スウィトナー&SKB ブラームス交響曲第2番ニ長調
桜も散って新緑の季節を前に行きつ戻り三寒四温の日々。それでもきょうは暖かく、昼間はきっちりネクタイをしていると汗ばむほど。何となく初夏だなあと感じ、この時期になるとほとんど条件反射的に聴くこの曲を取り出した。


ブラームスの第2交響曲。オトマール・スウィトナー(1922-2010)指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団(SKB)による演奏。1984年、お馴染みベルリン・キリスト教会で録られた。手持ちの盤は数年前からキングレコードの廉価盤シリーズで出ているもの。同コンビによるブラームス交響曲全曲がCD3枚でリリースされている。(しばらく前にこのコンビの第3番を記事にした)
構想から二十年を経て1876年に最初の交響曲を完成させたブラームスだが、この第2番はその翌年、避暑地ペルチャッハ(写真)に滞在中に取り掛かり、わずか三ヶ月で完成させた。対照的ともいえる早書きだが、作曲期間ばかりでなく、曲そのものも第1番とは趣きを異にする。第1番がベートーヴェン的な<闘争から勝利へ>とでも言えるような構成と曲想であるのに対し、この第2番は初夏の自然を目の当たりにしたブラームスが、その光景と心情を素直にそのまま音にしたかのように、穏やかな明るさに満ちている。

スウィトナー&SKBによるブラームスはドイツシャルプラッテンによる最後期のアナログ録音。同じコンビながら、同時期のベートーヴェンやシューベルトなど、日本コロンビアによる一連のPCM(デジタル)録音とは録音ポリシーが異なるようで興味深い。豊かなホールトーンと、どっしりとしたピラミッドバランスの音作りでは共通しているものの、日本コロンビア録音は響きが明るく、中高音に幾ばくかのきらめきがあって、よりハイファイ調といえる。一方、この盤にドイツシャルプラッテン録音は、細部にこだわらず、マスの響きが重視されている。単純にアナログ録音だからというわけでもないだろう。
そんな録音条件もあって、この演奏は渋く、そして美しい。曲想の明るさを控え目に表現するかのように、すべてが穏やかで、第1楽章から第3楽章まで、突出するような音響はほとんどない。音楽は終楽章になってみわかに活気を帯び、コーダでは一気に突き抜けるかのように燃焼する。硬派なベーム、緻密なヴァント、流麗なカラヤン。そんな幾多の名盤に混じって、このスウィトナー盤も初夏の夜にやや絞り気味のボリュームでしみじみ聴くのに相応しい演奏だ。
アナログ盤の音源。第1・2楽章
ティーレマン&シュターツカペレ・ドレスデンによる全曲。美しいゼンパーオパー。
★★追伸★★
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