ラミレスの符丁



先日のハウザーに続き、セニョリータ:ラミレスの弦を交換した。
手持ちのラミレスは1978年製。ちょうど6年前の2010年正月、日々の仕事に辟易していた時期で、ストレス発散もあって手に入れた(不純な動機でラミレスには申し訳なかったが…)。その時点で30年近く経過していたわけだが、弾きキズ一つないデッドストック状態のものだった。ラミレスギターは60年代に大きく伸長し、世界的なブランドとなった。同時に合理化された生産設備を整え、当時そして今でも主流の個人工房での<製作>から転じて、<生産>というべき形態になった。しかし、ラミレス3世の書いた本にもあるように実態としては多くの職工が各人の責任において完成まで目を通していたといわれる。そして出来上がったギターにも各職工が責任と自負を持っていたことから、ギター内部のサウンドホールから見える場所に製作者を示すイニシャルをスタンプしていた。ところが、セゴビアが愛用したラミレスのスタンプがMT(マリアノ・テサーノス)だったこともあり、以来有名ギタリストが使うラミレスの特定のスタンプに人気が集中することになった。日本にラミレスを持ち込み、現在まで多くのラミレスを扱ってきた荒井貿易(Aria)会長:荒井史郎はスタンプの廃止を申し入れ、1971年からスタンプがなくなったという。しかしイニシャルスタンプが廃止された以降も、実は普通には見えないところに番号がスタンプされ、その番号によって製作担当者を判別できるようになっていた。


R0013776 (560x560)  Ramirez_1978_1a.jpg

ぼくのラミレスはすでにイニシャルスタンプが廃止されてかなり経つ時期のものだが、その番号からマヌエル・カセレス作のものと判明している。その番号は表板裏側(ギターの胴内部)のネック取付け部分近くに、かなり大きなスタンプではっきりと押印されている。No.8がマヌエル・カセレスを示す番号だ。この番号の情報は現在、ラミレスギターのHPで確認できる。HPメニューにあるabout Ramirez~History~Disciplesとたどっていくと、DISCIPLES OF THE RAMIREZ HOUSE (initials /numbers)と出て、お馴染みのラミレス工房で活躍した職工の名前が出てきて、同時にイニシャルや番号も確認できる。(以下のURL参照)
https://www.guitarrasramirez.com/index.php?seccion=sobre_ramirez&subseccion=Historia&subart=discipulos&lang=en

マヌエル・カセレス(1947-)は1978年にラミレス工房を離れ、自身の工房(こちらにマイギターも作ってくれた田邊雅啓さんのレポートあり)を開いた。だからぼくの1978年製ラミレスは、1964年からラミレス工房での仕事を始めたカセレスの同工房での最終期のものということになる。そして現在カセレスは、ラミレス工房後の師匠でるアルカンヘルの後継者としてその工房を引き継いでいる。バルベロ、アルカンヘルと続いてきたマドリッドの系譜はマヌエル・カセレスが担うことになりそうだ。


ジョン・ミルズがラミレスギターを使って録音したアルバムから。指の第一関節が伸びた状態からのアポヤンドは昨今ほとんどみられなくなった。


エヴァ・ベネクが弾くラミレス2世1943年作。低音のウルフトーンが低く(おそらくF~F#)設定されていて、時折り6弦ローポジションの低音がドスンッと響き、そして高音は軽やか。この当時のラミレスは、まだ軽く作られ古いスパニッシュの味わいをもつ楽器だった。



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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