チック・コリア&リターン・トウ・フォーエヴァー <ライト・アズ・フェザー>



関東地方は梅雨入り前の湿度感MAXの一日。きょうで五月も終わりだ。あっという間に今年も折り返し点に近づく。何だか呆気ないよなあ…。さて、そんなちょっとはっきりしない天気と気分を吹き飛ばそうかと、こんな盤を取り出した。


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チック・コリア&リターン・トウ・フォーエヴァーの<ライト・アズ・フェザー>。海の上を渡るカモメのジャケットが印象的なデヴューアルバムがヒットしたチック・コリア&リターン・トウ・フォーエヴァーの第2作がこの盤。名曲<スペイン>が誕生した盤でもある。録音は1972年10月、ぼくが高校3年の年だ。チック・コリア&リターン・トウ・フォーエヴァーを知ったのは大学に入ってからのこと。同じ学科のジャズマニアが、いま最先端のジャズはこれだと紹介してくれた。当時ぼくはクラシックの保守本流まっしぐらの日々だったが、友人宅で聴いたチック・コリア&リターン・トウ・フォーエヴァーのデビューアルバムは中々刺激に満ち面白かった。

このアルバムもデヴューアルバムの路線を受け継いでいて、シュトックハウゼンやジョン・ケージら、クラシック界の前衛音楽のエッセンスやラテンフィーリングの卓越したリズムを取り入れるなど、刺激に満ちながらもポピュラリティにもあふれていて素晴らしい。ベースのスタンリー・クラークやドラムのアイアート・モレイラのバックは何度聴いても文句無しにカッコいい。最近ジャズといえば、カフェで流れるような耳当たりのいい甘口ジャズばかりが持てはやされるが、こうした実験的要素や新たな試みにあふれ、しかもノリの良さや親しみやすさも兼ね備えたジャズがあることも再認識したい。


ポピュラリティの高い名曲<スペイン> いうまでもなくモチーフはロドリーゴのアランフェス協奏曲。
この曲のオリジナルであるこの盤の音源。


スティーヴィー・ワンダー他


カシオペア(野呂一生、向谷実、櫻井哲夫、神保彰)+久保田利伸+土岐英史。1990年頃のTV映像。



この盤の全曲。LP盤音源とのこと。
https://youtu.be/GkiYfwtrb3w

1 — You're Everything (0:00)
2 — Light as a Feather (5:04)
3 — Captain Marvel (15:48)
4 — 500 Miles High (20:52)
5 — Children's Song (29:44)
6 — Spain (32:33)

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ポリーニ&ベーム・VPO ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番ト長調



五月最終週の週明け月曜日。先週末から少々業務停滞かつ苦戦中。何とか明日中には処理をして今月を終えたいところだが…。さて、そんなことを考えつつ、数日ぶりにアンプの灯を入れ、こんな盤を取り出した。


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ポリーニの弾くベートーヴェンのピアノ協奏曲全集。80年代前半に出た最初の全集(のちに90年代に入ってアバド&ベルリンフィルと再録)。随分前に中古レコード店で叩き売られていた。ベーム指揮で全曲録音予定だったが、ベームの死去に伴い1番と2番はヨッフムが引き継いだ。オケはすべてウィーンフィル。このうち4番は1977年アナログ期最後の優秀な録音。当時ポリーニは30代後半のもっとも華やかに活躍していた時期にあたる。ちょっとサーチしてみたら、だいぶ前に一度記事に取り上げていたので、再掲しておく。

5曲あるベートーヴェンP協のうちどれを選ぶかといわれれば、知名度で勝る第5番<皇帝>を横において迷わず3番と4番だろう。中でも4番はその革新性において格別の存在だ。第1楽章はしっかりした構成ながら力ずくの強引なところがまったくなく、楽章全体を静けさが支配している。この曲を最もよく特徴付ける第2楽章は、弦楽ユニゾンとピアノソロが対照的なそれぞれのフレーズを進めつつ、同時に不思議な統一感を感じさせ瞑想的な音楽を繰り広げる。第3楽章のロンドは一転、軽快かつチャーミング。協奏曲の最終楽章にしばしば置かれるロンド形式だが、ピアノ協奏曲にこそ相応しいと感じる。鍵盤から次々に放たれる音の粒が空間に飛び散るようで、くるくる回るロンドのイメージそのものだ。ポリーニのピアノはクリアな音色と明快なタッチで曖昧なところがなく、第4番のひんやりとした温度感の曲想にもピタリ。最晩年のベームとウィーンフィルのコンビもやや古風な造詣ながら柔らかな音色で文句なしだ。


この盤の音源。


第5番の第1楽章。取り上げた盤と同じベーム&VPOとの演奏。70年代後半のこの時期、レコーディングセッションと同時に映像も残されることが多かった。当然ながらポリーニも若い。


2004年@ルツェルン。アバドとの第4番第1楽章のさわり。



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カフェブロッサム 2016初夏



野暮用外出に引っ掛けて、隣県栃木山中のカフェブロッサムを再訪。先回初めて訪れたのが今年の一月末だからちょうど四ヶ月ぶり。築三十年のヴィンテージ&アンティークなログハウス周辺はまばゆいばかりの新緑。わずかに木立をゆする風と鳥たちのさえずりだけが響く。


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11時半に予約をして現地着。気持ちのよいテラス席に座る。きょうは看板メニューの一つ、ローストビーフを注文。肉は朝から火を入れた暖炉ですでに程よく焼き上がり、地場産野菜とパンをシンプルに塩・胡椒とオリーブオイルで食していると、待つまでも無く供される。赤身の肉は柔らかくジューシー。野趣にあふれながらもどこか洗練もされていて美味。さっぱりとしたソースの塩梅が絶妙で、ハーフポンドは難なく腹に収まる。


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貿易商を営んでいたという白い髭をたくわえた70代店主は、まるで物語から飛び出して来た様。分別臭いことは言わず、フレンドリーかつ品よく会話の相手をしてくれる。インターネット黎明期を思わせる手作り感MAXのホームページはこちら。佐野アウトレットツアー、日光散策の前後にでもどうぞ…とのこと。
アウトドア派、ログハウス好き、ターシャ・チューダー派やナチュラリストなど、関東一円在住なら一度は訪れる価値有りかと。但し、アクセスは車必須です。次回は錦秋の頃にせひまた。


店の紹介動画。

Cafe Blossom in HIKOMA from nostos-algia on Vimeo.



こちらも



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陶器製スピーカーCERAMUSICA



晴天夏日の予報が少々はずれて、好天ながら気温ほどほどで快適な土曜日。車を走らせ、郊外で開かれていた<榛名山麓工芸展>なるイベントを覗いてみた。今回で9回目。陶芸、木工、染色など9名の作家の作品展。実用品主体で、自由に手に取り、その場で購入も可。洒落た会場建物の造形と相まって、小一時間のよい気分転換。


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木の造形を生かした会場に入ると、奥の部屋からチェロの響きが聴こえてくる。折からサロンコンサートでもやっているのかなあと進んでいくも、コンサートの様子はない。あれ?と思いつつ部屋を見回すと…


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床の上に無造作に置かれた、バスケットボールほどの球形スピーカが一対。ミニコンポにつながれ、そこからチェロの音が流れていた。あらためて聴けばもちろん生音ではなかったが、生音と勘違させるほどリアルな音に驚いた。<はるな陶芸工芸製>の陶器製スピーカCERAMUSICA。陶器製のエンクロージャは直径30センチほどの球形で、後ろ面にはバスレフポートが設けられている。ユニットはMarkAudio製のこのあたりだろうか。スピーカとして理想的な形状とされる球体から発せられた音は高い天上高の部屋によく広がり、同時にチェロの胴鳴りを感じさせる低音域もよく伸びている。

小型の製品としてラインナップされているもの
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感心して話を聴くと、ぼくが聴いたものは特注品で販売はしておらず、ふた回り小型の直径20センチほどのものが製品としてラインナップされているとのこと。こちらの通常製品も別室で音が聴いたが、やはりサイズなりにスケールダウンした音。本格的に聴くには物足らないが、小部屋のデスクトップ用途にはいいだろう。いずれもシンプルな形状に工芸品として美しい彩色が施されていて、雰囲気のいい部屋でさりげなくいい音で音楽を聴きたいという向きには好適だと感じた。


こんな器でそばをたぐり、茶漬けをさらりと食べたい。
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いいネ!
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展示主体の食器や道具類も、いずれも簡素ながら美しい形と色合いで、こういう優れた感性によって形作られたものを日用品として使いながら生活すれば、日頃の感覚も清廉で研ぎ澄まされるのかなあと、他力本願に思う。





かねてより陶器はスピーカエンクロージャとしての素性はよいとされてきた。一聴して、木製箱に比べ透明度の高い音がする。こちは陶器の本場、愛知県瀬戸市のメーカによる、かなり本格的なシステム。デジカメによる録音ながら素性の良さはわかる。


開発者による説明
https://youtu.be/Tk492HgEDVY


最近よく見かけるスマホ用陶器製<拡声器> ナイスなテーマ音楽で…井之頭五郎登場!



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福原彰美ピアノリサイタル2016@すみだトリフォニー



きのうは都内での仕事を終えたあと、予定していた福原彰美ピアノリサイタルへ。
すっかり日脚ものびて夕方6時を過ぎてもまだ明るい。会場のすみだトリフォニーへは昨年のちょうど今頃、室内楽新日本フィルの演奏会で行って以来だ。JR錦糸町駅から薄暮の中を歩くこと数分、開場時刻の6時30分少し過ぎて到着。小ホールロビーにはすでにいくつもの人の輪ができている。久々に会い歓談する人、プログラムに見入る人、いっもながらの開演前の心躍る光景だ。

定員250名の小ホールは8割ほどの入り。開演定刻の7時を少し過ぎたところで客電が落ち、福原彰美さんが登場した。濃いネイビーのシンプルなドレス。笑顔で軽く会釈をするとピアノに向かった。実は今回のリサイタルに先立ち、とあるところで彼女の演奏を間近で聴き、そのあと直接話をする機会にも恵まれた(よってこれからは福原さんと呼ばせてもらうことにしよう)。そのときの彼女の印象は、アメリカで15年間過ごし、相応のキャリアを積んだプロのピアニストとは思えないもので、立ち振る舞いから言葉の端々にまで、謙虚さと誠実さにあふれるものだった。まさにやまとなでしこ。当夜のステージの印象もまったくそのままだ。


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すみだトリフォニーホール(小ホール)
2016年5月25日(水)19時開演(18:30開場)
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バッハ/ケンプ編 BWV29より シンフォニア『神よ我ら汝に感謝す』
バッハ/ペトリ編 BWV208より アリア『羊は安らかに草をはみ』
シューマン/リスト編曲 『献呈』作品25より
ブラームス/ピアノ小品集作品118から第1番間奏曲イ短調、第2番間奏曲イ長調
ブラームス/ピアノ小品集作品119 第1番間奏曲ロ短調、第2番間奏曲ホ短調、
第3番間奏曲ハ長調、第4番ラプソディ変ホ長調。
 -休憩-
ショパン/バラード第4番へ短調作品52
ショパン/スケルツォ第2番変ロ短調作品31
ショパン/バラード第1番ト短調作品23
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前半のプログラムはバッハで始まった。カンタータBWV29と208から2曲のピアノ編曲版。BWV29のシンフォニアは無伴奏ヴァイオリンパルティータBWV1006のプレリュードとして馴染みのあるもの。今回は音数が多いというケンプ版による演奏。2曲とももちろんロマン派スタイルの編曲がなされたものだが、コンサート開始にふさわしい穏やかでスムースな弾きぶりで、聴く側の耳と身体も自然と会場とピアノの音に馴染んでいく。ピアノはスタインウェイだが、少し小ぶりなモデル。会場の広さからするとちょうどよいバランスなのだろう(ただ演奏途中、弱音で鍵盤から手を離すとき、ダンパーのせいだろうか、わずかに弦がビビるようなノイズが聞こえることがあった)。バッハ2曲のインロダクションのあと、リスト編のシューマンが続く。ほんの数分の小品だが、いかにもシューマンらしい、うつろうような和声が美しい。バッハと次に続くブラームスとの時代をブリッジする選曲だろうか。

続いては当夜前半のメインであるブラームスの作品118と119だ。
今回のブラームスのこの作品を取り上げるにあたって、これまで慣れ親しんだ解釈を洗い直し、多くの新しい発見をした上できょうを迎えたと、福原さんがプログラムノートに書いている。ともすれば遅いテンポで演奏されがちな、これらブラームスの後期作品の楽譜をもう一度見直し、そこの仕組まれたフレージングやヘミオラ、三度音程の呼応などに光を当て、適正なテンポを再確認したところ、これまでとまったく違った音楽が浮かび上がったと書いていた。実際たとえば作品119の第1番などは、何気なく聴いていると旋律線や拍節、和声展開などがはっきりせず、なんとなくぼやけた印象で始まるのだが、当夜の演奏は冒頭の小節からすべてが明快で、こちらから耳をそばだてて聴きにいかなくても、何の疑問も持たずに音楽が自然に耳に入ってくる感じで、これが福原さんいうところの新たな発見だったのかと、自分なりに合点した。同時に作品119がひと組みのまとまりをもつたセットであることも、各曲の色合いが明確に弾き分けられることで、一層はっきりしてくる。ぼくはピアノ自体に馴染みがないので、音色感やテクニカルなことは不案内だが、福原のさんは絶えず美しい音色で、特に弱音のコンロトールが素晴らしい。一方で作品119の第4番では、堂々としたフォルテの打弦が聴かれたが、それも決してがなり立てるようなものではなく、楽器の特性、会場の大きさや響きに見合う範囲でコントロールされていて見事だった。

20分間の休憩。ホワイエのカウンタで軽くビールを一杯…といきたいところだが、こんなとき下戸はサマにならない。<トーキョーサイダー>なる清涼飲料で一服。強めの炭酸が「くわ~ッ、しみるゥ~!」って…どうみても冴えない。

さて休憩をはさんで、後半はショパンの傑作3曲の堂々たる構成。この3曲、いずれの曲も、構成の大きさ、起伏の拡大、テクニカルなパッセージなど、前半のやや抑え気味の曲調から一転して、ダイナミックな弾きぶりが展開する。小学生低学年の頃からその才能が評価されていた福原さん。おそらく十代前半からこれらの曲を十二分に弾きこなしてきただろう。しかし、手垢にまみれた曲を弾き流すといった風情は皆無。一昔一昔を丁寧に紡ぎだしていく。これはもうテクニックや解釈問題ではなく、彼女の謙虚で誠実な人柄によるものだろう。ショパンをもっとダイナミックに弾く演奏は他にもあるだろうが、2000人の聴衆を前に、強靭にチューニングされた巨大なフルコンサートピアノを力づくで叩きつけるように弾くことにどれほどの意味があるのだろう。ショパンだからといって19世紀風のサロン演奏に回帰するばかりが最善とはいわないが、どこかで折り合いをつけることが必要だ。当夜の福原さんのショパンは、その折り合いの、一つの回答のような気がした。いつか19世紀のプレイエルピアノで彼女の弾くショパンを聴いてみたい。きっとベストマッチするだろう。

一年ぶりとなった当夜のリサイタル。テーマはすべてのものへの<感謝>だそうだ。それを表すようにアンコールでは、自らアレンジしたシューベルトの有名な歌曲<音楽に寄せてAn die Musik>をしみじみと聴かせてくれ、そして最後にショパンの幻想即興曲で一筆書きのような鮮やかなタッチをみせてくれて終演となった。ワレフスカ(Vc)のパートナーに指名されたり、室内楽でも多くの経験をもつのも、譜読みや即応性のレベルの高さによるものだろう。そして繰り返すが、誠実で謙虚な人柄。長らく米国と日本の往復だったが、今般日本に拠点を移すと聞いた。十分なキャリアがあるとはいえ、まだまだ若い。これからの活躍を楽しみにして応援を続けていこうと思いつつ会場をあとにし、少しひんやりとした夜の空気を心地よく受けながら帰途についた。 久しぶりに、心温まる、いい演奏会だった。


福原さんがニューヨークタイムズで好評を受けた時の演奏。



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イヴァノヴィッチ <ドナウ川のさざなみ>



きのうの記事で久々に<金と銀>を聴き、ノスタルジックな気分も手伝って、今夜はこんな盤を取り出した。


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70年代半ばに出ていた廉価盤<Fontana>シリーズの1枚。以前、一度記事にしたもの。CDにもなったようだが現在入手難の様子。「ドナウ川のさざなみ/楽しいワルツのしらべ」と邦題が付いていて、レハールとワルトトイフェル、それとイヴァノヴィッチなど、著名なシュトラウス親子作品に比べてちょっとマイナーな、しかしぼくら日本人にはお馴染みのワルツが並ぶ。ウィーン交響楽団とヴィルヘルム・ロイブナー他の指揮。収録曲は以下の通り。

 ドナウ川のさざなみ(イヴァノヴィッチ)、
 金と銀(レハール)、メリー・ウィドウ・ワツル(同)、エヴァ・ワルツ(同)、
 スケーターズ・ワルツ(ワルトトイフェル)、女学生(同)、スペイン(同)、トレ・ジョリ(同)

70年代当時の感覚でいえばホームミュージックといった感じの盤だろう。その名の通り楽しいワルツ集。シュトラウス親子らと同時代でウィンナワルツと総称していい曲だが、少し素朴で控え目なところがチョイ渋で中々味わい深い。 イヴァノヴィッチ(写真)の<ドナウ川のさざなみ>などは昨今耳にすることすら珍しいのではないだろうか。短調の哀愁あふれるメロディー。昔はよくラジオから流れていた。J・シュトラウスと同世代だったイヴァノヴィッチが<美しき青きドナウ>の向こうを張って作ったのだろう。レハールの<金と銀>はいつ聴いても美しく麗しいし、<エヴァ・ワルツ>はこの盤で初めて知ったが中々華麗なワルツ。フランスのワルツ王;ワルトトイフェルの曲には駄作も多いと聞くが、ここの収められた4曲はいずれも傑作だ。

今どきのホームミュージック入門にはどんな曲がリストされているのか寡聞にして不案内だが、四十年以上そこそこクラシックを聴いてきて古典から後期ロマン派、近現代のメインストリームをひと通り聴きかじっているものの、この盤のような曲を聴いてしみじみするときなど、わが道楽人生の原点にはこうした<昭和のホームミュージック>があることが感じる。


序奏付き正調?!<ドナウ川のさざなみ>


<スケターズ・ワルツ> ロベルト・シュトルツ指揮ベルリン響。


スパニッシュな<女学生> ロベルト・シュトルツ指揮ベルリン響。



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ケンペ&SKDの<金と銀>



早いもので五月も下旬。季節は初夏。梅雨入りまでにはまだ少し間があるが、じわじわと気温、湿度とも上昇中だ。さて本日火曜日も鋭意業務に精励。8時少し前に帰宅した。このところ少々シリアスに音楽を聴いていたので、今夜はちょいと箸休め。こんな盤を取り出した。


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先日の記事で紹介したルドルフ・ケンペ。そのケンペがSKDを振った有名なウィンナワルツ集。1972年暮れから翌年の年明けにかけての録音。ブックレット表紙にも小さく記されている通り、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団;シュターツ・カペレ・ドレスデン(SKD)の創立425年を記念して作られた盤だ。いくつもの名録音を生んだドレスデン聖ルカ教会での録音。手持ちの盤はコロンビアの廉価盤シリーズ;クレスト1000の中の1枚だが、最近も別のシリーズで出ている。収録曲は以下の通り。

 1. J・シュトラウス2世:《こうもり》序曲
 2. J・シュトラウス2世:ワルツ《ウィーンの森の物語》
 3. ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ《天体の音楽》
 4. スッペ:《ウィーンの朝・昼・晩》序曲
 5. レハール:ワルツ《金と銀》
 6. J・シュトラウス2世:ポルカ《浮気心》

さすがに四百年余の伝統を誇る名門SKD。実に上手い。この盤の原題<Galaconcert>に相応しい幕開けの曲<こうもり>の冒頭、弦楽群の速いパッセージや付点音符のアンサンブルがピタリと揃い気持ちがいい。以降お馴染みのウィンナワルツが並ぶが、いずれも整ったアンサンブルとやや速めのテンポで颯爽とした演奏。ロベルト・シュトルツ盤が濃厚甘口とすれば、こちらは淡麗辛口といった風情だ。しかし薄味ではなく、<ウィーンの森の物語>の中間部、短調に転じて出るオーボエソロとそれに続くチェロのメロディーなど、楚々としながらもテンポをぐっと落として十分に歌わせる。全体が速めのテンポなので、この落差がより効果的で、聴く側の気分もパッとギアチェンジされる。現役時代のケンペはどちらかというと万事中庸をいく指揮者と言われていたが、没後に出てきたライヴ録音などから「燃えるケンペ」の側面も知られるようになった。この盤を聴くと、曲が曲なので「燃える」というものではないが、ライヴ感にあふれ、聴かせどころを心得た巧者だとよくわかる。

レハール<金と銀>が格調高い演奏で聴けるのもうれしい。リズミックな序奏のあと、弦のユニゾンでゆったりと出るメロディーはいつ聴いても美しく、どこか懐かしい。<金と銀>やこの盤にはないがワルトトイフェルの<スケーターズワルツ>やイヴァノヴィッチの<ドナウ川のさざなみ>などは、おそらく小学生の頃、音楽の時間にでも聴いただろうし、当時昭和40年代にはラジオやテレビでホームミュージックとしてよく流れていた。その頃の音が脳内のどこかにインプットされているに違いない。シュトラウスの華やかなウィンナワルツに比べ、少し陰りのある曲想がまた味わい深い。


この盤の音源で<金と銀>



濃厚甘口。コクのある演奏と聴かせるロベルト・シュトルツ&ベルリン交響楽団の<金と銀>
チャーミングな序奏のあと1分25秒から弦のユニゾンで主題が奏される。1分50秒過ぎから一旦ディミヌエンドして2分過ぎから主題を繰り返す。繰り返しでは弦パートは弱音で奏され、ハープのオブリガードが浮き出てくる。3分7秒からトリオ風に転調。ヴァイオリンが高音域で優しさに満ちたフレーズを奏で、3分20秒で哀切に満ちた短調となる。3分32秒、短調から一音で再び長調に戻る素晴らしさ。4分10秒から第2ワルツへ。4分17秒からのテーマでシュトルツはテンポをぐっと落としている。4分54秒からの転調で更にテンポダウン。木管群が前打音付きの刻みでワルツの裏拍を際立たせている。5分32秒からの繰り返しでは一層その演出を強調する。その後経過句を経て、6分35秒から第1ワルツが回顧される。



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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