カフェブロッサム



一月最後の日曜日。先日来の冷え込みが緩み、日中の気温は10℃を超えて穏やかな日和となった。昼をはさんで外出。途中出先で昼ご飯。栃木県内山里。北関東自動車道(…というだけで、かなりのローカルネタだが)の佐野田沼ICあるいは足利ICから30分ほど。<こんなところにこんな店が…>的一軒家。かねてより噂は聞いていたが今回初めて立ち寄ってみた。

どこまでが店の敷地か分からないほどの広大な敷地と自然の中にたたずむヴィンテージ&カントリーなログハウス。貿易商を営んでいたという白い髭をたくわえた70代店主は、まるで物語から飛び出して来た様。自ら米国仕込みのステーキそしてローストビーフを暖炉で焼き、地場産の無農薬有機栽培の野菜と共に供す。肉は野趣にあふれながらもどこか洗練もされていて美味。野菜の甘さにも驚く。


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ローストビーフは週末のみ用意。230グラムと130グラムの選択。肉質柔らかく、スパイシー!…うるせえ、と言いたくなる程シンプル、かつ絶妙な塩梅のくどくないソースとのマッチングも良好で230グラムはぺろりといけるだろう。300グラムのステーキも、何でも「柔らかくて美味しい~」はねぇだろう!と言いたくなる肉らしい肉。暖炉で燃え盛る薪のフレーバーものる熱々を塩と胡椒だけでガツガツと食す。合間に、焼きたてのパンをオリーブオイルに付けて口に運ぶ。添えられた野菜類も何も足さない何も引かない的なシンプルさながら、素材の味わい十分で、野菜をそれほど好まないぼくが「人参おかわり下さい」といいたくなるほどだ。


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インターネット黎明期を思わせる手作り感MAXのホームページはこちら。佐野アウトレットツアー、日光散策の前後にでもどうぞ…とのこと。但し、アクセスは車必須です。


店の紹介動画。

Cafe Blossom in HIKOMA from nostos-algia on Vimeo.



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益田展行ギターリサイタル@近江楽堂



週末金曜日。都内での仕事を五時ちょうどに終えたあと、新宿の隣り町、初台へ。久々にギターのコンサートを聴いてきた。


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すでに20枚余のCDをリリースし、多彩な活躍をしている益田正洋氏(G)の弟である益田展行(のりゆき)氏のリサイタル。益田展行氏は2003年に東京国際ギターコンクールで首席となり、翌年からドイツへ留学。ケルン音楽大学他で研鑽を積み、内外15の国際コンクールで上位入賞を果たしている。ヨーロッパでのコンサート活動ののち、2012年から日本に活動の拠点を移し、現在に至っているとの由。このたびファーストアルバム<バッハ作品集>をリリースしたのに合せ、まず大阪で、そしてきょう東京でリサイタルが開かれた。初台の東京オペラシティ3階にある近江楽堂。プログラムは以下の通り。CDリリースに合せて収録曲を並べ、さらにBWV998を加えた内容。ギター弾きならずとも、このプログラムが相当な重量級のプログラムであることは察しがつくだろう。

J.S.バッハ(編曲:益田展行):
プレリュード、フーガ、アレグロ ニ長調 BWV998
無伴奏ヴァイオリンソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005
Adagio – Fuga – Largo – Allegro assai
  ―休憩―
無伴奏ヴァイオリンソナタ 第1番 ト短調 BWV1001
Adagio – Fuga/Allegro – Siciliana - Presto
無伴奏チェロ組曲 第6番 ニ長調 BWV1012
Prelude – Allemande – Courante – Saravande – Gavotte 1/2 – Gigue

近江楽堂は東京オペラシティ・コンサートホールに隣接し、礼拝堂をイメージして作られた小ホール。良好なアコースティクで<よく響くホール>として有名だ。ギターをはじめ、リュート、チェンバロなど比較的小音量の古楽器系の演奏会に好んでよく使われる。当夜も50席ほどの椅子が並べられた。
定刻の19時ちょうどに客電が落ち、益田氏登場。慎重にチューニングを確かめてから、BWV998が始まった。端整なアプローチ、適正なテンポ、粒の揃った音色でプレリュードが歌われる。音のバランスとしては中低音がしっかりと鳴り、高音域はその上に出しゃばらずにのる。フーガでの各声部のキープや幾度となく出てくる主題の提示も明確だ。アレグロは一転して高速スケールが冴える。スケールを下支えする左手の押弦とポジション移動も無駄な動きがない。以降の曲も変わらず、整った様式感と滑らかな音色で安心して音楽に浸れる。

あえて不足感を唱えるとした、蒸留水のようなその語り口と音色だろうか。アンコール含めて2時間近い演奏のうち、ぼくが見ていた限りでは右手の打弦はすべてアルアイレ。緩徐楽章ではアポヤンドでメロディーラインを際立たせるかと思っていたが、それもなかった。曲の性格からして、常に多声をコントロールし、高速のスケールを粒立ちよく弾く必要を考えれば、アルアイレ奏法が妥当だろうし、この日の会場は大声を上げなくても十分響くだろうという計算もあっただろう。しかし、どこか深みのある音、音色で訴える場面はなかった。もっとも古典期以前の作品で、<美音>を訴えるような右手のタッチや歌い回しは、悪趣味になりかねないので難しいところだ。

重量級のプログラム終了後のアンコールもすべてバッハで、無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番BWV1003からAndanteとAllegro、そして無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番BWV1006のプレリュードが演奏された。
会場にはCDのライナーノーツも書いている濱田滋郎氏、ギター製作家の今井勇一氏、都内のギター専門店の店主ら、兄の益田正洋氏、さらにmixiで見知った都内のアマチュアギター弾きらの姿も散見。使用楽器は、ヘッドデザインとボディーシェイプからカール・ハインツ・ルーミッヒかと思っていたが、終演後益田氏のうかがったところ、ピンポンッ!であった。
凍てつく夜に端整なバッハ。よいコンサートだった。


先週1月13日発売のファーストアルバムのPV。


山下和仁のBWV1012 Prelude



BWV1001の11弦ギターによる演奏。



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小林美樹(Vn)来演



きのう土曜の夜は群馬交響楽団(群響=グンキョウ)の演奏会へ。昨年夏以降、群響の演奏会もすっかりご無沙汰してしまっていて久しぶり。きのうのコンサートは本拠地高崎で行われる定期演奏会とは別枠の、いわゆる名曲コンサートとして県内各地で行われるものの一つ。ちょうど一年前は成田達輝(Vn)が、夏にはマキシミリアン・ホルヌング(Vc)がそれぞれ来演したときに聴きに行った。


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今回は新進気鋭のヴァイオリニスト小林美樹が来演。華やかな若手女性奏者来演で前評判も高かったようで、拙宅から徒歩15分の前橋市民文化会館は満席。プログラムは以下の通り。冬のこの時期に相応しいというべきか、オールロシア物のプログラム。

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 グリンカ:歌劇<ルスランとルドミュラ>序曲
 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調
  ―休憩―
 ムソルグスキー(ラベル編):組曲<展覧会の絵>
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  小林美樹(Vn)
  指揮:マティアス・バーメルト 管弦楽:群馬交響楽団
  2016年1月16日 前橋市民文化会館
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小林美樹は2011年にヴィニャフスキーコンクールで第2位になり一躍注目を集めた若手奏者。いつも古めの音盤ばかり聴いていて、「音楽界の今」にまったく不案内なぼくは、この演奏会のポスターを見て、初めて彼女のことを知った。スイス生まれの指揮者:マティアス・バーメルトも、名前だけは見知っていたが手持ちの音盤には見当たらず。60年代後半にモーツァルテウム管弦楽団でオーボエ奏者を務め、その後渡米。セルやストコフスキーの指導を仰いだとのこと。マゼール時代のクリーヴランド管では常任指揮者の一人。広いレパートリーをもつと同時に音楽史上で埋もれた曲の発掘に取り組んでいる由。

定刻の18:30に団員登場。客電が落ちて、お馴染みの<ルスランとルドミュラ>序曲で開演となった。
華やかな開幕に相応しい<ルスランとルドミュラ>。快速調を狙う演奏ではムラヴィンスキーの快演を前にすると、いずれも顔色を失うのだが、きょうの演奏は別な行き方もあるのだなあと思わせるもの。速からず遅からずの中庸のテンポながら、冒頭からずっしりと重量感のある響き。具体的には低弦群を強調しかつ適度なアクセントを施すことで、落ち着きと重量感を与えているように感じた。ドイツ風のグリンカか。曲中2回出てくるチェロの流れるようなフレーズの2回目には音量を極端に落とすというギミックも披露するあたりは、指揮者バーメルトの演出だろう。

あいさつ代わりのグリンカのあとは、本日のお目当て小林美樹が登場。すらりとした姿と長い髪に深紅のロングドレスが映える。ちょうど二十代半ばとのことだが、ネットで見られる写真と比べるとずっと大人っぽく、すでにコンサートヴァイオリニストとしての貫禄させ備わっているように見えた。
立派なチャイコフスキー。国際コンクールで上位入賞するほどだから、そんなことは当たり前なのだろうが、余裕のある歌いっぷり、急速部での技巧、まったく不安がない。第1楽章はテンポ中庸でよく歌う。指揮者のバーメルトは中間部のalla polaccaでテンポを落とし、グリンカで見られた重量感を感じさせる解釈だ。第2楽章はやや控え目な抑揚で品格が高い。第3楽章は一気にテンポを上げて入る。しばしば省略される主題の繰り返し部はすべて繰り返し有り。ソロとオケの受け渡しもスムースに進み、最後の掛け合いでは一層テンポを上げて白熱しつつ大団円となった。鳴り止まぬ拍手に応え、アンコールとしてクライスラーの<レチタチーヴォ・スケルツォ>が演奏された。

休憩はさんで後半のムソルグスキー。当夜のオケは12型。さほど大きくはない会場の前橋市民文化会館では過不足ない編成で、ステージ上には通常の楽器群に加えて各種の打楽器群、ハープ、チェレスタなどがところ狭しとならぶ。指揮者のバーメルトはソロとの合わせが必要なチャイコフスキー以外すべて暗譜で指揮。<展覧会の絵>もすっかり手の内のレパートリーなのだろう。テンポ、バランスなど違和感のないもので、曲全体安定した運びだ。

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<S・ゴールドベルクとシュミーレ>のトランペットも好演。問題になる例の箇所(写真)はシャープ付きで奏され、また終曲<キエフの大門>後半のグランカッサは他のトゥッティの拍頭に合せて打たれた。合奏全体に弦楽を主体にした低重心の解釈はグリンカと共通で、どうやらバーメルトの個性のようだ。 ブラーヴォ入りの拍手に応え、チャイコフスキーVn協奏曲第3楽章と同じリズムの、くるみ割り人形<トレパーク>が奏された。

ちょっと濃い目のロシアンナイト。会場の熱気を身体に残しつつ、凍てつく冬の道を家路へと急いだ。


2011年ヴィニャフスキーコンクールでの模様。モーツァルトのVn協イ長調K.219第1楽章、ヴィオラとのドッペルK.364第1楽章。



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トルトゥリエのバッハ無伴奏チェロ



今週になって寒波到来とやらで、確かに朝の冷え込みはこの時期相応という感じではあるが、昼は当地名物の季節風もなく穏やかな日和だ。今週も何とか終了。お疲れ様でした。ふ~っ!
あすは土曜。今夜はノンビリしましょうか、というわけで何日かぶりにオーディオセットの灯を入れ、例のトルトゥリエのボックスセットからバッハ無伴奏チェロの盤を取り出した。以前に一度記事にしているので、これもまた再掲となる。


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トルトゥリエはバッハ無伴奏を2回全曲録音している。1960年に録音した盤について以前記事にしたことがあった。このボックスセットの入っているのは再録された1982年4月録音のもの。ロンドンのテンプル教会でデジタルで録られている。
1914年生まれのトルトゥリエが68歳の録音ということになるが、さすがに40歳代旧盤の切れの良さと勢いをまず先に感じる演奏とはひと味違う。もちろん大家然とした貫禄だけの演奏ではなく、技巧的にも衰えはほとんど感じないし、音色もまろやかで極めて美しい。テンポは旧盤よりやや遅めになり、フレーズの一つ一つを丁寧に弾き進めている。録音も音像がモノラル的にコンパクトで、残響も過度でなく、ちょうどよい距離感。モダンチェロによるバッハ無伴奏の一つの理想的な演奏だと感じる素晴らしい演奏だ。


1990年12月亡くなったトルトゥリエ。この映像は亡くなる五ヶ月前1990年7月のものだそうだ。



近年研究が進んで次第に明らかになった、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ(肩掛けヴァイオリンチェロ)による演奏も最近興味を持っている。バロックヴァイオリンの一人者;寺神戸亮による詳しい解説が以下で聞ける<ヴィオラ・デ・スパッラの解説>
http://columbia.jp/artist-info/terakado/COGQ-32-3.html#movie
寺神戸亮;ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラによる無伴奏チェロ組曲の録音セッションについて。
http://columbia.jp/artist-info/terakado/special.html

セルゲイ・マーロフのよるヴィオロンチェロ・ダ・スパッラでの演奏。



ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラをまじえた演奏。クイケン率いるラ・プティット・バンド



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どら焼きLOVE



都内での仕事帰りに日本橋へ。三越本店で冬物バーゲンとの案内が昨年末に来ていたので、ちょっとのぞいてみることにした。さすがバーゲン初日。平日にも関わらず、ケッコウな混み様。もっとも、混んでいるいってもさすがは三越。テレビで目にするような我先にと争そうような光景はない。8割は女性客。残り2割の男性陣のうち半分は夫人同伴のオジサン、半分はぼくのような仕事帰りの勤め人という感じだ。バーゲンになると昨日までの商品がいきなり半額。昨年来よく利用している某ブランドショップで秋冬物の服を少々購入して内需拡大に貢献した。

ところで…
三越への道すがら、地下鉄日本橋駅を出てすぐのところに、どら焼きで有名な「うさぎや」があって、近くを通りがかるときは立ち寄ることにしている。夕方の時間帯になることがほとんどで、売り切れ御免のときが多いのだが、きょうはまだ販売しているというので、どら焼きを買い求めた。「うさぎや」は元々上野に店があり、その後日本橋と阿佐ヶ谷にのれん分けされたとのこと。日本橋にも本店ときょう入った中央通り店の二店舗がある。


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根っからの甘党というわけではないが、下戸であるぼくにとってどら焼きは、和菓子の中ではもっとも好きな甘味類の一つだ。老舗名品に限らず、コンビニのどら焼きも中々美味しく、よく食べる。舌を噛むような横文字菓子と違い、気取ったところがなく、いたって庶民的で好ましい。ここ「うさぎや」のどら焼きは評判通りのもの。ふっくらと柔らかい皮は他店のものではみられない。中のあんこは甘味少々控えめながら、炊き具合が絶妙で、水分を十分残し、コクもある。これと渋茶あるいは深煎り珈琲とのコンビは、夜といわず昼といわず、絶好の憩いの友。メタボな身体に寝しなの菓子類は禁物と承知しつつ、withフチ子の珈琲をチビチビやりながら、厳冬の夜は更けていくのでありました。


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コンヴィチュニーのベートーヴェン



三連休最終日もつつがなく終了。相変わらずの好天だったが、気温は少しずつ下がってきて、ようやくこの時期らしくなってきた。あすから仕事という晩。部屋を暖めて、少し古めの演奏を聴こうかとこの盤を取り出した。


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フランツ・コンヴィチュニー&ライプツィッヒ・ゲバントハウス管弦楽団によるベートーヴェン。手持ちの盤は10年ほど前に出た写真のボックスセット。ベートーヴェンとシューマンの交響曲全曲や序曲類のほか、オイストラフ親子がソロをとるバッハやモーツァルトのヴァイオリン協奏曲などが収められている。
ぼくら世代のクラシックファンにとっては、コンヴィチュニー&ライプツィッヒゲバントハウス管と聴くだけで東独のシブい演奏をイメージする。実際コンヴィチュニーはフルトヴェングラー時代の同オケでヴィオラを弾きその後指揮者に転向。旧東独内の歌劇場でキャリアを積み、シュターツカペレ・ドレスデンではマタチッチの、またシュターツカペレ・ベルリンではスウィトナーの前の代の首席をそれぞれ務めた。キャリアとしては完全にドイツの伝統的なカペルマイスターだ。

そんな渋く古臭いイメージかと思ってこの盤のベートーヴェンを聴くと、実はあっけなく裏切られる。今夜は第2番を聴いているが、その溌剌とした演奏に驚く。ドイツの伝統的なオケらしく弦楽をベースにした響きで、しかもそれが予想以上に引き締まっていて、正に筋肉質の響きだ。アンサンブルも素晴らしく、アインザッツに曖昧なところは皆無。ビシッビシッと縦の線が決まる。1960年の録音ながら、オケの前後左右の展開や各パートの分離も申し分ない。対向配置を取り、左奥から聴こえてくるコントラバスの最低音もしっかり捕らえられて安定感は万全だ。木管はやや遠目の音像で落ち着いた音色。金管群も派手さはないが、ここぞというところで突き抜けるように強奏してオケ全体の緊張感を更に高める。テンポ設定も実のオーソドックスながら最終楽章などはmolte e vivaceの指示を反映するように実に快速調で、コーダの追い込みも素晴らしい。一方で色気を出してメロディーを甘く歌おうなどという媚びは皆無。これぞドイツ伝統の響きということだろうか。いや~、恐れ入りました。


幸い同コンビの多くの録音がYouTube音源で聴ける。
ここではきょう車中でも聴いた第2番の第1楽章を貼っておく。提示部を繰り返したあとの展開部に入って(7分45秒過ぎ)短調に転調する辺りからの緊張感はこの曲を聴く醍醐味の一つだ。



ついでに第2楽章も。ベートーヴェンが書いた緩徐楽章の中でもひときわ美しい楽章だ。
ワルターのように甘美に歌ったりはしていない。


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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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