファニー・バレンタイン
6. イッツ・オールライト・ウィズ・ミー
7. スターダスト
8. 瞳は君ゆえに
9. ドント・エクスプレイン
10. 中国行きのスローボート
11. イマジネーション

断固ジャケ買いではないと言い張るつもりはないが、ヴィーナスレコードには中々みせるジャケットデザインが多い。日本のオヤジ・ジャズファン市場をしっかりマーケティングしている。この盤ではいつものヒギンズのトリオにスコット・ハミルトンのテナーサックスがフィーチュアされている。2004年録音。曲はいずれもお馴染みのスタンダード。正直なところ、ぼくにとって彼の盤は上等なカクテルピアノという位置付けで、何かインスピレーションを感じるとか、ひどく心打たれるという要素はない。ナイトキャップの友に(下戸のぼくにとっては深夜の珈琲の友に)、ちょっと絞り気味のボリュームで聴こうかという盤だ。カクテルピアノ、上等。毎晩コルトレーンの激しいブローばかり聴くわけにもいかない。もちろん、こういう甘口ばかり毎日聴くのもどうしたものか。人生、万事バランスが肝要。まあそういうことです。


<中国行きのスローボート> 村上春樹の小説に同名の話があったなあ。


<イッツ・オールライト・ウィズ・ミー>


トリオでのステージ



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ギュンター・ヴァント&NDR響 <ブラームス交響曲集>



クリスマスの夜。職場の同僚数名とプチ忘年会兼クリスマス飲み会。ほどほどに切り上げて帰途につく。下車最寄り駅近くの小料理屋。一人で店を切り盛りしている女将とはここ十数年来の馴染み。年の頃は四十代後半だろうか。もっとも見かけはずっと若く見える。いつも髪をきりっとひっつめにし、地味ながら趣味のいい着物を着こなしている。ぼくを下戸と知って、時より立ち寄ってカウンターに座ると、まず出てくるのはいつも熱いほうじ茶だ。 「はい、どうぞ。お茶。」「ありがとう。お客さんいないねえ」「クリスマスはねえ、みなさんアットホームですって。でも、こんなに誰も来ないなんて珍しいわ。夕方から与太さん一人よ。」「ああ、そう。じゃあもうかんばんにするところだったのかな。すまないねえ。」「いいんですよ。店閉めても、私もやることないから。それより…」「それより、なあに?」「うん?せっかく与太さんと二人になれたから、私も一緒にいただこうかな。横に座ってもいいかしら。」

…とまあ、そんな話はきのうに続き、あるはずもなく、本日も業務に精励。8時チョイ過ぎに帰宅と相成りましたよ。
さて、夜更けの音盤タイム。本日は硬派路線に戻って、こんな盤を取り出した。


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ギュンター・ヴァント指揮NDR響(北ドイツ放送交響楽団)によるブラームスの交響曲集。1995年から97年にかけ、NDRの本拠地ハンブルグのムジークハレで録られている。今夜はそのうち第1番をプレイヤーにセットし、第2楽章から聴いている。これもだいぶ前に一度記事に書いているので再掲しておく。

何度か取り上げているチェリビダッケ盤といい、このヴァント盤といい、共に録音が素晴らしくいい。<録音がいい>ではあまりに漠然としているが、ここで言う録音の良さとはオーケストラの響きの捉え方のことだ。ヨーロッパのコンサートホールに響く管弦楽は正にこういう響きだろうと想像できる録音。すべての音が程よい距離感をもって柔らかく溶け合い、それでいて各パートの音は明瞭だ。チェロ・バスの深い響きの上にヴァイオリン群が広がりをもって展開する。その奥から木管が整ったピッチで聴こえてくる。広々としたホールの空間に柔らかなホルンが響く。左右のスピーカーを2メートルほど離し、それを底辺とする正三角形の頂点に座って聴けば、オーディオセットのグレードに関わらず、安直なミニコンポでもこの響きを実感できる。四畳半の部屋でも十分可能なセッティングだ。もちろん、わがアヴァロンは左右奥行きとも素晴らしくよく展開する。

ヴァントは晩年になってもテンポが遅くならなかった数少ない指揮者といわれる。この録音当時八十代半ばだったが、テンポは中庸ながら決してもたれず、ビートがしっかり刻まれている。特に第2楽章のような緩徐楽章でもはっきりとテンポ感を保っている。一方響きのコントロールという点ではチェリビダッケ以上にクリアで各パートが明確に分離している。一聴すると響きが薄いようにさえ感じるほどだ。チェリビダッケの盤は聴衆入りのコンサートライヴあるいは放送用公開録音であったが、ヴァントの録音はセッション録音のため、より条件が整えられていることもあるだろう。ヴァイオリン群や木管群の高い音からコントラバスの基音までしっかりかつ明瞭に録られている。従って音楽はこの上なく精緻で身の引き締まるような緊張感に満ち、その緊張感がオケ全体の響きとホールトーンの中で心地よく解放される。こういう演奏と録音を聴いていると、決してボリュームを上げなくても、再生音楽としてのオーケストラ演奏を充分楽しめることが分かる。


1997年NDR響とのライヴで第1番の第2楽章。この盤とほぼ同時期と思われる。緩徐楽章ではあるがテンポはもたれず心地よく進む。ヴァント自身の身体も上下に動きしっかりビートを刻んでいるのが分かる。また一つ一つの音やフレーズの重心の置き方、音を縦に打ち込むのか横に流して解放するのかなど、その指揮から実によく分かる。素人のクラシックギター弾きや田舎のアマチュアマンドリン楽団も、このような指揮振りや演奏から汲み取るべきものは沢山ある。やはり広く音楽に接しないといけない。



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ジュディ・オング <Last Love Songs>



暖かなクリスマスイヴ。
今夜はちょっとわけありの女友だちと食事をし、そのあとホテルのバーでワンショット。そろそろ帰ろうかと切り出すと、彼女がぼくの手をぎゅっと握りしめてきた。「もう少しいいでしょ」
…と、そんな話があるわけもなく、本日も年末追い込みの業務に精励。9時少し前に帰宅した。嗚呼…
音盤相手の妄想ならオッケーだろうと、先日手に入れたこの盤を取り出した。


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ジュディ・オングが昭和歌謡をカヴァーしたアルバム<Last Love Songs>(こちらで試聴も)。2012年録音。収録曲は以下の通り。お馴染みの定番ソングが並ぶ。

1. どうぞこのまま
2. 異邦人
3. つぐない
4. シルエット・ロマンス
5. 終着駅
6. あなたならどうする
7. 別離 わかれ
8. 手紙
9. グッド・バイ・マイ・ラブ
10. ラヴ・イズ・オーヴァー
11. 魅せられて ~ 2012 Version (ボーナストラック)

アルバムのサブタイトルが~人には言えない恋がある~。ジャケットの帯びには「エイジフリー・ミュージックを歌う熟恋歌の女王」とある。ブックレットには美熟女ジュディのポートレートがてんこ盛り。どこから見ても後期高齢者オジサンひっかけの企画物だ。本当は彼女が歌うジャズアルバムが欲しかったのがどうやら現在廃盤。仕方なく、とはちょっと照れ隠しの言い訳で、その実はひっかけ企画に素直にのって先日調達したもの。ワーナーミュージック社マーケティングの勝利でありますね。

ジュディ・オングはぼくらが物心ついた頃からテレビに出ていたから、ずっと年上かと思っていたのだが、1950年生まれというから、案外近い年代だ。かつてはポニーテイルのボーイッシュなイメージがあったが、例の<魅せられて>以来、すっかり路線変更。男性ばかりか、美を追求する中年女性にとってもカリスマ的支持があるらしい。
聴いてすぐに彼女と分かるジュディ節だが、どの曲もそつなく素直に歌っていて好感がもてる。芸歴、歌手歴共に半世紀を越えるのも伊達ではないと実感。またカヴァーアルバムでは、伴奏アレンジを懲りすぎてコテコテの失敗作になることもあるが、このアルバムのバックオケは原曲のイメージをほぼ残していて、これも素直で二重丸だ。
う~ん、ジュディ・オング…いいんじゃな~い。


このアルバムのPV


スタンダードポップスのメドレー



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ザ・ビートルズ <プリーズ・プリーズ・ミー>



関東地方は陽射しなく肌寒い一日。格別の用事もなく、一日ボーッと過ごす。夕方、音盤棚を眺めていてたら、何の脈絡もなく久々にビートルズでも聴こうかと思い立ち、彼らの最初のアルバム<プリーズ・プリーズ・ミー>をターンテーブルにのせた。そういえば、だいぶ以前にこの盤を聴いたときに記事にしていたことを思い出し、以下に再掲。


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振り返ってみると、彼らが活躍したのはわずか10年ほど。解散後の40年を思えば随分と短かったと実感する。ぼくはビートルズのファンでもなんでもないが、中学生の頃はラジオのスイッチを入れればビートルズやローリングストーンがリアルタイムで流れていた時代だったので、当然馴染みはある。まだクラシックには目覚めていなかった時期で、ポップスをそれなりに楽しく聴いていた。但しレコードにあてるほどの小遣いもなく、そもそもステレオ装置も持っていなかったから音源はもっぱらラジオだった。
手持ちのビートルズのレコードはすっかりオッサンなってから何となく集めたもの。リサイクルショップのジャンク箱から救済してきたり、会社の同僚がもう聴かないからと譲ってくれたり、そんな風にして大体のアルバムがほとんど投資なしで集まった。

さて<プリーズ・プリーズ・ミー>。この盤は勤務先近くのリサイクルショップで入手した。この盤と同時に初期のアルバム5枚がまとまって@100円で並んでいた。オリジナルフォーマットのモノラルカッティング、帯付き、盤質は新品同様…という中々の掘り出し物だった。日本での本アルバムのリリースは遅く、ビートルズ解散から6年後の1976年6月のことであった…とwikipediaで知った。さらには米国ではCD期までリリースそのものがなかったとのこと。この盤がそのときのものか、その後の再発盤か、その辺りの事情については深入りするほどの知識もないので省略する。収録曲は以下の通り。

A面
アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア/ミズリー/アンナ/チェインズ
ボーイズ/アスク・ミー・ホワイ/プリーズ・プリーズ・ミー

B面
ラヴ・ミー・ドゥ/P.S.アイ・ラヴ・ユー/ベイビー・イッツ・ユー
ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット/
蜜の味(ア・テイスト・オブ・ハニー) /ゼアズ・ア・プレイス/ツイスト・アンド・シャウト

東芝EMI仕様のレッドカラー盤に針を落とす。わずかなサーフェイスノイズのあと、ワン、ツー、スリー、フォーの掛け声と共に第1曲<アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア>が勢いよくスピーカーから飛び出してきた。モノラルではあるがカッティングレベルが高く、凝縮されたエネルギー感あふれるサウンドが素晴らしい。以降、アルバムタイトルチューンでシングルヒットした<プリーズ・プリーズ・ミー>も含め彼らのオリジナル曲や当時の定番ロックンロールなども織り交ぜて中々楽しいアルバムだ。音質同様、彼らの演奏もフレッシュかつエネルギッシュで、スタジオライヴを聴く趣きがある。実際この盤のほとんどの曲はオーバーダビングなしの一発録りで録られたという。なるほどと合点。
ビートルズの曲をほんの申し訳程度にしか聴かないぼくなどがコメントするのは大そう気が引けるのだが、ビートルズはやはり60年代半ばまでの初期のものがいい。それ以降は多様な音楽的要素や音響的トライアルが導入されたり、様々なメッセージが込められたりと、確かに音楽として熟成されている。しかし英国のやんちゃな若者がストレートに音楽を楽しんでいるという感じはなくなる。その点このアルバムはぼくにとってはビートルズのビの字を感じさせてくれる名盤だ。


<アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア>


<プリーズ・プリーズ・ミー>


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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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