ギターで通奏低音



しばらくご無沙汰しているチェロ相方から、ヴィヴァルディのチェロソナタで遊ぼうと思うのだが、与太さん、通奏低音で入ってくれないかしら…とのリクエストがあって検討中だ。もともと今年三月に同曲の第5番ホ短調をあるところで演奏する計画があったのだが、ぼくの一方的な都合でキャンセルしてしまった経緯がある。今回は本番お披露目はともかく、一度合わせて遊びまショ!…というお誘いで、近々合わせることになりそうだ。ソロパートを弾くチェロ相方に加え、相方知人のチェロ弾きも入って通奏低音パートとして書かれた旋律を受け持ち、ぼくのギターが通奏低音用数字で示される和声を加えるという編成。


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ヴィヴァルディのチェロソナタは6曲が古くから知られ楽譜やCDも出ている。オリジナルに近い楽譜はチェロのメロディーパートと、通奏低音パートで書かれ、その通奏低音パートは定石通り低音部記号の旋律と和声を示す数字で記されている。古楽同好者、チェンバロ奏者、あるいは通奏低音楽器としてのリュートやバロックギターを愛好する輩ならば、その番号を見ながら和音の展開を考えつつ、即興で合の手を入れられるようにトレーニングを積むのが一般的だろう。しかし多くのモダンギター弾き、あるいはモダンピアノだけを弾く鍵盤奏者にとって、この作業は馴染みがない。ぼく自身、アルファベットのコード記号でジャンジャカ伴奏する程度は出来るが、通奏低音の番号譜にはまったく不案内でお手上げだ。仮に和音構成は分かったとしても、合の手のリズムや即興的な旋律などが、バロック作品の様式について学びトレーニングを積んでいないと不可能だ。そこで頼りにするのは、やはり通奏低音に馴染みのない鍵盤楽器奏者でも弾けるように、鍵盤楽器用の二段譜に一つの例示が記譜された楽譜。鍵盤楽器伴奏による多くの演奏がおそらくそうした楽譜を使っているものを思う。そこでその鍵盤譜の高音パート譜を参考にすれば、ギターでも比較的容易に通奏低音の真似事くらいは出来るのではないかと考えた。


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流通している数社の中から二つ、インターナショナル・ミュージック社版(レナード・ローズ編)=写真左とシャーマー社版=写真右のものを取寄せてみた。いずれも通常ヴィヴァルディのチェロソナタとして認められている全6曲が収められている。ポピュラー音楽で言えば、コードネームだけが書かれている楽譜を元に、実際のコードポジションやストロークのリズムなどを、編者が編者の意図で曲の様式を考慮しつつ書き記したものなので、二つの楽譜は当然異なる。
近々遊びで合わせる予定の曲は第3番イ短調。ギターでは弾き易い調性で、この二つの楽譜を見た限りでは、鍵盤楽器でほぼ右手が受け持つ高音部パートがそのまま弾けそうな感じだ。但し、実音がオクターブ低いギターの特性と、2本のチェロ(ソロパートと通奏低音パート)の中で音量の乏しいギターの音を有効に響かせるための工夫が必要になりそうだ。具体的には1弦、2弦の3~7ポジション辺りの音が選べるように、和声を変えない範囲で音のシフトと展開を施そうかと考えている。


全3楽章。この演奏では通奏低音として、コントラバス(あるいはヴィオローネ)、チェンバロ、リュート属の音が聴こえてくる。


通奏低音について解説。ベーレンライター版でのサンプルとオリジナル楽譜からのリアライゼイションについて解説している。


上に貼った演奏のメンバーのよる第3番第1楽章ラルゴ。



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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