コンヴィチュニーのベートーヴェン
三連休最終日もつつがなく終了。相変わらずの好天だったが、気温は少しずつ下がってきて、ようやくこの時期らしくなってきた。あすから仕事という晩。部屋を暖めて、少し古めの演奏を聴こうかとこの盤を取り出した。


フランツ・コンヴィチュニー&ライプツィッヒ・ゲバントハウス管弦楽団によるベートーヴェン。手持ちの盤は10年ほど前に出た写真のボックスセット。ベートーヴェンとシューマンの交響曲全曲や序曲類のほか、オイストラフ親子がソロをとるバッハやモーツァルトのヴァイオリン協奏曲などが収められている。
ぼくら世代のクラシックファンにとっては、コンヴィチュニー&ライプツィッヒゲバントハウス管と聴くだけで東独のシブい演奏をイメージする。実際コンヴィチュニーはフルトヴェングラー時代の同オケでヴィオラを弾きその後指揮者に転向。旧東独内の歌劇場でキャリアを積み、シュターツカペレ・ドレスデンではマタチッチの、またシュターツカペレ・ベルリンではスウィトナーの前の代の首席をそれぞれ務めた。キャリアとしては完全にドイツの伝統的なカペルマイスターだ。
そんな渋く古臭いイメージかと思ってこの盤のベートーヴェンを聴くと、実はあっけなく裏切られる。今夜は第2番を聴いているが、その溌剌とした演奏に驚く。ドイツの伝統的なオケらしく弦楽をベースにした響きで、しかもそれが予想以上に引き締まっていて、正に筋肉質の響きだ。アンサンブルも素晴らしく、アインザッツに曖昧なところは皆無。ビシッビシッと縦の線が決まる。1960年の録音ながら、オケの前後左右の展開や各パートの分離も申し分ない。対向配置を取り、左奥から聴こえてくるコントラバスの最低音もしっかり捕らえられて安定感は万全だ。木管はやや遠目の音像で落ち着いた音色。金管群も派手さはないが、ここぞというところで突き抜けるように強奏してオケ全体の緊張感を更に高める。テンポ設定も実のオーソドックスながら最終楽章などはmolte e vivaceの指示を反映するように実に快速調で、コーダの追い込みも素晴らしい。一方で色気を出してメロディーを甘く歌おうなどという媚びは皆無。これぞドイツ伝統の響きということだろうか。いや~、恐れ入りました。
幸い同コンビの多くの録音がYouTube音源で聴ける。
ここではきょう車中でも聴いた第2番の第1楽章を貼っておく。提示部を繰り返したあとの展開部に入って(7分45秒過ぎ)短調に転調する辺りからの緊張感はこの曲を聴く醍醐味の一つだ。
ついでに第2楽章も。ベートーヴェンが書いた緩徐楽章の中でもひときわ美しい楽章だ。
ワルターのように甘美に歌ったりはしていない。
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