チョイと宅録 <佐藤弘和48のやさしい小品集>



梅雨明けの関東は朝から陽射しMAXで気温も上昇。
昼をはさんでちょいと外出。三時前には帰宅。夕方まで少々時間もあったので、久々にギターを取り出してチョイと宅録。少し前の記事に書いた、佐藤弘和の小品集を取り出した。


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きょうはその中から気の向くまま弾き散らかし4曲を録音した。食卓テーブルに楽譜を広げ、レコーダーをポンと置いた安直録音。左手は見えず、右手のアップだけが目立つが、何の意図もなし。レコーダー付属ソフトのマスタリングもどきが少々エフェクト過剰で×。 例によって初見+アルファでほころびだらけだが、夏の日の午後、のんびりつま弾いたひとコマであります。


佐藤弘和 48のやさしい小品集から <思い出 Rememberance>


佐藤弘和 48のやさしい小品集から <聖ヴァレンタイン・ワルツ St.Valentine Waltz>


佐藤弘和 48のやさしい小品集から <メランコリー Melancholy>


佐藤弘和 48のやさしい小品集から <家路 Homeward>



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追悼 中村紘子



すでに報道されているように、中村紘子が亡くなった。享年72歳。合掌
言うまでもなく彼女は昭和から平成を通じて、日本クラシック音楽界でもっとも知られた演奏家の一人であり、広く親しまれたアイコンでもあった。ぼく自身も何度かステージに接した記憶がある。かつては自分とはふた世代くらい違うかと思っていたが、実際はそれほどかけ離れていたわけではなかった。カレーを食べて元気そうだった彼女を偲び、手元に数枚ある彼女の音盤の中から、この盤を取り出した。


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グリーグ・ピアノ協奏曲。以前一度記事にしている。1979年の録音。大町陽一郎指揮東京フィルハーモニー交響楽団のバック。そして当時ソニー副社長だった大賀典雄みずからプロデューサーを務め、録音機材は当時ソニーが開発したPCM(デジタル)録音機という、鳴り物入りのレコーディングだ。ライナーノーツによれば、芸大卒のバリトン歌手でもある大賀氏はセッションを通じて常にスコアを片手にモニタースピーカーからの音を聴き、中村・大町両氏と意見交換をしてベストテイクを目指したとのこと。付け加えるなら、当時三十代半ばの中村紘子を写したジャケットの写真撮影は立木義浩だ。前橋汀子&篠山紀信を思い出す。このレコードをどういう経緯で手に入れたか記憶にないが、確か知人から「もう聴かないから」と譲ってもらった百枚ほどの盤の中にあったと記憶している。

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演奏はかなり個性的だ。すべての楽章でテンポは遅め、表情付けはかなり濃厚で、ロマンティックな解釈。一方で曲が盛り上がった際のフォルテシモの響きは尋常でないほど強靭で、ソニーがデンオンに遅れをとったPCM録音の失地を挽回しようと総力をあげて開発したデジタル機材の威力もあって、スタインウェイのゴージャスな響きが荒川区民会館に響き渡る。それでも第一、第二楽章はよいとしても、終楽章にはやや重く感じる。あのリヒテル&マタチッチ盤が軽快に感じるほどだ。彼女は90年代後半にグリーグを録り直している。

つい二ヶ月ほど前までステージに立っていたことを思うと、早過ぎる逝去はまことに残念でならない。
ご冥福をお祈りいたします。


1960年。中村紘子16歳。N響の海外公演に随行したときの演奏。



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小澤征爾&BSOのバルトーク



関東地方もようやく梅雨明け。梅雨明け十日は夏型安定、海に山に絶好の季節というはずだが、どうやら今年は太平洋高気圧の甲斐性なく、梅雨明け以降も不安定な天気が続くらしい。 さて、昨夜甘口ジャズで端休めしたところで、今夜は先日の続きでバルトークを。


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小澤征爾が当時の手兵ボストン交響楽団を振って録音したバルトークの管弦楽曲集だ。この盤も発売当時買ったものではなく、十年ほど前出張帰りに梅田の中古レコード店で入手した。
発売当時から印象に残っている中々強烈なジャケットデザイン。ライナーノーツにはジャケットデザイン=ペート・ハルメンと記されている。ぼくは寡聞にして知らないが、一度見たら忘れないジャケットの一つだろう。この盤が録音された1975年頃といえば、小澤とボストン響は蜜月時代を経てドイツグラモフォンから次々と新録音をリリースしていた時期だったと記憶している。振り返ってみても、小澤征爾の仕事の中でもっとも充実していた時期に違いない。両曲ともアナログ最終期の素晴らしい録音。60年代の独グラモフォンサウンドとは違って、安定した低音を残しながらも、各パートの分離が明瞭で打楽器群もクリアに入っている。

この盤に収められたバルトークの2曲「中国の不思議な役人」「弦、打楽器とチェレスタのための音楽」は、明快で切れのいい音楽作りをしていた当時の小澤征爾にはぴったりの曲目だ。「中国の不思議な役人」を最初に聴いたのは学生時代のFMだった。音楽はともかく、まずそのタイトルがそのまま実に不思議で印象に残った。後年、役人(=宦官)と売春婦と殺し屋が登場人物という中々過激な内容のパントマイム付帯の音楽だと知った。こうして音楽だけ聴いて、そのパントマイムを想像するのも中々面白い。音楽はバルトークの土俗的な民族色よりは、ストラヴィンスキー風のバーヴァリズムを感じる。もっとも、何百回と聴いているベートーヴェンやブラームスなら何曲もある交響曲全部を鼻歌で歌えそうだが、当然こういう曲にはそこまで馴染みはない。いつか、ひと月連続で毎晩聴いてみようかしらん。

「弦、打楽器とチェレスタのための音楽」通称「弦チェレ」の方は学生時代からライナー&シカゴ響のLPに親しんでいて、ずっと馴染みがある。この曲はまず冒頭のフーガ風の導入部がいい。何度聴いてもゾクゾクとしてくるイントロダクションだ。第2部に入るとバルトーク節全開となって突っ走る。第3部の神秘的なノクターンを経て第4部へ。ここでは再びエネルギッシュなリズムにのって民族的なフレーズが歌われる。飽きずに30分があっという間に過ぎてしまう。それにしてもこんな曲のスコアを暗譜して、複雑なアインザッツを指示しながらオケをコントロール出来たら、さぞ面白いだろう。


<弦、打楽器、チェレスタのための音楽> コロラドの学生オケとのこと。


<中国の不思議な役人>(組曲版) エドワード・ガードナー&BBC響による演奏@プロムス2011。


スコア付き<弦、打楽器、チェレスタのための音楽> フリッチャイ&RIAS響による1953年のモノラル録音。



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アルミンクのブルックナー第8 群馬交響楽団定期演奏会



きのう土曜日は先月に続いて群馬交響楽団の演奏会へ。
人気のイケメン指揮者クリスティアン・アルミンク来演。曲目はブルックナーの第8交響曲。夏の夜にガツンと1曲。休憩なしの80分一本勝負となった。


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ブルックナー/交響曲第8番ハ短調(ハース版)
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指揮:クリスティアン・アルミンク 管弦楽:群馬交響楽団
2016年7月22日(土) 群馬音楽センター
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ブルックナーに開眼したのは今から40年前の学生時代。FM放送をせっせとエアチェック。4番、5番、7番、8番、9番と聴き漁り、さらに3番、6番へと触手をのばした。在籍していたギター・マンドリン系サークルの同輩に志を同じくするOK君がいて、マタチッチやチェリビダッケのライヴ演奏録音を聴いた翌日は、二人して興奮気味に語り合ったものだ。中でも第8番はその規模の大きさから、そして豪放磊落な曲想と天国的な美しさとを併せ持つことから大のお気に入りとなった。これまで聴いてきた幾多の曲中、もっとも熱心に聴いた曲の一つだ。

当夜の指揮者クリスチャン・アルミンク(1971-)は長らく新日本フィルの音楽監督を務めたこともあって、日本ではお馴染みの指揮者だ。ウィーンで学んだ正統派。そして父親はクラシックのメジャーレーベル:独グラモフォン社の社長という毛並みのよさ。加えて長身と端整な顔立ちで女性人気も高い。今回アルミンクはハース版を使用。20世紀以来ノヴァーク版、ハース版、相半ばしているが、ハース版にみられるいくつかの魅力的な経過句の追加はこの曲の美しさを引き立てる。

定刻18時45分を2分ほど過ぎて団員登場。通常編成に加え、持ち替えのワグナーチューバ3本も加わる9名のホルンセクション、2台のハープなど、十分なスペースがある会場:群馬音楽センターのステージが狭く見えるほどだ。いつも通り、コンマス伊藤文乃さんのリードでチューニングが終わり、程なくしてアルミンク氏が登場。しばしの沈黙のあと、静かに<ブルックナー開始>が始まった。

第1楽章のテンポはやや遅めの開始。主部に入るとモチーフの切り替えの際には、かなり大きなテンポチェンジがある。また特に弦楽群フレーズの歌わせ方に意を尽くし、ブルックナーによくある、フレーズの終わりに向けてクレシェンドし、そのピークでスパッと切り上げるような箇所で処理がかなり大胆。そうした解釈が重なって、全体に抑揚に富む、よく歌うブルックナーになっていた。テンポをあまり変えず、淡々と、あるいは無造作にフレーズを積み重ねて曲の骨格の大きさを示すような演奏とは方向性が異なる。
続く第2楽章をどんなテンポとアーティキュレーションで演奏するかは、この曲全体の印象に大きく影響する。この楽章に関してぼく自身は、ゴツゴツした肌合いの解釈を好むが、当夜のアルミンクはややレガート寄りでテンポもやや遅め。それでもティンパニーが要所要所で重めの杭を打ち込み、曲全体として甘くはならず、重量感に富んでいて悪くなかった。
第3楽章はこの曲の聴きどころの一つ。音盤でもしばしば聴くこの第8番だが、この第3楽章をこうして居ずまいを正して通して聴くのは久しぶりだ。弦楽群の美しいメロディー、ワグナーチューバも加わる荘重なコラール、大胆な和声と転調…と、この大曲の響きに身を任せて浸りきる。開演冒頭から控えていたシンバルとトライアングルの奏者も、この楽章のクライマックスでようやく出番となった(シンバルは2打。そしてまた休止)。
終楽章はやや速めのテンポで開始。コザックの進軍と称される弦楽器群の音形にのって金管群のコラールとトランペットのファンファーレが響くこの開始はいつ聴いても興奮を禁じえない。そして次のフレーズに移る前のティンパニーの強打。当夜は申し分のない叩きぶりで、次のフレーズへの力が入る。主部に入ってからは第1楽章同様、弦楽群をかなり積極的に歌わせるが、あまりもたれずに先へ先へと進む。会場のアコースティックがデッドなため、しばしば現われる<ブルックナー休止>を十分に感じるのは難しく、そのあたりも考慮しての解釈に違いない。終盤、コーダに入る前にすでに演奏時間は80分越え。そしてコーダはじっくりとしたテンポで入り、最後もそのテンポを煽ることなく重厚な大団円となった。

夏の夜の暑気払い。歌わせ上手なアルミンクと群響の好演による一曲入魂のブルックナー。85分の音響ワールドに酔いしれて、会場をあとにした。


ヴァント&NDR響による終楽章。


マタチッチ&N響による終楽章


終楽章冒頭のローブラスセクション。



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CEC ST930



きのうのスピーカーネタの続きで、きょうはレコードプレイヤーの現況報告を。


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現在使っているレコードプレイヤーはCEC社製ST930というモデル。80年代終わりに発売されたモデルながら、細々と2000年頃まで生産された。ぼくが買ったのも1996年。ベルトドライブで電源ユニットが別置型になっている。このST930が届いて最初に聴いたとき、そのSN比の良さと瑞々しく解像度の高い音色に驚いた。三年程前には<回転数調整><アーム調整><ベルト交換><インシュレータゴム交換><基板半田アップ><各部クリーニング>といったメニューでオーバーホールを受け、その後は回転系の洗浄オーバーホールが効いたのか、回転の立ち上がりもよくかつ一層滑らかに感じる。状態のいい盤を載せて針を落とし、8畳間でごく普通に楽しむ音量で聴いているとサーフィスノイズもほとんど感じない。


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アームは購入時に付いていたS字タイプのもの。SME用のセットアップも可能だったが、当時はそこまで凝るつもりもなかった。このアームはもともと市川宝石製のもので、現在もカタログにSA-250としてリストされている。アームのゼロバランスを取ったあと、ヘッドシェル部にコピー用紙を1センチ角に切った紙片をのせると1枚で反応し、2枚で完全に沈み込む。紙片1枚が数ミリから10ミリグラムになる勘定だからアーム感度も及第だろう。
カートリッジは長らくDENONの定番MC型DL-103や安いshure社のMM型M44Gなどを使ってきたが、数年前にSPU-Gを手に入れ、現在はほとんどSPU-Gを付けっぱなしの状態だ。

このところ世間ではアナログ盤復活の話題をよく聞く。対前年比何倍かの出荷だとか。レコードプレイヤーの新製品発売のニュースもしばしば耳にする。もちろんCDには遠く及ばないが、そのCDが音楽配信に押されて出荷減少が続くこともあって、アナログ盤の勢いが目立つ。アナログ盤が市場から姿を消して四半世紀。気付いてみればひと昔いやふた昔だ。誰が買っているのか…。どうやら主な購買層は若者らしい。彼らにとっては、物理的な存在感のある新しいメディアのようだ。もちろん、ぼくら世代のカムバック組も多いだろう。実際、このブログのレコード盤の与太記事をみて、プレイヤーを買い込んだ復活組が身近にも数人いる。レコードの話をすると、決まって聞かれるのが「レコードプレイヤーって、まだ売っているの?針は手に入るの」という質問。答えはもちろんイエスだ。ポケットマネーでお気軽セットアップの松竹梅レベルから超弩級までより取り見取り。取りあえず押入れにしまってあるはずのレコードを引っ張り出して聴いてみようという人は、オーディオテクニカかDENONあたりのエントリー製品がお薦めか。1万円でおつりがくる。イコライザーという仕組みも内蔵しているのでミニコンポにも簡単につなげる。うるさいことを言わなければ、レコードの雰囲気を楽しむには十分だろう。利便性においてはCDに勝るものではないし、音質論議も各様でレコードが優位ともいえないが、四半世紀に渡って日陰の道を歩んだ結果、今ではノスタルジックな情緒的満足を手軽に得るツールとしては、中々いいのではないかと感じる。


よく安直にデジカメで動画撮影して、その音声でオーディオ機器を紹介しているのをよく見かけるが、?マークを3つくらい付けたくなる。せめて配慮されたレコーダーか、プレイヤー系の紹介ならこの動画のように音声をラインから取り出すべきだ。以下の動画はその意味で合格・正解。ST930のSNの良さ、解像度の高さが分かる。



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AVALON導入一周年



西日本・東海地方梅雨明けの報。当地もきょうは朝から日照強く気温も上昇中。関東の梅雨明けもまもなくだ。さて、三連休の最終日。夕方、定期点検で近所のディーラーへ車を持ち込む他にこれといった用件もなくダラダラと。昼過ぎからはオーディオのスイッチを入れ、アレコレと摘み聴き中だ。そういえば今のメインスピーカーAVALONを入れてからまもなく一年になる。


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AvalonのモデルEclipse。昨年のちょうど今頃、アキバの某販売店で程度のいい出物があり、試聴して1分後には即決した。Eclipseは1990年に発売され2000年代初頭まで販売された。この手の製品にしてはロングセラーの部類。同社がハイエンドスピーカーメーカーしての存在を確立した時期の主力モデルでもある。現行品モデルの中で大きさと重量から相当するモデルをさがすと…Ascendant 2以上Transcendent未満というあたりだろうか。スペックは以下の通り。

<製品仕様>
方式         2ウェイ・2スピーカー・密閉方式・フロア型
使用ユニット    低域用:22cmコーン型 高域用:2.5cmドーム型
再生周波数帯域 45Hz~24000Hz ±1.5dB -3dBポイントは35Hz以下
共振周波数    42HzにてQ=0.5
インピーダンス   6Ω(±1Ω、100Hz~20kHz)
出力音圧レベル 86dB(2.83V、1m)
外形寸法      幅280×高さ990×奥行(底面)381mm  重量48kg

創業当時の主宰者が代った現在の同社製品と大きく異なるのは、エンクロージャが密閉式だということウーファが1本だということだ。現行製品はバスレフ型+ツインウーファを基本としている。但し、エンクロージャの剛性を高くし、かつ不要回析を排除する基本ポリシーは変わっていない。明るい色の突き板はブックマッチされていて、たまたま部屋のフローリングの色合いに近いせいかうまく溶け込み、エンクロージャの大きさはあまり気にならない。

サイズの割りに50キロ近い重量はことのほか重く感じる。バッフル面の板厚は10センチを超え、キャビネットを叩いても、コンッと表面で音がするだけ。このスピーカと引き換えに下取りに出したタンノイ:スターリングはエンクロージャ容量ほぼ同一ながら重量は約半分。箱が鳴ることを前提としたスピーカであることをあらためて認識した。縦長で上部の両肩が傾斜しているスタイルも、今ではすっかりお馴染みになり、他社の多くのスピーカでも、このコンセプトを導入している(例えばヤマハのこれや、復活ダイヤトーンのこれなど)。


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以前使っていた三菱2S-305に文句はなかったのだが、そろそろ小型スピーカーでこじんまりやろうと思ったり、一度使ってみようと思っていたハーベスの小型(こちらこちらも)やタンノイに手を出したりしたが、結局音そのものが2S-305の代替になることはなく、イジイジしていたときに出会ったのが、このAVALONだった。現代風のハイエンドスピーカも一度経験してみたいという気持ちに抗し難く、実際試聴の印象もきわめてよかったので手に入れた。

ウーファサイズ9インチで密閉箱というスペックから心配していた低音は十分に低いところまで反応し、質、量共に文句はない。50Hz以下がスカスカでレスポンスしないスターリングとはまったく異次元。ローエンドは長らく使っていたダイヤトーン2S-305(12インチウーファと大容量160リットルバスレフ箱)と同等以上に深く沈み込む印象だ。もちろん密閉箱なので妙な共振やふくらみはなし。コントラバスやオルガンペダル音の音階がきっちりと示される。中高音の解像度はAVALONの真骨頂。高解像度を保ちつつ、音場感も広く深く展開する。86dBの能率はサイズからすると少々低いが、よくある低能率ゆえの反応の悪さなどはない。
何より秀逸なのは前後左右、取り分け前後に展開する音場感だ。きちんと配慮された録音を聴くと、オーケストラのステージイメージが見事に広がる。手前に弦が左右に広がり、山台の上の木管群がその奥から聴こえ、さらに左奥からホルンの響きとティンパニーが…といった具合だ。そういうイメージを感じながら聴くと、以前のように音圧による迫力がなくても十分に管弦楽が楽しめる。こうしたステージイメージは小型スピーカをうまくセッティングしたときにも得られるだろうが、そこはそれなりの大きさを持ったシステム。エネルギーレンジが広く、全域に渡って無理なく音が出て、小型システムより一層リアルに響く。特に音数の多いバッハの宗教曲、ブルックナーの交響曲などは、絡み合った糸がほぐれるように音楽の組立てが明解になり、抜群に相性がいい。

この一年、AVALONが本領発揮するような聴き方をしたのは数えるほどだし、これからもオーディオ三昧の日々というわけにもいかないだろうが、だからこそ、限られた機会には最良の音で聴きたいとも思う。今のところ死角のないこのAVALONを当分使っていくつもりだ。


アヴァロン社工場内での生産の様子。



★★追伸★★
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イリアーヌ・イリアス



一週間折り返しの水曜日。都内での仕事帰りにお江戸日本橋のデパートへ。きょうから夏物セールとのことで、ちょいと覗いてみようかと…。赤札にひかれて洋服少々お買い上げ。大きめのトートバッグをパンパンにして帰途についた。 8時少し前に帰宅。PCをオンして二日ぶりにブログ管理画面をみると、アララッ、きょうはランキングバナーのクリックが低調。きのう更新しなかったからかなぁ。マッ、仕方ないか…
さて、ひと息ついて音盤タイム。あれこれ迷ってあげくに写真のアルバムを取り出した。ジャズピアニストでありボーカリストでもあるイリアーヌ・イリアスの、これはピアニストとしての彼女をフィーチャーした盤だ。ビジュアル狙いのジャケ買いと思われそうだが、実際クラッときそうなジャケットだ。


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彼女は90年代の終わりに出したボサノヴァのボーカルアルバムがヒットし、人気を得た。だが、元々6歳からクラシックピアノを学び、ジャズのキャリアもピアノで始まったようだ。1960年生まれというから、もう五十過ぎということになるが、2002年収録、2009年発売のこのアルバムジャケットの美貌ぶりから、年齢は想像できない。彼女がアントニオ・カルロス・ジョビンのボサノヴァチューンを歌った盤もよく聴くが、このピアノトリオの彼女も中々いい。少なくてもビジュアル系ボーカリストの片手間という印象はなく、本格的なピアノトリオとして楽しめる。ブラジル生まれで、ボサノヴァを歌うラテン系アーティストというと、何となくノリだけで押してしまうようなイメージを持ちかねないが、この盤はライブ盤にも関わらず、きっちりと感情と技術をコントロールしていて雑なところがない。まったくオーソドクスなジャズになっていて、安定感も抜群。リラックスして楽しめるアルバムだ。


ピアノトリオでの演奏と歌。


写真のアルバムのタイトルチューン<デサフィナード>。



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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