ドナルド・フェイゲン<The Nightfly>



降ったり止んだり、あいにくの週末土曜日。天気次第で出かける予定であったが中止。終日在宅、ダラダラと過ごす。夜になって部屋の片付けをしながらのナガラリスニング。今夜はこの盤を取り出した。


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ドナルド・フェイゲンの<The Nightfly>。ちょっとポピュラー好きの輩なら先刻承知。1982年録音の名盤。アマゾンを覗くと今もってレヴュー数も圧倒的であることから、30年余を経てなお聴き継がれていることがわかる。手持ちの盤は、十数年前に自由が丘駅の東急ストアに入っていた中古レコード店で買い求めた米国プレス輸入盤。海外盤とはいえ高くはなく、確か1500円ほどだったか。

ポピュラー好きでもアメリカンロック好きでもないぼくがこの盤を手にしたのは他でもない。このジャケットに一瞬にしてやられてしまったからだ。完全ジャケ買いの1枚。普通、オヤジのジャケ買いといえば、オネエちゃん、オネエさん、オバさま…まあ、そんなところだろう。しかしこの<The Nightfly>のジャケットには異次元のカッコよさがある。4時8分を指す時計、RCA製のリボンマイク、テーブルに置かれたソニー・ロリンズのアルバム、Para-Flux A-16トーンアームを載せたレコードプレイヤー…。

この盤については多くのファンが盛んに語っているだろうから、ぼくの出る幕ではない。ひと言だけ紹介かねてコメントするとしたら、当時考えられるポピュラー音楽の最も洗練されたエッセンスが詰まっているといったらいいだろうか。レゲエのリズムにのってさりげなく始まる第1曲I.G.Y以降、ファンク、R&B、フュージョン、ラテンロックなど、変化に富んだ曲が周到に練られたアレンジと演奏で繰り広げられる。そして録音も含めて完成度が極めて高い。勢いとノリで一気録りという安直さがまったくない。主役のドナルド・フェイゲンの他、バックはラリー・カールトン、マーカス・ミラー、ブレッカー兄弟など、その後現在までトップを走ることになるジャズ・フュージョン系ミュージシャンが固めていて万全だ。こういう質の高いポピュラーアルバム、昨今はあるのだろうか。


この盤の全曲
https://youtu.be/WbRtmUdmVFw


M5の<New Frontier>


<New Frontier>のベースをカヴァーするお兄さん。


こちらはギターですね。



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フローベルガー<チェンバロ名曲集>



山の日をはさんで本日は出勤。すでに立秋を過ぎたからというわけではないだろうが、関東地方はきのうきょうと朝夕の風が幾分涼やかだ。西日本は大そうな夏さのようで、以前頻繁に大阪出張を繰り返していた頃、あさ東京駅を出て昼少し前に新大阪のホームに降り立ったときの、あのムッとする暑さを思い出す。 さて、あすの休みを前に今夜はノンビリ。二日ぶりにアンプの灯を入れ、こんな盤を取り出した。


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先年亡くなったオランダのチェンバロ奏者;グスタフ・レオンハルト(1928-2012)がドイツ・バロックの雄;ヨハン・ヤーコブ・フローベルガーのチェンバロ曲を弾いたLP。1962年独ハルモニアムンデの録音。数年前、出張帰りに大阪梅田の中古レコード店で買い求めた記憶がある。以前も記事にした盤だが、しみじみいい盤だなあと、ときどき聴きたくなる。

フローベルガーは同時期に活躍したブクステフーデやハッヘルベルと共に17世紀後半バッハ登場前夜のドイツ・バロック期を代表する作曲家。この盤には彼のチェンバロ曲から組曲3曲の他、トッカータやファンタジアなどが数曲収められている。中でも組曲は聴き応え十分だ。すでにフランスで流行っていた舞曲形式の組曲から、アルマンド~クーラント~サラバンド~ジーグを基本構成として30曲の組曲を残したと高野紀子女史がライナーノーツに書いている。この盤に収録されているのは第1番、12番、15番の3曲。作曲時期に違いはあるが、いすれも哀歌を思わせる旋律に豊かな和声と装飾句が絡み、美しい。名手レオンハルトの演奏を云々できるほどチェンバロや当時の演奏様式の知識を持ち合わせないが、多分耳に届く印象的な装飾音のうち相当数を即興で弾いているものと思う。当時はオルガンやチャンバロ奏者、また隆盛期を過ぎつつあったリュート奏者も、即興演奏や自在な装飾音を我がものにしようと研究し努力していたのだろう。

この時代のチャンバロ曲はリュートやギターで弾いても曲によってはいい味わいになる。実際フローベルガーも旅先でゴーティエに代表されるリュート音楽に接していたと記録にもあるようだ。


こちらはYouTubeにあったリュートによる演奏。かつて10コースのルネッサンスリュートを所有していたが、ものにならずに手放した。こういう演奏を聴くとまた弾いてみたくなる。


この盤の音源。組曲15番イ短調。


こちらはモダンギターを使った演奏。弾き手はイタリアの名手;ステファノ・グロンドーナ。
グロンドーナはフローベルガーの曲をいくつか録音している。



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ラファエル・アギーレ(G)



知人からギター演奏会の案内が届いた。


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ラファエル・アギーレ(1984-)というスペインのギタリスト。来月初旬に栃木県那須でのリサイタル。初来日だそうだ。他にも東京(9月13日武蔵野スイングホール、9月15日大泉学園ゆめりあホール、)、兵庫、広島等でも開かれる様子。那須でのプログラム等は以下の通り。お馴染みの定番曲が並ぶ。

<日時・場所>
2016年9月2日(金) 18時開場 18時30分開演
那須野が原ハーモニーホール 小ホール
<プログラム>
プジョル:3つのスペイン風小品
J.S.バッハ:シャコンヌ
メルツ:エレジー
ジュリアーニ:ロッシニアーナ第5番
アルベニス:コルドバ
アルベニス:朱色の塔
禁じられた遊び
グラナドス:詩的なワルツ集
タレガ:アルハンブラの想い出
タレガ:グラン・ホタ
<プレイガイド>
那須野が原ハーモニーホール 0287-24-0880

当初、名前を聞いたときピンとこなかったのだが、チラシの顔写真を見ていて思い出した。以前、ギターとチェロのデュオ音源を探していたときにYouTubeでファリャのスペイン舞曲を弾いているコンビを見つけたのだが、そのときのギタリストがアギーレだった。これまで数々の国際コンクールでの受賞歴を誇るスペイン期待の星とのこと。手元に彼の音盤はないが、YouTubeでいくつかのソロ演奏を聴いた限りでは、昨今では珍しくなったスペイン色濃厚なタイプ。古典作品の端整で優等生的な演奏よりは、ラテンテイストあふれる情熱的で濃い口の演奏を期待しよう。


マラッツのスペインセレナーデ。ナクソスへのレコーディングセッションでの様子とか。2007年というから、23歳のときのもの。


ファリャ<はかなき人生>~スペイン舞曲第1番~ ナデージュ・ロシャ(Vc)とのデュオ。


ファリャ<7つのスペイン民謡>~ナナ~


編曲物によるアルバム全曲。バッハのパルティータ第1番BWV825全曲を弾いている。



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平賀マリカ<BATUCADA>


リオ五輪スタート。前評判はアレコレあったが、蓋を開ければ、タイムスケジュールもお構いなしに進行するラテン・テイストMAXのド派手な開会式からして、いかにもリオ!と賛辞の声。地球の裏側の熱気を受けて、きょうの関東地方は一段とヒートアップの猛暑日。 昼の暑さも冷めやらぬ夜、暑さとブラジルに引っ掛けてボサノヴァでも思い、この盤を取りだした。


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平賀マリカの3枚目のアルバム。音盤買い出しの際に思わずジャケ買いの1枚(^^;。以前一度記事にした盤。2008年録音。一部を除きNYで録られている。豪華ミュージシャンが参加し、ジャズ・ボッサの定番曲が並ぶ。

ボサノバというとジャジーな都内的なイメージがある一方、そのオリジンであるブラジルの土の匂いも感じる側面もある。演奏やアルバムコンセプトもその両軸のいずれに軸足を置くかで印象が異なってくる。この盤は完全に前者。ジャズテイストをベースに、ときにはスローロック風の味付けもあって垢抜けたモダンな都会の響きに仕上がっている。平賀マリカのヴォーカル云々の以前に、一流どころのバック陣とそのアレンジが秀逸。これだけセンスのいいバックで固めれば、大概の歌は上手く聴こえそうだ。バック陣が聴かせる間奏の軽いアドリブプレイも楽しみの一つ。これからしばらくは蒸し暑い夜の音盤タイムには、こんな涼やかにリラックスできる盤がベストだ。


アップテンポのタイトルチューン<BATUCADA>。BATUCADA=ブラジル・サンバのサブスタイルとのころ。男性ヴォーカル:マルコス・ヴァリとのデュオで軽快に歌う。重低音ブリブリの録音も痛快。


◆イパネマの娘◆

ナットキングコールのトリビュートアルバムのPV



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マーガレット・レン・タンのトイ・ピアノ



きのうきょうと当地関東は不安定な天候で、昼過ぎからはあちこちで局地的な雷雨に見舞われた。渇水状態が続いている利根川水系上流のダムはこれでひと息つくだろうか。
さて八月。格別変化もなく淡々と日々過ぎ行く。仕事はそこそこ忙しい。でもまあ、十年前の最前線突撃隊の日々と比べればセカンドライフのような毎日だ。今夜は雷雨の急襲を受けながら8時少し前に帰宅。ひと息ついて、さて…と音盤棚を見回し、こんな盤を取り出した。


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マーガレット・レン・タンの弾くトイピアノのアルバム<アート・オブ・トイ・ピアノ>。10年ほど前にタワーレコードのヴィンテージシリーズで出た際に買い求めた。ヴィンテージシリーズといっても録音は1996年。収録曲は以下の通り。

 1.ミラベラ(スティーヴン・モンタギュー)
 2.エリナー・リグビー(ジョン・レノン&ポール・マッカートニー)
 3.サティ・ブルース(トビー・トワイニング)
 4.ピーター・ワイヤーのための3つの風景(ジェド・ディストラー)
 5.モダン・ラヴ・ワルツ(フィリップ・グラス)
 6.魔法の耳(デヴィッド・ラング)
 7.ナイトメア・ラグ(トビー・トワイニング)
 8.イースト・ブロードウェイ(ジュリア・ウォルフ)
 9.ピアノ・ソナタ第14番「月光」より~第2楽章(ベートーヴェン)
 10.スウィート・チノイセリー(ガイ・クルチェフセク)
 11.星条旗よ永遠なれ(モステル)
 12.ジムノペディ第3番(エリック・サティ)

このアルバムを手に入れるまでマーガレット・レン・タンという名前すら聞いたことがなかったが、兄さんはフォルテピアノ奏者のメルヴィン・タンと言われて、なるほど合点。この盤でレン・タンは、トイピアノ名門シェーンハット社の楽器に加え、通常のピアノやノイズ系電子音なども駆使し、アヴァンギャルドかつ時にミニマルな世界を繰り広げる。有り体の名曲小品をトイピアノで弾いて、超かわいい~!というアルバムではないのだ。
このアルバムを初めて聴いたとき、トイピアノの音が、まるガムランのように聴こえ驚いたのだが、ブックレットを開いたら、レイ・タン自身もまったく同じようにガムランをイメージしたと書いてあった。確かにぼくらの知っているトイピアノに違いないのだが、こうして意図をもって構成された音楽で聴くと、まったく別次元の響きに感じられる。かのジョン・ケージがこの楽器のための組曲を残しているが、うなづける気がする。現代の音楽を模索・志向する作曲家や演奏家からみると、他に類を見ない魅力的な楽器なのかもしれない。

この盤の音源<サティ・ブルース>


ジョン・ケージの<トイピアノのための組曲> シェーンハット社の楽器。


一般的にトイピアノと聞いてイメージする演奏はこんな感じだ。 弾き手で選んだわけでは…


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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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